視野角5……ラジアンかな? 草食動物かよ。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNKY6MY3/ フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) | ブレイク クラウチ, ベロニカ ロス, N K ジェミシン, エイモア トールズ, ポール トレンブレイ, アンディ ウィアー, 東野 さやか, 幹 遙子, 川野 靖子, 宇佐川 晶子, 鳴庭 真人, 小野田 和子 | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon
SF短編集。アンディ・ウィアーも参加しているので読んでみた。が、僕が読みたいSFとはだいぶベクトルが違って、かなり後ろ向きな感じで、最初の3本を読んで「なんか違うな」となって、4本目を読み始めたところで中断して、最後のウィアーの作品だけ読んで閉じた。この4作に限って俯瞰すると、作者によって作風に個性があって、現実的な方向性もあるし、リアリスティックなSFが好きな立場からすればかなりファンタジー的な作風もある。
ウィアーの長編作品が好きでこの短編集を読み始めた立場としては、短編でも彼らしく現実的な世界観を堅持している一方で、故に短編という狭い世界に閉じ込められている感があって残念。
冒頭(サンプルでも読める)に書いてあるとおり、このアンソロジーは急速な技術の発展による漠然とした不安が原点で、各作品も(前述の通り一部しか読んでいないが)その視点に立ったものが多く、故に後ろ向きな作品が多い印象。
メインで使っているセミワイヤレスのイヤホン、いまいち電池の持ちが良くないのでEcho Budsと併用していて、メインの方は音量20%、Budsは30%くらいが快適な音量。ところで、Echo Budsはそれなりの頻度でBluetoothの接続が遅くて、しかもそのときに最大音量で「ブルートゥースを接続しています」みたいな声が再生されるので、すごくうるさい。せめて起動時に前回の音量を設定すればいいのに、ケースに入れるたびにリセットされる。
天の技のWebサイト(https://amanogi.space/)、アクセスできないけど、あの会社どうなってるんだろう? 今年度に入ってからTwitterでRAISE-2が運用終了してSTTは無事に動作したみたいな報告があるけど。’21年にSTT売り始めるみたいな話だった気がするけど続報は無かったはず。そもそも宇宙機のコンポーネントなんてコンビニやamazonで買うような代物でもないし、一般人の目につかないところで密かに売られている可能性はあるけど。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/htsj1962/33/130/33_130_46/_pdf
H-II初号機(OREX/VEP)の話だけど、アイドルモード燃焼で第2段を軌道離脱させた、みたいな話が出てくる。ただ、他の資料をいくつか斜め読みしてみても、H-II初号機で軌道離脱を行ったみたいな話は出て来ない。
TLEを漁ってみると、22977から連番でSTS-60、OREX、VEP、H-2 R/B、RADUGA 1-3、SL-12 R/B(1)、というように続いていて、H-2 R/Bは現在でも280/27700kmくらいの高い軌道にいる(VEPは400/36000kmくらい)。’94年3月17日頃のTLEを見てみると、VEPが480/36070km、H-2が345/33030kmくらいか。若干近地点が下がってはいるけど……といった程度。
この頃のH-IIじゃ再噴射は近地点付近で行っているはずだから、多少吹いたところで近地点はさほど下がらないだろうし、アイドルモード燃焼ということはターボポンプを使わずタンクの内圧だけで供給しているから、再々着火の確認のための定常運転でもないし。
この時期はデュアル打上げ用のフェアリングは無かったんだな。VEPのセントラルシリンダの上にPAFがついてOREXが載っている。宇宙機を2つ直接重ねるのは最近だとボーイング702SPのデュアルロンチとかで使われているけど、結構昔から同じような打ち方はあったんだな。4/4Dを最初に使ったのはH-II#6/TRMM/ETS-VIIだそうだ。
TRMMはコスト削減を目的に、NASA/GSFCが所有する工作機械を使って構造を作ったそうだ。例えばNAOJが観測機器をインハウスで作るために5軸や金属積層を買ってたけど、JAXAとかは自前で機械加工やるような設備は持ってないんだろうか? ISASも一時期INDEXみたいにインハウスで超小型衛星を作ろうみたいな話もあったけど、どのくらい自前で作ってたんだろうか。コンポ類は外注したみたいな話もあったからインハウス率はさほど高くはなさそうだけど。でもS-310の姿勢制御はもともと外注してたけどメーカーの撤退でノウハウまるごと失われたので今後はインハウスで作ってISAS内にノウハウを残すみたいな話だったはずだから、ISASにも機械加工できるような設備は持ってるのかな? あるいはこれも設計をインハウスで行う程度で、部品類は外注になるのかな。/* S-310-45の実験結果の報告書、なんであんなに修論っぽい雰囲気なんだ */
