[人工衛星に燃料補給する衛星「MEV-1」が打ち上げ実施 - sorae 宇宙へのポータルサイト](https://sorae.info/space/20191025-mev-1.html)
Soraeでも「燃料補給」という表現なんだな。
概念としてはそのとおりなんだけど、もうちょっといい表現がありそうな気がするんだが。
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メーカーパンフ
https://www.northropgrumman.com/Capabilities/SpaceLogistics/Documents/MEV_Factsheet.pdf
あんまり具体的なことは書いてない。
推進系は2液と電気の2系統。電気推進はベクトル制御が可能。電気で静止化。
ドッキング用のセンサスイートが乗ってるのが特殊だけど、バス系はGEOStar-3をそのまま使ってるのかな(GEOStar-3は元々Orbital ATK系だけど、Northrop Grummanが買収済み)。
普通の静止衛星バスのミッションモジュールとしてドッキング用のセンサ類を載せたような構成なんじゃないだろうか。ミッション機器が少なく、燃料消費量が多い分、バス系にも手を入れてるのかもしれないけど。
メーカーの動画を見る限り、相手衛星を墓場軌道に入れてからドッキングするらしい。万一やべーことになっても墓場軌道ならまぁ…ってことなのかな。動画中だと太平洋上空、日本から可視のエリアでドッキングするらしいので、土星の衛星を撮れるような光学系なら撮影できそうだけど、そもそも墓場軌道なのでタイミングの問題だろうな。SSA用の静止軌道監視用光学系の練習とか性能評価に良さそう。
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この手の衛星が実用的になってくると、推進系専用の衛星・ミッション系専用の衛星、というのを作って、軌道上でドッキングさせるのもアリなのかな、とか思い始めたり。
衛星の寿命が10年から20年程度として、通信需要が15年間変わらないか、というと、怪しい。まぁ、そのための通信衛星のフレキシブル化だけど。
例えば、ミッション機器の寿命は5年と想定して、推進系は自分で墓場軌道に上がれるだけのシンプルな2液系。姿勢制御はホイールを使用せず、1液スラスタのみで行う。電源系だけは自前で持っていく必要があるけど、これはミッションによって需要が変わるし、経年劣化の影響もあるので、「運動モジュール」からの給電は期待しない。
これを適当な軌道に載せたあとに、1週間程度で健全性チェックその他を行いつつ、墓場軌道で安定させる。その後、運動モジュールとドッキングし、1週間前後をかけて静止軌道で安定化させる。打ち上げから静止化まで2-4週間程度。全電化衛星と比べて数倍早くサービスインできる。ミッション機器の設計寿命を短くすることで、全体的な低コスト化も図る。素早く静止軌道まで上がれるので、放射線(バンアレン帯)耐性も、全電化衛星と比べて減らせられる。
ただ、通信衛星が高寿命化してるからこその推進系高寿命化の要求なわけで、わざわざ短寿命のミッション機器を、高寿命な推進系バスと軌道上でドッキングさせる、という運用コンセプトは、あまり利点はないかなぁ。
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