2019年2月2日土曜日

深宇宙探査用地上局

 GREATプロジェクト。
 GRound station for deep space Exploration And Telecommunicationで、先に略称が決まったような雰囲気。
 新宇宙探査ではなく、深宇宙探査。

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 [GREAT プロジェクトで学ぶ深宇宙探査用地上局のすごさ](http://www.isas.jaxa.jp/outreach/events/opencampus2017/leaflet/leaflet/4-4.pdf)

 GREAT(54m局)はX帯(7-8GHz)とKa帯(31-32GHz)に対応する。
 臼田(64m局)はS帯(2GHz)とX帯だけ。
 はや2ではKa帯のHGAを載せているが、日本ではKa帯は運用できない。現在はNASAのDSNに頼っている。

 アンテナ総重量が2100トンあまり、反射鏡だけで440トン。

 熱変形や強風への態勢を向上。主鏡裏面の構造にカバーをかけて日照を防ぎ、さらにカバー内の空気をファンで動かして熱が偏らないようにしている。

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 [深宇宙探査用地上局(GREAT)](http://www.jaxa.jp/projects/pr/brochure/pdf/04/sat39.pdf)

 1ページ目に概要、2ページ目に諸元。

 [深宇宙探査用地上局(GREAT)](http://www.isas.jaxa.jp/about/facilities/images/usuda/great.pdf)

 54mで重量2100トン以下、Az-El方式。
 追跡管制では7.145-7.235GHzと8.4-8.5GHz、それと31.8-32.3GHzに対応。
 測地VLBIでは8.2-8.7GHzに対応。

 送信では、X帯利得が69.62dBi、20kW以上。

 受信では、X帯が53.35dB/K以上、Ka帯が59.33dB/K以上。どちらも実効値(大気吸収と降雨損失でそれぞれ0.45dB、0.30dBの損失があり、これを反映した値)。
 また、この数値は最大瞬間風速がそれぞれ10m/s、3m/sの状態で、日照条件での損失がそれぞれ0.2dB、3dB以下であること。

 太陽光由来の加熱で結構損失が出る。夜間のほうが利得は高くなるけど、水星探査機とかは昼間しか通信できないので条件が悪い。小惑星帯はタイミングによってか。

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 [衛星通信向け固体電力増幅器の試作機納入に関するご報告](https://minkabu.jp/announcements/6838/140120170605496162.pdf)

 2017年6月5日付

 X帯送信機の試作機の増幅器。

 固体増幅器を個体増幅器と変換ミスするのはあるあるだな。

 SSPA(Solid State Power Amplifier)単体では125W級、それを300個以上(384個?)組み合わせて20kW級の出力。
 384個で20kWとすると1個あたり52Wになる。かなりディレーティングしてる感じか?

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 [臼田64m後継局プロジェクトの状況について](http://www.t-sakai.cei.uec.ac.jp/rxws2016/presentation/16thRxWS_murata.pdf)

 2016年3月7日付

 既存局(臼田64m)の老朽化への備えとKa帯受信への対応を目指す。

 はやぶさ2とMMOを想定。X帯は既存局と同等以上の受信性能、Ka帯はX帯の2倍以上の回線レートを目指す。

 8GHz帯/32GHz帯で受信しながら7GHz帯での送信が可能なフィードを目指す。

 まずははや2/MMOで必要な機能を作る。
 はや2/MMOで必要なX/Ka以外の、8-43GHzでの受信も検討中だが、とりあえず先送り。
 探査機の軌道決定に必要なVLBI機能は整備する予定。
 64m局では電波天文観測も可能だが、54m局では今後検討。

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 [新しい深宇宙探査用54mアンテナプロジェクトの現状](http://www.miz.nao.ac.jp/vera/system/files/collegium_and_conference/235/attached_647.pdf)

 2017年12月24日付

 クリスマスに資料作成お疲れ様です。JAXAの追跡屋さんはNORADの追跡には参加してないのか。まぁ、大気圏内の追跡に64m鏡とかデカすぎて振り回せないよね……

 ほぼすべてのページが英文。
 とりあえず気になったところだけピックアップ。

 受信利得はXが72.37dBi、Kaが78.96dBi。熱雑音はXが21K、Kaが35K。
 測距精度は1.15m。TT&C(トラッキング・テレメトリ&コマンド)はCCSDSに準拠。

 54mが完成したら64mアンテナの維持費を54mへ振り分ける。64mの維持費をどうするか。
 64mは信頼性が必要な用途へ使うにはリスクが有る。信頼性が必要でない用途への転用。
 人材育成に使える(失敗してもクリティカルな事態にならない)。
 天体観測やVLBIへの活用を増やす。現在100時間/年くらい。1000-2000h/yくらいに増やせる?

 他にも面白そうなことが書かれているような気がするが……

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