H-II#6, TRMM, ETS-VIIに関する話。連番で_6.pdfまで。
ETS分離前に再着火を行ったけど、このときはアイドルモード燃焼だったらしい。TRMMが380x380km、ETSが380x550kmなので、ΔVは47.5m/sくらい。第2回燃焼は59秒(計画値46秒)だそうだから0.8m/s^2(計画値1m/s^2)くらい。第2段とETSで6t程度とすると4.8kNくらいで、定常推力の4%くらい。
他の衛星がどういう状況なのか知らないので、衛星全般がこういう感じなのか、ETS-VIIに特有なのか判断しかねるけど、ETS-VIIはカタストロフィックには至らなかったものの危ない事象がかなり多い印象。部品を取り付ける向きを間違えたまま打上げたとか、推進系の清浄度管理が悪かったとか、姿勢センサのノイズを地上試験で見逃したとか、地上試験時に真空度が悪い状況で高電圧が印加されていたとか。この衛星に特有で、ETSシリーズの中でも特に実験的な面が強くて運用期間は短いからある意味で手抜きみたいな管理だったとしても、ちょっとずさんすぎる印象。
TRMMは打上げ時もTDRSによる管制。フェアリング開頭後70秒程度でTDRSで捕捉。打上げ時刻はX-10mに地上系トラブルの影響で40分程度ホールドしているから、TDRSによる衛星の追尾はその程度の変化を吸収できるだけの柔軟性があるわけか。SMAのフェーズドアレイを地上で解析して折り返してSSAをスレーブさせるみたいな感じなのかな。
TRMM('97年打上げ)を輸送した際の写真。USAFのC-5にNASAのロゴが貼り付けてある。
Loading GPM into the C5 Aircraft | NASA Global Precipitation Measurement Mission
GPM(’14年打上げ)を輸送した際の写真。USAFのC-5だけど、NASAのロゴは無し。広報予算減らされたんかなぁ。
https://www.pmaj.or.jp/library/open/regular/reg20170922.pdf
NECから南極越冬に参加した人の話とか。
最初の方にNECグループと南極観測の関わりについて。宇宙関係が結構多い。観測ロケットだったり、衛星通信だったり。アンテナの設営の様子とか。
通信した衛星等。一部のロケットのテレメ受信にも参加。その中にH-II#4も。ADEOS分離後に第2段を再点火し南極上空でJAS-2を分離、とのこと。
ADEOSが800kmくらいの円軌道、JAS-2が遠地点1325kmくらいなので、ΔVは130m/sくらい。第2段とJAS-2を含めて3000kgとすると、122kNなら3秒、5kNなら77秒くらいか。
https://www.jaxa.jp/press/nasda/2001/img/h2af2tuiseki_011114_j.pdf
H-IIA#2の飛行計画。DASH、下部フェアリング、MDS-1を順次分離して、最後に第2段再々着火の実験(計画値50秒)。DASHとMDSの間には衝突防止の軌道変更みたいなものはないけど、たぶん20Nは吹きっぱなしだろうし、5m/s弱くらいは速度差ありそう?
フェアリングは4/4Dだけど、かなり変則的な載せ方。上段PAFの片隅にVEP-3が置いてあるけど分離はせず、DASHはPAFの外側にピギーバック、下段PAFにMDSを搭載。
SFUってなんとなくNASDA系だと思ってたけど、出どころはISASなんだな。アイディア出しの段階で「フォン・ブラウンのドーナツ型っぽい形にしようぜ(意訳)」みたいなことを言い出した人がいたらしくてあの形になったらしい。マジかよ。まぁ、H-IIにしろシャトルにしろ、円筒空間に入れやすいってのもあるんだろうけど。
将来構想ではTDRSリンクもあったらしいけど、当初は内之浦で通信を行うので、AOCSは基本的に自律で行う。天文ミッションの場合は掃天しつつ高精度な慣性ロックが必要なので、STTは地上で処理。この頃(’87年頃)のISASはSTTは地上で処理していたわけか。まぁ、ISASの衛星は基本的に慣性ロックだろうしなぁ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/11/114/11_114_205/_pdf/-char/ja
1963年の、宇宙機の主に大気圏の出入り付近に関する資料。日本はまだラムダシリーズがようやく始まる頃だったり、アメリカでも対地同期通信衛星がようやく軌道投入されたり、と言った時代。時代が時代だけど、それ故にビークルのかなり広い範囲を扱っている。
