2018年7月5日木曜日

超音波風速計:温度と位相

 発泡スチロールの箱に保冷剤を入れて温度特性を見てみました。




 温度センサはADT7420とDS18B20の冗長系で、ADTがメインですが、なぜかDS側の値が出ています(ノイズのLSBから推測)。冗長系が役に立ったとはいえ、DSは計測誤差もそれなりにあるので、データとしてはあまり正確ではありません。

 上の図は横軸が時間で、下の図は横軸が気温です。どちらも縦軸は位相ですが、上の図は右軸が気温です。

 保冷剤を買ってきて数時間冷凍庫に突っ込んで寝る前に発泡スチロールの箱に入れたので、保冷剤が冷却されきっていません。そのため気温も11.5℃程度までしか下がっていません。保冷剤のパッケージには-15℃まで下がると書いてあったので、ちゃんと冷やせばそれくらいはいくはずです。ただ"48時間冷凍した場合"とか書いてあって、かなりしっかりと冷やす必要があるようです。
 また、温度の降下がかなり早すぎます。もっとゆっくり下がってくれたほうが良いんだけど。。。

 横軸に気温を取ったグラフは、右端から左側に動き、左下で反時計回りに折り返して右上に動いています。
 最初の水平に左に動いてる区間(気温が下がっているのに位相が変わらない)が謎です。温度計よりも超音波のほうがはるかに応答性が高いので、先に温度センサが強烈に反応し、超音波に変化が出ないのが不思議です。温度センサに遅れて超音波部が冷えるような配置なので、その影響かもしれません。
 またヒステリシス特性も不思議で、温度センサのほうが遅れが大きいはずなので、本来は時計回りに回復していくはずですが、実際は反時計回りに回復しています。

 発泡スチロールの大きさの関係で、超音波部を床においていますが、その際に箱で反射した超音波の影響と思われるノイズが有ったので、超音波部をタオルでくるんで簡単な吸音材としています。そのため、タオルの外にある温度センサのほうが先に温度変化が始まり、タオルの中の超音波部が温度変化に遅れているのかもしれません。
 そう考えると「温度が下がっているのに位相が変わらない」や「位相変化が温度計に遅れている」というのも納得できます。
 が、タオル1枚程度でここまで遅れるかなぁ、というのも微妙なところです。温度遅れが発生してるのは温度変化の大きい降下部分のみで、上昇部分ではあまり影響はないのかもしれません。と考えてグラフを見てみると、確かに上昇部では直線性が良いように見えます。

 やっぱり恒温槽欲しい~~。容量が大きくて、かつ壁面に吸音材を貼ってあるような。
 業務用の動作温度範囲が広いマイクとかの動作試験をやるような環境かな?


 x気温/y位相ではなく、x音速/y位相のグラフにすると、xとyが1次関数になるはずです(気温と音速の関係は2次関数です(たぶん))。
 ということで、音速と位相を直線の最小二乗法に入れればa,bがいい感じに得られるはずです。aが素子間隔に影響を受け、bが素子の極性と処理部の遅延に影響を受けるはずです。それらをうまく処理すれば位相から音速や風速、気温を推定できるようになるはずです。
 ただ、aを大きくするにはΔtを大きくする必要があり、温度センサ由来のヒスを消すには同じ傾きで温度を上昇/降下させ、それを複数回繰り返した結果が必要になります。
 箱と保冷剤では降下と上昇が非対称で、しかも1回しか計測できないので、そのあたりで誤差が出そうです。
 他の方法としては、ヒーターを使って保冷剤と似た形の(上下が逆な)温度変化を作る、といった方法もあると思います。もっとも、65℃まで上げる必要があるので、ちょっと嫌な感じです。電解コンデンサのような、高温/低温に弱い部品は使っていないし、アナログ能動素子も無いので、ある程度の高温/低温に晒したところで特に大きな問題はないはずなんですが、気分の問題です。

0 件のコメント:

コメントを投稿