2020年12月21日月曜日

個人的に気になる話題のタイムライン

 ざっくりと、その時代にどういう雰囲気だったのか、というのを時系列にまとめてみた。広く薄く、特に分野を決めずに羅列。

 年代ごとに並べて書いてあって、並びに意味があるイベントもある(e.g. リュドビック・ノーベル ~)ので、上から順番に読んでいくことを推奨。

 戦争に関連して意思決定が行われた場合がある(e.g. ツングースカ爆発)ので、関連しそうな戦争の期間も記載している。ただし、数字はWikipediaから拾ってきたもので、日付はほぼすべて「開戦」と「終戦」として記載している。実際にはその時には終戦していない(停戦状態等の)戦争でも終戦と記載されている場合がある。

 様々な標準時が混在しているので、近接してるイベントを比較するときは注意。日本の話題はほとんど日本標準時。海外の話題は同じ国でも複数の標準時があったり、夏時間があったり、かなりごちゃごちゃしてる。

 1600年頃から1900年頃はユリウス暦/グレゴリオ暦の改暦があるので、他のイベント(特に異なる地域)で比較する際は注意。国によって改暦の時期がかなり異なる。特に日本は改暦がかなり遅い。

 /* ~ */で囲ってあるのは感想とか。

 頻繁に起きている事象(隕石の衝突や大量絶滅、氷河期など)も、全部書くと大変なので一部だけ。

 いわゆる「諸説あります」みたいな話題も結構あるのであんまり鵜呑みにしないように。

 入力ミスとかあるかもしれないのでちゃんとした数字が必要なときは各自調べてね。

 もともとは日本の宇宙開発の話題だけ並べる予定だったのに、どうしてこうなった。。。


※ 独自研究が含まれます

※ 要出典


***


* 約138億年前(4.36e17秒前)

 宇宙誕生。


* 宇宙誕生から37万年後

 宇宙の晴れ上がり。宇宙の温度が約3000K程度まで下がり、光子が長距離を移動できるようになる。宇宙マイクロ波背景放射はこのときの景色を見ているものであり、赤方偏移(z=1100)によって2.725Kとして観測される。


* 約134億年前

 観測された中で最も遠い銀河(GN-z11)から、現在観測している光が発せられた。現在の地球からの距離は320億光年。


* 約46億年前

 太陽の形成。/* 太陽系の惑星等もほぼ同時期に形成されている */


* 約40億年前

 確認されている、最古の海。


* 42.8億年前から37.7億年前

 生命の痕跡(カナダ ケベック Nuvvuagittuq Greenstone Belt(en))。


* 約34.6億年前

 確定している、最も初期の生命(オーストラリア ピルバラクラトン(en))。


* 30億年前から19億年前

 シアノバクテリア(藍藻)が発生。空気中の二酸化炭素から光合成により酸素を生成。海に溶けていた鉄イオン等が酸化して沈殿、大規模な縞状鉄鉱床を構成する。現在工業的に採掘されている鉄鉱石の大半はこのときに作られたもの。酸素濃度の上昇によって嫌気性生物が減少。


* 24億年前から21億年前

 光合成により空気中の二酸化炭素を始めとした温室効果ガスが大幅に減少、氷河期に入る(ヒューロニアン氷期)。藍藻を含む大量の生物が死滅。


* 約20億年前

 フレデフォート・ドーム(南アフリカ共和国)。現存する世界最大の隕石衝突跡。


* 18.5億年前

 サドベリー隕石孔(カナダ)。地形としてのクレーターはすでに失われている。


* 6億年前

 エディアカラ生物群。肉眼で確認できる生物化石が大量に出ている最も古い時代。最古の多細胞生物と見られる。


* 3.6億年前

 陸へ上がる初期の四肢動物(イクチオステガ等)。


* 2.51億年前

 ペルム紀(Permian)と三畳紀(Triassic)の境目(P-T境界)。史上最大の大量絶滅。


* 2.5億年前

 複数の大陸が衝突、パンゲア大陸の誕生。


* 2億年前

 パンゲア大陸、再び分裂を開始。


* 約6604万年前

 チクシュルーブ・クレーター(メキシコ湾・ユカタン半島付近)。恐竜を含む多くの生物の大量絶滅を引き起こした原因として有力視されている。


* 約77万年前

 最新の地磁気逆転


* 約40万年前

 ネアンデルタール人の出現。


* 約20万年前

 ホモサピエンスの出現。


* 約10万年前

 イヌの家畜化(中東)。


* 約7万年前

 最終氷期、始まる。

 ショルツ星、太陽から0.82光年の距離を通過。


* 5.3万年前

 放射性炭素年代測定のキャリブレーション、この頃まで遡れる。


* 約5万年前

 隕石衝突によってバリンジャー・クレーターが形成。米アリゾナ州に直径1.2kmのクレーターが残っている。


* 約4.55万年前

 インドネシア スラウェシ島南部のLeang Tedongnge洞窟に書かれた壁画。既知の中で最古の動物画。Wikipedia


* 約4万年前

 エルカスティーヨの洞窟に壁画が描かれる。


* 約3.2万年前

 ショーヴェ洞窟に壁画が描かれる。


* 約2万年前

 ネアンデルタール人の絶滅。


* 約1.8万千年前

 アルタミラ洞窟に壁画が描かれる。


* 約1.44万年前

 ヨルダンで発掘された化石化したパン。


* 約1.2万年前

 こと座α星ベガが北極星だった。


* 約1万年前

 最終氷期、終了。

 ヒツジの家畜化(メソポタミア)。

 ヤギの家畜化(イラン)。

 セイヨウミツバチの家畜化(南ヨーロッパ)。


* 紀元前5000年頃

 モルモットの家畜化(ペルー)。

 ロバの家畜化(エジプト)。


* 紀元前4713年

 1月1日正午、ユリウス通日の元期(0日目)。当時は太陽の南中で日付が変わるため、正午を基準としている。


* 紀元前2832年

 米カルフォルニア州に生える「メトシェラ」が発芽したと推定される(1957年のサンプルで4789歳と推定)。既知の中で最も古い、現在も生きている非クローンの生物。


* 紀元前約2750年頃

 カイコの家畜化(中国南部)。


* 紀元前2500-2800年頃

 イラン南東部シャフレ・ソフテ、最も古い既知のサイコロ。バックギャモンのようなゲームと一緒に発掘される。


* 紀元前2500年頃

 エジプト・ギザの三大ピラミッドが建設される。


* 紀元前1141年

 ラムセス5世死去。天然痘に感染した痕跡が見られ、既知の中で最初期の感染者。


* 紀元前7世紀

 アッシュールバニパルの図書館、設立。


* 紀元前500年頃

 メソポタミア文明にてゼロを示す文字が使用され始める。ある位の値がゼロであることを示すのに使用された。


* 紀元前300年頃

 アリスタルコス、太陽中心説を唱える。月の大きさや太陽までの距離の計算も行った(ただし相当の誤差を含んでいた)。


* 紀元前364年

 確定できる最古の太陽黒点への言及。


* 約紀元前340年

 デルヴェニ・パピルス。ヨーロッパ最古の現存する文書。


* 紀元前305年

 アレクサンドリアの大灯台、工事開始。完成時の高さは約134メートル。


* 紀元前300年頃

 明示的に記述された最古のアルゴリズム(ユークリッドの互除法)。2つの自然数の最大公約数を求める。例えば1071と1029の最大公約数は21(21x51=1071, 21x49=1029)。


* 紀元前3世紀頃

 エラトステネス、地球の子午線弧を測る。


* 紀元前264年

 第一次ポエニ戦争(同241年まで)。おそらく史上最大の海戦。カルタゴ側の船は規格化された部品(同規格間で交換ができる部品)が使用されたと考えられている。規格化された部品のおそらく最初の使用例。


* 紀元前240年前

 明確な観測記録が残る、最古のハレー彗星の観測。


* 紀元前200年頃

 ヒッパルコス、恒星を等級で分類。

 ロゼッタ・ストーンが作られる。


* 紀元前100-150年

 アンティキティラ島の機械が製作される。


* 紀元前200年から紀元後800年

 ナスカの地上絵が書かれる。


* 142年

 火薬に関する最初期の言及。


* 185年

 12月7日、既知の最古の超新星爆発の記録。SN185。


* 3世紀頃

 最古のゼロの表記。


* 3世紀

 数学者ディオファントスによって数学書『算術』が書かれる。


* 300年頃

 キンギョの家畜化(中国)


* 565年

 ネッシーに関する最古の記録。ただし、ネス湖ではなく、記述も690年頃になってからで、当時を正確に記したものではない。


* 607年

 法隆寺、創建。後に消失し再建されるものの、世界で最古の木造建築物。


* 628年

 4月10日、日本で記録に残る最古の日食。

 4月15日、推古天皇、崩御。


* 643年

 ニホンミツバチの家畜化(日本)。


* 670年

 法隆寺の伽藍、消失(後に再建)。


* 712年

 カワウの家畜化(日本)。


* 775年

 木の年輪や南極の氷の分析から、この頃に放射性物質の割合が急上昇していることが発見された。当時の文献にも関連すると思われる記述が見つかっている。超新星爆発、太陽フレア、ガンマ線バースト、などの説があるが確定には至っていない。775年の宇宙線飛来


* 796年

 アレクサンドリアの大灯台、地震により半壊。


* 10世紀頃

 『竹取物語』


* 1008年

 『源氏物語』初出。


* 1054年

 SN 1054(かに超新星)、中国・日本・中東などで観測される。


* 1163年

 ノートルダム大聖堂、着工。


* 1173年

 ピサの斜塔、第1工期が始まる(1178年まで)。


* 1250年

 ノートルダム大聖堂、全面完成。


* 1272年

 ピサの斜塔、第2工期が始まる(1278年まで)。


* 14世紀

 火龍出水(中国)。既知の中で最も初期の多段式ロケット、最も初期の弾道ミサイル。長さ5ft程度、重さ10-20kg程度で龍の頭と尻尾を模した装飾がつけられた竹筒で、前後に4本配置された火薬によって飛翔し、この火薬が燃え尽きる直前に竹筒内の別の火薬に点火され、中から火矢が発射される。海戦で使用されたことからこの名がつけられた。ヨーロッパで多段式のロケットが使用されるのは16世紀になってからであり、この兵器は現代的なロケットや対艦ミサイルの祖先と言われている。


* 1360年

 ピサの斜塔、第3工期が始まる(1372年まで)。


* 1368年

 明と元の戦闘で地雷が使用される。600-Year-Old Mines Unearthed in Inner Mongolia


* 1376年

 イギリスにおいて、漁業資源などの観点から底引き網を禁止する嘆願が出される。


* 1450年頃

 ドイツ ズールフーゼン村にある教会、一部を取り壊して塔を建設。後に地下水の排水などにより土台が腐食、約5.2度まで傾斜しピサの斜塔よりも大きく傾く。ズールフーゼンの斜塔


* 1455年

 2月23日、グーテンベルク聖書の印刷が開始される。


* 1490年

 3月または4月、現在の中華人民共和国甘粛省慶陽市において「石が雨のように降った」という記録があり、死者は数万人に及ぶと推定されている。しぶんぎ座流星群との関連が指摘されている。


* 1492年

 10月12日、クリストファー・コロンブス、大西洋を横断しサン・サルバドル島へ到達(アメリカ大陸本土へは上陸せず)。


* 1498年

 ライフリングの発明。実用的に使われるのは1800年代まで待つ必要がある。


* 1540年頃

 この頃に日本へ火縄銃が伝来。部品としてネジが使用されており、日本でもネジが作られ始める(ただし銃以外の分野へ普及するのはかなり後)。


* 1557年

 Michele Tramezzino著『The Three Princes of Serendip』出版(邦題『セレンディップの三人の王子たち』)。serendipはセイロン島の古い呼び方で、現在のスリランカ。「セレンディピティ」の由来になった。


* 1582年

 10月4日(木曜日)、ユリウス暦最後の日。次の日はグレゴリオ暦で10月15日となる。

 10月15日(金曜日)、グレゴリオ暦最初の日。前の日はユリウス暦で10月4日だった。


* 1590年

 コンラッド・ハース、この頃にヨーロッパで初めて、多段式のロケットに関する実験を行ったと考えられている。彼は多段式ロケット以外にもデルタ翼やベル型ノズル、液体燃料等の実験も行ったとされている。


* 1605年

 11月15日(グレゴレオ歴) / 11月5日(ユリウス暦)、火薬陰謀事件。イングランドで発覚した政府転覆未遂事件。首謀者はロバート・ケイツビー。実行責任者のガイ・フォークス(Guy Fawkes)は「男、奴」を意味する「ガイ(guy)」の由来となった。


* 1608年

 望遠鏡の特許申請が行われる。同時に複数申請されたため特許はおりなかった。

 ヨハネス・ケプラー、『夢』執筆(出版は1634年)。サイエンスフィクション作品として最初期のもの。


* 1609年

 ケプラー、第1法則(楕円軌道) / 第2法則(面積速度一定)を発表。

 7月26日、トーマス・ハリオット、望遠鏡を使用して月を観察する。

 11月30日、ガリレオ・ガリレイ、望遠鏡を使用して月を観察する。


* 1610年

 1月7日、ガリレオ、木星の衛星を初観測。

 1月8日(ユリウス暦1609年12月29日)、シモン・マリウス、木星の衛星を観測。4つの衛星を指す「ガリレオ衛星」は最初に観測したガリレオの名が冠されているが、それぞれの衛星の名前(内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)はマリウスが与えた。マリウスはガリレオよりも早く観測したと主張しているが、グレゴリオ暦とユリウス暦の差によるもので、ガリレオのほうが早かったと考えられている。

 12月、トーマス・ハリオット、太陽黒点を観察。


* 1611年

 2月27日、ヨハネス・ファブリキウス、父親と共同で望遠鏡を使用した太陽黒点の観察。カメラ・オブスクラを使用して黒点の移動速度と再出現を観測し、太陽が自転している証拠を得た。


* 1612年

 12月28日、ガリレオ・ガリレイ、海王星を観測(翌年1月27日にも)。ただし彼は暗い海王星を恒星と誤って認識してしまい、惑星として実際に海王星が発見されるのは1846年まで待つことになる。


* 1615年

 ヴィレブロルト・スネル、三角測量を使用した初の大規模な測地を行う。緯度1度を107.37kmと測定した(-3.5%の誤差)。


* 1617年

 フランス Hautes-Mynes du Thillot(fr)にて、ヨーロッパで火薬を使用した初めての発破。


* 1619年

 ケプラー、第3法則(公転周期の二乗と軌道長半径の三乗が比例)を発表。


* 1620年

 コルネリウス・ドレベル、潜水艇を開発。史上初の潜航可能な船。


* 1627年

 スロヴァキア バンスカー・シュチャヴニツァ鉱山にて火薬を使用した発破。以前はこれがヨーロッパで最初の発破と考えられていた。

 ヨハネス・ケプラー『ルドルフ表』を出版。惑星の位置推定を行うための各種の表などからなり、従来の手法に比べて30倍の精度を持ち、地動説の優位性を決定的なものにした。


* 1632年

 ガリレオ、地動説を完成させる。


* 1638年

 フランシス・ゴッドウィン『月の男』(The Man in the Moone)、出版。1620年代後半に書かれたと考えられており、サイエンスフィクションの作品として最初期のもの。


* 1645年

 マウンダー極小期、始まる。


* 1649年

 『ル・グラン・シリュス』(en)、発行開始。約200万ワードと、最も長い小説の一つ(数え方による)。


* 1654年

 5月8日、オットー・フォン・ゲーリケ、マクデブルクの半球(de)の公開実験を行う。名前はゲーリケがマクデブルクの市長であったことから。


* 1655年

 クリスティアーン・ホイヘンス、土星が環に囲まれていると主張。


* 1656年

 シラノ・ド・ベルジュラック『月世界旅行記』が没後に出版される。多段式のロケット(火薬を使った矢)を用いて月へ向かう。


* 1665年

 ロバート・フック、大きな凹レンズと2本のろうそくでシュリーレン現象を観察(フックの法則で有名なフックさん)。

 1月12日、ピエール・ド・フェルマー、死去。


* 1666年

 アイザック・ニュートン、万有引力の法則を考案。


* 1668年

 アイザック・ニュートン、凹面鏡と斜鏡を使用するニュートン式望遠鏡を作成。

 フランチェスコ・レディ、『昆虫の世代についての実験(Esperienze Intorno alla Generazione degl'Insetti)』を出版。複数の瓶に魚の死骸などを入れ、条件を変えて蛆や蝿がわくかを観察した。この実験は対照実験であり、実証科学の端緒となる。


* 1670年

 ピエール・ド・フェルマー没後、息子のサミュエルによって、フェルマーの最終定理を含む書き込みが入れられた『算術』が刊行される。「最終定理」の名前は、いくつか書き込まれた数式のうち、最後に残った(最後に証明された)ものだったためで、書き込みの出版当時からこの名前だったわけではない。


* 1675年

 ジョヴァンニ・カッシーニ、土星の環は複数の環と隙間で構成されていることを明らかにする。

 8月10日、グリニッジ天文台、建設開始。


* 1676年

 オーレ・レーマーの木星衛星の観測により、光速が有限であることが示され、その具体的な値が初めて与えられた。


* 1686年

 エドワード・ロイド、ロンドンに「ロイズ・コーヒー・ハウス」を開店。当時は船乗りに対する情報提供が行われており、やがて船乗り相手の保険の商談が行われるようになった。


* 1687年

 経度の計測の手法として、武器軟膏(共感の粉)の使用が提案される。武器軟膏は、戦いなどで負傷した際に、その傷をつけた武器に対して使用する薬で、当時は一定程度有効な治療方法であった。現代からすれば一見非科学的なこの治療方法は、当時の非衛生的な(場合によっては有害な薬等を用いた)治療を行わず、結果的には自然治癒に任せて患部を汚染しなかったことにより、「治療」を行うよりも高い救命率が得られたと考えられる。この治療は距離が離れていても有効で、例えば負傷させた動物を船に乗せておき、ある決まった時刻にこの治療を行うと、それに合わせて船上の動物が吠えるため、船上でも正確な時刻を知ることができ、経度の計測が行えると考えられた。


* 1690年

 12月、この頃にジョヴァンニ・カッシーニが描いた木星のスケッチに特異な模様が記録される。木星への小天体の衝突痕と推定される。


* 18世紀初頭

 パウンドケーキのレシピが登場。名前の由来は4種類の材料を1ポンドずつ使用することから。フランス語では「四分の四」を意味するカトルカール(quatre-quarts)と呼ばれる。

 ロングライフル(Long rifle)、ペンシルベニア州南東部で開発される。/* ロングライフルは固有名詞 */ ライフリングを使用した初期の銃。スムーズボアの銃と比べて装填に時間がかかるが、射程距離が長く、狩りで使われるなどした。


* 1701年

 オーレ・レーマー、レーマー温度目盛(°Rø)を提案。従来の気温等を基準とした目盛りと異なり、塩水の凝固点と水の沸点を使用した、絶対的な温度目盛。内部の液体にはワインが使用された。水の場合は0℃付近で熱膨張率の反転や凝固が起こるが、アルコール水溶液を使用するとその問題を回避できるため。


* 1709年

 ウィリアム・デラム牧師、音速を測定、毎秒1072パリフィート(348.2m/s)という結果を得る。聖ローレンス教会の塔の上から望遠鏡で遠くの散弾銃の発砲を観察し、煙が見えてから音が聞こえるまでの時間を振り子によって測定した。発砲は聖マグダラのマリア教会など他のランドマークから行われ、それらの距離は三角測量で求めた。例えばこのふたつの教会の距離はおよそ3.25kmほど離れているが、これは当時の時間測定に関する制限によるもので、現代的なストップウォッチを使用すればもっと短距離(静かな音源)で同様の実験を行うことができる。


* 1713年

 ガブリエル・ファーレンハイト、この頃に水銀温度計の実験を始める。温度の単位「ファーレンハイト度」の由来となった人物。


* 1714年

 ガブリエル・ファーレンハイト、アルコール温度計を作る。


* 1715年

 マウンダー極小期、終わる。


* 1716年

 2月12日、クロード・リットル(1716 - 1778年)が生まれたとされる日。体積の単位「リットル」の由来となった人物とされる。この人物は1978年4月1日に「創作」された。リットルの単位はl(小文字のエル)だが、数字の1と紛らわしいためにL(大文字のエル)の使用が認められている。一方で、国際単位系では人名に由来する単位を大文字とし、それ以外を小文字で表記するとしている。そのため、人名に由来しないにもかかわらず大文字を使用していることと調合を取るために、1978年のエイプリルフールに創作された。


* 1722年

 4月5日、オランダ海軍提督ヤーコプ・ロッヘフェーン、復活祭(イースター)の夜に島を見つける。イースター島と命名。


* 1726年

 ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』の初版が出版される(完全版は1735年)。作中、経度測定が永久機関や万能薬などと同列に語られる。


* 1731年

 ベンジャミン・フランクリン、フィラデルフィア図書館会社を設立。植民地時代の当時、本を入手するにはロンドンから購入する必要があり、高価で時間がかかった。当時学術書はラテン語で記述されたものが多かったが、この図書館では英語の本を貸し出していた。設立時に資金を出した50人を除いて、会員は定期的に会費を支払う必要があり、会員になるためには役員の承認が必要だった。非会員でも本を借りることができたが、本の代金を預ける必要があった(本を返却した際に代金も返却される)。


* 1735年

 フランス科学アカデミーによる測地遠征、エクアドル調査隊がフランスを出発。地球の形状を調べるのが目的。みかんのように軸方向に潰れた形状なのか、レモンのように軸方向に伸びた形状なのか、大きな論争となっていた。最初の近代的な地学調査のひとつ。最初の主要な国際的な科学遠征。/* エクアドルは赤道直下に位置し、当時世界最高峰と考えられていた山もエクアドルにある */


* 1742年

 アンデルス・セルシウス、水の沸点を0度、氷点を100度とする温度計を提唱。10年ほど後に別の人物によって氷点を0度、沸点を100度に反転された。温度の単位「セルシウス度」の由来となった人物。


* 1745年

 1月28日、イギリスの政治家ホレス・ウォルポール、友人にあてた手紙でセレンディピティという造語を記述。

 10月11日、エヴァルト・ゲオルク・フォン・クライスト(独)、ライデン瓶を発明。同時期にオランダの科学者も独立に発見し、オランダの地名からライデン瓶と命名(雷電瓶ではない)。後に英国海軍等が使用していた電気容量の単位(jar; 瓶)の由来。/* 1jarはおよそ1.1nF。電子工作で使われるパスコンの100分の1程度の容量。件の送信機は、送信周波数の調整にライデン瓶の本数を使用を変えていたから、瓶n本みたいな数え方が転じてjarという単位になった? */


* 1749年

 ベンジャミン・フランクリン、ライデン瓶の実験に関する手紙で、複数の瓶を組み合わせたものを「バッテリー」と表現。由来は複数の大砲を並べた砲台から。/* 野球用語のバッテリーも、同様に大砲から由来 */


* 1752年

 6月、ベンジャミン・フランクリン、凧の実験を行う。絶縁の工夫が功を奏し、彼は雷で死なずに済んだ。

 7月31日、シェーンブルン動物園、開園。現存する中で最も古い動物園。


* 1760年

 ジョン・ハリソン、携帯型クロノメータH4を完成させる。61日間で45秒の誤差。海上でも正しい時刻を知ることができるようになり、この頃から航海中の経度の測定が容易になってゆく。


* 1765年

 ジェームズ・ワット、改良型の蒸気機関の模型を作成。同じ頃に、時間あたりの仕事量の単位「馬力」を定める。仕事量の単位「ワット」の由来となった人物。


* 1770年

 ニコラ=ジョゼフ・キュニョー、世界初の自動車を開発。世界初の自動車事故のエピソードも。大砲を輸送するために計画されたが、軍の要求に答えることができず、支援者を失ったことで兵器庫に放置されていた。30年後に発見された際に修道院へ移され、その修道院は現在はパリ工芸博物館として残っており、この自動車も現物が保存されている。


* 1773年

 12月16日、ボストン茶会事件


* 1774年

 ジョン・ウィルキンソン(John "Iron-Mad" Wilkinson)、大砲の砲身を高精度に切削する特許を取得。暴発しずらくなり、弾道の精度も向上した。後に独占を嫌う海軍により特許を破棄される。この技術は蒸気機関の発展(高精度なシリンダーの製造)にも貢献した。


* 1775年

 世界で初めて実戦で使われた潜水艇、タートルが発明される。


* 1776年

 ジェームズ・ワット、予算や技術の困難を克服し、業務用に実働する最初の動力機関を組み上げる。

 7月4日、アメリカ独立宣言、大陸会議によって採択。


* 1781年

 ウィリアム・ハーシェル、天王星を発見。

 ヘンリー・キャヴェンディッシュオームの法則を発見する(没後の1879年に出版され、出版前にオームが独自に発見・発表済み)。


* 1783年

 11月21日、モンゴルフィエ兄弟、係留されていない熱気球での初めての有人飛行。気球の大きさは3000立方メートルほど。

 12月1日、ジャック・シャルル、330立方メートルの水素気球によって有人飛行。2人が飛行し、着陸後に続けて1人で飛行を行い、急上昇して高度3km程度まで到達。1人での離陸は日没後であったが、再び太陽を見ることができ、耳の痛みを感じたためガスを放出して着陸。飛行の際にはジョセフ・モンゴルフィエやベンジャミン・フランクリンも見学していた。


* 1787年

 ピエール=シモン・ラプラス、土星の環が立体的であると提唱(ラプラスの悪魔で有名なラプラスさん)。

 スウェーデン陸軍将校カール・アクセル・アレニウス中尉(当時)、将来的に要塞を建築する場所を探すことを目的としてストックホルム近郊のイッテルビー村を探索。彼の化学への興味によって現地の鉱山から正体不明の鉱物を持ち帰る。その石からは新元素が8つ見つかり、そのうちの4つがイッテルビー村に由来する名前(イットリウム、エルビウム、テルビウム、イッテルビウム)を持つ。残りの4つはスカンジウム、ホルミウム、ツリウム、ガドリニウム。

 9月17日、アメリカ合衆国憲法が作成される(翌年に発効)。


* 1789年

 7月14日、バスティーユ襲撃。


* 1791年

 quizという単語が作られる。

 フランスにおいて、地球の大きさを基準に「メートル」が定義される。

 12月、アメリカ合衆国憲法 権利章典が発効。修正第1条に信教・言論・出版・集会の自由や請願権、修正第2条に人民の武装権、などからなる10条。


* 1792年

 10月13日、アメリカ大統領府、礎石が置かれ着工。


* 1793年

 フランス、メートル法で初となる質量の単位「Grave(gv)」を導入(1795年にキログラムへ名称変更)。名称の由来はGravity(重力)から。

 11月24日(グレゴリオ暦)、フランス革命暦が採用される。1年を365日とし、1年が12ヶ月、1ヶ月が30日、あまりの5日を年末の休日(政府が指定した年は閏年として休日が1日追加)、1週が10日、1日が10時間、1時間が100分、1分が100秒、というように、特に時分秒を10進数で表記できるようにした(物理的に決定できる1年と1日以外のすべての絶対量が変更される)。10進数による利便性よりも生活習慣の変化による不評が大きく、短期間で廃止された。/* うるう年が計算的に決定できないため、運用された時期以外の日時をグレゴリオ暦のような他の暦に変換することはできない */


