2019年2月3日日曜日

ASNAROとか


 [ASNARO衛星開発概要](https://ssl.jspacesystems.or.jp/library/archives/usef/simpo/pdf/2011_USEF_seminar-2.pdf)

 4ページ目、衛星質量と地上分解能のグラフ。おおよそ線形になるが、多機能な衛星だと質量の割に分解能が低かったり。
 ASNAROは他の衛星より高分解能を目指す。
 米国の規制により、米国衛星が撮影した画像は、分解能0.5mより画質を落として販売される。高分解能な写真が欲しければ自国で衛星を持つ必要がある。


 12ページ以降、SpaceWire関係の話がいくつか。試験室の間取りとか。


 15ページ以降、HALT試験の話。
 Highly Accelerated Life Testの略。高加速寿命試験の意味。ストレスをガンガンかけていつまで生き残るか。ブラック企業っぽい
 試験は5段階行う。1) 低温、2) 高温、3) 熱衝撃、4) 振動、5) 複合、という感じ。
 1) 室温から-100℃までステップ状に冷却しながら動作試験。
 2) 室温から+100℃までステップ状に加熱しながら動作試験。
 3) 毎分90℃で温度を変えながら試験する(範囲は書いてない)。通常の宇宙機は毎分2℃とのこと。
 4) 最大50Grmsまでステップ状に加振して動作試験。
 5) 熱衝撃を与えながらステップ状に加振して動作試験。

 この試験により、5日間の試験で設計の問題を発見。

 加熱ステップ試験でチップ抵抗脱落、複合試験でEFT脱落。
 EFTって、FETのタイプミスか? 試験後の写真が不思議な感じだ。拡大した写真は撮ったけど全景取り忘れて慌てて合成、って感じ?

 振動試験中にDCDCコンバーターが脱落。
 DCDCコンバータはメーカーロゴと型番を消してあるけど、ググれば簡単に見つかる。ガバガバやんけ。ただ、データシートのパッドと実際の様子が違うので、カスタム品かな? モジュールのシールドをしっかりGNDに落とせるような感じ。
 データシートだと6ピンの表面実装なので、そりゃまー剥がれそうで…、という感じだ。そんなに重くない物だから大丈夫、という想定だったのかな。


 18ページ目、システムバスの諸元。システムバスと言っても、ミッション部も一緒に書いてある。上側の光学センサからアジリティまでがミッション機器の話のようだ。
 ミッション機器は、記憶容量120GB以上、データレートはXバンドで16QAMの800Mbps。直下45度の円錐内を撮影できて、毎秒1度の首振りが可能。
 システム部は、運用3年以上、目標5年以上。質量は、バスが250kg、それに推進剤が最大で45kg。発生電力は3年後で1300W、ミッションに400W。


 21ページ目、撮影モード。

 基本モードが4種類。
 1) 左右に首を振りながら軌道と直行する方向に何箇所か撮影。
 2) 姿勢を固定して連続撮影し、軌道と並行に長い範囲を撮影。
 3) 姿勢制御を行って軌道と直行する方向に長い範囲を撮影。
 4) 同じ場所を複数回撮影することにより、3D写真を撮影。

 4は3の応用という感じ。
 2と3を組み合わせて、軌道と斜めの長い範囲を撮影するモード、とかもある。
 あとは、1箇所を数秒間撮影して高SNRな撮像、とかも。長時間露光でゲインを稼いで、センサ感度を落としてノイズを減らす、みたいなことかな? 2秒程度撮像するらしい。2秒でも軌道上では15kmくらい動くので、姿勢を固定してると一つの点が15kmの線になってしまい、実用に耐えないので、ちゃんと首振りする必要がある。
 応用モードの、斜め連続撮影を使うと、東北から関東までの海岸線600kmを1パスで撮影できる。600km撮影して84GB程度になる。800Mbpsだと15分から20分位かかる。衛星と1箇所の地上局との直結だと、ダウンリンクに5時間程度かかるか?


 23ページ、バス構成。

 31ページ、コンステレーション構想。
 1機の太陽同期準回帰軌道では撮影範囲がスカスカになる。3機でコンステレーションするとくまなく撮影できる。他国に衛星売りつけて協力関係を築こう、みたいな話。

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 [PASCO 第63期中間株主通信](https://www.pasco.co.jp/ir/library/ar/download/63bis_reptmid/bis_10121501.pdf)

 株主向けの冊子のようだ。正方形の冊子の見開き2ページがPDFの1ページなので読みづらい。

 3,4ページ目に可搬型の衛星地上局システムの話。
 車載システムだが、その車のイメージとか。株主向け冊子の1ページなので表面的な話に終始。


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 [先進的宇宙システム「ASNARO」の開発](https://jpn.nec.com/techrep/journal/g11/n01/pdf/110106.pdf)

 ASNAROやそのバス部(NEXTAR)の話。

 従来は16bitMPUを使い、機能ごとに計算機が必要だった(データ処理、姿勢制御、ミッション、の3台、とか)。NEXTARではひとつの計算機で行う(バスとミッションで計算機を共有?)。

 従来はSDRAMにデータを保持していた。SDRAMは消費電力が大きい。Flashメモリを採用して低消費電力化。

 従来はQPSK変調で1シンボル2bitを送っていて、800Mbpsを達成するために、通信機材を2組載せていた。QAM16を採用することにより1シンボル4bitを伝送できるようになり、質量・電力・価格を半分に削減できる。

***

 [可搬統合型小型地上システムの研究開発(終了時評価)](http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H27/151216_ucyu1/ucyu1_siryou5d.pdf)

 撮影の計画からデータの受取、解析(差分や標高データの作成)までを1台の車にパッケージ化。

 撮影計画を15分で実施、衛星運用計画を15分で実施。実際には10分、4分程度で実施できた。
 AoS(衛星可視)30分前までに撮影リクエストを受け取り、即観測を行って、そのままダウンロードから解析までを現地で行える。

 被災現地にトラック1台を送り込めば、現地で衛星が可視になった時点で撮影コマンドを送り、その場で撮影から画像処理まで行って、被災状況をすぐに提供できる。

 商業的に使う場合、1シーンを25万円で売って、1日に40シーン撮影して、1年やれば35億円の売上。5年間運用できれば180億円。投資を十分回収できる。

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* 感想

 いろいろ思うところはあるが、いまいちまとめきれないので省略。

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