2021年9月2日木曜日

「夜に山道を行くぎんこうってな~んだ?」

「俺は行く 俳句作る ナイトハイク」(字余り・字足らず)

 いろいろちがう


 30年後くらいに火星移住が本格化した時代が来ると、それが季語になったりするんだろうか? 未知への挑戦に旅立つ心境とか、帰らぬ旅立ちを見送る心境とか、いろいろな表現ができそう。古典的な季語は地球の四季に位相ロックしているけど、宇宙時代の季語は地球とは周期が異なるようになるんだろうな(古典的な宇宙に関する季語は位相同期してるけど)。

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 ここ最近で急に話題になった(気がする)スマートフォン内蔵の衛星通信、個人的には結構懐疑的。

 既存の衛星通信網だとイリジウムやStarlinkがあるけど、前者は大昔の携帯電話サイズでテキストメッセージ程度(or大型アンテナで高速通信)だし、後者もかなり大きなアンテナが必要になる。Starlinkの100分の1としても、YouTubeの低画質がギリギリ流れる程度でしかないし、実際にはIridium CertusでもMax1.4Mbps程度らしいから、スマートフォン内蔵ならさらにその1-2桁下くらいだろう。

 用途を考えても、例えば家や学校、職場で暇なときにネットを漁る、あるいは移動中のバスや電車の中でネットを漁る、というような場合は、すべて衛星通信が不可能なシチュエーション。他にも、仕事中にメールを見たい時とかも、たいていは衛星通信は不可能な場所。

 ということで、スマートフォンに衛星通信を組み込んでも、実用上は難がある。


 では、衛星通信が容易な環境はどういうところかというと、一言で言い表すなら「周りに人がいない場所」ということになる。例えば人里離れた場所の道路や、ハイキングで出かけるような大自然の中。しかも、こういう場所では既存の移動通信網が使えない場合が多い(日本の場合はわりとどこでも通信できることが多いけど)。

 で、こういう場所で低速な通信が使えて嬉しいのが、緊急通報に使う場合。この場合、通信データ量はせいぜい10バイト前後(位置情報)を送れば済む(個人の特定は衛星通信の段階で自動的に紐付けられる)。あるいは、もう少し高度な情報を送ってもいい(例えば衝撃値の情報があれば、転倒なのか自動車事故なのかをある程度推定できるし、怪我や緊急度も推定しやすくなる)。

 で、そういう用途に使う機器はどれくらいの規模感になるかというと、例えばTRICOM-1RのS&FミッションではLoRa機器(20mW、携帯電話より1桁低い)で衛星通信を実証済みらしい(らしいというのは、東大案件らしく、情報がほとんど出てこないから)。このくらいの規模感ならスマートフォンに十分搭載できる大きさになるはず。

 このメーカーはウェアラブルデバイスで転倒を検知して通報を行うようなソリューションで実績があるが、これは移動体通信網が整備されている場所でしか使えない。人口密度が低いエリアに住んでいる人向けやハイキング等で通信手段が確保できない場所(えてして通行人も少ないから緊急通報が迅速に行われない可能性が高いエリア)に行った人に対する通信手段の提供は、理にかなっていると思う。


 ということで、個人的には「将来的に緊急通報手段として使えるようになる説(インターネット接続には使えない)」に一票。

 あるいは、ある程度安定して動くようになれば、ジオキャッシングやIngressのような遊びで使える可能性もあるけど、「通信費用はお客様の負担となります」みたいなヤツが強烈になりそうだなぁ。


 楽観的に考えれば、しばらくすれば高速デバイスがもっと安くなって、スマートフォンでもKuバンドのビームフォーミングとかができるようになれば、野外の開けた場所でも数十Mbps程度の衛星通信が使えるようになるかもしれない。ただ、今度はLoRaやIridiumと違って周波数が高いから、木陰程度でも十分に障害になる。つまりハイキングに行って木陰で涼みながらYouTubeを見る、みたいな使い方はできそうにない。ポツンとそびえ立つ岩の上に登って夕日に照らされながらYouTubeでヨガ動画を再生して、くらいならできるかな。まぁ、んなことやりたかったらYouTube Premiumでダウンロードしてから行けよ、という話だが。

 あるいは、衛星通信がスマホに乗るくらいの時代なら、スマホのローカルストレージも10TBくらいあるだろうから、動画アプリ側も「興味ありそうな動画を6G接続の時に片っ端からダウンロードしておく」くらいの実装になってそうな気がする。いくら映像コンテンツが高解像度化したって、手で持てる大きさのディスプレイなら4Kもありゃ十分だろうし、仮に3TBのストレージをキャッシュに使うとすれば、4K動画(70Mbps)でも4日分くらい入るから、提案アルゴリズムの強化とかで十分現実的な範囲になりそうな気がする。設定画面でキャッシュする画質を選べるようにすれば最大4週間分くらいの動画は貯められそうだし。で、有料コンテンツの支払い(orサブスクの認証)だったり再生数のインクリメントみたいな小さいパケットだけ衛星通信でリアルタイムに行う感じになるんだろう。そういう用途ならLバンドの帯域幅で足りるだろうし。

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 AHRSやってる関係でひまわり8・9号の話題読んでたんだけど、そういえばひまわり8・9号ってQZSとSAPの縦横が逆なんだな。QZS2以降も初号機と同じなので、少なくとも2種類の形状のパドルがラインナップされているのか。

 ひまわりタイプのほうが剛性(&振動)的には有利そうだけど、ヨーク部が短くなる分、大型のミッション機器(e.g. 展開アンテナ)が積んであると日陰ができそう。あるいはQZSは軌道傾斜角が大きいのでミッション部が小さくても影が大きい、という理由もあるのかも。

 他の衛星、例えばDSN-2(DSN-1?)はQZSスタイルの長いSAPを使ってるっぽい。一方でEs'hail 2はQZSともひまわりとも違うような、正方形に近いSAPを使ってるように見える。謎は深まるばかり……

 ETS-9は縦長(QZS風)のタイプ。/* ETS-9の2次元展開SAPって今までの日本の衛星とだいぶ様相が異なるけど、どんなふうに展開するんだろうか */


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