* 1794年

 フランス革命戦争において気球が偵察に利用され、直接的な空の軍事利用が始まった。


* 1800年

 アレッサンドロ・ボルタ、ボルタ電池を発明。連続的に電気を供給できる初めての電源(当時、電源としてはライデン瓶しか知られておらず、連続した電源としては使用できなかった)。電圧の単位「ボルト」の由来となった人物。

 ウィリアム・ハーシェル、太陽光をプリズムで分光し、赤色よりも外側にも放射があることを発見したと発表。可視光以外のスペクトルの発見。

 4月19日、伊能忠敬、第一次測量(蝦夷地)へ出発。

 7月24日(31日まで)、ロバート・フルトン、セーヌ川にて潜水艦ノーチラスのテストを行う。最初の実用的な潜水艦。初期はシュノーケルによって、後に圧縮空気と水酸化ナトリウム(CO2の除去用)によって、長時間の潜航を行うことができた。この潜水艇の実験中に、水中でも方位磁石が使用可能であることが発見される。海軍に売り込もうとするも、軍は興味を示さなかった。


* 1801年

 ヨハン・ヴィルヘルム・リッター、赤色の外側のスペクトル(赤外線)が物体を加熱することを知り、反対側のスペクトルで物体を冷やす光線を探す。望んでいた結果は得られなかったが、より強い化学反応を引き起こす光線を発見した。


* 1802年

 ウイリアム・ウォラストンが太陽光のスペクトルに暗線を報告。1814年にヨゼフ・フォン・フラウンホーファーが別に発見し研究を行い、フラウンホーファー線として知られる。

 ボウディッチの航海書(Bowditch's American Practical Navigator)が発行される。海洋学と気象学に関するハンドブック。「私が教えることができない事は書かない」という指針の元に書かれ、彼が同乗した航海では料理人を含む12人全員が天測によって船の位置を把握できるようになったと言われている。度々改定が行われているが、2017年以降は電子版でのみ配布が行われている。


* 1805年

 12月31日(グレゴリオ暦)、フランス革命暦が廃止される。


* 1810年

 缶詰の発明。

 数学者ウィリアム・ムーア、ツィオルコフスキーの公式を導出。1903年にツィオルコフスキーが独立に導出したものが広まったため、ツィオルコフスキーの公式として知られる。


* 1814年

 8月、アメリカ大統領官邸、イギリス軍の焼き討ちにより全焼。


* 1816年

 スコットランドの牧師ロバート・スターリングスターリングエンジンを発明。温度差から回転運動を、あるいは回転運動から温度差を作る。


* 1818年

 1月、マーク・イザムバード・ブルネル、シールド工法の特許を取得。


* 1820年

 ゴールズワージー・ガーニー、ライムライトを発明。酸素と水素の燃焼ガスを生石灰に吹き付けることで加熱し強い白色のスペクトルを得ることができる(ライム(lime)は石灰の意味)。舞台照明(スポットライトのような用途)として使用され、「名声を得る」という意味を持つようにもなった。


* 1821年

 トーマス・ゼーベックゼーベック効果を発見。金属棒の温度勾配により電圧が発生する。2種類の金属をループさせて温度差を与えると電流が発生する。逆の動作はペルティエ効果。


* 1822年

 ロゼッタ・ストーン、解読される。


* 1826年

 ゲオルク・オームによってオームの法則が再発見・公表される(キャヴェンディッシュがより早く発見しているが、当時未発表)。電気抵抗の単位「オーム」の由来となった人物。

 ヨハン・クリスチャン・ポッゲンドルフ(en)、ミラー検流計を開発。


* 1827年

 世界初の写真。強い光による瀝青(アスファルト)の硬化を利用しており、明るい太陽光のもとで8時間の露光が必要だった。

 オネシフォール・ペックール、ディファレンシャルギアを発明。


* 1828年

 シーボルト事件。当時日本国外への持ち出しが禁止されていた日本地図をはじめとして、様々な禁制品が持ち出されようとしていたことが発覚した事件。


* 1829年

 ジェームズ・スミソン、死去。生涯1度もアメリカを訪問したことがないにもかかわらず、後に彼の意思によって遺産がアメリカ合衆国に寄付され、スミソニアン協会が設立される。

 ロバート・ウォチョップ(Robert Wauchope)、イギリス海軍アカデミーが置かれていたポーツマスにタイムボールを設置。天文台の近くに設置された中空の金属球を、ある決まった時刻に落下させる(その時刻の少し前からゆっくりと上昇させてある)。航海中の経度測定には正確な時刻が不可欠であったが、天文台で観測した時刻をどのように船舶へ伝送するかの問題が発生していた。彼が亡くなった時には、人が住むすべての大陸にタイムボールが設置されていた。後の時代には無線による時刻配信が行われ、時代が進むにつれて測位システムが発展し、人間の目視の精度でしか時刻を提供できないタイムボールは役目を終えてほとんどが廃止されているが、一部はグリニッジ天文台など世界各地に残されている。ニューヨーク タイムズスクウェアでの年末年始のように、臨時で設置されるものもある。

 オネシフォール・ペックール、自動車に関する特許を取得。2つの後輪をデフギアを介して蒸気機関で駆動し、平行な2つの前輪をステアリングに使用する。


* 1830年

 アメリカ海軍天文台(USNO)のルーツとなる組織の設立。アメリカで最も古い科学機関の一つ。当初は海図や計器の管理を行う倉庫として運用されていた。様々な研究開発を行い、火星の衛星の発見などを経て、現在ではVLBI等も行っている。


* 1831年

 導火線(Safety fuse)の特許が申請される。糸に火薬を付着させてタールで防水したもの。1フィートあたりおよそ30秒の速度で安定して燃焼する。それまで使用されていた方法では想定よりも早く燃焼したり、遅かったり、止まったり、不安定な発破になり、特に遅かった場合は途中で停止したと判断して作業員が戻ったところで爆発するなど、安全性に問題があった。


* 1833年

 サミュエル・ハンター・クリスティ、ホイートストンブリッジ回路を考案。未知の1つを含む4つの抵抗でブリッジ回路を構成し、未知の抵抗値を高精度に測定できる回路。1843年にチャールズ・ホイートストンが改良し普及することによってホイートストンブリッジ回路と呼ばれるようになった。

 10月4日、書籍収集家リチャード・ヒーバー、死去。彼曰く「紳士たる者、書籍は3部所持するものだ。1部を見せ、1部を使い、1部は貸し出すのである」。15万冊近い蔵書を所蔵していたとされる。


* 1834年

 ジャン=シャルル・ペルティエによってペルティエ効果が観察される。異なる金属を接合して電流を流すと熱の吸収・放出が起こる。逆の動作はゼーベック効果。

 トーマス・ダベンポート、アメリカで最初のDCモーターを製造。路面電車の電動化へ応用。


* 1835年

 ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ、コリオリの力を導く(コリオリの名前が使われるのは20世紀に入ってから)。

 ロバート・アンダーソン、この頃に電気自動車を発明。1次電池を使用していた。


* 1836年

 2月25日、サミュエル・コルト、リボルバー拳銃の特許を取得。


* 1837年

 フランスにおいて、メートル法の普及促進のため、1840年以降はメートル法以外の使用を禁止する法律が出される。


* 1838年

 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル、恒星の視差を初めて観測。


* 1840年代

 カロリック説の否定。熱の正体を「カロリック(caloric、熱素)」とし、これの出入りによって温度変化が起こる、という説。熱素は斥力を持ち、熱素が増えて温度が上がると斥力によって物体は膨張し、ある量を超えると斥力が上回って液体となり、さらに増えると物質の引力で支えられなくなり気体になる、というような解釈が行われていた。1840年代になって熱エネルギーと運動エネルギーの変換などが行われ、熱素のみで説明される「熱量保存則」で説明できない「エネルギー保存則」が生まれることで、カロリック説は支持を失った。


* 1840年

 オックスフォード電鈴(Oxford Electric Bell)、動き始める。

 11月、イギリス グレート・ウェスタン鉄道、駅で使用する時刻をグリニッジ標準時へ統一。それ以前はそれぞれの駅において太陽が南中した時刻を正午とし、それを基準に時計を設定していた。これにより、隣の駅との間でも数分のズレが発生し、車両に設置された時計は駅を通過するごとに時刻の修正が行われていた。イギリスの鉄道会社は40年代のうちにほとんどの駅でグリニッジ標準時を採用し、それ故に時間の標準化を「鉄道時間」と呼ぶようになった。イギリスの歴史的な建造物に残されている時計では、いまだに現地時とグリニッジ時間の2本の分針を持つ時計もある。


* 1841年

 ジョセフ・ホイットワース、ネジの標準規格を制定、英国標準規格へ採用される。世界初のネジの国家規格(当時、ネジの規格は個人単位や工場単位で行われていた)。提案者の名前からウィットねじと呼ばれている。後に若干の変更が加えられて多国間で統一(unified)され、現在のインチネジの規格であるユニファイねじとなる。現在の日本でインチネジを採用する例は多くないが、三脚や傘の石突でインチネジが使用されているため、おそらくほとんどの人はこのネジの規格を手にしたことがあるはず。


* 1842年

 エイダ・ラブレス、人為的な原因によるプログラムの誤った実行に関する示唆。


* 1843年

 ウイリアム・ローワン・ハミルトン、ブルーム橋にて四元数のひらめきを得る。


* 1846年

 ヨハン・ゴットフリート・ガレ、海王星を発見。

 アスカニオ・ソブレロニトログリセリンの合成に成功。


* 1847年

 5月、セルメンヴェイス・イグナーツ、死亡率の高かった産科で消毒を導入し、死亡率を大幅に低下させる。


* 1848年

 エドゥアール・ロシュ、ロシュ限界を数学的に計算。

 ウィリアム・トムソン(初代ケルヴィン男爵)、絶対温度目盛を導入。絶対温度の単位「ケルビン」の由来。


* 1849年

 アルマン・フィゾー、天体現象を利用しない光速の測定を行う。

 クロード=エティエンヌ・ミニエー、ミニエー銃を開発(ミニエー弾は1846年に)。それまでのライフルは発射による摩耗や火薬の腐食によって銃身の径が広がるため、威力の変化や定期的な研磨が必要で、連射能力も低かった。


* 1850年代

 ジョン・ヘンリー・プラットジョージ・ビドル・エアリーによってアイソスタシーが提唱される(アイソスタシーの名称は1889年にクラレンス・エドワード・ダットンによって)。


* 1851年

 彫刻家フレデリック・スコット・アーチャー、写真湿板を発明。

 レオン・フーコー、振り子によって地球の自転を実験的に証明。

 ウィリアム・トムソン、トムソン効果を予測、後に発見される。温度差のある導体上の2点間に電流を流すと熱の吸収や放出が起こる。ジュール=トムソン効果とは異なる。


* 1852年

 ウィリアム・トムソン、後にジュール=トムソン効果と呼ばれる現象を発見する。ジェームズ・ジュールと共同研究を行い、発表される。気体を多孔質壁を通じて膨張させた際に温度変化が起こる。トムソン効果とは異なる。

 10月23日、フランシス・ガスリー、地図を塗り分ける際に隣り合う領域が異なる色になるためには何色が必要になるのか(いわゆる四色問題)を提起。


* 1853年

 北大西洋 イギリス・アメリカ間の海底が海底電信台地(en)と命名される。水深の調査や海底から採取したコアによって、電信ケーブルを敷設するのに適した海底と判断されたため、電信を通したいという願望のもとに命名された。大西洋中央海嶺は見過ごされていた。近年はこの名称は使用されていない。

 8月、アメリカの鉄道において、異なる時計を使用したことで1つの路線に対向する車両が侵入して衝突事故が発生し、14人が死亡。時刻の標準化のきっかけの1つとなる。


* 1856年

 3月、インド測量局長官 アンドリュー・スコット・ウォー、当時ピーク15(Peak XV)と呼ばれていた山の標高を三角測量で測定、海抜8840mと算定し世界最高峰という結果を得る。山が位置するネパールとチベットには入国できず、現地の呼称がわからなかったため、前長官の名前にちなんでエベレストと命名(存命中だったエベレスト自身は、山の命名は現地の呼称を使用するべきと考えており、人名に由来するこの命名には反対していた)。


* 1858年

 缶切りの発明。

 ウィリアム・トムソン、ミラー検流計(Mirror galvanometer)を改良し特許を取得。検流計の針に光を使用することで質量のない非常に長い針を実現し、極めて高い感度を持つ。大西洋横断電信ケーブルのような微弱な信号を読み取るのに使用された。/* レーザーショーで使うような機材とか、最近のレーザー加工機で特に速度重視なものとか、高速にビームを振り回すような用途で使われているガルバノミラー(ガルバノスキャナ)と同様の物 */

 8月10日、大西洋横断電信ケーブル。カナダ ニューファンドランドからアイルランド ヴァレンティア島までを横断。通信の品質は非常に悪く、メッセージを送って確認を終えるまでに16時間を要した。いくつかの要因によってケーブルが急速に劣化し、翌月には完全に通信が停止した。

 10月23日、ナダール(本名 ガスパール=フェリックス・トゥールナション)、パリ西部近郊において、気球を用いて世界初の空中撮影を行う。

 11月17日正子(ユリウス通日2400000.5日)、修正ユリウス日(MJD)の元期。


* 1859年

 ジェームズ・クラーク・マクスウェル、土星の環が立体的な場合は不安定で壊れしまうということを示す。小さな粒子から構成され、それが公転していると提唱。/* 電磁気学にも名を残しているマクスウェルさん */

 8月28日から9月2日、太陽表面上に多数の黒点やフレアが観測される。1859年の太陽嵐。観測したリチャード・キャリントンの名前から「キャリントン・イベント(Carrington Event)」とも呼ばれる。

 9月1日から2日にかけて、地上の磁力計で記録された最大の地磁気嵐が発生。ハワイやカリブ海沿岸のような地域でもオーロラが観測される。夜中12時から1時の間に最大の明るさとなり、ロッキー山脈ではあまりの明るさのに朝食の準備を始めた人もいた。

 11月24日、チャールズ・ダーウィン、「種の起源」を出版。


* 1860年

 ジャン=ジョゼフ・エティエンヌ・ルノアール、最初の内燃機関の特許を取得。蒸気エンジンを改造したもので、静かではあったが非効率であった。ガス燈の普及と同時期であったためにこのガスエンジンも普及する下地が整い始めていた。


* 1861年

 4月12日、南北戦争、開戦。


* 1862年

 ヨークタウンの戦いにおいてガブリエル・J・レインズ(en)、初めて近代的な地雷を使用する。砲弾を使用したブービートラップに近いもの。


* 1863年

 当時13歳のジャック・ダニエル、牧師から蒸溜所を譲り受ける。

 ジュール・ヴェルヌ『二十世紀のパリ』執筆(発行は1994年になってから)。ディストピアを描いた作品。巨大な計算機によって差配された世界やガスで走る馬無し馬車が描かれている。1991年に偶然に発見される以前はタイトルしか知られておらず、幻の作品と呼ばれていた。


* 1864年

 ビバリー時計(Beverly Clock)、設置される。清掃や故障の際などを除き、1度も巻き上げられずに動き続けている時計。

 2月17日、H・L・ハンリー潜水艇、USSフーサトニックへ攻撃を行う。潜水艇が初めて攻撃を成功させた。


* 1865年

 イギリスにて自動車(当時は蒸気機関によって走る車両)に対して適用される、通称「赤旗法」が定められた。正式名称はLocomotive Actで、1860年頃から1900年頃にかけて定められたいくつかの法律がある。この内、1865年に定められた法律は最も厳しく、運転手の人数の規定(最低3人)、制限速度は4mph(市街地は2mph)、車両の少なくとも60ヤード先に赤い旗を持った人員を歩かせ、車両の警告を行い、馬車が通行する際は車を停止させる役割を持っている(赤い旗を持つことから、赤旗法/Red Flag Actと呼ばれる)。車両の登録や制限速度、橋での重量制限など、車両の通行に関する法律として先駆的であった一方で、この規制によってイギリスの自動車産業の発展が妨げられたという見方もある。

 ジェームズ・クラーク・マクスウェル、電磁気力に関する法則を数学的形式として整理。マクスウェルの方程式。

 5月9日、南北戦争、終戦。

 5月17日、万国電信連合(現在は国際電気通信連合)、活動開始。世界最古の国際機関。

 6月22日、南北戦争において最後の砲弾が発射された。

 11月26日、ルイス・キャロル(本名 チャールズ・ラトウィッジ・ドドソン)『不思議の国のアリス』刊行。知人の少女に即興で聞かせた物語が元になっている。


* 1866年

 アルフレッド・ノーベル、ニトログリセリンを安全化したダイナマイトを作る。

 ジャックダニエル、米国においては初の政府公認の蒸溜所となる。

 7月、3本目の大西洋横断電信ケーブルが敷設される。58年のケーブルより品質が向上し、1分間に8ワード(58年の80倍の速度)で通信できるようになった。/* 敷設中にケーブルが切れて張り直したので、3本目が先に開通 */

 9月、切断された2本目の大西洋横断電信ケーブルを見つけることに成功し、修理、開通した。7月のケーブルと合わせて2本が使えるようになった。


* 1867年

 ウイリアム・トムソン、サイフォンレコーダ(en)を考案。検流計のコイルでガラス管のサイフォンを駆動することで、電流の有無を紙テープに記録し続ける。それまで、大西洋横断電信ケーブルを受信する際は、一人がミラー検流計を読み取り、もうひとりが書き留める、という2人が必要だった。サイフォンレコーダを使用すると受信した内容は紙テープに記録されるため、人間が監視していなくても受信することができるようになった。/* 後のペンレコーダのようなものだが、サイフォンの原理で線を書くので、摩擦が小さく微弱な信号を(能動的な増幅無しに)記録できる */


* 1868年 (明治元年(10月23日から))

 タバスコソースの製造開始。名前はメキシコ・タバスコ州のトウガラシに由来する。


* 1869年 (明治2年)

 アマチュア考古学者マルセリーノ・サンス・デ・サウトゥオラ侯爵、猟師から壁画の話を聞くものの、当時は興味を示さなかった。

 11月17日、スエズ運河が開通。ヨーロッパとアジアを結ぶ航路を、アフリカ大陸を回らずに直行できるようになり、例えばイギリス-日本間では25%程度の距離短縮効果が得られるようになる。


* 1870年 (明治3年)

 パンの中に小豆を煮て練った餡を入れた「あんパン」が考案される。


* 1871年

 医師リチャード・リーチ・マドックス、写真乾板を発明。


* 1872年 (明治5年)

 12月2日、天保暦 明治5年最後の日。翌日からグレゴリオ暦 明治6年1月1日が始まる。


* 1873年 (明治6年)

 1月1日、日本、グレゴリオ暦へ改暦される(1月1日は天保暦で明治5年12月3日に相当)。


* 1874年

 6月1日、イギリス東インド会社、解散。

 6月17日、エミール・ボドー(Émile Baudot)、最初の印刷電信の特許を取得。シンボルレートの単位「ボー」の由来となった人物。ピアノスタイルの端末を使用し、左手2本、右手3本の指で鍵盤を操作し、アルファベットや数字などを伝送できる。


* 1876年

 3月3日、アレクサンダー・グラハム・ベルの特許が米国特許商標庁に認可される。デシベル(dB)でおなじみの単位「ベル」の由来となった人物。(デシベルの「デシ」はSI接頭辞)。


* 1877年

 ルイス・ブレナン、ブレナン魚雷を開発。世界初の実用的な誘導魚雷。2本の高張力鋼線(初期型は1.0mm、後に1.8mm)を使用し、魚雷に内蔵されたドラムから繰り出される速度差によって舵が動作する。ドラムの回転は二重反転スクリューの駆動にも使用されるため、魚雷本体に蒸気機関などのエンジンを乗せる必要はなかった。岸壁に併設された蒸気機関によってワイヤを巻き取って魚雷を推進させ、巻き取る力の差で方向を制御する。

 アメリカ海軍天文台のアサフ・ホール、2つの火星の衛星を発見。


* 1878年

 トーマス・エジソン、手紙の中で機械の不具合を「バグ(Bugs)」と表現。

 サミュエル・ラングレーボロメータを発明。外部からのエネルギー供給による温度変化を電気信号として検出できる。数年間の改良を経て、10万分の1℃の温度差を検出できるようになり、1/4マイル(400m)離れた牛の体温を検出できるまでになった。エネルギーを直接検出するために様々な波長を検出できるが、大抵はその波長に特化した特性の良いセンサが存在する(ただし一部の波長ではボロメータが最も良い選択肢となる)。素粒子物理学から天文学まで様々な研究分野で使用され、近年ではMEMSで2次元的に複数を配置したマイクロボロメータが熱分布を撮影する素子として使用されている。

 3月25日、中央電信局、開局。式典では電池を使用してアーク灯を点灯させ、日本で始めて点灯した電灯となった。


* 1879年

 ウィリアム・トムソン、原子時計を提案。

 アルタミラ洞窟の壁画、アマチュア考古学者マルセリーノ・サンス・デ・サウトゥオラ侯爵の娘によって偶然に発見される。

 ウィリアム・ジェームズ・ビール、20本の瓶に21種類50個の種子と砂の混合物を入れ、地面に埋める。当初は5年毎に、後に10年ごと、現在は20年毎に発掘され、種子が発芽するかどうかの確認が行われている。2000年に発掘されたボトルからは2種類が発芽し、最新は2021年に発掘が行われた。ボトルの本数が少ないことから、2100年に終了する予定。

 10月19日、トーマス・エジソン、実用的な炭素電球を開発。


* 1880年

 イギリス、グリニッジ標準時を使用することを法制化。

 ジョージ・イーストマン、写真乾板の商業生産を始める。

 エドワード・ウィンパー、エクアドル チンボラソの山頂に到着。エクアドル最高峰。数十年前まではこの山が世界最高峰と考えられていた。この山はほぼ赤道に位置し、地球は扁球であることから、地球の中心からの距離はエベレストを数km上回って、この山が地球の中心から一番遠い場所にある。そのため「月に一番近い場所」「太陽に一番近い場所」などとも言われる。

 ピエール・キュリー、兄ジャックと共に圧電効果(水晶などに圧力をかけると電圧が発生する)を発見・公表した。翌年には逆の現象(圧力による結晶の変形)も発見。これらの効果を応用した水晶振動子は現代のほぼすべての電子機器に内蔵されている。/* ピエール・キュリーの妻はマリー・キュリー */

 明治紀念之標(石川県金沢市 兼六園)、建立。この銅像には鳥が寄り付かないという伝説がある。当時の製法によって大量の砒素と鉛が含まれていることが原因。


* 1881年

 エミール・ワールブルク、消磁冷凍の原理を発見。金属が磁場(磁束)に侵入すると温度が上がり、磁場から出ると温度が下がる。磁場の中で排熱を行うと、磁場から出たときには元よりも低い温度になる。単発(ワンショット)で使用したり、繰り返し移動させて連続的に低温を維持するのに使用される。希釈冷凍では到達できない、さらに低い温度へ到達できる。

 パキスタン・バクシャーリーの廃墟にて農夫が樹皮に書かれた文献を発見。バクシャーリー写本。

 7月2日、アメリカ合衆国大統領ジェームズ・ガーフィールド、チャールズ・ギトーに銃撃される。不十分な(または不適切な)治療によって救命に失敗した(当時は消毒の考え方等が普及しておらず、未消毒の指を患部に入れて触診するなどの行為が行われていた)。体内に残った銃弾を探すためにアレクサンダー・グラハム・ベルが金属探知機を使用したが、医師の見立てによって体の右側しか検査できず、実際には体の左側に残っていた銃弾を検知できなかった。


* 1882年

 ニコラ・テスラ、誘導モーターを開発。

 3月19日、サクラダ・ファミリア、着工。

 8月12日、札幌市時計台(正式名称 旧札幌農学校演武場)、時計が設置され運転を開始。


* 1885年

 2月9日、ボストンジャーナルにて「A quick brown fox jumps over the lazy dog.」という文が掲載された。すべてのアルファベットを使用する文(パングラム)。1888年には定冠詞「The」が追加され、この文は米ソ間ホットラインで最初に送られたメッセージとなった。

 12月1日、ドクターペッパーが初めて発売される(アメリカ特許商標庁による)。


* 1886年

 カール・ヴェルスバッハ、白熱ガスマントルの特許を取得。ガスマントルを使用することで、従来の裸火のガス灯に比べて2.5倍ほどの明るさになった。

 10月28日、ニューヨークの自由の女神、除幕式が行われる。アメリカ独立100周年を記念してフランス人の募金によって贈呈された。


* 1887年

 ハインリヒ・ヘルツ、電磁波に関する実験を行う。周波数の単位「ヘルツ」の由来となった人物。彼は電波の応用に関して聞かれた際に「たぶん、何もない」と答えたという逸話がある(あえて言うまでもなく、今日の我々は電磁波に依存して生活している)。

 シャーロック・ホームズシリーズ、第1作が発表される。

 5月2日、ハンニバル・グッドウィン、ニトロセルロースを使用した映像用フィルムの特許を申請。

 11月29、東京電燈、送電を開始。エジソンの低圧直流方式を採用。


* 1888年

 4月12日、アルフレッド・ノーベルの兄、リュドビックが死去。アルフレッドと取り違えて新聞が報じ、それを読んだアルフレッド本人は死後の評価を気にするようになる。後のノーベル賞の設立につながる。


* 1889年

 エッフェル塔、開業。建設当時は高さ312.3mで、1930年まで世界一高い建造物。

 パリの自由の女神、除幕式が行われる。ニューヨークの自由の女神の返礼品として、フランス革命100周年を記念してアメリカ人らが贈ったもの。

 大阪電燈、送電開始。東京電灯との対抗心から、エジソンの低圧直流方式ではなく、米トムソン・ヒューストン・エレクトリックの高圧交流方式を採用。

 シグムンド・リーフラー、リーフラー脱進機を発明。彼の時計は1年あたり7分の1秒という極めて高い精度を達成し、米国で最初の標準時刻としても使用された。


* 1890年

 大阪電燈、トムソン・ヒューストン・エレクトリックとエジソン社が合併したゼネラル・エレクトリックから発電機を購入。

 3月1日、スミソニアン博物館館長サミュエル・ラングレー、スミソニアン城に天文台を設立。スミソニアン天体物理観測所(SAO; Smithsonian Astrophysical Observatory)。

 10月9日、クレマン・アデール、飛行機「アビオン(Avion)」の試験中に高度20cm、距離50mの飛行を行う。空気より重い飛行機による初めての動力飛行。蒸気機関を使用し、地面効果を利用し、無制御での飛行。またライトフライヤーのように外部の補助動力(カタパルト)は使用していない。空気よりも重い飛行機を意味するaviationの語源。


* 1891年

 オットー・リリエンタール、約25mの滑空を行う。


* 1892年

 トーマス・ウィルソン、電気アーク炉を使用した炭化カルシウムの製造法を発見。数年後にナイアガラの滝で発電が始まることで安価に電力を使用できるようになり、炭化カルシウムの大量生産が可能になる。炭化カルシウムを使用するカーバイドランプは、住宅や灯台を始めとして様々な箇所で照明に使われ、現在でも洞窟探検愛好家に利用されることがある。実用的な電球が製造され、安価な水力発電が行われるようになっても、電線を敷設するのが困難な地域では1950年頃まで家庭用の照明として使用されていた。


