2020年1月25日土曜日

「ハンター・キラー」

「ハンター・キラー アメリカ空軍・遠隔操縦航空機パイロットの証言」という本を読んだ。

 RQ-1の比較的初期から最近のMQ-1やMQ-9を経験したパイロットの回想みたいな感じ。
 読み物としては普通に期待通りで面白い。
 が、日本語訳と日本版の解説が台無しにしてる感じがある。

 細かいところだけど、例えばQRFが「救急対応部隊」と訳されていたり、JTACがすべて「統合末端攻撃統制官」と書かれていたり、いちいち読むのが大変。そもそもQRFは「緊急対応部隊」が広く使われている感じがあるし、救急というのは誤訳じゃないだろうか。
 解説に関しても、著者があとがきで「最近はドローンが映画のターミネータのように勝手に戦争をしているというふうに言われているが、そんなことはない。本物のパイロットが有人機と同じ手順で攻撃を行っているのだ」と書いているのに対して、解説ではムーアの法則だのAIを使ったドローン(数万円の市販品)だのを書き連ねて、挙句の果てに「我々もドローンを理解する必要があるのだ」みたいな結論になっていたりする。

 QRFやJTAC以外にも、RQ-11レイヴンを「カラス」と訳していたり、なんだかなぁ、と思う部分が多々。この訳者はミリタリー関係の本の翻訳を行っている人では無いようなので、他の分野ではそういう表記が当然なのかもしれないが。
 原文でどう書かれているかわからないけど、たぶん全部が全部「Quick Reaction Force」や「Joint Terminal Attack Controller」と書かれているわけじゃないだろうし、おそらくQRFとかJTACと書かれているはずで、それはそのまま書いておけばいいはずなんだけどなぁ。いちいち長い漢字の羅列で書かれると読むの面倒くさいんよ。。。

 某コミック原作映画の実写化とかで色々話題が出て「やっぱり邦画って……」みたいな感覚が自分の中にあるけど、この本の翻訳しかり、以前に書いた配信ドラマのSWCC/SWIC問題しかり、海外の作品でも「日本に入ってくる段階で」いろいろ問題起きてんなぁ、という感じがする。日本人大丈夫か……
 Wikipediaによると「ロード・オブ・ウォー」の広報担当者がロードを道だと思いこんでた逸話とかあるしなぁ。それとも「ロード・オブ・ウォー」の字面を見て「ロード」を支配者の意に変換できる人間って中二引きずってるだけなのか?
 まぁ、輸入映画の翻訳は、それ自体でネタにされる程度に色々あるので、今更始まったことでも無いんだろうけどね。
 スティンガーミサイルで主力戦車を爆散させるラノベ(軍事考証付き)?そんな作品は知りませんねぇ……


 ここ数年で読んでるミリタリー系のフィクション、楽しめる作品が少なくて悲しい。「俺が読みたいのこういうのじゃない」感。萌々してるのが駄目なのかと思って鬱々したやつを読んでも、やっぱり「コレジャナイ」感。 今回は割とスムーズに読めたし、ノンフィクションを攻めていくのも手かなぁ。
 求む、面白い読み物情報(フィクション・ノンフィクション問わず)。


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