2024年2月21日水曜日

小ネタ



 太陽ってすげーんだな。


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 事故を防ぐにはどうすればよかったか。再発防止策をともに考察する【杉江弘×堀江貴文】 - YouTube

「シミュレータで確認したが、滑走路上に飛行機が存在すれば間違いなく分かる」という旨の発言、どういう状況設定をやったのか何も話してないからあれだけど、「USエアウェイズ1549便の事故をシミュレーションすると確実に飛行場に帰れるから、川に不時着した機長の判断は間違っている」みたいな雰囲気を感じるな。例えば着陸のシミュレーションを1千回やって、事前に何も説明せず700回目あたりで滑走路に飛行機を配置する、みたいな状況を想定した上で、それでも「確実にわかる」なのか、「滑走路上に飛行機がいるから探してみてね」を1回やるのかで結果は全く別になるはず。言わずもがな、前者のほうが実際の状況を反映している。まさか何百回もシミュレータをリセットして回すなんてことはやってないだろうから、件の発言は後者に近いはず。

 HUDに対して批判的なのも、いかにも老人って感じがする。「昔はそんなもの無かった(だから不要だ)」系の発言は時代が変わることを理解していない考え方のように感じる。そんなこと言ったら昔は航空管制だってなかったんだから、「昔に無かったものは今も必要ない」を適用するなら、飛行機は好き勝手自由に飛んでいいって話になる。そんなことをやって事故が多発したから色々な規則や機器が開発されてきたわけで。HUDだって今はPFDを表示するだけで邪魔だとか言われているにしても、あと15年とか30年くらい経てばFLIRを載せて、たとえ濃霧の中でも前方の飛行機やら障害物を見えるようなシステムが標準搭載になって、そういうシステムが無い航空機は大規模空港へのアクセスを禁止する、みたいな時代になるはずだし。

 飛行機だっていきなりライト兄弟がB737やA330を作ったわけじゃなくて、色々と進化して今の形になったんだから、これから色々な変化が出てくるのは間違いない。それなのにHUDみたいな新しい技術を「邪魔」と切り捨てるのは、30年くらい経って「そういえばHUDは全然普及しなかったね」みたいになるならともかく、今すぐには納得できないな。

 ベテランのパイロットは嫌がるだろうけど、飛行機の安全性は「素人が何も説明されずに操縦席に座っても安全に運行できる」くらいになるのが理想形であって、パイロットはあくまでもシステムが故障したときのバックアップのために乗務する、程度になるべきだと思う。ただ、一気に一足飛びでそこまで行くのは不可能だから、段階的にシステムを拡充して行って、その間にHUDとかAIとかのシステムが色々と増えていくはず。


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 僕は、潜水艦の狭さというのは、無意味な狭さではなく、意味のある狭さだと思っている(いつも通り素人考えだけど)。例えば天井の高さで考えると、火災が発生した際に有毒なガスから身を守って初期消火や操艦作業を行うために、天井に酸素マスク用の配管が通っていて、あちこちにクイックディスコネクトカプラが配置されている。また、消火作業や浸水で床や壁が水浸しになっても漏電・感電しないように、コンセントが天井に配置されていたりする。他にも傾斜した時等に手足で突っ張れるようにしたり、角度をつけて潜航・浮上したときに天井にぶら下がって遊んだり、潜水艦の中では何かと天井に手を伸ばす機会が多い。そのような状況を考えたときに、「原子力潜水艦だから艦内容積に余裕がある」というような短絡的な考え方で無闇矢鱈と高い天井を用意すると、通常の運用やダメージコントロールといったあらゆる面で支障が出てくる。そのような視点で某ドラマを見ると、あのドラマはリアリティというのは非常に低いと考えざるを得ない。他にも人間や武器の挙動とか様々な面でいろいろと不自然な箇所が多い。

 あのドラマはあくまでも国家間の戦略的な意思決定を見せるのが主目的であって、潜水艦の戦闘というのはその意思決定を強いるための舞台装置でしかない、というように見える。であるなら、潜水艦内や戦闘のシーンはあくまでもオマケであって、それに対してリアルであるとかリアルじゃないとかを論じること自体に意味がない。

 とかなんとか能書きを垂れつつ。

 次シーズンははたしてどうなるかな? 舞台装置的な部分が改善するか、現状維持か、悪化するか。たいてい、映画とかドラマは回を重ねるごとに悪化していくのが多いような気がするが……