* 1893年

 2月23日、ルドルフ・ディーゼル、ディーゼルエンジンの特許を取得。


* 1894年

 オリバー・ロッジ、ワイヤレスによる遠隔制御の最初の例。コヒーラとミラー検流計を組み合わせて、電波を受信したことを示すデモンストレーション。


* 1895年

 グリエルモ・マルコーニ、この頃に無線電信の初期の実験を行う。

 ジャガディッシュ・チャンドラ・ボース、マイクロ波を使用して遠く(75ft)のベルを鳴らすデモンストレーション。マイクロ波の生成には火薬の燃焼を使用した。/* 数年後に作られた別の装置では60GHzを使用している */

 8月25日、ナイアガラの滝、E・D・アダムズ発電所(現アダムズ発電所変圧場 en)、運転開始。当初は3.7MW25Hzの発電機が設置されていた。最終的にはその発電機が10台に増やされて37MWになり、長距離送電用は2万ボルトまで昇圧された。

 9月、浅草火力発電所、ドイツAEGの発電機を使用し、交流(50Hz)による送電を開始。

 11月8日、ヴィルヘルム・レントゲンクルックス管からの蛍光を発見。X線と命名。

 12月22日、ヴィルヘルム・レントゲン、X線を使用して彼の妻の手の写真を撮影。最初の医療用X線撮影。


* 1896年

 2月19日、アメリカ ニュージャージー州トレントンにおいて、劇場でX線オペラグラスの使用を禁止する条例が提出される。/* 透視を防ぐのが目的 */

 12月10日、アルフレッド・ノーベル、死去。


* 1897年

 コンスタンチン・ツィオルコフスキーツィオルコフスキーの公式、発表。

 5月13日、グリエルモ・マルコーニ、ウェールズ南部の岬から沖合のフラットホルム島までの約6kmの無線通信に成功。海を挟んだ無線通信は世界初。

 9月21日、『ザ・サン』(米)にて、社説『サンタクロースは実在するのか(Is there a Santa Claus?)』掲載。


* 1898年

 H・G・ウェルズ、『宇宙戦争』を発表。

 ニコラ・テスラ、無線制御のボートのデモを行う。最初のラジコン。誘導魚雷として軍に売り込もうとしたが、軍は興味を示さなかった。


* 1900年頃

 ドロステ・ココア、新しいデザインの缶で販売を開始。缶に書かれた人が持っているトレーにその缶が描かれた再帰性のある絵。カメラで撮影している映像をモニタに表示し、そのモニタを撮影することで発生する再帰的な映像(ビデオフィードバック)がドロステ効果と呼ばれている。


* 1900年

 イワン・ヤルコフスキー、この頃にヤルコフスキー効果を予想。

 1月、アレクサンドル・ポポフ、フィンランド初の電波塔で救命無線通信の実験。早い頃から無線通信の研究が行われていたが、上層部の無理解から普及に時間がかかり、数年後の日露戦争では三十六式無線機を使用する日本軍に敗北する原因とも。/* 当時の日本海軍は先駆けて無線通信を使用していた。WWIIのレーダーとは対照的 */

 1月1日、NTP(Network Time Protocol)の原点。

 4月14日、パリ万国博覧会が始まる(11月12日まで)。

 5月15日、マルコーニ国際海洋通信会社、無線電報サービスの営業を開始。恒久的な施設による海上公衆通信のビジネス化。

 8月28日、炭化カルシウムを燃料とするカーバイドランプ、自転車用のランプとして特許を取得。

 10月19日、マックス・プランク、プランクの法則を導く。黒体放射のスペクトルに関する法則。


* 1901年

 第1回ノーベル賞。物理学賞にヴィルヘルム・レントゲンなど。

 5月2日、カール・ヨハンソン、ゲージブロックに関する特許を取得。当時、1インチは米国では25.4000508mm(68°F)、英国では25.399977mm(17°F)と、わずかに異なる定義を使用しており、ヨハンソンは25.4mm(20°C)の妥協案を提案した。彼のゲージブロックは人気を博し、事実上の標準となり、後に英国と米国の1インチが25.4mmに再定義された。


* 1902年

 2月、マルコーニ、大西洋横断無線通信の実証のために船で距離を離しながら受信する。昼と夜の伝搬特性の違いを示した。

 12月17日、マルコーニ、北米側からの大西洋横断無線通信に成功。


* 1903年 (明治36年)

 マリ・キュリー、ノーベル物理学賞を受賞。女性初の受賞者。

 ツィオルコフスキー、「反作用利用装置による宇宙探検」を完成させる。宇宙旅行や軌道エレベータなど。

 アメリカ・カンザス州で石油掘削のボーリングを行ったところ、不燃性のガスが噴出、ヘリウムなどが含まれており、大量のヘリウムが天然ガスの副産物として入手できることが判明。

 日本海軍、三六式無線機を採用(数字は元号に由来)。翌年から始まる日清戦争で情報伝達に使われる。

 1月18日、セオドア・ルーズベルト大統領からイギリス国王エドワード7世へメッセージを送信。アメリカ合衆国から発信した初の大西洋横断通信。

 10月7日、サミュエル・ラングレー、ポトマック川で有人飛行機の試験飛行を実施。失敗に終わる。ラングレーはスミソニアン博物館の館長だったことから、有人飛行は困難であると考えられるようになり、ライトフライヤー号の飛行が黙殺される原因になった。

 12月17日、ライトフライヤー号、初飛行。継続的に操縦が行える、空気より重い機体での、最初の動力飛行。


* 1904年

 ジョン・フレミング、2極真空管を発明。

 2月8日、日露戦争、開戦。

 4月8日、ニューヨーク・タイムズの本社ビルが移転、これに伴い移転先の地名をタイムズスクウェアに変更。

 10月2日、クラレンス・マディソン・ダリー、死去。トーマス・エジソンの従業員でガラス職人であった彼は、エジソンの助手としてX線に関する実験を行っていた。おそらくアメリカで最初にX線被爆で亡くなった人物。以降エジソンはX線に関する研究を断念した。

 12月31日、ニューヨーク タイムズスクウェアで新年のカウントダウンが始まる。


* 1905年

 アルベルト・アインシュタイン特殊相対性理論を発表。/* 重力は無限遠まで到達すると考えられているが、特殊相対性理論では重力を考慮しない特殊な空間を想定している */

 9月5日、日露戦争、終戦。


* 1906年

 リー・ド・フォレスト、3極真空管を発明。

 H・アンシューツ、ジャイロコンパスを発明。彼は北極圏へ数回の旅行を行っており、潜水艦を使用して北極点を目指すためのナビゲーションについて考えていた(極地では方位磁石が使用できないため)。

 12月24日、アーンスト・アレキサンダーソン、クリスマス音楽の実験的な放送を行う。AM放送による最初の娯楽放送とみなされている。


* 1907年

 ハーシーキス(Hershey's Kisses)、発売開始。

 12月31日、ニューヨーク タイムズスクウェアのカウントダウンでタイムボールが使用される。


* 1908年

 ヘイケ・カメルリング・オネスによってヘリウムが液化される。

 ハンス・ガイガー、アルファ粒子を検出する装置を発明。

 ドイツの富豪パウル・ヴォルフスケールが、2007年9月13日までの期限付きで、フェルマー予想の証明者に対して10万マルクの賞金を設けた。当初は十数億円の価値があったが、第一次世界大戦後のハイパーインフレによって最終的には500万円程度となった。

 フォード モデルT、販売開始。

 パリ航空ショーが始まる(パリモーターショーの一部として)。

 6月30日、シベリア・ツングースカ川上流に隕石が落下し、爆発。東京都とほぼ同じ面積の樹木が倒れ、1000km離れた窓ガラスも割れた。日露戦争が終わって数年、第一次世界大戦が目前という時代から、この大規模な爆発に関して、しばらくの間は詳細な調査が行われなかった。


* 1909年

 ウィリアム・G・アレン、冷間鍛造を使用してネジの頭に六角形のくぼみを成形する方法の特許を取得。彼の会社(アレン・マニュファクチュアリング・カンパニー)を通じてセットスクリュー(THE ALLEN SAFETY SET SCREW)が販売された。六角形のくぼみのアイディアを最初に考えたのが彼である可能性は低いが、最初に製品化したのは彼だと考えられている。六角レンチのアメリカでの呼び名「アレンキー」に名を残している。六角レンチの製造コストは非常に低く、ユーザーによる組み立てが必要な製品に付属する工具として一般的。

 7月10日、ベルリン国際航空宇宙ショーが始まる(10月17日まで)。

 9月25日、パリ航空ショー、モーターショーから独立して開催される(10月17日まで)。


* 1911年 (明治44年)

 マリ・キュリー、ノーベル化学賞を受賞(1903年の物理学賞に続き2度目)。ノーベル賞を2度受賞した最初の人物。物理学賞と化学賞を受賞している唯一の人物(2020年時点)。

 ヘイケ・カメルリング・オネスによって超電導が発見される。

 ハレスによってエーテルを検出するために干渉計の実験を実施。1913年にサニャックによって同じ実験が行われ、後にサニャック効果と呼ばれるようになる。

 7月24日、ハイラム・ビンガム3世、ペルー マチュ・ピチュ遺跡を発見。

 12月14日、ロアール・アムンセン、南極点に到達。


* 1912年 (明治45年(7月30日まで)、大正(7月30日から))

 アルフレート・ヴェーゲナー、大陸移動説を提唱。「パンゲア大陸」を命名。

 ヴィクトール・フランツ・ヘス、宇宙線を発見。当時、放射線は線源である地球表面から離れるほど減少すると考えられており、有人気球を使用した観測が行われていた。当時の観測機材は精度が低かったが、ヘスは改良した機材を使用して観測を行い、高度1kmで最小値となったあとに増加に転じ、最高到達地点の高度5km付近では海面の2倍になるという結果が得られた。翌年にはW.Kolhörsterが9kmまでの観測を行った。

 3月21日、客船「タイタニック」竣工。

 4月15日、客船「タイタニック」最初の航海中に沈没。


* 1913年 (大正2年)

 7月10日、アメリカ デスバレーにおいて、気温134°F(57°C)を記録。


* 1914年 (大正3年)

 7月28日、第一次世界大戦、開戦。


* 1915年

 アインシュタイン、一般相対性理論を発表。/* 重力を考慮した一般的な空間での理論 */


* 1916年

 ドイツ軍砲兵技術将校カール・シュヴァルツシルト、アインシュタインの一般相対性理論から特殊解を発見。ブラックホールの存在を示唆。

 7月15日、ウィリアム・E・ボーイング、ジョージ・C・ウエスターバレットによってB&Wが設立される。Pacific Aero Productsを経て、1917年にBoeing Airplane Companyへ改称。

 7月30日、ブラック・トム大爆発。ドイツの諜報員による、アメリカ合衆国の弾薬補給に対する破壊工作。近年で数少ない米国本土への攻撃、かつテロリズムによるものではなく主権国家による攻撃。

 8月、マルコーニ、パラボラアンテナの実験に本格的に着手。

 9月15日、Mark I 戦車、戦闘に投入。


* 1917年

 12月6日、ハリファックス大爆発。高性能爆薬を積んだ貨物船が衝突事故によって火災が発生。TNT換算2.9kt(広島型原爆およそ0.2個分)、死者約2000人、負傷者約9000人、半径800メートルの建物が吹き飛ぶ大惨事となった。原子爆弾が登場するまでは人工的な爆発として既知の中で最も大きなもので、大きなエネルギーの尺度として使用されていた。


* 1918年

 ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディ、療養中のシュリニヴァーサ・ラマヌジャンを見舞いに行く。その際に乗ったタクシーのナンバー「1729」の話題となり、ハーディが特徴のない数字だと言うと、ラマヌジャンが「それは興味深い数字だ」と返した。タクシー数

 エドウィン・アームストロング、無線の受信において中間周波数を使用するスーパーヘテロダインを発明。モールス符号の受信機では可聴帯にダウンコンバートされていたが、超音波(supersonic)の周波数にダウンコンバートすることからスーパーヘテロダインと呼ばれるようになった。

 10月2日、ケタリング・バグ、初飛行。

 11月11日、第一次世界大戦、終戦。


* 1919年

 1月16日、アメリカ合衆国憲法 修正第18条 禁酒法が批准される。

 5月29日、皆既日食アーサー・エディントン、アフリカ プリンシペ島に遠征し観測。ニュートン力学と一般相対性理論での予想を比較、一般相対性理論が正しいと結論づける。


* 1920年

 マルコーニ他、電波灯台の実験施設を建設。回転するパラボラアンテナで方位ごとに定められたモールス符号を送信し、船舶上で受信することで灯台からの方位を知ることが目的。

 フォード・モーターカンパニー、自動車を作る段階で生まれる大量の木の廃材を使用し木炭の製造・販売を始める。当初は自動車販売店を通じて燻製工場に出荷。供給過多だったため、バーベキューグリル等とパッケージで販売し、車で郊外へでかけてバーベキューを楽しむというモデルを作った。

 1月12日、ロバート・ゴダード、ニューヨーク・タイムズにて、ロケットは真空の宇宙でも推進できると主張。

 1月13日、ニューヨーク・タイムズ、社説にてロバート・ゴダードを「高校で習う知識を持っていないようだ」と酷評。

 6月15日、マルコーニ、3ヶ国語で音楽番組を放送。世界初の国際放送、世界初の音楽ライブ放送。英国空軍の無線システムへの混信が問題となり秋に放送中止。

 10月、レフ・テルミンテルミンを発明。

 11月2日、ウェスティングハウス電気製造会社が世界初となる商業ラジオ放送局を開局。


* 1921年

 秋頃、アメリカで商業ラジオ放送局が相次いで開局。


* 1922年

 2月14日、アメリカでの商業ラジオの開局を受けてイギリスでも放送再開を求める声が高まり、マルコーニ科学機器社に対して混信対策として出力を制限した上で放送許可を与える。

 6月20日、渡米したマルコーニ、1000人を超える聴衆を前に公演。様々な実験の話やデモンストレーションなど。レーダーにも言及。

 10月18日、電気会社6社が共同出資し、英国放送会社(BBC)を設立、11月14日より放送開始。このBBCは後の英国放送協会(BBC)の前身。


* 1923年

 カール・ツァイス社、投影式のプラネタリウムを開発。


* 1924年 (大正13年)

 八木・宇田アンテナの原理による現象が発見される。


* 1925年 (大正14年)

 ベル研究所、設立。

 リチャード・G・ドリュー(3M社)、マスキングテープを発明。当時の3M社はサンドペーパーを販売する小さな会社だったが、彼が自動車販売店に売り込んだときに、車をツートンカラーに塗る際にテープが下の塗装を剥がしてしまい、塗り分けが困難であることに気が付き、その用途に使うためのテープを開発した。試作品は簡単に剥がれすぎて、その際の罵声から「Scotch(スコッチ)」というブランドが命名された。数年後のセロテープの販売を含め、世界恐慌の只中にありながら3M社が発展していくきっかけとなった。

 3月3日、米、ヘリウム法(1925年)に大統領が署名。当時ヘリウムは米国が唯一の大規模な供給源であり、これを国家が管理するための法律。これにより諸外国の気球は水素ガスを使用する必要に迫られた。


* 1926年 (大正15年(12月25日まで)、昭和元年(12月25日から))

 3月16日、ロバート・ゴダード、マサチューセッツ州にて最初の液体燃料ロケットの打上げ。2.5秒で約12.5m上昇。


* 1927年 (昭和2年)

 オーストラリア・クイーンズランド大学にてピッチドロップ実験が始まる。

 ベル研究所のWarren MarrisonとJ.W. Horton、水晶(クォーツ)を使用した時計の試作品を作成。


* 1928年

 アーサー・ホームズ、マントル対流説の示唆。

 ヘルマン・ポトチュニック、著書で宇宙ステーションや静止衛星について触れる(通信の用途には触れていない)。

 アレクサンダー・フレミング、黄色ブドウ球菌の培養中にコンタミネーションが発生、カビが混入。後のペニシリンにつながる。

 ヴァルター・ミュラー(大学で教職についていたガイガーの元で博士課程)、ガイガーが発明した放射線検出器を、様々な種類の放射線を検出できるように改良。両者の名前からガイガー=ミュラー管(GM管)と呼ばれるようになる。簡易的な放射線検出器として多用され、宇宙線研究の分野では1950年代にシンチレータが発明されるまで、単に「カウンター」といえばガイガーカウンターを指していた。


* 1929年

 コカ・コーラ、ドイツ法人を設立。初年度は5840ケースの出荷。

 松山基範地磁気逆転の可能性を示す論文を発表。

 9月24日、ジミー・ドーリットル、計器飛行が可能であることを実証。

 10月24日、ウォール街大暴落、最初の暴落。ブラックチューズデーなど。世界恐慌のきっかけ。


* 1930年

 リチャード・G・ドリュー(3M社)、世界初の透明な粘着テープ(セロテープ)を発明。

 クライド・トンボー、冥王星を発見。

 クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、漏斗の下部が切られ本格的に実験が始まる。

 5月27日、クライスラー・ビルディング、開業。41年間に渡って最も高い建築物であったエッフェル塔を抜き、1年弱の間、世界一高い建築物となった。


* 1931年

 2月11日(現地時)、バチカン放送が開局。マルコーニのオープニングの挨拶の後に教皇ピウス11世の声が世界へ向けて送り出された。

 4月11日、エンパイア・ステート・ビルディング、竣工。クライスラー・ビルディングを抜いて世界一高い建築物(1970年まで)。


* 1932年

 ジョン・コッククロフトとアーネスト・ウォルトン、人工的な核変換に成功。この際陽子の加速に使用された高電圧回路はコッククロフト・ウォルトン回路として有名。

 11月10日、当時の英国首相スタンリー・ボールドウィン「爆撃機はいつだろうと(防空網を)突破する(The bomber will always get through)」と発言。/* この演説はいささか過激な結論で結ばれているが、割愛 */ 高高度を飛行する爆撃機を、飛行能力で劣る戦闘機で迎撃することはできず、発見もできず、夜間はより困難になる。後に戦闘機や防空レーダーの発達などによって、爆撃機は当初考えられていたほど易々と爆撃することはできなかった。また対空ミサイルの発達などにより、核兵器を爆撃機で輸送する戦略も困難となり、「爆撃機は常に突破するとは限らない」と言われるようになる。一方で、近年では爆撃機ではなく自爆テロなどに対して(当時の爆撃機と同じように、抑止や発見や対応が難しいことから)使用される例もある。


* 1933年

 3月2日、映画『キング・コング』アメリカで公開開始。

 4月3日、ダグラス・ダグラス=ハミルトンら、ヒューストン-エベレスト飛行遠征(en)。オープンキャビン(非与圧)の複葉機を使用して上空からエベレストの写真を撮影した。ヒューストンは資金提供者であるLucy, Lady Houstonの名前から。

 4月19日、ヒューストン-エベレスト飛行遠征、2回目の撮影。1回目の写真は鮮明に撮影できなかったため。この写真は53年のエベレスト初登頂にも活かされた。

 5月、ネス湖の湖畔でホテルを経営する夫妻によるネッシーの目撃談が新聞報道される。この頃はネス湖周辺で道路が整備され、以降、ネッシーの目撃情報が増加。

 5月5日、カール・ジャンスキー(ベル電話研究所)、地球外からの電磁波の発見を公表。電波天文学における電波強度の単位「ジャンスキー(Jy)」の由来になった人物。天文学者から支持を得られず、通信システムへの影響もなかったことから研究予算を得られず詳しい研究が行われるのは後の時代。

 9月23日、ドイツ アウトバーン建設開始。

 12月5日、アメリカ合衆国憲法 修正第21条が批准される。修正第18条(禁酒法)の廃止。


* 1935年

 コカ・コーラ、トビアス・ゲフェンへ成分表を開示。社外の人間として初めてコカ・コーラの成分表を見た人物。いくつかの成分を変更した上でカシェルへ認められた。

 2月26日、アーノルド・ウィルキンスとロバート・ワトソン・ワット、レーダーの可能性を示す最初のデモンストレーション。9.7km離れたBBCの短波放送の電波を使用し、上空を通過する爆撃機からのエコーを検出した。この実験にはワット・ウィルキンス両名の他に1人の見学者の、あわせて3人しか立ち会っていなかった。

 4月2日、ワトソン・ワット、レーダーの特許を取得。


* 1936年

 ベルリンオリンピック開催。試験的なテレビ中継が行われた。

 IFF(敵味方識別装置)の最初期の実験。パッシブに電波を反射する装置で、現代のステルス戦闘機が非戦闘時に使用するレーダーリフレクターと似たようなコンセプト。当時のシステムは電気的にアンテナがON/OFFされる機構を持っており、レーダースクリーンではブリップの大きさが定期的に変化することで識別ができると考えられていた。実際には機体の姿勢に大きな影響を受け、あるいは通常の飛行におけるエコーの変化などもあり、それがIFFの応答なのか、伝搬特性によるものなのかの識別は困難であった。

 6月26日、Fw 61、初飛行。左右2組のローターを使用したヘリコプター。


* 1937年

 世界初の金属探知機に関する特許が申請される。

 5月6日、ヒンデンブルク号爆発事故。

 6月30日、ロンドンにて世界で最初の緊急電話番号。電話番号は999番で、この番号に着信を受けると赤いランプが点滅し、オペレーターは優先して対応する。システムの誤動作を防ぐためにできるだけ長いパルス(0が一番長く、9,8,7…3,2,1の順)を使用し、かつ火災の煙の中でも操作しやすく、すでに使われていた0を避けて、この番号が選ばれた。

 7月5日、調理済み豚肉の缶詰「SPAM」発売。

 10月、Robert (Bob) J. Dippy、複数箇所の送信所からの電波を受信して飛行機を誘導するシステムを考案。滑走路の延長線上にある送信所から信号を発信し、滑走路と直交する等間隔の距離にある中継所で電波を中継し、飛行機で中継された電波の到達時間の差を計測することで、滑走路の延長線上からの誤差を計測できる。当時の爆撃機は日中に飛行していたため、夜間着陸を可能とするこのシステムはあまり重要視されておらず、敵機を探知するレーダーの開発が優先された。


* 1938年

 フォルクスワーゲン タイプ1 ビートル、プロトタイプが作られる。生産台数は累計2千万台を超える。

 10月30日、臨時ニュース速報のような形で『宇宙戦争』のラジオドラマを放送。第二次世界大戦前という時勢もあり、ラジオドラマを信じた聴衆によって全米にパニックを引き起こした。一方で、当時は若いメディアであるラジオに対する攻撃(規制強化)を目的として、新聞各社が「社会的パニック」を作り出した(実際には大きな混乱などなかった)とする説もある。

 12月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、1滴目が落下。


* 1939年

 独コカ・コーラ、450万ケースを販売(10年前比ででおよそ800倍)。

 ワイヤレスリモコンを使用する最初の家電(Philco Myster Control)。電池を内蔵した、回転ダイヤル式電話機のような装置でラジオ局を選択する。

 IFF Mark Iの実験。最初期の敵味方識別装置。チェーンホームレーダーからパルスを受信した際に、その周波数を増幅して返す。これによってCHレーダーの画面には距離方向に伸びた明るいブリップが表示され、容易に識別できる。実際には応答パルスが強すぎてCHレーダーに対してジャミングのように働いたり、弱すぎて判別できなかったり、単一の周波数にしか対応していない等、実用的なものではなかった。数年後のIFF Mark IIはAGCが搭載されて反射強度の問題は解決され、複雑な機構によって周波数がスキャンされるなどの発展を経て、技術的には完成していたが、バトル・オブ・ブリテンの時点では供給が間に合わなかった。

 9月1日、第二次世界大戦、開戦。

 9月14日、ヴォート=シコルスキー VS-300、初飛行。テールローターを使用したヘリコプター。


* 1940年

 独コカ・コーラ、アメリカ本社からの原液の輸入が停止。代替飲料の開発を進め、ドイツ語で想像力を意味するFantasieからFantaと命名。戦争中の当時、甘味は貴重であり、調味料としても使用された。

 イギリスのナビゲーションシステム「Gee」(GridのGから命名)の実験システムが設置された。当時、30MHzの短波信号は到達距離が短いと考えられており、およそ100マイル(160km)のカバレッジを提供すると考えられていたが、実際には高度1万ft(3km)で少なくとも300マイル(480km)のカバレッジを提供した。当時は対空砲や戦闘機の発展に従い、昼間の爆撃が困難となり、夜間爆撃の重要性が増していたため、目視によらない航空機のナビゲーションシステムが求められていた。

 7月1日、タコマ・ナローズ橋(Tacoma Narrows Bridge)、開通。

 11月2日、タコマ・ナローズ橋の振動に関する風洞実験が終了。いくつかの解決策が提案された。

 11月7日、タコマ・ナローズ橋、強風により崩壊。人間は避難していたが、車に取り残されていた犬1匹が死亡した。


* 1941年

 3月3日、チョコレートの外側を硬質なシロップでコーティングして溶けづらくした製品の特許が取得される。M&M'sとして商品化され、米陸軍が大口顧客となって大量生産が行われる。

 8月18日、デビッド・ベンスーザン・バット、バットレポート(Butt Report)を公表。イギリス軍の爆撃機に関するレポート。これによると、乗員が爆撃に成功したと主張する飛行のうち、目標の5マイル以内に到達できたのは3分の1であり、全体のわずか5%でしかなかった。航法システムや戦術などの発展の原動力となった。

 9月10日、ドイツの80cm列車砲で初めての射撃(試験)。戦闘に使用された最大口径のライフル(80cm)。最も重い自走砲(1350トン)。最も重い砲弾を発射(7トン)。


* 1942年

 V-1飛行爆弾、開発開始。

 1月14日、シコルスキーR-4、初飛行。世界で初めて量産されたヘリコプター。

 2月23日、伊17潜水艦によるアメリカ本土砲撃。攻撃自体の被害は少なかったが、アメリカに対して大きな動揺を与えた。

 2月25日、ロサンゼルスの戦い。日本軍の空襲に対する大規模な防空戦闘。ただし日本軍が空襲を行った記録はない。

 6月23日、ナチスドイツ ライプツィヒL-IV原子炉の事故。史上初の原子力事故。

 8月11日、ハリウッド女優のヘディ・ラマー、友人のピアニスト ジョージ・アルタイルと共に、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)技術に関する特許を取得する(自動ピアノの機構を応用して開発)。Bluetoothや初期のWi-Fiで使用された通信方式。当初は無線誘導魚雷の妨害を防ぐために考案された。海軍は、装置の規模が大きくなり魚雷に搭載できないと判断し、実用化の検討は行わなかった(ただし、機密に指定した)。両者は2014年に全米発明家殿堂入りした。


* 1943年

 1月、VT信管の最初の戦果。この際は限定的な使用に留まる。

 12月28日、後の昭和新山、最初の有感地震が発生。


* 1944年

 V-2ロケット、配備開始。

 ヘンドリク・ファン・デ・フルスト、21cm水素輝線の存在を予言。

 10月、アイルランド・ダブリン大学にてピッチドロップが開始される。

 11月3日、旧日本軍の風船爆弾、最初の放球。翌年の4月に運用が終了されるまで、9000発以上が放球された。直接的な戦果は非常に少ないが、米国は国民に対する情報管制のために多大な苦労を要した。世界初の大陸間兵器であり、兵器としての1度のフライトによる飛行距離は1982年のフォークランド紛争まで更新されることはなかった。

