2018年2月26日月曜日

コヒーレントドップラー検波

 正しい名前は何ていうのか知らん。

 送信周波数と検波の基準周波数が完全に一致した場合にドップラーを検出する方法。






 検波の基準周波数を1Hzとして、上からそれぞれ受信周波数が1Hz、0.9Hz、1.1Hz、1.2Hzの4種類。横軸はフルスケール10秒。
 受信した信号(という想定の正弦波)がRX、基準周波数の正弦波(sin)と余弦波(cos)があって、*sinはRX*sin、*cosはRX*cosの形。ave sinとave cosは*sinと*cosを基準周波数の180度分のサンプル数で平均化したもの。atan2はave sinとave cosのarc tanを計算したもの。
 ave sin、ave cos、atan2の最後の方の波形が乱れているのは、平均化に必要なサンプル数が足りないため。

 1Hz(受信周波数=基準周波数/ドップラーシフトなし)の場合、atan2の値は時間軸で常に同じ値となる。0.9Hz(青方偏移)の場合は右肩上がりのグラフで、便宜的に時計回りと表現する。1.1Hz(赤方偏移)の場合は反時計回りとなる。
 ある程度前のサンプルのatan2と現在のatan2を比較し、時計回りに移動していれば目標が接近中、反時計回りに移動していれば目標は遠ざかっている、と判断することができる。
 1.1Hzと1.2Hzを比較した場合、よりシフトが大きい1.2Hzの方がatan2の変化量が大きいことがわかる。
 0.9Hz、1.1Hzの場合、atan2は10秒で1周している。1.2Hzの場合は5秒で1周している。このことから、ある時間でのatan2の変化量をn回転とした場合、その逆数がドップラーシフトの周波数になることがわかる。基準周波数は既知だから、シフト量がわかれば目標との相対速度を計算できる。


 この方法で低速の目標を見つける場合、十分に長い期間のサンプルが必要になる。例えば1GHzのレーダーの場合、目標が1m/sで移動すると3.3Hz程度のシフトが発生する。この場合、1秒間のサンプルを見ると、atan2の値が3.3回転程度することになる。実際には10マイクロ秒未満のパルスで計測するだろうから、とてつもなく小さな回転量しか得られない。たぶんノイズとの戦いになる。


 この復調方式は、単純では有るが実際に使うにはかなり大変そうな気がする。特に短いパルスで十分な精度が得られるのか、という点が疑問。あとECMに弱そう。
 でも結局どの方式を使うにしろ、微量のシフトを検出しないといけないことに変わりはないから、あんまり問題にはならないのかも。

 超音波でもドップラーシフトは計測できるだろうけど、常に同じ速度で移動するターゲットを作るのが大変そう。

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