構造や熱に関する話が主だけど、それ以外だと例えば太陽帆とかブースターの再使用、あるいはSSTOみたいな話題も。再使用に関しては、例えばこの資料ではサターンC-5の単価は590$/lbだが、再使用型のロケットでは25$/lbも不可能ではないと書かれている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/34/391/34_391_401/_pdf
MS-T5/PLANET-A関係のいろいろな話。
’85年(昭和60年)打上げだけど、MWはBLDCだし通信は畳み込み符号/Viterbi復号だし、カメラはCCD-TDIだし、すごいよなー。昭和って大昔のイメージだけど、いくつかのキーワードをピックアップしてくれば今でも通用する。
深宇宙での磁気バブルメモリの採用はMS-T5が最初だそう。曰く機械可動部がないので姿勢制御への影響が無いのが利点だそうだ。磁気テープならHDDみたいにディスクを数千rpmでブン回すわけじゃないから角運動量は大した事なさそうな気もするけど、それでも外力のない宇宙なら効いてくるのかな。スピン安定だと変な向きに角運動量が向くのが嫌なのかな。それでも回転軸をスピン軸に向けるとか、いろいろやりようはありそうだけど。
惑星間の宇宙機は軽量化の要求が一段と厳しいので、ネジはチタンを使ったり、ICのパッケージも工夫をしたり。IC1個で1グラムの軽量化をすれば3000個のIC全体で3kgの軽量化になる。
https://www.isas.jaxa.jp/j/isasnews/backnumber/1985/ISASnews048.pdf
MS-T5の打上げに関するあれこれ(PLANET-A打上げ前)。いろいろ面白い話がたくさん。
臼田アンテナでは冬に鍋を外に出して氷を作るそうだ。それを飲み屋に持っていけば「アンテナロック」が飲める。一応臼田64mも自動追尾が可能らしいので、運用上は「アンテナをロックする」ことは可能だけど、惑星間くらいの距離になるとプログラム追尾になってしまうので、大部分の運用ではアンテナはロックせずに使うはずだが。
ロケット(ブースター)のカラーリングに関しては、50人が参加する定例会議で15分会議しても話がまとまらず、プロに決めてもらおうということで光学班に話を聞きに行ったら「夜中の打上げだから光学的には見えないので解析用の塗装は不要」と言われたとか。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sokuchi/55/2/55_2_151/_pdf
SELENEの4wayみたいに、主衛星が非可視かつテレメがない場合にPLLがロックしているか否かを搬送波だけで判断する手法の検証。PLL非ロック状態ではオンボードXtalで発振するので送信の位相と同期しなくなるから、位相の変動量で判定できる。
元々の想定ではもう少し小さい閾値で判定できるはずだったが、オンボードの水晶が性能良かったので積分時間長めに調整。
UDSCでの事前実験の写真。開発初期の実験なのでラックマウントの機材でかなり大規模。RstarはPLL3個乗ってるから既製品で組もうとすると規模大きくなるのかな。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sokuchi/58/1/58_9/_pdf
EGS(1986年打上げ)に関して。
最初の構想は1977年頃からで、N-I打上げを想定していたらしい。元々はEcho衛星のような、PETにAlを蒸着した風船を考えていた。ただ、測位精度を得るにはそれなりの真球度が必要で、そのためには展開試験を行ったものを再び折りたたんで打上げることはできず、製造した気球を試験無しで打上げる必要が有ることから、信頼性保証のために複数の気球を作るのはコストがかかるので、開発が進まなかった。そうこうしているうちにH-Iロケットの話が出てきて、フェアリングが大型化されたため、リジッドな衛星へ方針転換。
「開発段階へ移行できない状態が長く続き」とのことだけど、それでも構造やロンチビークルの変更を含めて10年未満で上っているのは、現代の感覚からすると結構早い印象。電気系が不要で構造系は比較的シンプルというのもあるんだろうけど。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kogyobutsurikagaku/62/10/62_963/_pdf/-char/ja
Ni-H2の話。日本でのNi-H2はかなり遅くて、1990年代になってから(en.wikipedia曰く、Ni-H2の最初の特許は米国で’71年)。高圧水素ガスタンクなので法律で禁止されていて、試作品の輸入すらできなかったそうだ。特例的に宇宙用として開発を行い、ETS-VI(’94年打上げ)の実験機器として搭載。
