2017年12月4日月曜日

中間誘導とVLS

 VLSから発射するには中間誘導が必須である。
 (シリアス口調ここまで)

 中間誘導が使えるミサイル、例えばAIM-9Xは中間誘導が可能で、発射後ロックオン(LOAL:Lock-On After Launch)ができる。AIM-9M等は中間誘導ができず、発射前ロックオン(LOBL:Lock-On Before Launch)のみとなる。
 LOALをするためには「どの方向へ向え」という情報だけで発射する必要があり、その方向へ飛翔するにはなんらかの中間誘導が必要になる。中間誘導ができない場合は、発射前に確実に方向が決まっている必要があり、LOBLのみの運用となる。
 中間誘導の方式はたぶんなんでもいい。AIM-9XならJHMCSの正面方向へ飛翔するだけなので、角度の操作量だけを得ているはず。この場合は慣性誘導でいい。AIM-120は基本的にLOALの運用のはずだが、自分のシーカーでロックオンするのは目標に近づいてからのはずだから、「メインのシーカーがロックオンするのは発射した後」ということでLOBLの一種と考えられる。この際、目標が遠くにいた場合は、目標に接近する間に目標が移動してしまう可能性が高いから、慣性誘導だけでは足りず、途中で目標位置の情報をアップリンクする必要があるはず。だから中間誘導にデータリンクが必要になるはず。

 VLSから発射する場合、ミサイルのシーカーは真上しか見えない。また発射前はフタが閉まっているから、どっちにしろシーカーの目は塞がれていることになる。なので、発射してからシーカーがロックするまで、何らかの方法で中間誘導が必要になる。
 中間誘導を持たないスタンダード1は旋回式ランチャーからしか発射できず、VLSから発射するスタンダード2は中間誘導が追加されている。旋回式ランチャーは撃つ前に目標の方向へミサイルを指向できるから、発射前にロックオンが可能。
 SM-2はVLSから発射するという要求のために中間誘導を追加したが、このためにイルミネーターは終端誘導時のみで済むようになったため、同時に複数のミサイルを飛翔させることができるようになった。
 とはいえ、同時に週末誘導できるのはイルミネーターの数に制限されてしまう。例えば、遠くの航空機と近くの航空機がいて、遠距離目標のほうが優先度が高い、と判断した場合、遠くの目標へミサイルを撃ち、続いて近くの目標へミサイルを撃つことになる。この場合、イルミネーターが1個しか無いと仮定すると、イルミネーターはまず遠距離目標を照射する。最初に撃ったミサイルはこの目標へ誘導されるが、その間に近距離目標に撃ったミサイルも目標へ到達してしまうかもしれない。しかしその時点ではイルミネーターは高優先目標に対して使用中だから、近距離目標への誘導が行えない。イルミネーターが使えるようになったときには、近距離目標へ向かったミサイルは目標の向こう側へ飛んでいってしまった。というようなことが予想されるので、優先順位決定アルゴリズムは、単純に脅威度のみならず、将来的に使えるリソースも考えて撃つ必要がある。上記の場合、遠距離目標に撃ってから近距離目標を撃つと、同じタイミングで目標の終端誘導が必要になってしまうから、ワザと近距離目標に撃つタイミングを遅らせる、とか、そういうような処理が必要になるはず。

 なかなか大変そうだ。武器システムは一日にしてならず。

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