2017年5月3日水曜日

手動スタートラッカ

 スタートラッカを作りたいと思っていて、とりあえずテストデータとして使える星空を撮ってきました。写真にSAOカタログから計算した恒星の位置を重ねてプロットしています。


 フルサイズ機でF1.8 1sec ISO3200 55mmの設定で撮影しています。マーカーは9.5等星まで表示しています。

 星の位置を計算するのは以下のページを参考にしました。
 Star Trackerに結像される星位置の計算 - nyanp::blog
 SAOカタログから読み取った赤緯赤経と、カメラの向きを四元数で渡して計算しています。
 画角は横36.24x0.9975°、縦24.61x0.9975°で、画素サイズ36x24mmで焦点距離55mmの理論値とほぼ一致しています。画角は端から端までの値で、レンズを通過してきた光は上下左右が反転しますから、画像に描き込む場合はそれを反転し直す必要があります。また、この計算では後ろ側の星の判定などは行わないので、何らかの方法で画角外を除外する判定が必用です。

 充分に明るいはずの星があるはずの場所にも何も写っていなかったり、なにもないはずの場所に輝点が写っていたりしますが、かなり綺麗に一致しています。画面中央の一番明るいのは木星です。



 iPadの星アプリとにらめっこしながら、いくつかの星を同定してみました。といっても名前を入れてるのは2個くらいで、あとは飽きてRaDecしか書いてませんが。
 エリアとしては、おとめ座のあたりです。この線でおとめ座ってんだから、昔の人は想像力豊だったんだろうと思います。


 スタートラッカとして使うには、今回は姿勢を人間が設定していますが、これを自動で行うプログラムを作る必要があります。
 とりあえずマッチングにはOPMアルゴリズムが使えるかな、と思います。というか、それくらいしか見つかりませんでした。STTっていろんなところに出てくる割に、内部の詳しい話は全く出てきません。バス機材は衛星チームが宣伝するようなものではありませんし、コンポーネントを作ってるところも、あまり詳しい話は出していないようです。
 でもいちばん大きい難関は、画像から星の位置を検出するアルゴリズムかもしれません。


 STTが使えるようになれば、ジンバルの姿勢とかを自動で補正できて便利かな、と思っています。初期化作業が大幅に簡単になりますから、使うときだけ設置するとか、移動運用とかが楽になると思います。
 この方法は夜間しか校正ができないという欠点がありますが、NICTだったかのPDFにも書いてあったので、ちゃんと使える方法だと思います。
 今ジンバルに乗ってる光学系では、画角は7.8x5.8°くらいで、STTとしては標準的な画角に近いと思いますが、なんせ画素がWebカメラですから、衛星追尾中はSTTとしての使用は難しいと思います。校正時に露光時間を長くして星を撮像して、運用時はSTTとしては使わない、という流れになると思います。もちろん増幅管を通すとか、高感度な画素を使えばそうとは限らないわけですが。

 手っ取り早くやりたいならいくつかの明るい恒星を選んでその角度から計算すればいいだけですから、STTを作りたいのは完全に興味本位です。でも個人の趣味の作業だからそういう理由で良いんです。

***

 木星の存在感があまりにも大きいので、久しぶりにビクセンの望遠鏡にK-5を付けて撮ってみました。


 心の瞳で覗いてみると、縞模様とかガリレオ衛星が見えると思います。
 この鏡筒を使ったのはかなり久しぶりで、以前はISSとか飛行機を撮っていたものです。ということで邪魔なファインダーは外してあり、経緯台からも微動ノブが外してありました。星を見るにはかなりマゾプレイですが、まぁなんとかなるもんです。
 動いてる飛行機を手持ちで撮ったりとか、動いてる衛星を三脚に載せてフリーストップで撮ったりしてると、静止してる星は導入さえできてしまえば逃げないのでかなり楽ですね。

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