 12月、昭和新山、溶岩ドームの推上が始まる


* 1945年

 パーシー・スペンサー、マグネトロンでポップコーンを作る。後の電子レンジ。同僚が行ったゆで卵を作る実験中に卵が爆発。

 アーサー・C・クラーク、静止衛星を使用した通信を提案。

 7月、ソ連元帥ゲオルギー・ジューコフ、ポツダム会談へ参加。アイゼンハワー将軍の紹介でコカ・コーラの関係者と会う。ジューコフはコカ・コーラのファンであったが、ソ連ではアメリカ帝国主義の象徴とみなされ、地位のある人物が大手を振って飲むことはできなかった。そのため、透明なコカ・コーラを製造し、ウォッカに偽装して輸入できないか提案した。コカ・コーラを脱色したホワイトコーラ(White Coke)は当初50ケースが出荷され、コカ・コーラが正式にソ連へ進出するまで続けられという。/* ちなみに、2018年から日本を中心に透明なコカコーラの販売が行われている。 */

 4月、ナチスドイツの潜水艦U-427、作戦中に少なくとも260発(最大678発)の機雷を使用されるも沈まず。

 9月2日、第二次世界大戦、終戦。

 9月20日、昭和新山、全活動停止。

 10月8日、電子レンジの特許を申請。Radarangeという名前。


* 1946年

 カナダ陸軍を中心に81日間のMuskox作戦が行われる(Muskoxはカナダ北部などに生息する牛の英名)。4.5トンの雪上車11台などからなる部隊で、北極圏を横断することが目的。その困難さから、ソビエト軍が北極圏経由で北アメリカへ侵攻することはないという結論を得る。作戦中にLF LORANの評価が行われ、作戦終了後もおよそ1年にわたって運用された。

 マーティン・ライル、電波干渉計を開発。天体観測に応用され、波長の長い電波による空間分解能の低さを補うことができる。

 2月14日、完成したENIACが公開され、翌日から正式に使用開始。

 10月1日、モトローラ、最初の自動車電話。

 10月24日、ニューメキシコ州ホワイトサンズから打上げられたV-2ロケット13号機(最高高度105km)、カーマン・ラインを超えて地球を撮影した最初の写真。https://en.wikipedia.org/wiki/File:First_photo_from_space.jpg


* 1947年

 アラン・チューリング、遅延線の媒質として蒸留酒のジンを提案。このアルコール水溶液の濃度は室温での伝搬速度の温度係数がゼロに近いため。

 2月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、2滴目が落下。

 2月20日、ホワイトサンズからハエや植物の種等を載せたV-2ロケット20号機が打上げられた(最高高度109km)。このハエは高度50マイル、または100kmを超えた(宇宙空間へ到達した)初めての動物。パラシュートによって生きたままの回収に成功。

 5月、ウィラード・リビー、放射性炭素年代測定に関する論文を発表。

 6月24日、ケネス・アーノルド事件。「空飛ぶ円盤(Flying Saucer)」のイメージが世間へ定着するきっかけとなった事件。

 7月8日、ロズウェル陸軍飛行場が「空飛ぶ円盤を回収した」とプレスリリースを発表。数時間後に撤回。

 9月9日、ハーバード マークIIの誤動作の原因を調べている最中、蛾がリレーに引っかかって動作を阻害していることを発見する。コンピュータの不具合に対しても「バグ」という単語は以前より使われていたが、「本物のバグ(Bug; 虫)」が原因であると確認された最初の例。/* 機械式コンピュータなので、現在のコンピュータや、現在使われているコンピュータバグとはかなり異なる。例えて言うなら「CPUの中の配線が1本切れた」というような状況か? 前述の通り、コンピュータに限らず「バグ」という表現は古くから機械の不具合として使われていた用語 */

 12月23日、ベル研究所、トランジスタを実証。


* 1948年

 ポーカーフラットリサーチレンジ(PFRR; Poker Flat Research Range)(en)。アラスカ大学 地球物理学研究所が所有する設備。その面積はおよそ20平方kmと、種子島宇宙センターの2倍を超え、新宿区の面積を超える。陸上にあるロケット関連設備として世界最大。1700を超える観測ロケットが打ち上げられている。北極圏の外側に位置しており、地磁気と宇宙線の相互作用などの観測が行われている。

 6月24日、ベルリン、封鎖される。

 6月26日、ベルリン大空輸が始まる。アメリカの作戦名は「ヴィットルズ作戦」。Vittlesは糧食といった意味。

 6月30日、ベル研究所、記者会見を行いトランジスタを発表。デモンストレーションとしてラジオのデモ。

 9月、ファーンボロー国際航空ショー、始まる。

 9月22日、「リトル・ヴィットルズ作戦」が正式に開始される。ハンカチのパラシュートでお菓子を投下し、最終的には23トン以上が投下されたと推定されている。作戦に参加した機は「レーズン爆撃機」あるいは「キャンディ爆撃機」と呼ばれた。

 11月5日、ベルリン・テーゲル空港(副名称:オットー・リリエンタール)に米空軍C-54が着陸。当時ヨーロッパで最大の約2.4kmの滑走路を持つ空港は発注から90日で使用が開始された。

 12月24日、米空軍、早期警戒レーダーが8頭のトナカイを動力源とする正体不明のソリを検出したと発表し、AP通信が報じた。その後の数年間は、同様の報告書は出されていない。


* 1949年

 フランスにおいて819ラインのテレビ放送が開始される。世界初の高精細度テレビ放送(816x736px相当)。

 フェルッチオ・ランボルギーニ、農業用トラクターの販売を開始。当初は軍が放出した車両を改造し、やがて高性能なエンジンを開発し、大きな成功を収める。その他の事業も含めた大きな収入により、高級車の収集を始める。優秀なメカニックとしての経験から、欠陥の多かったフェラーリの修理を自身で行おうと分解したところ、自社のトラクターと同じ部品が使われており、しかも10倍もの値段に設定されていたことから「この商売は儲かる」と判断し、後には高級車の製造・販売も行うようになった。

 ドクター・スース『Bartholomew and the Oobleck』刊行。春夏秋冬、空から雨や日差しや霧や雪が降り注ぐことに腹を立てた王様が、魔術師に他のものを降らせるように命じ、緑のねばねばした液体が降るようになったが……、という内容。タイトルにあるOobleck(ウーブレック)は、力を加えると固体のように振る舞う非ニュートン流体(ダイラタンシーとして有名な実験)の、特に毒性や危険性が低い(手軽に実験できる)物の名前として使用されている。

 5月12日、ベルリン、封鎖解除。

 9月30日、ベルリンへの公式な空輸作戦の終了。総飛行回数は28万回に迫り、輸送量は230万トンを超え、総飛行距離は地球から太陽へ届くほどになった。


* 1950年代

 ハインツ・ロンドン、3He-4He希釈冷凍法を発明。蒸発潜熱では到達できない100ミリケルビン以下まで連続的に冷却できる唯一の方法。現在主流の量子コンピュータは極めて低い温度を維持する必要があり、希釈冷凍機を使用して低温を維持している(量子コンピュータの写真で、上からぶら下がっている金色の板や入り組んだ配線類はほとんどが冷凍機の構造物)。理論上は2mK程度までは現実的に冷却できるが、10mKを下回る場合は断熱消磁によって冷却される。


* 1950年

 3月、山岡荘八『徳川家康』連載開始(1967年4月まで)。世界で最も長い小説の一つ(数え方による)。日本で最も長い小説。

 6月25日、朝鮮戦争、開戦。


* 1951年

 カール・A・ワイリー、合成開口レーダーを発明。当初はドップラーシフトを利用し、シフト量がゼロになる反射波を画像化する方式。

 ハーバード大学の学生Harold Irving Ewenらによって21cm水素輝線の観測が報告される。約20ページの博士論文はハーバード大学で最も短い論文の一つ。観測装置はおよそ500ドルで開発され、電波天文学史上もっともコストパフォーマンスの高い観測と言われている。

 米国初の汎用コンピュータUNIVAC、販売開始。翌年の大統領選挙では勝敗の予想に使用され、わずか5.5%のサンプルから正しい結果を予想した。

 6月25日、米国において初めての商業カラー放送が行われる。カラー放送により広告媒体としての魅力が増した一方で、以前の白黒放送システムとの互換性はなかったことから視聴者数は限られ、初回放送の視聴者は4万人程度と推定される。朝鮮戦争中の資源節約のあおりなどを受け、カラーテレビの製造は一時的に禁止され、4ヶ月後にカラー放送は終了した。


* 1952年

 東京通信工業、トランジスタラジオTR-52を開発。見た目がその年に竣工した国連ビルに似ていたことから、社内では「国連ビルラジオ」と呼ばれていた。もっとも、その樹脂部品が原因で高温環境では反りが発生し、一般販売の断念を余儀なくされ、世界初の量産トランジスタラジオの栄冠を逃した。

 4月15日、YB-52、初飛行。

 4月28日、サンフランシスコ講和条約、発効。戦争状態が終結。/* 日本による航空機開発の一部許可等 */

 10月2日、XB-52、初飛行。地上試験中の破損を修理していたためYBより遅れた。


* 1953年

 米コネチカット州トリニティ・カレッジのVernon K. Krieble教授、嫌気性ネジロック剤を開発。56年には彼の義理の娘によってロックタイト(LOCTITE)と命名され、彼の会社(American Sealants)を通じて販売された(American Sealants社は1963年にLocktite Corporationへ社名変更)。

 ソロモン・W・ゴロム、ポリオミノを考案。正方形を複数並べた図形を使用するパズル。長方形の枠にはめる遊び方が有名。テトリスに影響を与えた。畳を部屋に並べるのはn=2のドミノを並べることに相当する。テトリスはn=4のテトロミノ(テトリスではテトリミノ)を使用する。

 EAA(実験機協会)が設立され、1回目のエアベンチャー・オシュコシュが開催される。

 5月29日、エドモンド・ヒラリーらイギリスの探検隊、エベレストへ世界初の登頂に成功。

 6月2日、エリザベス2世、戴冠。

 7月27日、朝鮮戦争、休戦。

 9月11日、サイドワインダーミサイル、標的機撃墜。


* 1954年

 ジョン・バッカス(IBM)、FORTRANを考案。世界初の高水準言語。複素数の対応など先進的な機能により多数のコンピュータで動作し、異なるアーキテクチャ上で動作する最初の言語となった。幾度に渡る改定を遂げ、現在でもスーパーコンピュータなどで多用されている。

 4月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、3滴目が落下。

 5月25日、テキサス・インスツルメンツ、オールトランジスタAMラジオを実証。性能は真空管よりも劣っていた。

 8月29日、ロッキード C-130、初飛行。

 11月1日、I.D.E.A.社、世界初のトランジスタTR-1を発売。一般消費者向けとして初めてトランジスタを使用した量産品。動作時間が真空管式の数時間程度から30時間弱と10倍ほどに伸びたが、低コスト化の影響で音質はより悪化していた。2016年時点の価値で450ドル弱と高価であったが、最初の1年で10万台を、最終的に15万台ほどを売り上げた。


* 1955年

 ルイス・エッセンとジャック・パリー、最初の実用的な原子時計を開発。

 1月17日、ノーチラス号が潜水艦として初めて原子力で航行。

 3月11日、国分寺にてペンシルロケットの水平発射実験を初めて実施。

 6月12日、セスナ172スカイホーク、初飛行。シリーズ累計44000機以上を売り上げるベストセラー機。世界で最も多く生産された航空機。

 8月、東京通信工業、日本初のトランジスタラジオ、「ソニーTR-55」を発売。

 8月1日、ロッキードU-2、初飛行。

 11月、ベトナム戦争、開戦。

 11月30日、アメリカの百貨店シアーズ、「HEY, KIDDIES! CALL ME DIRECT ON MY ME」で始まりSANTA CLAUSの署名で終わる広告を出す。これを読んだ子供が電話をかけた際に、間違った番号に電話をかけてしまい、CANAD(現NORAD)の電話機へつながってしまった。/* CANADのホットラインは独立した電話回線を使用しており、一般の回線から接続することはできない */ サンタのアイディアを得た米軍は、プロパガンダの手段として大々的に使用するようになる。


* 1956年

 レーダーを開発したロバート・ワトソン・ワット、カナダにて警察のレーダーガンによってスピード違反を咎められたとの逸話。「彼らがこのように使うと知っていれば私はレーダーを発明しなかっただろう」と発言したと伝わっている。

 スミソニアン天体物理観測所によって「ムーンウォッチ作戦(Operation Moonwatch)」が開始される。単一の目的に対する史上最大の科学的事業の一つ。市民によるソ連爆撃機に対する警戒監視網等に起源を持つ。多数の国の市民を含むアマチュア観測家による人工衛星の追尾等が行われた。スプートニク1号の打上げからの数ヶ月は、世界規模で衛星を追尾する唯一のネットワークだった。

 東海道本線、全線車両電化。

 9月14日、IBM 305 RAMAC、発売。世界初の商用ハードディスクドライブ、IBMが製造した最後の真空管コンピュータの1つ。

 9月21日、F-11タイガー、「自身を撃墜した最初のジェット機」となる。20mm砲の試験中に、自身が発射した砲弾が、降下しながら飛行していた機体に衝突した。

 10月22日、ベル・エアクラフト UH-1、初飛行。


* 1957年

 1月、第1時南極観測隊によって昭和基地が設立される。当初は2次までの予定であったが、第2次隊の越冬不成立によって第3次観測が追加で行われ、以降も途中に中断を挟みつつ運用が続けられている。

 3月、TR-55を改良したTR-63、米国で最初のトランジスタラジオとして発売開始。シャツのポケットに収まらなかったため、TR-63が収まる大きさのポケットを設けたシャツをセールスマンに配布した上で「世界初のポケットラジオ」と主張。

 7月1日、国際地球観測年(IGY; International Geophysical Year)、開始。国際年第1号。12の項目に分類された様々な観測が行われた。

 8月2日、ラベル電波望遠鏡(英)、ファーストライト。直径は76m(250ft)と、可動式の電波望遠鏡として当時世界最大。第一次世界大戦頃に建造された戦艦から払い下げられた部品も使用されている(砲塔のラック&ピニオン機構など)。

 10月4日、スプートニク1号(ソ連)を打上げ。初の人工衛星。

 11月3日、スプートニク2号(ソ連)を打上げ。初めて生物(犬)を軌道投入。

 12月20日、ボーイング707、初飛行。ジェット旅客機の基本的なスタイルを確立し、様々な派生型を生んだ。


* 1958年

 チキンラーメン、発売開始。定義によっては世界初のインスタントラーメンとなる。

 ジェームズ・ヴァン・アレン、エクスプローラー1号のガイガーカウンターを通じてヴァン・アレン帯を発見。

 ベル電話研究所 ホルムデルホーンアンテナ(en)、ファーストライト。プロジェクトエコー(パッシブな通信衛星)のサポートために建設。利得43.3dBi、ビーム幅は2.4GHzで約1.5度。後に宇宙マイクロ波背景放射を検出しノーベル賞につながる。

 東京通信工業、社名をソニーへ変更。

 1月31日、エクスプローラー1号(米)、打上げ。アメリカ初の人工衛星。

 2月7日、米高等研究計画局(ARPA; Advanced Research Projects Agency)、結成。

 3月17日、ヴァンガード1号(米)、打上げ。世界で4番目、アメリカで2番目の衛星。世界で初めて太陽光発電を搭載した衛星。2020年末時点でおよそ650km/3800kmの楕円軌道を周回し、軌道上の人工物として最も古いもの。ほぼ球体の形をしており、軌道変化から地球大気の推定に用いられており、軌道寿命が長いため継続したデータが得られている。当初の予想では2000年程度の軌道寿命を持つと考えられていたが、太陽活動の影響による大気の変化等によって240年程度まで減少すると予想されている。

 5月30日、ダグラスDC-8、初飛行。他社に対する遅れから、試作機を製造せず、最初から量産機を製造し、多数の飛行機で並行して試験を行った。

 8月3日、ノーチラス号、潜航状態で北極点を通過。

 9月26日、伊勢湾台風、潮岬へ上陸。死者・行方不明者が5000人を超える大きな被害をもたらした。

 12月18日、スコア(米)、打上げ。世界で初めて人の声を宇宙から放送した。当初は陸軍長官ウィルバー・ブラッカーのメッセージを放送する予定だったが、打上げの数時間前に大統領がそれを知り、メッセージを提供したいと提案した。すでに打上げ準備のためにメッセージの書き換えはできなかったため、打上げ後に軌道上でメッセージを変更し、アイゼンハワー大統領のメッセージが宇宙から放送された。信号は非常に弱く、ほとんどのアメリカ人はテレビのニュース番組で聞くこととなった。半年ほど前に設立されたARPAの初期のプロジェクトでもある。

 12月23日、東京タワー、竣工。

 12月31日、国際地球観測年、終了。


* 1959年

 世界保健機関(WHO)、天然痘の根絶を目指して計画を開始。

 富士通のリレー式科学用計算機FACOM 128B、製造。カメラの光学設計やYS-11の解析に使用された。現在も稼働する世界最古のコンピュータの1つ。

 12月1日、南極条約が署名される。平和的利用(軍事的利用の禁止)、科学的調査の自由と国際協力、領土主権・請求権の凍結、など。


* 1960年

 T・H・メイマン、ルビーで世界初のレーザー発振。

 ウィリス・ウィットフィールド、近代的なクリーンルームを発明。発売してから数年で、世界中で500億米ドル以上を売り上げた(現代の4000億米ドル以上)。

 4月13日、トランシット1B(米)、打上げ。衛星を使用する測位システムのプロトタイプ。

 5月1日、U-2撃墜事件。

 5月13日、プロジェクトエコー、エコー1、打上げ。軌道投入に失敗。

 8月10日、コロナプログラム ディスカバラー13号(KH-1)、打上げ。

 8月11日、ディスカバラー13号、カプセルを大気圏へ再突入。上空での回収には失敗し、洋上で回収された。カメラの代わりに搭載されていたアメリカの国旗は数日後にアイゼンハワー大統領へ贈られた。

 8月12日、プロジェクトエコー、エコー1A、打上げ。12.7umのマイラーフィルムに0.2umの金属膜を蒸着したフィルムで作られた直径100ft(30.5m)の風船。粉末の昇華によって加圧され形状が維持される。受動的に電波を反射するパッシブな通信衛星として計画された。関係者からは衛星(Satellite)と風船(Balloon)をあわせたSatelloonと呼ばれていた。金属膜は可視光も反射し、肉眼で見ることもできた。

 8月18日、コロナプログラム ディスカバラー14号(KH-1)、打上げ。

 8月19日、ディスカバラー14号、ソ連を撮影した写真フィルムを回収。軌道上の衛星から写真フィルムが回収された最初の例。軌道上の衛星から再突入した物体を空中で回収した最初の例。

 10月24日、ニェジェーリンの大惨事。開発中のICBM R-16の試験時に第2段エンジンが着火、第1段推進剤タンクを直撃し、ハイパゴリック推進剤によって大規模な爆発が発生した。開発責任者のミトロファン・ニェジェーリン砲兵総元帥を含む60-150人が死亡した。ICBMの開発遅延に駆り立てられたソ連がキューバへIRBMを配備するきっかけにもなった。当初から箝口令が敷かれ、政府が公式に認めたのは1989年4月16日になってから。


* 1961年

 1月24日、1961年ゴールズボロ空軍機事故。B-52Gが空中で構造的破壊により墜落、搭載されていた核爆弾が落下した。核爆発はたった一つのスイッチによって阻止されていた。

 3月14日、ユバシティB-52F墜落(en)。減圧が発生し飛行高度を下げるが、燃料消費が増えたために燃料が枯渇、空中給油機と合流できず墜落。この機は核兵器を搭載していた。

 4月12日、ガガーリン、世界初の有人宇宙飛行。

 5月5日、アラン・シェパード、マーキュリー3号にて弾道飛行で宇宙へ。

 5月25日、ケネディ、月着陸計画を発表。

 6月29日、トランシット4A(米)、打上げ。RTG(原子力電池の1つ)を使用した最初の衛星。

 8月13日、東西ベルリンの通行が遮断される。

 8月21日、ダグラスDC-8、民間航空機の高度記録を約5.2万ftへ更新。降下の際に音速を突破し、旅客機として世界初の超音速飛行。

 10月15日、坂本九『上を向いて歩こう』リリース。

 10月21日、ウェストフォード計画において最初の散布(失敗)。/* 1963年の項目も参照 */


* 1962年

 ライナス・ボーリング、ノーベル平和賞を受賞(1954年の化学賞に続き2度目)。

 ニック・ホロニアック、赤色発光ダイオードを発明。

 5月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、4滴目が落下。

 6月19日、エアロビーロケットに搭載されたX線観測装置が太陽系外からのX線を検出。1年ほどの観測によって赤道座標とともに回転していることを発見し、それがさそり座付近であることを確認した。X線天文学の発端となる。当初の観測装置は分解能が90度にもなるような非常に解像度の悪い装置であり、X線天体の性質はよくわからなかった。

 7月9日、スターフィッシュプライム(en)。宇宙空間で行われた最大の核実験(1.4Mt)。大きな電磁パルスを引き起こし、ハワイでは約300の街頭を破壊し、盗難警報の誤報を多数発生させ、通信の遮断を引き起こした。軌道上に大量のエネルギーを供給し、最終的に6個以上の衛星の故障を引き起こした。

 7月10日、テルスター(米)打上げ。最初の民間会社(AT&T)の衛星、テレビ・電話・FAXを中継した最初の衛星。アップリンク6GHz、ダウンリンク4GHzのスピン安定。

 8月30日、YS-11、初飛行。

 10月14日、キューバにアメリカ本土を射程内とするソ連の弾道ミサイル等が搬入されたことをアメリカ軍の空中偵察が発見(フィルムの現像等の処理を経て、大統領に知らされたのは16日)。

 10月25日、防空に関わる軍事施設で、警備員が夜中に「柵を登る侵入者」を発見し銃撃。自動的に警備システムが作動し、「ソ連による核攻撃の前に、迎撃を妨害するための工作が行われる」というシナリオによって要撃機の発進が開始された。結局、侵入者は熊であったことが確認され、要撃機は離陸寸前で停止された。パイロットは核戦争が始まっていると信じていたという。この要撃機には核ロケット弾が搭載されていた(当時の要撃機は大型の爆撃機に対して有効な通常弾頭を持たず、核兵器の空中爆発によって迎撃する運用だった)。

 10月27日、ソ連の潜水艦がアメリカの駆逐艦に追跡され、警告目的で投下された爆雷を実際の攻撃と誤認し、また追跡を回避している間はモスクワとの連絡が行えなかったことから、すでに米ソ間での戦争が始まっている可能性を考慮し、アメリカの艦隊に対して核魚雷の使用を検討した。政治将校は核の使用に同意したが、指揮系統のNo.2が核攻撃を拒否し、核戦争の引き金となることは回避された。

 10月27日、U-2偵察機がキューバ上空で撃墜される。

 10月27日、別のU-2偵察機がナビゲーションの問題(オーロラの影響)によってソビエト空域に500km近く(300マイル)侵入。ソビエト空域から少なくとも150km(100マイル)以上は離れるように命令されていた。ソビエトの戦闘機がスクランブル発進し、米軍機も安全な空域まで護衛するために発進した。

 10月28日、ニキータ・フルシチョフ、モスクワ放送を通じてミサイル除去の決定を発表。

 11月19日、ソ連 Pluton(en)、てんびん座HD 131336へ向けて「MIR LENIN USSR」というモールス信号を送信(Morse Message 1962)。世界初の人類以外へ送ることを意図した放送。/* メッセージの意味は「平和(or世界)、レーニン、ソ連」という感じ。さすがソ連って感じの内容。 */


* 1963年

 アレシボ天文台、建設。

 NRL(Naval Research Laboratory)、かに星雲からのX線を検出。月による掩体観測を行い、X線源がひろがりを持つ(点源ではない)ことを確認。

 1月24日、Elephant Mountain B-52 crash(en)。B-52は高高度を飛行する目的で設計されたが、ソ連防空網の強化から低高度侵入の必要に迫られており、そのための訓練中に垂直尾翼が破損し墜落した。低高度では乱気流が増え、機体(垂直尾翼固定ボルト)に過度のストレスがかかったことが原因。後に数回の同様の事故を経て対策が行われた。

 2月14日、シンコム1(米)、打上げ。アポジキックモータの点火後に通信が途絶した。地上からの観測によって軌道傾斜角33度の軌道に投入されたことが確認された(静止軌道ではなく対地同期軌道)。打上げ質量約70kg、軌道上初期約40kg。

 5月9日、ウェストフォード計画において2回目の散布。冷戦中の当時、大陸間の通信が海底ケーブルと不安定な電離層に依存しており、ソ連の通信妨害を恐れて人為的に電離層を作成するために、軌道上に大量の針(長さ0.7インチ(17.78cm)、太さ約20マイクロメートルの銅線、1本辺り40マイクログラムまたは80マイクログラム)が散布された。人為的な電離層の生成に成功し、無線通信にも使用できたが、スペースデブリに対する批判や通信衛星の発展から、以降の放出は行われていない。2回で合わせて4億8千万本が放出されたが、TLEとして公開されているものは150個弱にとどまる。その内、2021年末時点で36本が軌道上に残っている(国際識別符号63014xxx)。/* 一番新しいものは2018年4月に発見されており、軌道監視レーダーの高性能化によってはさらに発見される可能性がある */

 7月26日、シンコム2(米)、打上げ。

 8月23日、ナイジェリア ラゴス港に停泊したNSNSキングスポート(Kingsport)へナイジェリア首相アブバカル・タファワ・バレワが乗船し、シンコム2を使用してジョン・F・ケネディと電話を行う。国家元首間が初めて衛星を使用て双方向通話を行った。

 8月30日、米ソ間のホットラインが運用開始。電話機のような形式ではなく、テレタイプが使用された。メッセージを母国語で送信し、受信者が翻訳を行う。モスクワにはラテン文字を使用可能な機材が送られ、アメリカにはキリル文字を使用可能なシーメンス(東ドイツ)製の機材が設置された。最初にアメリカから「THE QUICK BROWN FOX JUMPED OVER THE LAZY DOG'S BACK 1234567890」という文(パングラム、すべてのラテン文字を使用する文)が送信され、モスクワからこのパングラムを途中に入れる形でその意味を問い合わせる返事が送られた。ホットラインによって即時の意思疎通が可能になった。それ以前は外交メッセージを送るのに6時間を要し、キューバ危機の際には12時間かかったこともあった。

 9月29日、シンコム2を使用したテレビ中継の実験。対地同期衛星を使用した初めてのテレビ中継。音声は無く映像のみ。

 11月8日、21日、22日、空母フォレスタルにおいてC-130の離着陸が行われる。

 11月22日12時30分(アメリカ中部)、23日3時30分(日本)、ケネディ大統領暗殺事件。

 11月23日5時27分(日本)、アメリカから日本に向けた初めての衛星中継実験。モハーヴェ局のアンテナの映像が中継された。予定されていたケネディ大統領の演説は行われなかった。

 11月23日8時58分(日本)、2回目の衛星中継実験。ケネディ大統領暗殺を伝える内容。

 11月24日、ケネディ大統領を暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルド、ジャック・ルビーに暗殺される。


