2017年6月29日木曜日

妄想:ペルチェサット


 ペルチェ素子を張り巡らせたキューブサット、という妄想。



 見ての通り、立方体形状で、1Uサイズを想定。全面がソーラーパネルになっており、その内層にペルチェ素子が配置されてる。ソーラーパネルは手持ちのモノの大きさを使ったが、実際に打ち上げるなら面積を最大限使うべきだろう。ペルチェ素子は白く表示されているが、熱入出力がメインミッションだから、実際には真っ黒になるんだろうな。

 主な構成機器としては、1) 発電用のソーラーパネル、2) 軌道制御用のペルチェ素子、3) 姿勢制御用の磁気トルカ、4) 制御回路一式、5) 軽量大容量なバッテリー、6) 電気→熱変換ヒーター?、という感じ。
 入力エネルギー(太陽光)をソーラーパネルで電気に変換し、ペルチェ素子を駆動する。ペルチェ素子は熱の移動を行えるので、ヒーターや太陽光面の熱を他の面に移動することにより、ヤルコフスキー効果で軌道変更を行う。
 キューブサットだと表面積が少ないので発電量や熱放射が少ないが、大きな衛星では2乗3乗の法則で面積の割に重量大きくなるから、ヤルコフスキー効果を使うなら積極的に小型化するほうが良いと思う。

 最近ではオール電化衛星と呼ばれるタイプの衛星があるが、それらでもスラスタには何らかの推進剤を使用したタイプであり、いうなれば「給湯器は都市ガスを使う」といったタイプのオール電化である。その点、ペルチェサットは軌道変更も純粋な電力のみを使用するので、完全なオール電化となる。
 あと、短時間ならある程度は表面温度を制御できるので、「高熱源体が接近してきます!!」みたいな遊びもできる。

 ペルチェ素子でだいぶ面積を食うが、2GHz前後以上の周波数ならアンテナの大きさは極めて小さいから、キューブサットの表面に固定しても使い物になるはず。SHFは帯域幅が大きいが、この衛星ではカメラを載せる余裕は無いだろうから、せいぜいペルチェ駆動コマンドを送る程度だろう。でも、スタートラッカ代わりに1個カメラを載せておけば、広報的にも良いんだよなぁ。ちっさいカメラはほんとに小さいし、数百MHzのARMとか載せるならカメラの制御くらいはできるだろうし、ペルチェ素子の制御にマイコンのROMを使い切るってこともありえないだろうから、カメラを載せるのはありかも。

 本当にこういう衛星で軌道制御ができるのかは不明だが、例えば高度800kmくらいの円軌道に入れてやれば大気の減速は無視できるから、ゆっくりと実証できるかも。本当に自前でヤルコフスキー効果を出せてるのか判断できるかは別として。
 「オール電化衛星」でも推進剤がなくなれば軌道変更ができなくなるが、ペルチェサットでは軌道変更も姿勢変更もすべて電気で行うし、リアクションホイールのような可動部品も無いから、ソーラーパネルが劣化しない限りは寿命になる要因がない。ソリッドステート・オールエレクトリックサテライト、SSAE衛星、とか。ペルチェ素子やら磁気トルカのどこがソリッドステートだ、というツッコミは置いておいて。


 こういう衛星は何に使えるかなぁ。重量の大きいミッション機器は載せられないし、姿勢制御できるとは言えハイゲインアンテナを載せれるほどじゃないだろうし。
 ヤルコフスキー効果でどれくらいの高度の大気減速を補償できるか。そこに制限の大きい衛星を置く利点は有るか。厳しそうだねぇ。
 ま、そういうこと考えないで無責任に考えるのが一番楽しいんだろう。とか衛星作ったこと無いけどイッテミル。
 自由に軌道を動かせる(かも知れない)衛星って、そもそも打ち上げさせてくれるんだろうか。ISS放出だって、後方に打ち出して軌道高度を下げて、ISSに衝突しないようにしてあるから、自前で軌道高度を上げちゃう衛星は嫌がられるだろうなぁ。


追記:2017-06-29
 ムキになって全面にペルチェ素子を貼ってるけど、実際にはその必用はない。最低限、1面に熱を移動できるようになってればいい。なので、6面中5面にソーラーパネル、残りの1面にペルチェ素子を貼ればいい。1面はペルチェ素子で熱を持ってきたり、ヒーターで加熱したりするので、ソーラーパネルは設置しない。これにより加熱面の熱制限は少なくなる。また熱放射に優れた表面処理を施すことができる。加速する時は加熱面を後ろへ、減速する時は加熱面を前へ向けて加熱すれば、そのように加速度が発生する。

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