2020年4月20日月曜日

空想:魔法のランプ

 異世界モノとかで魔法がある世界で使われる道具、特に保存則を無視したような道具に関して。例えば「魔力を流すと水が出るポット」とかは、「ポットの形」をしているんだろうか?
 地球で使われる液体を貯める道具はもれなく十分な体積が得られる形状をしている。これは「その体積に入る分が持ち運べる上限」という限界があるため(ナゾナゾみたいに冷却・固相化すればその限りではないが)。しかし、魔力供給で液体を生み出すなら、体積の制限は排除される。とすると、極めて小型の道具から大量の液体を供給することもできてしかるべきなわけだ。であるなら、地球から転移or転生した人間が見て「これは水を出す道具だ」と判別できる形状をしているとは限らない。「有れば便利だが生活に必須ではない」程度の道具であれば、知識チートが原型となってその形が維持される、という可能性はあるが、生活に必要なもの(水や熱源)であれば、その世界で文明が発生する前に知識チートが行われた、という状況でもなければ、その文明で最適化された形状になるだろう。例えばガスコンロは燃焼する空間が必要なために五徳が必要だが、魔力を貯めた魔石から直接熱エネルギーを出せるならその空間は必要なく、平坦な形状でもいいはず。それを「コンロ裏返して布に押し当てればシワ取れるじゃん!」とアイロンのように使いだす人もいるだろう。

 何もこれは魔法世界に限った話じゃなくて、現代地球でも十分に考えられる。
 例えば100年前であれば「遠くの人と会話する道具」は黒電話やそれに類する形しか想像できなかったはず。しかし現代では、昔の人からすればコンパクトミラーのようなもので会話しているように見えるはずだ。ちょっと想像力が豊かな人からすれば「魔法の鏡で遠くの人と会話している」ように感じるかもしれない。
 先の液体を貯蔵する例で言えば、少なくとも現代科学では液体を圧縮して持ち運ぶ技術はないから、この物理法則が維持される限りにおいては、ポットや水筒の形が大きく変わることはないだろう。
 しかし、エネルギー関係で言えば、現代科学はかなり進歩しているし、それが止まる気配もない。一昔前の懐中電灯は単1電池を4本とか使うのが当たり前だったが、今では握りこぶしに隠れる程度のLiIon電池を内蔵したライトで同等以上の光量が得られる。
 あるいは、ガスコンロが電磁調理器になったのも、大電力・高周波数を扱えるようになった最近のパワーデバイスの発展によって得られた恩恵かもしれない。電磁調理器によって、人類が火を使いだして以降必須であった「直火加熱調理において、燃焼する空間を得るための形状」の制限が撤廃された。この発展の先には低エネルギー化してワイヤレス充電に使われたりしているが、更に発展すれば机全体に高エネルギーな送電モジュールを敷き詰めて、机のどこに電気製品を置いても給電・充電ができるし、鍋を置けば机のどこででも調理できる、という物が作られるかもしれない。机のどこででも調理ができるのであれば、台所にコンロを置くという住宅のスタイルも変わるかもしれない。さすがに路面に敷き詰めたワイヤレス充電エリアの上で鍋パは危険なのでやらないほうがいいと思うけど。

 スマートフォンを置くと魔法陣が表示されるワイヤレス充電器は、ファンタジーアイテムとしては面白いけど、魔法世界の住人に言わせれば「いちいち魔法陣展開しないと使えないとか古臭いよなwww」とか草生やしてるかもしれない。逆に転生勇者がワイヤレス充電できるモバイルバッテリーを持ち込んだら、宮廷魔術師が「これぞワシが追い求めていた物じゃ!!」とか感涙するかもしれない。

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