* 1964年

 宇宙マイクロ波背景放射がベル電話研究所にて偶然に発見される。

 1月10日、B-52Hのテストベッド機、飛行中に垂直尾翼を破損するも着陸に成功。(画像)

 1月13日、Savage Mountain B-52 crash(en)。核爆弾2発を輸送中のB-52Dが乱気流により垂直尾翼が破損、墜落した。

 1月25日、プロジェクトエコー、エコー2、打上げ。直径135ft(41.1m)の風船で、4.5umのアルミホイル2枚に挟まれた9umのマイラーフィルムで作られた。アルミの塑性変形により内圧が失われても形状が維持されるため、マイクロメテオロイドの衝突などに耐久性を持つ。軌道傾斜角がエコー1A(i47.2)よりも大きかった(i81.5)ため、地球の広い範囲で肉眼で観測された。

 3月25日、日本から米国への初めてのテレビ中継。前日にはライシャワー駐日大使が暴漢に刺されるという事件が発生しており、衛星中継関係者には大きな実験の前には不吉な出来事が起こるという記憶を残すこととなった。

 4月17日、日欧間のテレビ中継。自動追尾装置が故障したため、衛星を中継した映像を目で見て信号が途切れないように手動で駆動するなどのハプニングがあった。

 6月19日、TRANSPAC-1が開通。米国から日本までをつなぐ海底ケーブル。

 7月20日、SERT-1(米)、打上げ(準軌道)。イオンエンジンの宇宙空間での最初の運用。

 8月19日、シンコム3号(米)、打上げ。

 10月1日、東海道新幹線、開業。

 10月10日、東京オリンピック開会式。衛星にて映像を、海底ケーブルにて音声を米国太平洋岸へ伝送し、米加欧などへ中継。国際的に中継された最初のオリンピック。

 12月21日、クイル(Quill、米)、打上げ。軌道上で使用された初の合成開口レーダ。鮮明な画像ではアジマス方向で2-5mの分解能を達成した。2012年に機密が解除される前に大部分の資料が破棄されたため、現存している画像は非常に少ない。当時の衛星は軌道上で撮影した写真フィルムをカプセルで再突入させるか、あるいは軌道上でフィルムを現像し電気的にスキャンしていたため、撮影してからダウンリンクするまでに時間を要していた。レーダ衛星では情報が直接電気信号として得られるため、リアルタイムにダウンリンクして解析を行うことが可能となった(Quillでもオンボードのフィルムにデータを記録する方式が併用され、無線によるダウンリンクよりもこちらの方が解像度は高い)。

 12月22日、ロッキード SR-71、初飛行。


* 1965年

 富士山レーダー、運用開始。

 2月11日、タイタンIIIA / LSE-1(米)、打上げ。SHF(7-8GHz)を使用した通信の実証などが目的。

 4月3日、Snapshot(米)、打上げ。軌道上の原子炉として最初の運転。イオンスラスタの最初の運転。米国によって打上げられた唯一の核分裂炉。

 5月19日、ホウシャガメ「トゥイ・マリラ」死す。年齢は少なくとも188歳以上で、確認できる中では最も長く生きたカメ。


* 1966年

 Center Electronique Horloger(スイス)、クォーツ時計のプロトタイプ、Beta1を製造。8192Hzの水晶を使用。翌年のBeta2は1日あたりの誤差が3ミリ秒という腕時計の精度記録を打ち立てた(機械式腕時計の場合は高精度なモデルで1日あたり数秒の誤差)。

 カールツァイス・プラナー 50mm f/0.7が製造される(全10個)。NASAが夜間の月面で撮影する目的で製造を依頼した。撮影用のレンズとしては最も明るい製品の1つ。最終的に6個がNASAに販売され、1個がツァイスで保存され、残りの3個はスタンリー・キューブリックへ販売された。このレンズに合わせて改造されたカメラを使用して映画『バリー・リンドン』が撮影された。監督の主義によって夜間のシーンでは蝋燭の光のみを使用し、人工光を使用しないためにこのような極めて明るいレンズが必要とされた(当時のフィルム感度による制限であるため、現代のISO40万といった高い感度を持つカメラを使用する場合はそれほど明るいレンズは不要であり、おそらく映画史上でこれほど明るいレンズは最初で最後の使用)。

 1月17日、パロマレス米軍機墜落事故。クロームドーム作戦中のB-52GとKC-135Aが空中衝突し墜落、B-52に搭載されていた4個の水爆が落下し、内2個によって土壌汚染が発生した。

 9月12日、ジェミニ11号(米)、打上げ。月ミッションを除いて地球から最も離れた飛行(遠地点1300km強)。


* 1967年

 ISO 668、いわゆる海上コンテナが規定される。

 4月9日、ボーイング737、初飛行。

 7月2日(UTC)、核実験監視用衛星ヴェラ、宇宙空間からガンマ線を検出。後にガンマ線バーストと呼ばれる現象。

 7月29日、米海軍 空母フォレスタル、火災が発生。デッキ上のF-4がロケット弾を誤射し他の機に衝突、炎上。ベトナム戦争中の当時は弾薬の不足によって旧式の爆弾も空母に運び込まれており、火災(過熱)に弱く、誘爆が多発してフライトデッキが破壊され、艦内にジェット燃料が流れ込むなどで被害が拡大した。初動にあたった正規のダメコンチームは早い段階の爆発に巻き込まれており、正式な訓練を受けていない乗員が対応にあたった。泡状消火剤を使うチームがある一方で、海水で消火しようとするチームもあり、迅速な消火が阻害された/* 油火災に水を使うと比重の軽い油が水の上を這って広範囲に拡大してしまう逆効果をもたらす */。第二次大戦以降は日本軍の特攻などを教訓に消化訓練等が強化されていたが、この頃になるとその教訓は失われていた。火災の直接の原因は、ロケット弾を点火するための信号を伝える配線が(正しくない運用により)早い時点で接続され、何らかの原因で信号を遮断するフライトピンが脱落し、F-4起動時のサージ電流によりロケット弾が発射された。この事故を受けて、ダメージコントロールを始めとして様々な見直しが行われた。

 8月、DODGE(米)、世界初の全球カラー画像を撮影。https://en.wikipedia.org/wiki/File:First_color_image_of_the_earth_from_outer_space_(Dodge_Satellite).png

 10月21日、エイラート事件。戦争中にあったエジプト・イスラエルにおいて、イスラエル海軍の駆逐艦「エイラート」がエジプト海軍のミサイル艇から発射された対艦ミサイルによって沈没した。対艦ミサイルが初めて実戦で戦果を上げ、基準排水量1700トンの駆逐艦が同62トンのミサイル艇によって沈められたことから、特に対艦ミサイルに懐疑的だった西側諸国に対して大きな衝撃を与えた。

 11月10日、ATS-3(米)、全球(フルディスク)カラー画像を撮影。世界初の全球撮影ではないが、DODGEの画像と比べて鮮明でノイズも少なく、雑誌の表紙に使用されるなどした。https://en.wikipedia.org/wiki/File:ATSIII_10NOV67_153107.jpg

 11月28日、ジョスリン・ベル、パルサーを発見。


* 1968年

 ヒューレット・パッカード、「計算機 HP-9100A」発売。コンピュータと呼ぶとIBMのコンピュータと比較されるため、「計算機(caluculator)」と呼ばれた。サイエンス誌の広告には「パーソナルコンピュータ」という表記が行われ、既知の中で最も初期のもの。周辺機器を含めると現在の価値で3.7万ドル。LSIを使用せず、ディスクリート部品で構成された。

 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』刊行。

 1月21日、チューレ空軍基地米軍機墜落事故。クロームドーム作戦中のB-52Gが機内火災により墜落、搭載されていた4個の水爆が海氷上に落下し周囲を汚染した。

 1月22日、クロームドーム作戦、終了。

 6月、ハワイ大学でALOHAnetの稼働が始まる。ハワイ諸島に分散するキャンパス間を接続するためのランダムアクセス無線ネットワーク。イーサーネットやWi-Fi、移動体通信や衛星通信など、様々な通信システムの基礎となった。

 6月30日、ロッキードC-5、初飛行。この機に採用されたGE TF39エンジンは高バイパス比ジェットエンジンとして初めて実用化されたもので、25%の燃費向上が実現した。

 7月1日、日本電信電話公社、信号通知業務を開始。初期のポケベル。後年のポケベルと異なり、文字の表示などはできず、ベルを鳴らす機能しかない。外出している営業職等に対してベルを鳴らし、折返し電話をさせて連絡を取る、というような用途で使われていた。

 7月10日、ミルV-12、初飛行。試作にとどまり量産はされなかったが、ICBMの輸送という要求から、積載重量40トン、最大離陸重量105トンという非常に大きなヘリコプター。/* 航空自衛隊が運用するC-2輸送機の積載重量は制限付きで36トン */

 10月17日、映画『ブリット』公開。携帯性の良いカメラ(Arriflex 35)を使用することで、それまでのようにスタジオセットでの撮影ではなく、実際の路上でカーチェイスシーンを撮影した。

 12月24日、アポロ8号のミッション中に「地球の出」が撮影される。


* 1969年

 シャープの卓上計算機QT-8D、発売。集積回路を使用した計算機として初めて大量生産されたもの。四則演算に対応。当時99,800円で発売され、10万円を下回った初めての電卓。日本メーカーはLSIを製造できず、ロックェルインターナショナルが製造した。QT-8DはAC電源を必要とするが、LSI化による消費電力の削減によって、翌年には電池で駆動可能なQT-8Bが発売された(QT-8Bは電池式として大量生産された初めての電卓)。

 アレシボ天文台の観測にて、水星の自転周期が公転周期と異なることを発見。

 スペンサー・シルバー(3M社)、強力な接着剤を開発中に弱い接着剤を作り出す。後に付箋紙に応用される。

 2月9日、ボーイング747、初飛行。

 3月2日、超音速民間旅客機 コンコルド、初飛行。

 7月16日、アポロ11号(米)、打上げ。

 7月17日、ニューヨーク・タイムズ、1920年の社説を3段落の声明で訂正。

 7月20日、アポロ11号(米)、史上初の有人月面着陸。

 10月29日、ARPANETにて最初のメッセージが送信されるも、2文字を送った時点でクラッシュする。復旧後、短いメッセージの送信に成功。

 12月25日、セイコー アストロン、発売。一般販売されたモデルとして世界初のクォーツ腕時計。8192Hzの水晶を使用。中型車1台分に相当する値段でありながら、1週間で100個を売り上げた。

「回転する固体ロケット推進剤の燃焼性」


* 1970年

 SERT-II(米)、打上げ。/* イオンエンジン累積7000時間の動作実証 */

 小説『Zettel’s Traum』出版。1冊として出版された最長の小説。後に英訳された際には1496ページで、重量は6kgに迫る。/* 広辞苑第七版机上版(大きい方)が本文2冊+別冊でおよそ3500ページ/4.8kg */

 1月1日、UNIX時間の原点。

 2月11日、L-4S#5 / おおすみ、打上げ。日本初の衛星軌道投入。

 4月8日、VELA(米)、最終組の打上げ。設計寿命は18ヶ月(1.5年)だったが、1985年までの15年に渡って運用された。米空軍によると当時最も長く運用された衛星と主張されている。

 8月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、5滴目が落下。

 9月25日、M-4S#1 / MS-F1、打上げ(失敗)。

 12月21日、グラマン F-14、初飛行。翼面を制御するために使用されたセントラル・エア・データ・コンピュータ(CADC)のMP944は6個の集積回路で構成され、375kHzで動作し、20bitの固定小数点演算が可能で、74,442個のトランジスタが使用されていた。翌年に発表されたIntel 4004は(MP944と異なり)シングルチップで動作する集積回路ではあるが、トランジスタ数はわずか2300個弱であり、4bitの演算しか行えなかった。集積回路の歴史において重要な位置を占めるにも関わらず、海軍は1998年まで機密に指定されていたために技術的にも曖昧な点が多い。


* 1971年

 最初期のマイクロプロセッサの一つ、Intel 4004が発表される。

 1月(または前年11月)、シャープの電卓LE-8、発売。QT-8Bを小型化したもので、片手で持って使うことができる(おそらく片手で保持と操作を行うことは難しい)。それまでの電卓は電子卓上計算機の名の通り卓上で使われていたが、このモデルでは手に持って使うことができるようになった。

 ソ連の技術者がトルクメニスタン ダルヴァザで油田の調査を行い、天然ガスを発見するも、崩落により埋没。死者は発生しなかったが、有毒ガスの発生を懸念した技術者は火をつけることで有毒ガスを燃やそうと考えた。当初は数週間で燃え尽きると考えられていたが、半世紀以上が経過した今も燃え続けている。

 2月16日、M-4S#2 / MS-T1(たんせい)、打上げ。

 9月18日、カップヌードル、販売開始。試験販売を除いて、最初のカップ麺。

 9月28日、M-4S#3 / MS-F2(しんせい)、打上げ。


* 1972年

 ジョン・バーディーン、ノーベル物理学賞を受賞(1956年の物理学賞に続き2度目)。物理学賞を2度受賞した唯一の人物(2020年時点)。

 ヒューレット・パッカード「HP-35」発売(現在の価値で2500ドル程度)。製品名はキーが35個あったことから(当初は単にThe caluclulatorと呼ばれていた)。世界初のポケットに入る関数電卓(「世界初のポケット電卓」というのは誤り)。当時のポケット電卓は四則演算しか行えず、三角関数や指数関数を行うポータブルな手段は計算尺しかなかった。最初の1年で10万台を売り上げ、3.5年後の生産終了時には30万台以上を売り上げた。発売された年のうちに宇宙飛行した最初の関数電卓となり、翌年から1年弱の間、スカイラブでも使用された。キーの表面は印刷ではなく2色の樹脂を使用して射出成形され、摩耗に対する耐性を持つ。56bitの浮動小数点で計算を行い、14桁のBCD(+1桁の小数点)で表示を行う。テキサス・インスツルメンツからの製品も合わせて、計算尺を急速に時代遅れとさせた。2007年には復刻版が約60ドルで発売された。

 米ニューメキシコ州アルバカーキにてATLAS-I(en)の建設が開始される。航空機に対する電磁パルス(EMP)の影響を調査する目的で作られた施設で、電磁パルスに対する影響を最小化するために金属を避けて木材が多用され、その量はオリンピックサイズのプール6杯分を超える。木材の結合に使用されるボルトとナットすら木材で作成され、完全に木材で作成された構造物として世界最大。

 3月2日、パイオニア10号(米)、打上げ。

 3月15日、山陽新幹線、開業。

 4月4日、オーストリア・ツヴェンテンドルフ原子力発電所、建設開始。運転開始前に国民投票によって運転が禁止されたため、1度も起動したことがない。本物の原子力発電所ではあるが、運転中の(あるいは運転終了後の)原子力発電所ほどのセキュリティクリアランスは求められず、映画の撮影等で使用されることがある。

 7月23日、LANDSAT1号(米)、打上げ。ほぼ同じ構成の衛星が75年、78年にそれぞれ2号、3号としても打上げられた。各衛星は5年から7年に渡って運用された。

 7月27日、マクドネル・ダグラス F-15、初飛行。

 8月10日、現地時間の昼過ぎ、アメリカからカナダの上空にかけて、地上57kmの高さを小天体が通過、火球が目撃される。通過後は宇宙空間へ飛び去った。1972年の昼間火球

 8月19日、M-4S#4 / REXS(でんぱ)、打上げ。

 11月、アタリ「ポン」稼働開始。卓球をモチーフにしたゲーム。世界で初めてヒットしたテレビゲーム。

 12月7日、アポロ17号の乗員、打上げからおよそ5時間後にザ・ブルー・マーブルを撮影。


* 1973年

 3月20日、小松左京『日本沈没(上・下)』刊行。上下巻を合わせて約500万部を売り上げるベストセラー。日本でのSF浸透に貢献し、作中に登場するプレートテクトニクス理論を日本に普及させる一因ともなった(ただし、SFを通してプレートテクトニクスが一般社会に普及するのとは対象的に、日本の地質学界はソ連に近い思想をしており、学会にプレートテクトニクスが受け入れられるのは一般社会で普及してから10年以上を要した)。

 4月6日、パイオニア11号(米)、打上げ。

 6月20日、F-14、スパローミサイルの試験中に、自身が発射したミサイルに衝突して墜落。AIM-7スパローミサイルはエネルギーを位置エネルギーの形で保持し、空気抵抗を減らす飛び方をするが、ミサイルが上昇する前に十分に加速されず、上昇した際に飛行機に衝突した。

 7月28日、ニューヨーク州ワトキンスグレンでのサマージャム。来場者数は60万人と推定され、これは当時のアメリカの人口の350分の1に相当する。10ドルの入場チケットは15万枚が販売され、それ以外の来場者は無料で視聴していた。各所に配置されたスピーカーは音速を相殺するためのデバイスが挿入されており、デジタル遅延線の最初の使用例。1000bitのシフトレジスタは「新車と同じ値段」であった。

 12月4日、パイオニア10号、木星へ最接近。


* 1974年

 パルサー、PSR B1913+16が発見される。連星系の公転速度減衰から重力波が強く示唆される。

 2月2日、ジェネラル・ダイナミクス YF-16の公式な初飛行(意図せざる飛行は1月20日)。/* アナログコンピュータにより制御された飛行機 */

 2月16日、M-3C#1 / MS-T2(たんせい2号)、打上げ。

 5月30日、ATS-6(米)、打上げ。最初の3軸安定化静止衛星、電気推進の実証(通信機器への妨害、観測機器へのコンタミの有無の検証)、素粒子物理学に関する実験、直接TV放送、その他、様々な実験・実証を行った。

 9月25日、映画『ジャガーノート』公開(米)。赤か? 青か?

 11月16日、アレシボ・メッセージ、2万5千光年彼方の球状星団M13へ向けて送信される。

 11月29日、シコルスキー・エアクラフト UH-60、初飛行。

 12月4日、パイオニア11号、木星へ最接近。


* 1975年

 2月3日、日本航空機集団食中毒事件。東京国際空港発、アンカレッジ・コペンハーゲン経由、シャルル・ド・ゴール空港着のB747便にて、朝食として提供されたオムレツによる食中毒が発生し、364人の乗員乗客のうち197人が症状を訴え、この内の30人は危険な状態に陥った。民間航空機史上最大の食中毒事件。当時は機長と副操縦士が別の食事をとる等の社内規程等は存在せず、パイロットが食中毒に陥らなかったのは偶然でしかない(このときに操縦を行っていたパイロットは時差の影響で夕食として提供される食事を食べていたため)。

 2月24日、M-3C#2 / SRATS(たいよう)、打上げ。

 4月30日、ベトナム戦争、終戦。

 4月30日、MIL-STD-1553A、制定。

 8月28日、ロビンソンR22、初飛行。4600機以上を売り上げるベストセラー機。

 9月9日、N-I#1 / ETS-I(きく1号)、打上げ。日本で初めての大型液体ロケットの打上げ。

 9月30日、マクドネル・ダグラス、AH-64、初飛行。

「人工衛星の3軸姿勢制御について」/* 慣性空間に姿勢を固定した衛星で恒星センサが使われ始めている。1つのホイールで姿勢制御と電力貯蔵をやりたいとか、大型のアーム(リアクションブーム)で姿勢制御と重力斜度によるアンローディングを行うとか、今では淘汰されたようなアイディアも多数 */


* 1976年

 アタリ、『ブレイクアウト』(いわゆるブロックくずし)を発表。

 シャープ、太陽電池付き電卓EL-8026を発売。太陽電池を搭載した電卓として最初の製品の1つ。

 LANDSAT1衛星、カナダの沿岸から20kmの地点に未確認の島を発見。わずか25x45mほどの島は後にLandsat Islandと命名された。

 1月21日、超音速旅客機コンコルド、運用開始。

 2月4日、M-3C#3 / CORSA、打上げ(失敗)。

 2月29日、N-I#2 / ISS(うめ)、打上げ。

 6月21日、四色問題がコンピュータを使用して証明される。コンピュータを使用して証明された初めての定理。

 9月6日、ベレンコ中尉亡命事件。

 10月18日、週刊少年ジャンプにて『こちら葛飾区亀有公園前派出所』連載開始。


* 1977年

 2月、ウルドゥー語による小説『Devta』の連載が始まる。

 2月19日、M-3H#1 / MS-T3(たんせい3号)、打上げ。

 2月23日、N-I#3 / ETS-II(きく2号)、打上げ。

 5月、星を継ぐもの、上梓。

 6月10日、Apple II、発売。

 6月23日、NTS-2(米)、打上げ。ニッケル水素電池(Ni-H2)を採用した初めての人工衛星。

 8月15日、Wow!シグナルを受信。

 8月20日、ボイジャー2号(米)、打上げ。

 9月5日、ボイジャー1号(米)、打上げ。

 10月30日、天然痘の最後の患者が確認された日。


* 1978年

 日本のすべての灯台が電化される。

 大阪水素工業(現岩谷瓦斯)、兵庫県尼崎市で大規模な水素液化プラントの稼働を開始。730L/h(1.2t/日)の製造能力。

 1月24日、コスモス954号がカナダ北西部に落下、放射能を帯びた部品が広い範囲に落下した。

 2月4日、M-3H#2 / EXOS-A(きょっこう)、打上げ。

 2月16日、N-I#4 / ISS-b(うめ2号)、打上げ。

 2月22日、OPS 5111(GPS I-1)、打上げ。GPSブロック1の最初の衛星。

 4月1日、クロード・リットル没後200年になることから、彼の業績が教師向けのニュースレターに掲載された。この時に作られた架空の逸話が後に国際純正・応用化学連合の雑誌に掲載されてしまった。

 4月2日、カナダ・ベル島において大爆発が発生し、爆音(Boom:ブーム)は55km離れた場所でも聞くことができた。電気配線が損傷し、テレビが爆発したという。そこに居合わせたロスアラモス研究所の職員の存在によって、爆音は秘密兵器の実験に由来するという陰謀論が囁かれるようになった。謎の爆音(ミステリー・ブーム)は前年から聞こえるようになっていたが、この内のいくつかはコンコルドの超音速飛行に由来する。残りの爆音は当初正体不明であったが、ロスアラモスの研究者は核兵器の実験を検出するためのVELA衛星の研究結果をもとに、「スーパーボルト」と呼ばれる巨大な雷が原因ではないかと仮定して調査を行っていた。

 6月、タイトー『スペースインベーダー』稼働開始。

 6月28日、SEASAT(米)打上げ。地球周回衛星として最初期の合成開口レーダー搭載衛星(Quillが先行していたが2012年まで機密指定されていた)。およそ100日と短命ながら、分解能25mという非常に鮮明な画像(同時期のLANDSAT3は分解能57x75m)を得ることができ、衛星SARの可能性を示した。そのあまりにも鮮明な画像から「潜水艦を追尾できてしまったために国家安全保障上の問題となる」という理由で早期に破壊された、という陰謀論が存在したほど(あとに続くより高性能なSAR衛星でも潜水艦を追尾することはできず、あくまでも陰謀論でしかない)。

 8月、イギリスにおいて天然痘の患者が発生。大学で保管されていたウイルスに接触し感染したと考えられている。これを契機に、研究目的で保管されていた天然痘ウイルスの大部分は破棄されたが、以降も古いサンプルや標本から培養可能なウイルスが発見されることがある。

 9月16日、M-3H#2 / EXOS-B(じきけん)、打上げ。

 9月21日、MIL-STD-1553B、制定。

 11月5日、オーストリア、原子力発電に関する国民投票において、50.47%(投票率64.1%)の僅差で反対派が上回り、ツヴェンテンドルフ原子力発電所の運転を行わない決定を下す。

 11月18日、マクドネル・ダグラス F/A-18、初飛行。

 12月、オーストリア、将来的に、国民投票を経ずに商用発電を目的とした核分裂炉の建設・運転を行うことを禁止する法律を制定(科学目的の小型原子炉は建設・運用されている)。


* 1979年

 2月、日本語ワープロ「JW-10」(東芝)、発売。重量はおよそ220kg、値段はおよそ630万円。

 2月6日、N-I#5 / ECS(あやめ)、打上げ(部分的な失敗)。

 2月21日、M-3C#4 / CORSA-b(はくちょう)、打上げ。

 3月5日、ボイジャー1号、木星へ最接近。

 4月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、6滴目が落下。

 4月7日、アニメ『機動戦士ガンダム(第1作)』放送開始。

 7月1日、初代ウォークマン、発売開始。開発のきっかけは当時の名誉会長が個人的に使うためにオーディオ事業部に開発を依頼したことから。

 7月9日、ボイジャー2号、木星へ最接近。

 9月1日、パイオニア11号、土星へ最接近。

 9月22日、ヴェラ事件。核実験を監視する目的で打上げられたヴェラ衛星が、核爆発に特有の信号を検出した。南アフリカとイスラエルによって実施された非公開の核実験である可能性が指摘されている一方で、外来ノイズに由来する物とする見方もある。

 10月12日、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の小説版が発売。

 11月9日、NORADがソ連から発射された250発の弾道弾を検知し、その後2200発まで増加。核爆弾を搭載した爆撃機の離陸準備が開始された。他のシステムによって誤警報であることが確認された。誤警報はトレーニング用のシナリオが実際のコンピューターに誤って読み込まれたことが原因。

 12月3日、ノック・ネヴィス、竣工。船名は最終的に使われたもの。全長460m弱で、最長の船。

 12月12日、NATO司令部、西ヨーロッパへ核弾頭の配備を決定。短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルに搭載。

「超低高度軌道変換衛星の概念設計」/* 近地点100km強の楕円軌道に投入されるスピン安定衛星の概念。この検討当時、日本はオンボードコンピュータ技術を持っていなかった */


* 1980年

 フレデリック・サンガー、ノーベル化学賞を受賞(1958年の化学賞に続き2度目)。化学賞を2度受賞した唯一の人物(2020年時点)。→2022年にバリー・シャープレスが2度目の化学賞を受賞。

 Shugart Technology(現在のシーゲイト・テクノロジー)、最初の5.25インチのハードディスクドライブ ST-506を発売。フォーマット後に5メガバイトの容量を有し、2019年のレートでおよそ4600米ドルの価格。

 1月6日、GPS週数の起点(GPSは週数と秒で時間を管理しているため、日曜日である1月6日から開始)。

 2月17日、M-3S#1 / MS-T4(たんせい4号)、打上げ。

 2月22日、N-I#6 / ECS-b(あやめ2号)、打上げ。

 4月28日、任天堂 ゲーム&ウオッチ、発売。

 5月8日、世界保健機関(WHO)、天然痘の根絶を宣言。人類が初めて根絶に成功したウイルス。人類に有害なウイルスとして唯一(2020年時点)。天然痘は人間以外に保菌者が存在しないため、人間に対する予防接種や隔離によって自然界に存在するウイルスを根絶した。アメリカとロシアの一部の研究機関では研究用にウイルスを保存しているため、ウイルス自体が地球上から消え去ったわけではない。これらの研究機関では、いわゆる「ならず者国家」が生物兵器の製造を目的に保存している可能性や、近年では比較的安価にウイルスを製造できるため、そのような事態への備えとして研究用のウイルスの保存を続けている。

 5月22日、ナムコ『パックマン』稼働開始。

 9月22日、イラン・イラク戦争、開戦。

 11月12日、ボイジャー1号、土星へ最接近。

「静止衛星間の衝突の確率及びその回避法」/* 静止衛星間の衝突の話題。通信衛星サイズであれば無視できる確率。宇宙太陽光発電システムのような大型の衛星では無視できない確率(衝突を回避しないと、確率的には数日で衝突する) */