自己放電が若干大きいきらいはあるが、低温に維持しておけば十分に許容できるレベル(低軌道衛星なら90分程度で、静止軌道でも24時間サイクルで充電できるので)。過充電や過放電での劣化がほとんど無いので便利そうだよね、みたいな評価。もっとも、2000年代に入るとすぐにLIBが急激にシェアを伸ばしてきたので、Ni-H2はETS-VIから数えても運用期間を除いて15年程度しか採用されていない。枯れた技術が好きな日本の宇宙開発ではNi-Cdがかなり頑張っていたし、LIBが出てきてからは軽量化要求に押されて急速に入れ替わった感がある。
’97年時点でNi-H2を製造しているのは国内で東芝だけ、世界でも3-4社程度。アメリカとかでは日本より20年程度先んじていたはずなのに、それでもほとんど製造されていなかったのかな。特許が申請されるのと実際に使えるのは別ってことか。
35Ahのセルで直径81mm長さ176mm、厚さ0.5mmでインコネル製、という感じ。圧力容器の写真の印象からすると意外と小さい。500ml缶より一回り大きいくらいか。こんなにペラペラで6MPaも耐えれるんだな。スチール缶が0.2mmくらいだそうだから、その倍以上の厚さと考えると確かに強度は結構ありそうだが。大きさは、例えばeneloop(Ni-MH)が単三電池サイズで2Ahあるんだから、むしろ容量比17.5倍で体積比100倍ってことはこれでも体積密度で言えば悪い方なのか(体積は円筒で計算しているが、実際には両端が半円形なので、体積比はもう少し良い)。
Ni-H2特有の利点として、内圧を監視することで充電量を把握できる点がある。電圧の傾きは小さいけど、内圧ならゼロから最大値までほぼリニアに傾いている。もっとも、Ni-H2は過放電・過充電での劣化が少ないから充電量管理が楽というのが利点なので、細かい管理が必要なのかはともかくとして。充電はCCCVだし、放電時は放電深度が高くなり過ぎたらセーフモードに入れるみたいな挙動だろうから圧力センサは使いたくないだろうし。あくまでも開発中の挙動把握に便利、くらいじゃないだろうか。
H-I、誘導制御は国産化だけど、制御にはAMD Am2901のセカンドソースで16bitの0.25MIPS程度だそうだ。メモリは4kbitの半導体メモリで16kW(16bit/W)だそう。内12kWを書き込み禁止にしてROMとして使い、プログラムや定数を保存する。残り4kWをRAMとして使う。半導体メモリをロケットに使ったのはほぼ世界初だそうで、当時はSEUがあまり認識されておらず、EMを作ったあとで対策が必要になったらしい。メモリにECCを追加するとメモリ容量を増やす必要があって筐体サイズの変更も必要になるので、1bit/WパリティでSEUを検知した場合はパリティ(チェックサム?)から回復させるようなソフトウェアで対応。ワード単位でなくもう少し大きい単位でECCをソフト的に実装しているような感じ。
H-IIは国産化率を高めているが、誘導制御に関しては適当な計算機がないのでH-Iと同じくAm2901を採用。ストラップダウンRLG化等で計算能力が足りなくなったので、ハード・ソフト両面から最適化。4.7MHzで0.34MIPS程度。メモリも32kWへ増やしてハードウェアECCでSEU対策。アルゴリズムはH-Iと同様で開発を開始したが、開発中にISSへの物資補給の要求が追加されたので、昇交点経度の制御にも対応できるように変更。他にも横加速度ロードリリーフとか、アンテナのビームパターンと地上局の位置関係に応じてバンクできるようにしたりとか、いろいろ。
いくつかやりたいことがあるんだけど読みたいPDFが溜まってて手が回らない。好奇心はスケ管をも殺す(スケ管なんて最初からなかった)。ブラウザで開きっぱなしにするんじゃなくてローカルに置いとくべきかなぁ。でも今度は検索画面をどうするかという問題が……
ロケット関係の資料は、ISASは学術系だからかわりとちゃんと残ってるイメージ。NASDAはアメリカからの技術導入が源流だからか、公開情報は少ない印象。例えばM-Vは古い資料でもテキストデータ(OCRではなく)で残っている場合が多いけど、H-IIBは荒いスキャン画像が多い気がする。もっとも、最近はISAS系もあんまり情報出さなくなっちゃったけど。きな臭い世の中だからねぇ。お役所仕事のお陰でmext.go.jpはまとまった資料が多い印象だけど、PDFが分割されているので読むのが面倒。あと長い。
ミニPCにVisual Studio入れてみたけど、さすがにビルドはちょっとレスポンス悪い気がする。あとSDR#を入れてみたけど、アイドル20%で受信中60%くらいになる。さすがに開発環境としては分が悪いな。
Core i7とか積んでれば別だろうけど、CeleronのミニPCは使い所としてはRasPiよりはちょっとマシくらいのところかな。計算能力はスタンダードなPCに比べればかなり劣るけど、とはいえx86バイナリが直接動くのは便利かな。クロスコンパイルとかしないでいいので、開発マシンで動くやつは(計算量が軽ければ)だいたいそのまま動く。
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