* 1981年

 しんかい2000、進水。

 土星の北極に六角形の模様が発見される。

 2月11日、N-II#1 / ETS-IV(きく3号)、打上げ。

 2月21日、M-3S#2 / ASTRO-A(ひのとり)、打上げ。

 6月18日、ロッキード F-117、初飛行。

 8月10日、N-II#2 / GMS-2(ひまわり2号)、打上げ。

 8月25日、ボイジャー2号、土星へ最接近。

 10月27日、ソビエトS-363潜水艦(スウェーデンによる識別名はU137、NATOによる分類はウイスキー級)、スウェーデンで最大級の海軍基地の近くで座礁(当時この基地の付近では新型魚雷の試験が行われる予定だった)。ソビエトによる意図的な行為であるか、無能な操艦の結果であるか、結論は出ていない(スウェーデン政府は意図的説を採用)。スウェーデンの技術者がこの潜水艦には放射性物質が搭載されている可能性があると報告し、2006年にソビエト側の関係者が核魚雷が搭載されていたことを認めた。NATOによるウイスキー級の分類から、西側ではこの座礁事故を「ウイスキー・オン・ザ・ロック」と呼ぶこともある。


* 1982年

 VLBI、K-2システムで放送衛星(GEO)の軌道決定を実施(日本国内の2局)。

 放射線療法機器セラック25、販売開始。プログラムの不具合等の要因により、少なくとも5人が被爆によって死亡した。

 3月19日、フォークランド紛争、開戦。近代化された正規軍同士による初めての戦争。両国ともに西側の兵器を多く使用しており、同一の兵器を使用する場合もあった。この戦争で初めて使用された兵器も多い。

 4月から6月頃、インドネシア ジャワ島 ガルングン山の火山活動が活発化。

 5月4日、イギリス海軍駆逐艦「シェフィールド」に対してアルゼンチン軍が対艦ミサイル「エグゾセ」を発射、シェフィールドは被弾し、不発だったもののダメージコントロールに失敗、後に沈没。

 5月25日、イギリス空軍ジャギュア撃墜事件。訓練から帰還中のジャギュアGR1に対して、F-4が別の訓練として迎撃を行った。計画ではこのF-4にはAIM-9Gのイナート(シーカーが搭載されていてロックオンはできるが、推薬・弾頭は搭載されておらず発射できない訓練用のもの)を搭載する予定であったが、いくつかの要因によって実弾が搭載されたF-4が訓練に割り当てられた。F-4のクルーは実弾が搭載されてると認識しておらず、訓練の管制官も認識していなかった。F-4の点火回路のサーキットブレーカーは切断状態であったが、後の調査では部品の不具合によって適切に遮断されていなかった事が判明した。この時にジャギュアを操縦していたパイロットは無事に脱出し任務に復帰したが、数カ月後の9月10日にも今度は機体の火災によって緊急脱出を行った。

 6月14日、フォークランド紛争、終戦。

 6月23日、東北新幹線(盛岡駅以南)、開業。

 6月24日、ブリティッシュ・エアウェイズ9便エンジン故障事故。ボーイング747型機がインドネシア付近を巡航中にエンジンが全機停止した。十数分後に再始動に成功し、死傷者無しで付近の空港への着陸に成功した。7月13日にもシンガポール航空のB747が付近で同様の事故を起こした。4月3日にガルーダ・インドネシア航空DC-9が火山灰に遭遇している。さらに別の場所でも同様の事故が発生し、1990年代に航空路火山灰情報センターが設立された。この飛行は滑空機として設計されていない飛行機での最長滑空記録としてギネスブックに登録された(翌年にギムリー・グライダーが更新)。

 7月16日、LANDSAT4号(米)、打上げ。軌道上でGPS受信機を初めて使用(当時GPS衛星は4機がサービスイン)。

 9月3日、N-I#7 / ETS-III(きく4号)、打上げ。/* 水銀型のイオンエンジンを搭載 */

 10月1日、CDプレイヤーやCDソフトが発売開始。

 11月15日、上越新幹線、開業。


* 1983年

 カミオカンデ、完成。

 光速が定義値となる。

 1月22日、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦のネームシップ、USS Ticonderoga(CG-47)、就役。発注時はミサイル駆逐艦(DDG)の分類であったが、イージスシステムの登載を受け、任務や性能を考慮し、ミサイル巡洋艦(CG)へ変更された。

 1月23日、コスモス1402号が原子炉を載せたままインド洋へ落下。

 2月4日、N-II#3 / CS-2a(さくら2号a)、打上げ。

 2月20日、M-3S#3 / ASTRO-B(てんま)、打上げ。

 5月1日、ネゲヴ空中衝突事故。イスラエル空軍のF-15D戦闘機とA-4攻撃機が訓練中に空中衝突し、A-4の乗員はベイルアウトして生還、F-15は片翼をほぼ完全に失うも着陸に成功した。このF-15は修理された上で運用に復帰し、事故前の82年には4機の敵機を撃墜し、事故後の85年にさらに1機の撃墜を行った。

 6月6日、アライゴ事件。訓練不足のパイロットを乗せた整備不足の英海軍シーハリアー機が空母を見失い、通信を失ったため、付近の航路へ接近しコンテナ船「アライゴ(Alraigo)」を発見、彼の当初の計画は船の近くで緊急脱出を行うことだったが、船のコンテナが平らな面を形成していたため、ハリアーはコンテナの上に着艦した。4日後、船はハリアーを載せたままカナリア諸島サンタ・クルス・デ・テネリフェの港に到着し、航空機は回収されて2003年まで運用が続けられた。パイロットは一時的にオフィス勤務へ移されたが、後に追加の訓練を受けて飛行任務に復帰し、約3000時間の飛行を行った。この貨物船にはカナリア諸島ラパルマ島に設置するアイザック・ニュートン望遠鏡の部品が搭載されていた。

 7月15日、任天堂 ファミリーコンピュータ、発売。

 7月23日、エア・カナダ143便、燃料喪失により滑空状態でギムリー空軍基地へ緊急着陸。ギムリー・グライダー。ヤード・ポンド法からメートル法へ移行している時期で、誤った計算によって必要な量の燃料が補給されず、タンク内のセンサの故障により燃料が足りないことに気が付かずに飛行していた。エア・カナダはヤード・ポンド法とメートル法の移行期間を取りやめ、直ちにメートル法へ移行した。

 8月6日、N-II#4 / CS-2b(さくら2号b)、打上げ。

 9月1日、大韓航空機007便撃墜事件。ヒューマンエラーによってソ連領内に侵入した大韓航空機B747をソ連軍が撃墜し、米下院議員を含む乗員乗客269人全員が死亡した。

 9月26日、ソ連核誤警報事件(en)。早期警戒衛星が米国から発射された数発の大陸間弾道ミサイルを検知した。本来は探知した時点で報復核攻撃が開始される手順となっていたが、当直の将校は、アメリカが先制核攻撃を行う場合は報復能力を削ぐために大量のミサイルを使うはずだとして、また、運用が開始されて歴史が浅いこのシステムの信頼性を疑い、この検知を誤報だと判断した。後に、システムが誤動作していたことが確認された。同月の大韓航空機撃墜事件によって米ソ間の緊張が高まっていた時期だった。

 11月、ブルース・べスキによる小説『サイバーパンク』発行。

 11月7日、NATOによる年次の演習「エイブルアーチャー83」開始(11日まで)。無線封止や首脳陣の参加など、より現実的なシナリオに沿うように変更が行われた。ソ連は米ソ間の緊張や、この演習に合わせるようにヨーロッパへ核弾頭が搬入されていることなどを合わせて、この演習が本物の先制核攻撃のための準備であると誤認し、自国の作戦機に対して核弾頭の搭載を開始するなど、戦争の準備を開始した。これによってキューバ危機以降で最も核戦争に近づいた瞬間とする主張がある。

「太陽電池パドル(展開型)の開発」/* 大面積の太陽電池パドルの展開に関する話 */


* 1984年

 VLBI、日米豪の3カ国4局による大陸間規模での静止衛星の軌道決定を実施。

 1月23日、N-II#5 / BS-2a(ゆり2号a)、打上げ。

 2月14日、M-3S#4 / EXOS-C(おおぞら)、打上げ。

 3月1日、LANDSAT5号(米)、打上げ。4号機と並行して製造され、4号機の不具合対策を行なった後に打上げ。当時、スペースシャトルで回収し修理する目的で、回収のための軌道変更に必要な大量の燃料を搭載しており、スペースシャトルでの回収が破棄された後は軌道維持に使用された。そのため燃料に起因する運用期間の制限が大幅に伸び、3年のミッション予定を超えて29年3ヶ月4日に渡って運用され、地球観測衛星の稼働時間としてギネス記録に認定された。

 6月6日、初めてプレイ可能なテトリスが開発された(ソ連)。

 8月10日、N-II#6 / GMS-3(ひまわり3号)、打上げ。

 8月15日、モヌン湖(カメルーン西部)の湖水爆発により37人が死亡。火山地帯の中心近くにあるこの湖には大量の二酸化炭素が溶解しており、何らかのイベントによって湖底近くの高圧ガスが閉じ込められた水が上昇すると大量の二酸化炭素が放出される。二酸化炭素は酸素よりも重いために、地面を這うように周辺へ拡散する。死者の中にはトラックに乗った12人のうちの数名も含まれていた。トラックは二酸化炭素によってエンジンが停止し、トラックから降りた乗客は二酸化炭素を吸い込み死亡した。トラックの上に乗っていた2人は二酸化炭素を逃れて生き延びることができた。当初はテロが疑われるなど原因不明であったが、2年後のニオス湖の湖水爆発によって、モヌン湖のこの事件も湖水爆発が原因と考えられている。/* 湖水爆発が発生した2つの湖はどちらもカメルーンに位置し、比較的近い距離にある。また、湖水爆発を起こす可能性がある湖はこの2つを含めて世界で3箇所が確認されている。のこりの1つはコンゴ・ルワンダにまたがるキブ湖で、これは非常に大きな湖であり、約1000年ごとに大規模な湖水爆発を起こしていると考えられている。 */

「2次推進系」/* アポジキックを除く、衛星に搭載された推進系の話題。各種のコールドガスやホットガス、イオンエンジン等の話題。イオンエンジンは水銀を使っていたり、1液ホットの性能改善を目的として電熱線で加熱して熱でヒドラジンを分解したり、いろいろ工夫してる。 */


* 1985年

 1月8日、M-3SII#1 / MS-T5(さきがけ)、打上げ。

 1月11日、パーシングIIミサイルの爆発事故。保管場所からミサイルステージを取り出している最中に、乾燥した空気中でケブラー製のモーターケースに溜まった静電気によってモーターが外壁付近から発火、爆発した(通常の固体モーターと同様に内面燃焼であり、外面付近で点火した場合は圧力が抜けず、圧力の上昇によって加速度的に燃焼する)。1986年後半に適切な接地の手順が策定されるまで、一時的にミサイルの輸送は停止された。

 4月12日、スペースシャトルディスカバリー号、打上げ(STS-51-D)。ジェイク・ガーン(元空軍パイロット)は、アメリカ議会上院議員として初めて宇宙飛行に参加。「国民の税金が正しく使用されているかを確認する」という目的が含まれていた。彼が経験した宇宙酔いはひどいもので、宇宙酔いの尺度として「ガーン」が使用される由来となった(1ガーンは被験者が完全に無能になった状態)。

 8月19日、M-3SII#2 / PLANET-A(すいせい)、打上げ。

 9月13日、F-15から発射された衛星攻撃兵器 ASM-135が人工衛星ソルウィンド(米)に命中。


* 1986年

 1月24日、ボイジャー2号、天王星へ最接近。

 1月28日、スペースシャトル チャレンジャー号爆発事故。

 2月9日、ハレー彗星接近。有史以降、最も観測に不向きな条件だったが、各種探査機によって観測される。

 2月22日、N-II#7 / BS-2b(ゆり2号b)、打上げ。

 5月16日、映画『トップガン』公開(日本では12月6日から)。

 8月13日、H-I#1(試験機) / EGS(あじさい) / MABES(じんだい) / JAS-1(ふじ)、打上げ。

 8月21日、ニオス湖(カメルーン北西)の湖水爆発により1746人が死亡。約3500頭の家畜も死亡した。湖から突如約1.2立方キロメートルの二酸化炭素が放出され、周囲に拡散した。放出後は水位がおよそ1メートル低下した。


* 1987年

 2月5日、M-3SII#3 / ASTRO-C(ぎんが)、打上げ。

 2月19日、N-II#8 / MOS-1(もも1号)、打上げ。

 2月23日、大マゼラン雲で超新星(SN 1987A)出現。ニュートリノを検出。

 3月、東芝機械ココム違反事件、第一報。

 3月9日、ソ連 Yak-141、初飛行。

 5月17日、アメリカ海軍ミサイルフリゲート「スターク」に対してイラク空軍ミラージュF1が「エグゾセ」を発射、2発が命中し内1発の弾頭が作動。ダメージコントロールにより沈没を免れる。イラン・イラク戦争当時、アメリカはイラクを支援しており、イラク軍からの攻撃は想定されていなかった。イラク軍はタンカーと誤認して攻撃したとされている。この事件を受け、アメリカ海軍は交戦規定を変更し、必要に応じて先制攻撃も行えるようにしたが、これが翌年のイラン航空撃墜事件の原因の一つとなった。

 7月11日、世界人口が50億人を超えたと推定。1989年に同日を「世界人口デー」と定める。

 8月27日、H-I#2(試験機) / ETS-V(きく5号)、打上げ。

 12月9日、対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件。ソ連爆撃機が沖縄本島の領空や沖永良部島・徳之島の領空に侵入し、自衛隊史上始めてとなる実弾警告射撃を行った。


* 1988年

 太陽系外惑星の発見(ただし確定したのは2002年)。

 米大統領専用機(エアフォースワン)のゲストに対するお土産としてM&M'sが配られるようになる。それ以前は20本のタバコとマッチのセットが送られていたが、当時のレーガン大統領の政策で対麻薬キャンペーンが行われ、ファーストレディーの提案によってエアフォースワンの内が禁煙とされたことから、より健康的なキャンディを配るようになった。

 バンド「Mission of Burma」、Rykodiscレーベルでコンピレーションアルバムを発売。収録時間が80分を超えた初めてのCD。/* Rykodiskは日本語の「雷光」に由来する */

 2月19日、H-I#3 / CS-3a(さくら3号a)、打上げ。

 3月13日、青函トンネル、開通。

 7月、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、7滴目が落下。

 7月3日、米海軍 USS ヴィンセンス(CG-49)、ホルムズ海峡においてSM-2艦対空ミサイルを発射。イラン航空655便撃墜事件

 8月20日、イラン・イラク戦争、終戦。

 9月16日、H-I#4 / CS-3b(さくら3号b)、打上げ。


* 1989年 (昭和64年(1月7日まで)、平成元年(1月8日から))

 GREAP-1。重力天体用の計算機であるgravity pipeの試作品が作成された。

 1月19日、しんかい6500、進水。

 2月14日、GPS衛星ブロックIIの1号機、打上げ。ブロック1は概念実証のためのシステムであり、実用的なGPS衛星としては初めての打上げ。デルタIIロケットの初めての打上げでもある。

 2月22日、M-3SII#4 / EXOS-D(あけぼの)、打上げ。

 3月6日、巨大な太陽フレアが発生。

 3月9日、コロナ質量放出が発生。

 3月13日、地球が深刻な磁気嵐に襲われる。テキサス州などの南方でもオーロラが観測された。

 3月19日、ベル・ヘリコプター/ボーイング・バートル V-22、初飛行。

 4月1日、日本で消費税が導入される。3%。

 4月21日、任天堂 ゲームボーイ、発売。

 5月、『攻殻機動隊』初出。

 7月17日、ノースロップ・グラマン B-2、初飛行。

 8月25日、ボイジャー2号、海王星へ最接近。

 9月6日、H-I#5 / GMS-4(ひまわり4号)、打上げ。

 11月9日、深夜から翌日にかけて、ベルリンの壁が壊される。

 12月15日、KMLオランダ航空867便エンジン停止事故。アムステルダム発 新東京国際空港(現成田)着の便。ボーイング747型機がアラスカ上空を飛行中にすべてのエンジンが停止した。いくつかのエンジンの再始動に成功し、アンカレッジへ着陸した。死傷者は発生しなかったが、積み荷の鳥やカメが倉庫で発見される前に死亡した。


* 1990年 (平成2年)

 1月7日、ピサの斜塔、5.5度まで傾き、安全上の問題から公開を休止。

 1月24日、M-3SII#5 / MUSES-A(ひてん)、打上げ。

 2月7日、H-I#6 / MOS-1b(もも1号b) / DEBUT(おりづる) / JAS-1b(ふじ2号)、打上げ。

 4月1日、RFC 1149 『鳥類キャリアによるIP』発表。メッセージ衝突の自動回避やワームの駆除などの優位性が説明されている。RFC 2322等で参照されている。

 4月24日、ハッブル宇宙望遠鏡(米)、打上げ。

 6月10日、ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故。窓ガラスを交換した際に固定するネジを目視で選んだため、正しいものより細く短いボルトが使用され、外側から固定する構造の窓が気圧差に耐えられずに脱落した。機長が窓から吸い出されるが、途中で引っかかり、死者は0人であった。

 8月2日、湾岸戦争、開戦。湾岸戦争の間、軍用GPSの不足によって民間のGPS受信機が購入され、この際に選択利用性(SA; Selective Availability)が問題になったことから、一時的にSAが解除された。

 8月28日、H-I#7 / BS-3a(ゆり3号a)、打上げ。

 9月29日、ロッキード・マーティン/ボーイング YF-22、初飛行。

 11月21日、任天堂 スーパーファミコン、発売。


* 1991年

 すばる望遠鏡、ファーストライト。

 イグノーベル賞が始まる。

 アメリカ カルフォルニア州ベイカーに巨大な温度計が設置された。1913年に記録された134°Fにちなみ、高さ134f(41m)の高さを持つ。世界で最も高さのある温度計。

 2月25日、イラクからサウジアラビア ダーランの米軍施設に対してスカッドミサイルが発射され、これ対してパトリオットミサイルによる迎撃が行われるも失敗、28人が死亡した。原因は、時間管理ソフトウェアの不適切な丸めによって10分の1秒毎に約0.1マイクロ秒の誤差が発生し、このときのシステムの連続稼働時間は100時間に達しており、合計でおよそ0.3秒の誤差が発生していた。距離にして600mの誤差となり、目標の捕捉に失敗した。11日にイスラエル軍が長時間起動していた際に迎撃率が低下することを発見し、メーカーに報告した上で、部隊内では定期的にシステムを再起動することを推奨していた。修正プログラムは26日に米陸軍に提供された。

 2月28日、湾岸戦争、終戦。

 3月3日、仁摩サンドミュージアム、開館。世界最大を誇る砂時計は開館前の1月1日から動き始め、1年をかけて1トンの砂が落ちる。

 6月21日、「可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約」が発効。爆発物マーカーが含まれていない可塑性爆薬(プラスチック爆薬)の製造等を禁止する条約。1988年のパンナム機爆破事件を契機として制定された。

 7月4日、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のネームシップ、USS Arleigh Burk(DDG-51)、就役。

 8月25日、H-I#8 / BS-3b(ゆり3号b)、打上げ。

 8月30日、M-3SII#6 / SOLAR-A(ようこう)、打上げ。

 10月15日、「オーマイゴッド粒子」の検出。300EeV(エクサ電子ボルト)と、それまでの観測史上で最大で、時速100kmの野球ボールの運動エネルギーに匹敵する。宇宙マイクロ波背景放射によるGZK限界(1966年提唱)によって、4EeVを超える宇宙線は1.5億光年程度しか到達できず、その範囲内では十分な加速が行われないため、これほどの高エネルギーが実際に観測されるとは想定されていなかった。これ以降もGZK限界を超える宇宙線はいくつか確認されている。

 12月6日、英The Welding Instituteによって摩擦攪拌接合に関する最初の特許が日本・アメリカ・ヨーロッパの3箇所で出願される(95年10月にアメリカ、同11月にヨーロッパ、97年11月に日本で確定した)。

 12月25日、ソビエト連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフの辞任によってソ連解体。


* 1992年

 最初に確認された太陽系外惑星の発見(パルサーを周回するスーパーアース)。

 2月12日、H-I#9 / JERS-1(ふよう1号)、打上げ。

 8月12日、ジョン・ケージ(音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家)、死去。

 8月13日、Optus B1(米) / 長征2号E、打上げ。中国のロケットでの打上げが承認された最初の米国製の衛星。

 12月24日、Oputus B2(米) / 長征2号E、打上げ(失敗)。当初は打上げ失敗の原因はわからなかったが、後の衛星での同様の事故を解析した結果、フェアリング(と空力)によって衛星が破壊されたと判断された。


* 1993年

 航空自衛隊、平成5年度予算にてE-767を2機発注(さらに6年度予算で2機)。極端な対米貿易黒字に対する配慮などから、言い値で購入。

 2月10日、GPSを使用する兵器の最初の飛行試験。F-16から投下され標的の建物に直撃。

 2月20日、M-3SII#7 / ASTRO-D(あすか)、打上げ。

 12月10日、id Software『DOOM』がPC-DOS向けに発売。後にはソースコードがGPLで公開されたため、関数電卓やスマートウォッチなどありとあらゆるプラットフォームへの移植が行われている。

「搭載型光ディスクデータレコーダの研究について」/* 衛星のデータレコーダの話題。磁気テープ使い勝手悪いよね、光磁気ディスク載せようよ! な提案。 */


* 1994年

 QRコード、発明される。

 2月4日、H-II#1(試験機) / OREX(りゅうせい) / VEP(みょうじょう)、打上げ。OREXには日本の宇宙機として初めてGPS受信機(東芝製5ch)が使用された。

 6月12日、ボーイング777、初飛行。

 7月5日、Amazon.com、設立(Cadabra, inc.として)。

 7月16日から7月22日、シューメーカー・レヴィ第9彗星、木星へ衝突する。

 8月28日、H-II#2(試験機) / ETS-VI(きく6号)、打上げ。ETS6、打上げ質量3.8トン(軌道上初期約2トン)、衛星間通信や光通信などの実験、ニッケル水素電池や電熱式ヒドラジンスラスタの実証など。

 12月3日、ソニー、PlayStation、発売。

「高圧側で燃焼中断する固体推進薬」

「ペネトレータによる月探査計画」


* 1995年

 1月15日、M-3SII#8 / EXPRESS、打上げ(失敗)。

 1月25日、ノルウェー・ロケット・インシデント(en)。ノルウェーから発射された観測ロケットがロシアのレーダーによって探知され、トライデントSLBMの高高度核爆発によるEMPを使用してロシアの防衛システムを破壊する目的だと判断され、報復核攻撃の手順が開始された。核保有国が核攻撃の準備を開始したことが知られている唯一の事例。ロケット関係者は事前にロシアを含む30カ国に対して事前通知を行っていたが、レーダーを運用する部隊には情報共有が行われていなかった。ソ連解体から数年後のこの時期、ロシアは依然として米国やNATOは先制核攻撃を行うのではないかと疑っていた。

 1月26日、通信衛星Apstar 2(米)を載せた長征2号E(中)が打上げに失敗。当時、スペースシャトルの事故に伴い米国からの人工衛星の打ち上げが停滞しており、人工衛星を国務省から商務省に移管し、ITAR規制も部分的に解除して中国のロケットを使用できるようにしていた。米国側はフェアリングの振動が原因であるとし、中国側は衛星の問題だと非難し合った。

 2月13日、フェルマーの最終定理、誤りがないことが確認された。

 3月18日、H-II#3(試験機) / GMS-5(ひまわり5号) / SFU、打上げ。

 7月7日、スリーズ(仏:Cerise、英語でcherryの意味)、打上げ。諜報目的でHF電波を受信する軍事衛星。

 10月4日、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』放送開始。

 11月22日、F-15僚機撃墜事故。スクランブル予備機(実弾搭載状態)を使用して訓練を行っており、誤って実弾のミサイルが発射された。空対空戦闘によってF-15が撃墜された世界初の事例。

 12月18日、ハッブル・ディープ・フィールド、観測開始。


* 1996年

 昨年に打上げられるも目標軌道への投入には失敗し、太平洋へ落下したと思われていたEXPRESSがガーナで発見された。

 1月、USB 1.0、仕様発行。12Mbps。

 2月、ディープ・ブルーとガルリ・カスパロフの対戦。カスパロフが勝利。

 2月15日、通信衛星Intelsat 708(米)を載せた長征3号B(中)が打上げに失敗。ロケットの誘導装置の故障が原因。衛星には高度な暗号化技術が搭載されていたが、いくつかは回収され、残りはヒドラジンタンクの近くに設置されていたことから爆発で破壊され、安全保障への影響は無いとされた。事故調査のレポートはITAR規制がかかっていたが、衛星メーカーを通じて違法に中国に渡っていたことが発覚し、メーカーに対して2000万ドルの罰金が課された。1996年以降、人工衛星の中国への輸出許可は発行されていない。

 2月21日、J-1#1(試験機) / HYFLEX、打上げ。

 4月1日、スーパーカミオカンデ、稼動開始。

 4月24日、MSX(Midcourse Space eXperiment)衛星、打上げ。ミサイル防衛のデモンストレーションを目的にした衛星。遠赤外線から紫外線までの観測が可能で、天文観測も行われた。打上げに使用されたデルタIIロケットは、翌年に大気圏へ再突入した際に破片を生じ、人間へ衝突した(幸いにも大事には至らなかった)。

 7月24日、スリーズ(仏)からの通信が途絶。調査の結果、アメリカのレーダーによって軌道の変化と姿勢の乱れが確認された。重力斜度を利用した姿勢安定化を採用した衛星であったが、マストに対してデブリが衝突・破損したことによって姿勢安定が失われたと結論付けられた。軌道上で発生したスペースデブリの衝突として確認された最初の事例。この際に衝突した破片は1986年に打上げられた同国のロケットの破片であった。

 8月17日、H-II#4 / ADEOS(みどり) / JAS-2(ふじ3号)、打上げ。

 9月、パナソニック「CF-25」発売開始。現場作業でも道具のように使用できる壊れないノートパソコン、というコンセプト。

 10月1日、世界初のDVD-Videoソフト販売。

 11月23日、バンダイ「たまごっち」発売。


* 1997年

 Google、設立。

 1月17日、デルタII#241 / GPS IIR-1、打上げ(失敗)。固体燃料ロケットブースタの加圧試験時に亀裂が発生し、見逃されていた。T+6秒頃から亀裂が拡大し、破片によって隣のブースタも破損した。T+13秒頃、高度500m付近で、何らかの要因によって自動的に指令破壊が行われた。第1段の液体燃料タンクは直ちに破壊され、上段は少し遅れて手動で指令破壊された。固体燃料の破片は燃えながら周囲に飛散し、いくつかの火災が発生した。デルタIIロケットとして完全な失敗はこの1例のみ。YouTube

 1月22日、ロッティ・ウィリアムズ(Lottie Williams)、オクラホマ州タルサの公園で運動中に6インチの黒ずんだ金属で肩を叩かれる。記録上で唯一スペースデブリに襲われた人物。前年4月にMSX衛星を打上げたデルタIIが30分ほど前に大気圏に突入しており、彼女はその火球を目視していた。後にNASAはその物体がロケットと同じ材料であると示した。破片は軽量であったため落下速度が小さく、幸い大事には至らなかった。

 2月12日、M-V#1号機 / MUSES-B(はるか)、打上げ。

 2月13日、貨物船「Tokio Express」(ハンブルク)、イングランド島南部の沖を航行中に巨大な波に遭遇、最大60度の傾斜をへて62個のコンテナを喪失した。コンテナの一つには500万個弱のレゴピースも含まれ、大量のプラスチックが海洋へ放出された。/* 同型船が4隻建造されており、それぞれハンブルグ、ブレーメン、東京、香港の名が冠されている Tokioは東京のドイツ語表記 */

 3月13日、アメリカ・アリゾナ州などで「フェニックスの光」が目撃される。

 5月、ディープ・ブルーとガルリ・カスパロフの2回目の対戦。ディープ・ブルーが勝利。

 6月、IEEE 802.11、策定。

 6月26日、ハリー・ポッター第1作『賢者の石』発売。初版は500部。

 6月30日、ADEOS(みどり)、運用終了。

 9月7日、ロッキード・マーティン/ボーイング F-22、初飛行。

 9月21日、タイコンデロガ級巡洋艦ヨークタウン(CG-48)、スマート・シップ・テストベッドとしての運用中にゼロ除算エラーが発生。推進システムが停止し、3時間に渡って漂流した。

 10月、SPring-8、稼働開始。

 10月1日、北陸新幹線、開業。

 10月15日、土星探査機 カッシーニ(米欧)、打上げ。

 10月15日、スラストSSC(Thrust Super Sonic Car)、自動車の速度記録を更新。自動車が初めて音速を突破した。この記録はFIAの公式記録であり、非公式には13日に超音速を突破している(その際はレギュレーションの1時間以内にわずかに遅れたため、公式記録として認定されなかった)。

 11月28日、H-II#6 / TRMM / ETS-VII(きく7号)、打上げ。

 12月10日、ユタ州のダグウェイ実験場において、B-52H爆撃機からAGM-129A ACMミサイルの発射試験が行われた。当ミサイルは核弾頭搭載型であるが、この試験の際には非活性の模擬弾頭が使用された。およそ3.5時間の飛行の後、核爆発の汚染を軽減するための機動を模擬したあとに飛行制御を終了し、制御不能な状態で落下し、ユタ大学と東京大学によって実施されていた宇宙線観測実験(Fly's Eye)の機材に衝突した。


* 1998年

 パークス天文台の電波望遠鏡にて数ミリ秒の電波を受信するようになる。伝説の生物であるペリュトンと呼ばれる。2015年、動作中に開かれた電子レンジから漏れた電波が原因であると判明。

 ETS-VII、GPS相対航法で自動ランデブ(世界初)。

 2月21日、H-II#5 / COMETS(かけはし)、打上げ(部分的な失敗)。

 4月30日、Epic Games『Unreal』発売。使用されたゲームエンジンはUnreal Engineとして発展していく。2002年には販売数が150万本に達した。

 7月4日、M-V#3号機 / PLANET-B(のぞみ)、打上げ。

 8月31日、北朝鮮、光明星1号の打上げに成功したと主張。これを契機に日本政府は情報収集衛星やミサイル防衛システムの導入を決定。

 9月、USB 1.1、仕様発行。12Mbps。

 11月20日、カザフスタン バイコヌール宇宙基地から「ザーリャ(ZARYA)」が打上げられた。ISSの部品として最初に軌道上に置かれた。数週間後に米国のモジュールがスペースシャトルによって打上げられ、ドッキングした後に宇宙飛行士が入室した。


* 1999年

 2月7日、スターダスト(米)、打上げ。

 3月10日、宇多田ヒカル、1stアルバム「First Love」リリース。2014年(15年間)で累計765万枚の売上。

 4月、月刊少年エースにて『ケロロ軍曹』連載開始。

 4月1日、RFC 2549。RFC 1149の修正。

 5月、ソニー「AIBO」発表。7月から発売。

 5月3日、カルギル戦争、開戦(7月26日まで)。インドとパキスタンの領土問題を発端とする。近代化された戦争として初の山岳戦。核保有国同士の唯一の戦争(2020年時点)。この時にインドは米国に対してGPSデータの提供を要求したが、米はそれを拒否し、インドのIRNSS(NavIC)開発を始める一因となった。

 7月26日、Bluetooth仕様書バージョン1.0、発表。

 8月21日、GPSの1回目の週ロールオーバー(GPS 1999年8月21日問題)。

 8月25日、SDメモリーカードが発表される。

 9月23日、マーズ・クライメイト・オービター、火星周回軌道への投入に失敗。ヤード・ポンド法とメートル法の取り違えにより低い高度へ投入され、破壊された。

 11月15日、H-II#8 / MTSAT-1、打上げ(失敗)。日本のロケットで初めて指令破壊を行った。

 12月24日、H-IIロケット8号機のエンジンを、太平洋の海底3000mから発見。

 12月31日、ロングナウ時計(Clock of the Long Now)、最初のプロトタイプが作動開始。ロングナウ時計は1万年時計とも呼ばれ、その名の通り1万年以上の稼働を期待されている。そのため通常の時計の時報にあたる動作は1000年に1度に設定されており、西暦1999年から2000年へ変わったタイミングで鐘が2回鳴った。ロングナウ時計のコンセプトとしては、盗難される危険性の高いルビーなどの耐摩耗性の高い部品は使用せず、青銅器時代の材料や道具で修理が可能で、修理の前に時計を止めずに機構を十分に観察できるように部品が配置され、地球の自転速度の変化といった外因にも対応可能な機構であり、小さなプロトタイプで動作確認ができるようにスケーラビリティが求められている。動力源や時間精度を維持する手法などでこれらの条件を満たすように様々な提案が行われている。


* 2000年

 Microsoft Windows 2000、リリース。

 2月10日、M-V#4 / ASTRO-E、打上げ(失敗)。

 3月4日、ソニー、PlayStation 2、発売。

 3月29日、有珠山に対する緊急火山情報。初めて噴火前に緊急火山情報が出され、事前の避難に生かされた。

 4月、USB 2.0、仕様発行。480Mbps。

 5月2日(UTC)、GPSから人為的に与えられた誤差(Selective Availability)が解除された。

 5月13日、エンスヘーデの花火事故(en)。オランダ エンスヘーデにある花火工場で爆発が発生、23人が死亡し約1000人が負傷した。400戸の家屋が破壊され、1500戸の家屋が被害を受けた。1回目の爆発はTNT換算800kgほどの威力だったが、2回目の爆発では同4-5トンクラスの威力であり、60km離れていても感じることができた。最終的に177トンの花火が爆発した。事故以前の工場は良好な安全記録があったが、事故後の調査では違法に輸送コンテナで花火を保管していた等の問題が明らかになった。工場は当初は郊外に位置していたが、やがて住宅街に囲まれるようになった。周辺の住人はこの地域に花火倉庫があることを知らないものもいた。市当局は工場移転の費用を市が払うことになるのを恐れて安全管理の監督を怠っていた。爆発のあった工場はドイツ国境から数kmの位置であったため、ドイツの消防隊も国境を超えて対応にあたった。

 10月20日、ロッキード・マーティン X-35、初飛行。

 11月28日、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、8滴目が落下。


* 2001年

 Microsoft Windows XP、リリース。

 2月28日、コラールゴールドフィールズ(コーラル金鉱)、金価格の下落などによって採算が合わなくなり閉鎖。この施設へ1889年に設置された発電機はインドで最初期の発電設備のひとつ。1960年代以降は当時最も深い坑道として素粒子物理学実験にも活用された。

 6月16日、ピサの斜塔、改修工事が終了し公開を再開。是正後の角度は約3.9度。

 7月20日、映画『千と千尋の神隠し』公開。

 8月29日、H-IIA(試験機)#1 / VEP-2 / LRE、打上げ。

 8月29日、数回のティーンエイジメッセージの送信が始まる(en)。初めての恒星間音楽放送。「地球外知的生命体も知っている物理法則ではなく、人類固有の芸術を送信する」とのこと。単純な正弦波信号を作るために、楽器にはテルミンが選ばれた。

 9月9日、2001年9月9日問題。1970年1月1日0時からの経過時間を秒で表すシステムで桁数が9桁から10桁に変わることから、時間を10進文字列で処理しているシステムなどで不具合が発生した。次回は2286年11月20日に10桁から11桁へ変わる。

 11月12日、スーパーカミオカンデ、光電子増倍管の爆縮により連鎖的に崩壊、70%を損失した。

 11月15日、マイクロソフト Xbox、発売。

 11月17日、アップル、iPod、発売。5GBのハードディスクを内蔵。


* 2002年

 RIM-161スタンダードミサイル3、標的へ衝突に成功。

 ニック・ウッドマン、サーフィン旅行でオーストラリアなどへ。望み通りの撮影をすることができず、小型カメラを開発する会社を設立。後のGoPro。

 2月4日、H-IIA(試験機)#2 / MDS-1(つばさ) / DASH / VEP-3、打上げ。ロケットは正常に飛行し、それぞれの衛星は目的の軌道へ投入された。ただしDASHは設計ミスによりロケットから分離することができなかった。事前のテストでは設計図通りに製造されていたことを確認したのみで、設計ミスの有無まで踏み込んだ確認は行われていなかった。

 3月15日、初代地球シミュレータ、運用を開始。

 9月、タカラ「バウリンガル」発売。犬とのコミュニケーションツール。

 9月10日、H-IIA#3 / DRTS(こだま) / USERS、打上げ。

 10月、ソニー、CCDを製造する際に使用する接着剤を変更。接着剤の成分によって急速に劣化が進行し、製造から2年ほど経過して配線が破断する不具合が発生するようになる。影響を受けるCCDは1000万個以上、使用するカメラは100機種以上に及んだ。

 11月11日、しんかい2000、1411回目の潜航を行い、運用停止。

 12月1日、東北新幹線(盛岡駅以北)、開業。

 12月14日、H-IIA#4 / ADEOS-II(みどりII) / FedSat(豪) / WEOS(観太くん) / μ-LabSat、打上げ。


* 2003年

 PCI Express 1.0。2.5GT/s。

 タカラ「ミャウリンガル」発売。猫とのコミュニケーションツール。

 小惑星ゴレブカ(6489 Golevka)の観測で初めてヤルコフスキー効果が確認される。小惑星の名前は1995年の観測に使用された3箇所の天文台(GOLdstone, EVpatoria, KAshima)の名前から。小惑星の平均直径は0.53km、自転周期は6時間、近日点は0.99 au、遠日点は4.0 au。

 1月、SATAリビジョン1.0。1.5Gbps。

 2月1日、スペースシャトル コロンビア号空中分解事故。

 3月、miniSDカード、発表。

 3月20日、イラク戦争、開戦。アメリカ軍は以前より人工衛星への依存を強めていたが、この戦争ではイラク側がGPSに対する電波妨害を行い、宇宙が作戦領域の一部として認識され始めた。

 3月28日、H-IIA#5 / IGS-1A / IGS-1B、打上げ。

 5月9日、M-V#5 / MUSES-C(はやぶさ)、打上げ。

 5月18日、ベルギーの連邦選挙中に、ブリュッセル スカールベーグの集計で、総票数を超える得票数を得た候補者が発生した。調査の結果、再集計した得票数と異常な得票数の差が4096票であり、2の12乗であることから、コンピューターシステムの不具合、特に宇宙線によるシングル・イベント・アップセットが原因だと考えられている。

 6月10日、『涼宮ハルヒの憂鬱』発売。

 6月30日、CUTE-IやXI-IVなどのキューブサットがロコットによって打上げ。

 8月29日、Skype、初回リリース(パブリックベータ)。

 9月、NSSL(National Severe Storms Laboratory)において、イージス艦等で使用されるAN/SPY-1レーダーを転用した気象レーダーの試験が開始される。このレーダーが本来の用途で使われ始めた当初は昆虫等による誤警報が多発していたが、これは気象レーダーには好ましい特性であった。本来の機能を使用する形で航空機に対する監視にも使用された(一般的な航空監視2次レーダと違い、機上のトランスポンダ等が不要なため、非協力的な航空機も追尾できる)。一方で二重偏波による監視は行うことができず、気象レーダーとして満足できるものではなかった(雨滴の大きさを計測するには二重偏波を使用する必要があるし、鳥や虫なども特徴的な二重偏波パターンを返す)。元々の設計が古い(1970年代)こともあり、2016年に運用終了。気象予報に使用された固定フェーズドアレイレーダーの最初期のモデルの一つ。

 9月6日、製造中の人工衛星「NOAA-19」が台座から落下し損傷、修理に1億米ドル以上を要した。原因は、手順にないボルトの取り外しが行われ、台座を傾ける際にボルトの確認を行う手順が行われなかったため。

 10月1日、ISAS / NAL / NASDAの3機関を統合してJAXAが発足。

 10月25日、ADEOS-II(みどりII)、通信途絶。

 11月26日、超音速旅客機コンコルド、退役。

 11月29日、H-IIA#6 / IGS-2A / IGS-2B、打上げ(失敗)。

 12月1日、地上デジタル放送、放送開始(東京、大阪、名古屋)。

「新しい熱制御機能材料:放射率可変素子(SRD)」/* 温度によって放射率が変化する、可動部のない信頼性が高いデバイスを開発したよ、という話題 */


* 2004年

 Thefacebook、サービス開始。

 1月2日、スターダスト、ヴィルト第2彗星へフライバイ。

 3月13日、九州新幹線(鹿児島ルート)、開業。

 4月、SATAリビジョン2.0。3Gbps。

 6月30日、土星探査機 カッシーニ(米欧)、土星の周回軌道へ投入。

 11月3日、デンマーク コリングス郊外シーストの花火事故(en)。作業中に花火の入った箱を誤って落としてしまい、発火・延焼した。消防隊は当初、単純なコンテナ火災として対応にあたっていた。死者1名、負傷者24名。

 11月5日、クリプトン・フューチャー・メディア、初の日本語用VOCALOID「MEIKO」発売。

 11月10日、漢級原子力潜水艦領海侵犯事件。中国人民解放軍海軍の原子力潜水艦が潜航状態で石垣島周辺の領海に侵入した(潜航状態の潜水艦は無害通航権が適用されない)。

 12月2日、ニンテンドーDS、発売(アメリカでは11月21日)。

 12月12日、ソニー PlayStation Portable(PSP)、発売。順次各国へ展開。

 12月24日、土星探査機 カッシーニ、搭載していたホイヘンス・プローブを土星の衛星タイタンへ向けて放出。


* 2005年

 1月12日、ディープインパクト(米)、打上げ。

 1月14日、土星探査機 カッシーニに搭載されていたホイヘンス・プローブがタイタンへ着陸。

 2月14日、YouTube、開設。

 2月26日、H-IIA#7 / MTSAT-1R(ひまわり6号)、打上げ。

 4月13日、GoPro、最初の製品。24枚を撮影できる35mmフィルムのロール(コダック400)を内蔵し、重さは200gで5mまでの防水性能を持つ。

 4月23日、YouTubeの最初の動画『Me at the zoo』が投稿された。

 4月27日、エアバスA380、初飛行。

 5月11日、World of Worcraftのキャプチャ動画が投稿される。プレイヤー名「リロイ・ジェンキンス」(en)が、自身のためのアイテムを取りに行くクエストで、他のプレイヤーの作戦会議を無視して突入、パーティーは全滅した。

 7月、microSDカード、発表。

 7月4日、ディープインパクト、テンペル第1彗星にフライバイ。100kgの銅を含む370kg(820lb)のインパクタを彗星へ衝突させた。フィライバイなので相対速度は10.2km/sと非常に高く、運動エネルギーはTNT換算4.8tに相当する。

 7月10日、M-V#6 / ASTRO-EII(すざく)、打上げ。

 9月12日、MUSES-C(はやぶさ)、イトカワとランデブ。

 9月13日、World of Warcraftのアップデートから始まる一連の感染流行。Corrupted Blood事件。最終ボスが使用するデバフは数秒間しか持続しないにも関わらず、プレイヤーやNPCを介して感染が拡大して大規模なパンデミックとなり、感染の収束には修正パッチやゲーム世界のリセットを要した。感染したプレイヤーの行動などは現実の疫学者の興味を引いた。

 9月21日、Perfume、1stシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビュー。

 11月14日、三洋電機 eneloop、発売。

 11月20日、MUSES-C(はやぶさ)、1回目のタッチダウン。

 11月22日、マイクロソフト Xbox 360、発売(日本では12月10日)。

 12月10日、イグノーベル賞では慣例として式の初めに紙飛行機を飛ばし、毎年同じ人物がそれを掃除していた。しかし、この年は例年掃除を行っていたモップ係が欠席した。欠席理由はノーベル賞の授賞式に参加するため。


* 2006年

 Microsoft Windows Vista、リリース。

 SDカード、FAT32に対応し最大32GBまで対応したSDHCカードを規定。

 福井県三方郡 三方五湖 水月湖にてボーリング調査が行われる。複数箇所のサンプルから総延長70m(およそ16万年分)のサンプルを掘削。

 1月15日、スターダスト、彗星や星間物質のサンプルを収めたカプセルを地球へ再突入させる。初の惑星間サンプルリターンミッション。

 1月19日、冥王星探査を目指すニューホライズンズ(米)が打上げられる。

 1月24日、H-IIA#8 / ALOS(だいち)、打上げ。

 2月3日、SuitSat-1、ISSから投げ捨てられる。廃棄予定の宇宙服に無線機を詰め込んでメッセージを送信する「人工衛星」。電池の劣化が想定以上に早く、短期間でミッションを終了した。以降も微弱な送信は行われていた。

 2月17日、クリプトン・フューチャー・メディア「KAITO」発売。

 2月18日、H-IIA#9 / MTSAT-2(ひまわり7号)、打上げ。1ヶ月間で2回の大型ロケット打上げ成功は日本初。

 2月22日、M-V#8 / ASTRO-F(あかり) / Cute-1.7+APD / SSP、打上げ。ASTRO-F、日本の(大規模?)衛星としてNi-MHを最後に使用(13年のISAS資料による)。

 3月23日、アルダブラゾウガメ「アドワイチャ」死す。確実な記録で150年以上、推定で250年以上生きた可能性があると考えられている。

 4月、ワンセグ放送開始。

 5月24日、ファルコン1#1、打上げ(失敗)。

 8月24日、国際天文学連盟により準惑星の定義が採択され、冥王星が惑星から外れた。

 9月11日、H-IIA#10 / IGS-3A、打上げ。

 9月23日、M-V#7 / SOLAR-B(ひので) / HIT-SAT / SSSAT、打上げ。

 11月11日、ソニー、PlayStation 3、発売。

 12月、地上デジタル放送、全都道府県での放送を開始。

 12月2日、任天堂 Wii、発売(アメリカ等では11月19日)。

 12月12日、ニコニコ動画、プレオープン。

 12月14日(UTC)、デルタIIによってUSA-193衛星打上げ。軌道投入には成功したが衛星に不具合が発生し軌道制御ができなくなった。

 12月18日、H-IIA#11 / ETS-VIII(きく8号)、打上げ。日本の衛星として初めて原子時計を搭載。


* 2007年

 PCI Express 2.0。5.0GT/s。

 Eye-Fi、発売開始。SDカードにWi-Fi機能を内蔵し、デジタルカメラで撮影した写真や動画をPCなどへ転送できる。/* Eye-Fi, Inc.、2016年に事業終了 */

 1月11日、中国、弾道ミサイルを転用した衛星攻撃兵器を用いて自国の気象衛星を破壊。大量のデブリが発生。

 2月24日、H-IIA#12 / IGS-4A / IGS-4B、打上げ。/* #6の事故以降、通常IGSのデュアルロンチは行われないが、4Bは実証機のため相乗り */

 3月、Ustream、一般向けのベータ版サービスを開始。

 5月12日、NHK教育にて『電脳コイル』放送開始。

 5月17日、トヨタ自動車、レクサス・LSにハイブリッド仕様のLS600h等を追加。世界初のLEDヘッドランプを搭載。当時の量産車として日本最高価格。

 6月29日、初代iPhone、発売。

 8月30日、米空軍、実核弾頭搭載事故(en)。2002年のモスクワ条約により核弾頭を搭載したAGM-129ACMの削減のため、B-52Hに12発ずつ搭載し輸送していた。この際、核弾頭の搭載は許可されておらず、弾頭を訓練用のダミーに交換したACMを輸送するはずが、誤って弾頭が搭載されたままのACMが6発含まれていた。核弾頭がバンカーから運び出され、異常に気がつくまで36時間を要した。核弾頭が爆撃機で輸送されていたことが明らかになったのは1968年以来。

 8月31日、クリプトン・フューチャー・メディア「初音ミク」発売。

 9月1日、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』公開。

 9月12日、Perfume、5thシングル「ポリリズム」をリリース。翌年にはこの曲で紅白歌合戦に初出場。

 9月14日、H-IIA#13 / SELENE(かぐや)、打上げ。

 9月28日、XP-1、初飛行。量産機として初めてフライ・バイ・ライトを採用。

 10月31日、F-2B墜落事故。定期検査に付随してメーカーが行った飛行試験において、離陸直後に正常なコントロールが行えなくなり墜落した。2人のパイロットは脱出したが重症を負った。事故の原因はフライトコンピュータに接続されたレートジャイロのうち、ピッチとロールが誤配線されたことにより正常なフィードバックが行われなかったため。

 11月、ニューヨーク市で行われていた商用の直流送電が終了。

 12月27日、クリプトン・フューチャー・メディア「鏡音リン・レン」発売。


* 2008年

 テスラ・ロードスター、販売開始。

 2月7日、アメリカ ジョージア州ポートウェントワースの砂糖工場における爆発事故(en)。砂糖工場にて「時代遅れの製法」により粉塵爆発が発生し、死者14名・負傷者36名の爆発事故が発生した。以前の別の爆発事故が発生したあとに保安当局はこの工場に対して危険性を指摘しており、後の報告書によると「完全に予防できた事故」であったとされた。数百人の労働者のうち数十人は緊急時の避難方法についての訓練を受けたことがなく、緊急時の消防訓練を思い出すことができたのは5人しかいなかった。

 2月20日22時26分(EST)、バーン・フロスト作戦(Operation Burn Frost)によって、機能不全に陥っていたUSA-193に対して対衛星用に改造されたスタンダードミサイルSM-3が発射され、およそ500kgのヒドラジンを含む衛星を高い確率で破壊したと発表。衛星の高度が下がるのを待ってから作戦が行われたため、軌道高度は250km付近と比較的低く、大半のデブリは数ヶ月以内に大気圏へ再突入し、高い軌道へ移った最後のデブリも翌年10月末に再突入した。米国は衛星攻撃兵器を保有していないため、ミサイル防衛システムを改造した上で使用し、作戦終了後には改修箇所が削除された。

 2月23日、H-IIA#14 / WINDS(きずな)、打上げ。

 2月23日、アンダーセン空軍基地B-2墜落事故(Spirit of Kansas)。2021年時点で唯一のB-2爆撃機の全損事故。非常に高い機体単価によって、被害額はおよそ1500億円に上り、史上最も損失額の大きい墜落事故となった。豪雨にさらされた機体が、エアデータセンサの不具合によって正しい入力が行われず、正しい速度より12ノット早い表示によって早期の引き起こしが行われ、誤った計算によって30度(1.6g)のピッチアップが行われ、失速した。2人のパイロットは射出座席によって脱出した。以前に派遣されていた際は、センサの結露が疑われる場合にはセンサの凍結防止ヒータを使用して水分を蒸発させる運用が行われていたが、この運用はマニュアル化されておらず、この時に派遣されていた整備員はセンサにエラーが発生した場合は毎回キャリブレーションを行っていた。しかし水分を含んだ状態で行われたキャリブレーションは、離陸前にセンサの凍結防止ヒータをONにした際に水分が蒸発し、正しく機能できなくなってしまっていた。

 5月31日、スペースシャトル ディスカバリー号、打上げ(STS-124ミッション、6月14日まで)。「きぼう」日本実験棟の船内実験室を打上げた。ISSの中でも最大のモジュールで、設置直後は実験機器も設置されずがらんどうだったことから、ISSに滞在中の宇宙飛行士が一堂に会し、湿度が上がりすぎてエラーが発生するアクシデントもあった。/* 日本の宇宙機として初めて、MIL-STD-1553Bを本格的に採用(ただしJEMの設計は1990年代半ば頃) */

 7月、SATAリビジョン3.0。6Gbps。

 9月10日、CERNの大型ハドロン衝突型加速器、通称LHC、稼働開始。単一の機械として世界最大。

 9月28日、ファルコン1#4、模擬ペイロードを乗せて初の打上げ成功。

 11月、USB 3.0、仕様発行。5Gbps。

 11月20日、キングジム DM10、初代ポメラが発売開始。

「恒星センサを用いた地球指向衛星姿勢決定系のフィールド試験」/* ALOS用STTの話題で、日本の地球観測衛星でSTTを使ったのはALOSが初 */


* 2009年

 Microsoft Windows 7、リリース。

 SDカード、exFATに対応し最大2TBまで対応したSDXCカードを規定。

 1月23日、H-IIA#15 / GOSAT(いぶき)、SORUNSAT-1、STARS、KKS-1、PRISM、SOHLA-1、SPRITE-SAT、SDS-1、打上げ。/* 数が多いので相乗り衛星の愛称は省略 */

 1月30日、クリプトン・フューチャー・メディア「巡音ルカ」発売。

 2月10日(UTC)、運用中のイリジウム33号と機能停止中のコスモス2251が衝突。宇宙空間で発生した初めての人工衛星同士の衝突事故(運用中の衛星とスペースデブリの衝突事故は1996年など、以前にも例がある)。

 3月4日、イリジウム衛星33号の予備機が移動完了。

 3月25日、livetune feat.初音ミク『Re:MIKUS』発売。収録時間は80分45秒で、おそらく日本で発売されたCDとして初めて80分を超えたもの。

 6月18日、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』において『エンドレスエイト』の放送が開始。

 7月14日、ファルコン1#5、初の商業打上げ。

 8月1日、映画『サマーウォーズ』公開。

 9月3日、コナミデジタルエンタテインメント『ラブプラス』発売。

 9月9日、RFC 1149による実装でデータ伝送の実験が行われた。80km先へ4GBのデータを転送するのに2時間と数分を要し、その間にインターネット経由では4%の転送が行われ、RFC 1149による実装が圧勝した。

 9月11日、H-IIB#1(試験機) / HTV技術実証機、打上げ。

 11月28日、H-IIA#16 / IGS-5A、打上げ。

 12月10日、映画『アバター』、イギリスを皮切りに各国で順次公開。

 12月15日、ボーイング787、初飛行。


* 2010年

 2010年問題。デジタル機器で2016年と表示されたり処理されたりするなど。その他。

 アイスランド エイヤフィヤトラヨークトルの噴火。火山活動によって氷河が溶けて噴火口へ流れ込み、急激に冷却されることで大量の火山灰が生成・噴出した。ヨーロッパの大部分の空港が閉鎖され、損失は1日あたり2億USドルと試算された。90年代以降、火山によるジェットエンジンへの影響のしきい値は設定されておらず、「火山灰が存在する場所はすべて飛行禁止」(つまり0を超えている可能性のある場合は飛行禁止)という制限が取られていた。しかしこの時の火山灰は広範囲に飛散し、影響も大きかったため、段階的に制限が緩和され、最終的には4mg/m^3まで緩和され、およそ10日後には大部分の飛行制限が解除された。

 PCI Express 3.0。8.0GT/s。

 1月、小説『Devta』連載終了。56巻・11,206,310ワードに達した。

 1月4日、ブルジュ・ハリファ、開業。

 3月28日 ソニー、PS3のv3.21アップデートにて標準のOS以外の使用を無効化する変更を実施。スーパーコンピュータの計算ノードとして使用されているPS3は交換部品の新規購入が行えなくなった。

 5月21日、H-IIA#17 / PLANET-C(あかつき) / IKAROS / UNITEC-1(しんえん) / WASEDA-SAT2 / KSAT(ハヤト) / Negai☆″、打上げ。

 6月4日、ファルコン9#1、打上げ。

 6月13日、MUSES-C(はやぶさ)、大気圏再突入。

 9月11日、H-IIA#18 / QZS-1、打上げ。/* QZS-1は日本の静止軌道付近の衛星として初めてスタートラッカを使用 */

 12月2日、NASAの研究所が極限環境微生物の一種「GFAJ-1」を発表。リン(P)が不足した環境では生物に有毒なヒ素(As)を取り込むと発表された。ただし論文を発表した時点で、同じ誌で否定的な論文が同時に掲載されるなどし、ヒ素を取り込むという説は否定的に考えられている。当初は「NASAが生物関係の大きな発表をするらしい」という噂が独り歩きして宇宙人騒ぎにまで発展していた。

 12月8日、中部電力四日市火力発電所で停電が発生(四日市瞬時電圧低下事故)。わずか0.07秒の間、電圧が50%ほど低下した。付近の工場に対しての影響は甚大で、例えば東芝のフラッシュメモリ工場ではクリーンルームが停止し100億円前後の減収が見込まれている。


* 2011年

 1月、ホワイトハウス・ハニー・エールの製造が始まる。当時のアメリカ合衆国大統領 バラク・オバマがエールの小規模な醸造キットを個人的に購入したのが始まり。ホワイトハウス敷地内で採取された蜂蜜が使用されている。

 1月22日、H-IIB#2 / HTV2、打上げ。

 2月14日-16日、IBMのワトソンが「ジェパディ!」にチャレンジ、総合ではワトソンが勝利した。

 2月15日、スターダスト、テンペル第1彗星へフライバイ。ディープインパクトがインパクタを打ち込んだ彗星。ディープインパクトは多量の埃のためにクレーターの観測を十分に行えなかったために、追加の観測が行われることになった。

 7月28日、EAAエアベンチャー・オシュコシュで展示飛行を行ったF-16が着陸した際に滑走路をオーバーラン。F-16のエアコン(正式には環境制御システム; ECS; Environmental Control System)は、湿度の高い環境ではコックピット内で霧が発生しやすい特性があり、パイロットの視界が失われたことが原因とされた。前脚が破損しインテークから大量の土を吸い込んだためにエンジンの修理等が必要になったが、負傷者は発生しなかった。

 9月22日、OPERA実験、ニュートリノが光速よりも早い可能性があると報告(後に撤回)。

 9月23日、H-IIA#19 / IGS-6A、打上げ。

 10月31日、世界人口が70億人に到達したと推計(国連による)。

 11月、ASTRO-F(あかり)、軌道変更を実施して停波。デブリ防止の国際的合意(25年以内に離脱)を達成できる見込み。日本の衛星として初めてデブリ防止措置を実施。

 11月26日、火星探査機MSLキュリオシティ(Mars Science Laboratory Curiosity)、打上げ。

 12月12日、H-IIA#20 / IGS-7A、打上げ。

 12月21日、ドバイ キャピタルゲートビル、オープン。意図的に18度傾斜したデザイン(床は水平)で、ズールフーゼンの斜塔を超えて建物の傾斜がギネス認定されている。


* 2012年

 Microsoft Windows 8、リリース。

 アメリカ国家偵察局(NRO)、未使用の偵察衛星2機分をNASAへ寄贈すると発表。彼らはそれを時代遅れの機材だとみなしていたが、ハッブル宇宙望遠鏡よりも優れている。「この性能のものが地上待機に置かれているということは、彼らが実際に使っているものはどれほどの性能なのだろうか」

 ミャンマーでコカ・コーラの販売が再開された(米国の経済制裁によって撤退していた)。これによってコカ・コーラの販売が行われていないのは北朝鮮とキューバの2か国となった。

 2月29日、東京スカイツリー、竣工。

 3月26日、ジェームズ・キャメロンが操縦するディープシーチャレンジャーがマリアナ海溝チャレンジャー海淵に到達。一人乗りの潜水艇として初。

 5月18日、H-IIA#21 / GCOM-W1 / KOMPSAT-3 / SDS-4 / 鳳龍弐号、打上げ。/* 愛称略 */

 5月22日、ファルコン9#3、打上げ。スペースシャトルプログラムの終了以降、初めてISSにドッキングしたアメリカの宇宙船。軌道上でランデブ飛行を行った初めての商用宇宙船。当初は19日に打上げられる予定だったが、エンジン点火後(T-1s)に圧力異常が検知され自動的に打上げシーケンスが停止(アボート)した。

 6月29日、スーパーコンピュータ「京」完成。

 7月15日、PSY『江南スタイル』リリース。YouTubeに投稿されたミュージックビデオの再生数が急上昇。再生回数が2ヶ月で1億回を突破。

 7月21日、H-IIB#3 / HTV3、打上げ。

 8月6日、火星探査機キュリオシティ、火星へ軟着陸。スカイクレーンと呼ばれる方式を初めて使用。

 9月1日、ホワイトハウスブログ、情報公開請求に基づきホワイトハウス・ハニー・エールのレシピを公開。米国政府が作成・公開した情報であるため、アメリカ国内ではパブリックドメインとなっており、一種のフリービール(オープンソースビール)となっている。

 10月8日、ファルコン9#4 / CRS-1 / ORBCOMM-G2、打上げ(G2は目標軌道への投入に失敗)。ISSに対する初の商業補給サービス。

 10月14日、フェリックス・バウムガルトナー、気球を使用した高高度からのスカイダイビング、レッドブル・ストラトスにて各種の記録を更新。音速を超える。YouTube Liveの視聴者数が950万人、同時視聴者数は800万人に上った。

 10月19日、水月湖から得られたコアの分析結果がサイエンス誌に掲載。放射性炭素年代測定のキャリブレーションを、それまでの1.3万年から5.3万年に延長した。

 12月18日、LES-1(米)から47年ぶりに信号を検出。最古のゾンビ衛星の1つ。


* 2013年

 NVMe仕様1.0。Non-Volatile Memory pci Expressの略。従来のSATA接続はHDDを前提としたものであり、半導体メモリに適した仕様とは言えず、これが読書速度のボトルネックとなっていた。NVMeはPCI Expressを使用した通信方式の規格であり、物理的なフォームファクタはPCI ExpressカードやM.2などいくつかが存在する(物理的に互換でもNVMeに非対応な場合もある)。

 1月27日、H-IIA#22 / IGS-8A / IGS-8B、打上げ。/* 8Bは実証機 */

 2月15日、ロシア中西部チェリャビンスク州に隕石が落下。隕石が原因と確定している災害として、初めて大規模な人的被害が発生。

 3月13日、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)のアンテナの大半が現地に設置され、開所式が行われた。

 4月26日、NEE-01Pegaso(エクアドル)、打上げ。エクアドル初の衛星。1Uキューブサット。展開型のソーラーパドルは厚さ1.5mmと軌道投入された中でも最も薄い構造物の一つ。

 5月12日、カナダ人宇宙飛行士クリス・ハドフィールド、デヴィッド・ボウイ『Space Oddity』のミュージックビデオを国際宇宙ステーションで撮影しYouTubeで公開。宇宙で撮影された最初のミュージックビデオ。著作権で保護された作品の演奏。2020年1月時点で4500万回以上の再生数。多くのシーンがJEMとキューポラで撮影されている。/* JEMは結構広いしあんまり物も置かれてないので動き回るような映像撮るのに便利なのかな。万国旗も飾ってあってカナダの国旗とかも見えるし。 */

 5月23日、NEE-01がロケット上段(スペースデブリ)の近傍を通過。破片と衝突し通信が途絶。通信の再開を目指していたが、8月28日にエクアドル政府は衛星が失われたことを宣言。

 6月22日、しんかい6500、カリブ海ケイマン諸島沖の水深5000m付近からニコニコ生放送でライブ配信。深海からの生中継は世界初。

 7月11日、ダブリン大学のピッチドロップ実験、1滴目が落下。

 8月、USB 3.1、仕様発行。10Gbps。

 8月4日、H-IIB#4 / HTV4、打上げ。

 9月、米空軍、旧スペースフェンス(AN/FPS-133 宇宙監視システム(en))、運用終了。主送信局からは216.983MHz 768kWの連続波が送信されており、世界で最も強力なCW電波と言われている。

 9月14日、イプシロン#1(試験機) / SPRINT-A(ひさき)、打上げ。

 11月20日、西之島にて噴火活動が確認される。

 11月21日、NEE-02Krysaor(エクアドル)、打上げ。

 11月22日、マイクロソフト Xbox One、発売(日本では2014年9月4日)。


* 2014年

 1月、タミル語による小説『ベンムラス(Venmurasu)』がオンラインで連載開始。1日1話が公開され、10年以上連載される見通し。

 1月25日、NEE-02からの信号を受信中に、NEE-01からの信号を受信。NEE-01は数ヶ月前にスペースデブリとの衝突によって通信が途絶し運用が終了されていた。

 2月22日、ソニー、PlayStation 4、発売(アメリカ等では2013年11月15日)。

 2月28日、H-IIA#23 / GPM主衛星 / ShindaiSat / STARS-II / TeikyoSat-3 / IFT-1 /OPUSAT / INVADER / KSAT2、打上げ。/* 愛称略 */

 3月14日、映画『アナと雪の女王』公開(日)。米では2013年11月27日から。

 4月24日、クイーンズランド大学のピッチドロップ実験、9滴目がちぎれる(自然な落下ではない)。

 5月24日、H-IIA#24 / ALOS-2(だいち2号) / SPROUT / 雷神2 / UNIFORM-1 / SOCRATES、打上げ。

 5月31日、PSY『江南スタイル』のミュージックビデオ、再生数が20億回を突破。YouTubeは算術オーバーフローを防ぐために再生数カウンタを64bitへ拡張。

 10月7日、H-IIA#25 / Himawari-8(ひまわり8号)、打上げ。

 12月3日、H-IIA#26 / Hayabusa2(はやぶさ2) / しんえん2 / ARTSAT2-DESPATCH / PROCYON、打上げ。


* 2015年

 Microsoft Windows 10、リリース。

 2月1日、H-IIA#27 / 情報収集衛星レーダ予備機、打上げ。

 3月26日、H-IIA#28 / 情報収集衛星光学5号機、打上げ。

 6月11日、ジンバブエ・ドル、廃止される。

 7月14日、ニュー・ホライズンズ、冥王星に最接近。

 8月12日、2015年天津浜海新区倉庫爆発事故。危険物倉庫において火災が発生し、100人を超える消防隊員・警察官と50人を超える住民が犠牲になり、負傷者も800人に迫った。爆発には硝酸アンモニウム800トン(TNT換算約300トン)も含まれ、その他の危険物も多数巻き込まれた。消火にあたった消防士は化学物質が保管されているとは知らず、水を使用した消火を試みたためにさらなる化学反応を引き起こした。この倉庫を所有している会社は2014年に化学物質の一時的な取り扱い許可を受けたが、同年10月に失効して以降は取り扱い許可のないままに大量の化学物質を保管し、正式な許可が降りたのは事故の2ヶ月前だった(違法な保管を行っていた会社に対して正式な取り扱い許可が発行されていた)。

 8月19日、H-IIB#5 / HTV5、打上げ。

 9月14日、LIGO(米) / Virgo(欧)にて重力波を初検出

 11月24日、H-IIA#29 / Telstar 12 VANTAGE、打上げ。/* 相乗りでない純粋な商業打ち上げとしては日本初 */

 12月22日、ファルコン9#20、ブースターの地上への着陸に初成功。


* 2016年

 500メートル球面電波望遠鏡(FAST、中国)、工事完了。

 2月17日、H-IIA#30 / ASTRO-H(ひとみ) / ChubSat-2 / ChubSat-3 / 鳳龍4号、打上げ。

 3月26日、ASTRO-H(ひとみ)、通信途絶。

 3月26日、北海道新幹線、開業。

 4月8日、ファルコン9#23、ブースターの海上への着陸に初成功。

 8月25日、「謎の千葉県出身シンガーソングライター」ピコ太郎がYouTubeへ『ペンパイナッポーアッポーペン』を投稿。ジャスティン・ビーバーやBBC、CNN等が取り上げ、動画の再生数は10月5日には5000万回に、2020年4月時点では公式の動画だけで5億回に達する。全米ビルボードへ日本人として26年ぶりにチャートインを果たし、ビルボードトップ100に入った最短の曲としてギネス認定された。

 8月26日、映画『君の名は。』公開。

 10月13日、ソニー PlayStation VR、発売。

 10月5日、星野源『恋』リリース。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌としても使用され、MV中の「恋ダンス」を出演者がカバーした動画は総再生数が7500万回以上に、また有名人や団体もカバー動画を投稿し、全投稿の総再生数が8000万回以上に達する。

 11月2日、H-IIA#31 / Himawari-9(ひまわり9号)、打上げ。

 11月8日、博多駅前道路陥没事故。大規模な地盤崩落事故であったが、九州の心臓とも言えるビジネス地であったことから早急の復旧作業が行われ、わずか1週間で復旧工事が完了した。死者は発生しなかったが、避難時に一人が停電の影響で転倒により負傷。

 12月9日、H-IIB#6 / HTV6、打上げ。

 12月20日、イプシロン#2 / ERG(あらせ)、打上げ。

「レーザ加熱によりスロットリングを実現する 0.1 N 級固体マイクロスラスタの性能評価」/* 時期少しずれてるかも */


* 2017年

 PCI Express 4.0。16GT/s。

 クフ王のピラミッドにおいて、宇宙線を使用したミュオグラフィを使用して未知の巨大空間があることを示唆(5σの確度で)。

 1月15日、SS-520#4 / TRICOM-1、打上げ(失敗)。

 1月24日、H-IIA#32 / DSN-2(きらめき2号)、打上げ。

 3月3日、Nintendo Switch、発売。

 3月17日、H-IIA#33 / 情報収集衛星レーダ5号機、打上げ。

 4月26日、土星探査機 カッシーニ、土星の環の間を通過。

 6月1日、H-IIA#34 / QZS-2(みちびき2号機)、打上げ。

 8月19日、H-IIA#35 / QZS-3(みちびき3号機)、打上げ。

 8月29日、北朝鮮、火星12(IRBM)を発射、北海道上空(領空の上の宇宙空間)を通過。それまでの過去4回、北朝鮮は日本付近を通過する発射の場合は衛星の打上げと公表していたが、この際は初めて弾道弾の発射と公表した。

 9月、USB 3.2、仕様発行。20Gbps。

 10月10日、H-IIA#36 / QZS-4(みちびき4号機)、打上げ。

 10月19日、後にオウムアムアと呼ばれる恒星間天体の初観測。

 12月23日、H-IIA#37 / GCOM-C(しきさい) / SLATS(つばめ)、打上げ。


* 2018年 (平成30年)

 SDカード、128TBまで対応したSDUDカードを規定。

 1月13日、ハワイにて、北朝鮮からミサイルが発射されたと(「訓練ではない」とする注釈付きで)警報が行われた。抜き打ちで行われた演習の際に、担当者が「訓練である」旨の発言を聞き落としたために、実際に発射されたと誤認して送信が行われたことが原因。

 1月18日、イプシロン#3 / ASNARO-2、打上げ。

 2月3日、SS-520#5 / TRICOM-1R、打上げ。人工衛星を打上げた最小のロケットとしてギネス認定される。

 2月6日、ファルコンヘビー#1、打上げ。テスラ・ロードスターを載せて太陽周回軌道へ。YouTube Liveでの同時視聴者数は230万人を超え、2012年のレッドブル・ストラトスについで2番目に多かった。

 2月27日、H-IIA#38 / 情報収集衛星光学6号機、打上げ。

 4月5日、アリアン5#VA242 / DSN-1(きらめき1号) / HYLAS-4、打上げ。当初、DSN-1は2016年7月に打上げる予定であったが、輸送中に損傷したため、修理を経て打上げられた。

 6月11日、「コカ・コーラ クリア」(Coca Cola Clear)日本で発売開始。ちなみに、過去にはウォッカに偽装してソ連へ密輸するために脱色したコーラ(White Coke)が製造されたことがある。/* 透明なコーラはオフィスでも飲みやすいそうで、日本のオフィスは共産圏かと。。。 */

 6月12日、H-IIA#39 / 情報収集衛星レーダ6号機、打上げ。

 9月23日、H-IIB#7 / HTV7、打上げ。

 10月29日、H-IIA#40 / GOSAT-2(いぶき2号) / ハーリファサット / DIWATA-2B / プロイテレス2(ダミー) / てんこう / stars-AO / AUTcube2、打上げ。

 12月13日、ボリソフ彗星 (2I/Borisov)の初観測。オウムアムアに続く2例目の恒星間天体。

「深層学習でリアルタイム軌道上画像識別を実現 -超小型衛星用センサの宇宙での実証実験開始へ-」


* 2019年 (平成31年(4月30日まで)、令和元年(5月1日から))

 PCI Express 5.0。32GT/s。

 1月1日、ニュー・ホライズンズ、2014MU69(ウルティマ・トゥーレ/アロコス)に最接近。

 1月18日、イプシロン#4 / RAPIS-1 / MicroDragon / RISESAT / ALE-1 / OrigamiSat-1 / Aoba VELOX-IV / NEXUS、打上げ。

 3月、インド、衛星攻撃兵器を使用して高度300kmの衛星に攻撃、破壊したと発表。

 4月5日、はやぶさ2、衝突装置を使用し小惑星にクレーターを作る。

 4月7日、GPSの2回目の週ロールオーバー(GPS 2019年4月7日問題)。

 4月10日、イベントホライズンテレスコープにてブラックホールの直接撮影に成功したと発表。

 4月15日、ノートルダム大聖堂にて大規模な火災が発生。

 4月23日、カナダ・ベル島において島民が爆発のような大きな音を聞き、15kmほど離れた場所でも揺れを感じることができた。海に侵食された崖が崩壊し数千トンの岩が落下したことが原因。

 5月1日、平成から令和へ改元。

 5月4日、MOMO#3、日本の民間企業が単独で開発したロケットとして初めて宇宙空間へ到達。

 9月、USB4、仕様発行。40Gbps

 9月25日、H-IIB#8 / HTV8、打上げ。


* 2020年 (令和2年)

 2月9日、H-IIA#41 / 情報収集衛星光学7号機、打上げ。

 5月13日、スーパーコンピュータ「富岳」、すべての筐体の搬入が完了。

 5月21日、H-IIB#9 / HTV9、打上げ。

 6月12日、フランス海軍の原子力潜水艦ペルル、ドックでの作業中に火災が発生。48MWの原子炉は1月にドライドックに入った際に取り外されており、火災による放射能汚染は発生しなかった。除籍された姉妹艦を使用した修理が計画されている。

 7月、小説『ベンムラス(Venmurasu)』の連載が終了。26冊・22400ページに達した。

 7月20日、H-IIA#42 / Hope(al-Amal)、打上げ。アラブ首長国連邦の火星探査機。

 8月4日、ベイルート港爆発事故。花火倉庫にて火災が発生し、大量の花火が爆発、TNT換算2トン前後の爆発が発生し、そのおよそ30秒後、近くに保管されていた大量の硝酸アンモニウムに引火し、TNT換算1kt前後の爆発が発生した。200人を超える死者と7000人以上の負傷者が発生し、30万人が住居に被害を受けた。

 8月10日、アレシボ天文台305m鏡、副鏡を支える補助ケーブルが断線、落下し主鏡を損傷。

 11月10日、マイクロソフト Xbox Series X/S、発売。

 11月12日、ソニー PlayStation 5、発売。

 11月19日、アレシボ天文台、305m鏡の運用を終了すると発表。

 11月29日、H-IIA#43 / データ中継衛星、打上げ。

 12月6日、はやぶさ2、カプセルを地球大気圏へ突入させ、探査機本体は拡張ミッションへ。

「低高度軌道衛星からの無線データ伝送の世界最高速(毎秒 2.65 及び 3.3 ギガビット)を達成」


* 2021年

 7月21日、ロシアの多目的実験モジュール(MLM)「ナウカ」、打上げ。このモジュールは1990年代の後半には7割が完成していながら、紆余曲折を経て20年以上経ってからの打上げとなった。打上げ前に保証期間が切れた部品を交換したり、数々の故障などのトラブルに悩まされながらの打上げとなった。

 7月29日、ナウカ、ISSへドッキング。打上からドッキングまでの間にもいくつかのトラブルに見舞われ、ドッキング後には燃料遮断コマンドを迂回したコマンドが誤って実行されてスラスタが噴射され、ISSが姿勢を乱して緊急事態を宣言する状況にも陥った。

 10月26日、H-IIA#44 / QZS-1R(みちびき初号機後続機)、打上げ。

 11月9日、イプシロン#5 / RAPIS-2 / HIBARI / Z-Sat / DRUMS / TenkyoSat-4 / ASTERICS / ARICA / NanoDragon / KOSEN-1、打上げ。当初は10月1日に打ち上げられる予定だったが、地上設備のトラブルや天候によって度々延期された。

 11月15日、ロシア、衛星攻撃兵器を使用して自国の衛星を破壊。

 12月23日、H-IIA#45 / Inmarsat-6 F1、打上げ。


* 2022年

 バリー・シャープレス、ノーベル化学賞を受賞(2001年の化学賞に続き2度目)。化学賞を2度受賞したのはフレデリック・サンガー(1958年・1980年)に続き二人目。

 PCI Express 6.0。変調レートは5.0の32GT/sを維持したまま、多値変調を使用することで64GT/s相当へ高速化。

 1月15日、トンガの海底火山で大規模な噴火。日本でも気圧変化や海面変動が観測された。

 9月23日、西九州新幹線、開業。

 10月12日、イプシロンロケット6号機、打上げ(失敗)。指令破壊を実施。

 11月15日、世界人口が80億人に達したと推計(国連による)。


* 2023年

 1月26日、H-IIA#46 / 情報収集衛星レーダ7号機、打上げ。

 3月7日、H3-22S#1 / ALOS-3、打上げ(失敗)。指令破壊を実施。

 7月14日、イプシロンSロケット第2段の地上燃焼試験において爆発事故。

 9月7日、H-IIA#47 / XRISM / SLIM、打上げ。


* 2025年

 日本の年号で昭和100年となることから不具合が発生することが予想されている。

 12月5日、水星探査機ベピ・コロンボ(ESA/JAXA)、水星周回軌道へ投入。


* 2026年

 7月、はやぶさ2、2001CC21をフライバイ観測。


* 2031年

 7月、はやぶさ2、1998KY26へランデブし観測。直径100m以下の天体に対して史上初の近接観測の見込み。


* 2033年

 旧暦2033年問題。天保で暦を計算する際に不都合を生じる。


* 2036年

 2月7日(UTC)。NTP(Network Time Protocol)にて、符号なし32bitで表現できる範囲を超える。


* 2038年

 1月18日(UTC)。UNIX時間は1970年1月1日0時からの経過時間を秒で表しており、符号付き32bitで表現できる範囲を超える。

 4月23日、修正ユリウス日が16bitで表現できる範囲を超える。

 11月21日、GPSの3回目の週ロールオーバー(GPS 2038年11月21日問題)。


* 2061年

 7月29日、ハレー彗星、次回の近日点通過。


* 2062年

 8月12日、著作権の保護期間を死後70年と想定した場合(日本の場合)、ジョン・ケージの死去から70年が経過することで、「4分33秒間の無音」に対する著作権が失効する。


* 2079年

 2079年問題。FATのタイムスタンプは1980年を起点としているため、年を下2桁のみ使用していた場合に不具合が生じる。


* 2095年

 9月5日23時39分、地球近傍天体2010RF12が地球へ接近。6.3万分の1の確率で地球に衝突すると予想されている。2010年に発見された当初は7日間の観測結果を使用して衝突確率は4.6%と予想され、既知の天体の中で最も衝突確率が高かった。2022年8月に再発見され、12年間の軌道が得られたことから精度の高い軌道計算が行われ、地球への衝突の確率は大幅に少なくなった。この天体の質量は500トン程度と、2013年チェリャビンスク隕石の1万トン程度と比べても非常に小さく、たとえ地球に衝突したとしても地表への影響はほとんど無いと考えられている。


* 2100年

 西暦を10進数2桁で管理するシステムで不具合が発生することが予想される。


* 2108年

 FATのタイムスタンプで表現できる範囲(2107年12月31日まで)を超える。


* 2132年

 9月1日、修正ユリウス日が10進数5桁で表現できる範囲を超える。


* 2137年

 1月6日、週数を13bitで管理しているGPSでロールオーバーが発生する。


* 2155年

 CD-ROM等のタイムスタンプで表現できる範囲を超える。


* 2185年

 3月29日、地球近傍天体2009FDが1/435の確率で地球に衝突すると考えられていた。後の観測でヤルコフスキー効果が観測され、地球に衝突する可能性は排除された。


* 2286年

 11月20日、2286年11月20日問題。1970年1月1日0時からの経過時間を秒で表すシステムで桁数が10桁から11桁に変わることから、秒数を10進文字列で処理しているシステムなどで不具合が発生する可能性がある。


* 2514年

 ext4のタイムスタンプで表現できる範囲を超える。


* 約7500年

 ケフェウス座α星アルデラミンが北極星になる。


* 10000年 (1.0万年)

 西暦10000年問題。西暦を4桁の文字列で管理するシステムで発生することが予想されている。


* 約1万年

 はくちょう座α星デネブが北極星になる。


* 約1.35万年

 こと座α星ベガが北極星になる。


* 約2.6万年

 アレシボ・メッセージ、メシエ13へ到着。


* 32768年 (3.3万年)

 西暦が符号付き16bitで表現できる範囲を超える。


* 60056年 (6.0万年)

 NTFSのタイムスタンプで表現できる範囲を超える。


* 約135万年

 グリーゼ710、0.25 - 1光年(1.6 - 6.3万au)程度の距離まで最接近。


* 約200万年

 ショルツ星がオールトの雲から彗星を弾き飛ばした場合、この頃に太陽系の内側へやってくる。


* 292278994年 (約2.9億年)

 8月17日。Javaで処理できる日付の範囲を超える。


* 約10億年

 太陽が明るくなることでハビタブルゾーンが移動し、地球には液体の水が存在できなくなる。


* 約35億年

 地球の表面は金星のように熱くなる。


* 約40億年

 天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突する。


* 約63億年

 太陽の中心核で燃料となる水素が使い果たされる。膨張を始め、水星と金星は飲み込まれる。


* 約76億年

 太陽の中心核の温度が上昇し、ヘリウムの燃焼が1億年程度続く。


* 292277026596年 (約2923億年)

 12月4日。符号付き64bitを使うUNIX時間で表現できる範囲を超える。



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