 日本の潜水艦とアメリカの潜水艦は内装がだいぶ違っていて、設計思想もだいぶ違う。例えば米軍の潜水艦は消火作業では初期消火にCO2、中盤以降はホースで水を撒くけど、自衛隊の潜水艦は一貫してCO2消化器を使って、それで対応できなかった場合は区画を閉鎖してハロンを使うという感じで、自衛隊の潜水艦は水を使う前提になっていないから、電気機器の配置もそれに則った配置になっているらしい。とはいえ、SSNに関しては米国製だからデザインはYouTubeを参考にして大きく間違ってるってこともあるまい。SSNは結構伝統的な内装な気がする。暗くて狭苦しい艦内。SSBNは比較的広々として明るい艦内だけど、ドラマに出てくるのはSSNだから、暗くて狭い設計思想が受け継がれる方が自然な気がする。むしろ日本の通常動力型潜水艦のほうが米軍のSSNより広めな印象だし明るい印象。乗員の体格差とかの違いなのかもしれないけど。


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https://www.jstage.jst.go.jp/article/kasai/6/1/6_5/_pdf

 1956年。木造モルタルの建物での漏洩火災の原因に関して。ラス網を通じて地絡したときに、比較的低い電流値(5A程度)でも発火に至るメカニズムを発見した。それ以前には10A以上の比較的高い電流でしか発火しないと思われていた。

 ラス網は積極的に接地していなくてもある程度低い接地抵抗であり、数A程度流れることがある。網が赤熱すると木材が炭化するが、この炭は導電性を有しない。また、網が溶解すると接触不良になり、それ以上の炭化は進まない。ただしこの溶解した場所でアーク放電が起こると炭が加熱されてグラファイトへ変化し、導電性を持つようになる。漏電経路が網から導電性を持った炭へ変わると、この炭が高温に発熱し、さらに周囲の木材をグラファイト化させて発熱部が広がり、特徴的な空洞を形成しながらやがて発火へと至る。


 ラス網を接地すれば一見何の変哲もない木造モルタルの建物をシールドルームとして使えるんか?と思ってちょろっと調べてみたけど、積極的にどうのこうのしなくてもシールド効果はありそうだな。まあ、屋内に置いたラジオとかテレビの感度が極めて悪くて窓の外に出したら急に受信するようになるから、ただのモルタルでもある程度はシールドしてるんだろうという気はしてたけど。実際のところどの程度シールドになっているかはわからんけども。あとは窓があれば突き抜けるし。


 しかし、文体がなんとなく『星を継ぐもの』を連想させる感じがする。文章って時代ごとに相当な特徴を持っているんだろうな(星を継ぐものはさらに四半世紀くらい後だけど)。SFの翻訳って論文の文体を意識してたりするんだろうか? それとも当時はこういう文体が一般的だったんだろうか。


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https://www.jstage.jst.go.jp/article/digraj/3/2/3_191/_pdf

 半導体技術の発展とテレビゲームや電卓との関係性とか、その頃の話が色々と。アタリを創業した人物の人となりとか。

 ピンボールみたいに機械的なインタラクションで動いていたゲームから、電子的に信号処理を行うPONGが生まれ、IC化やLSI化を経て、家のテレビ(受像機)に接続して遊ぶテレビゲームが生まれた。機械的な動作のゲームの場合は製造や調整に多くのノウハウが必要だが、デジタル半導体を使用するビデオゲームは簡単にコピーすることができ、多数の後発メーカーが出てきた。ただしLSIはゲーム内容を変えるためには半導体の設計自体を変更する必要があり、大量の在庫を抱えたアタリや後発メーカーに次のゲームを開発する体力は残っていなかった。

 また、LSIの特性は電卓のような用途でも問題化していて、新製品を開発するには新しい半導体を開発しなければならず、半導体の開発コストや半導体メーカーが不得手とする多品種少量生産によって厳しい状況だった。そのような中で、マイコンを使用することでハード(半導体)とソフト(機能)を分離し、半導体メーカーは1種類の半導体を大量生産し、半導体ユーザー(電卓メーカー)はプログラムを変更することで多様なラインナップを用意することができるようになった。

 しかし電卓のような用途の場合、製品が普及するとあとは価格競争になる。マイコン化で多少安くなったとはいえ、必要以上に普及するための原動力とはなり得なかった。対して産業用制御機器の分野ではプログラマブルな特性が要求され、さらに電卓とは比較にならない価格帯であり、マイコンが普及した。また、プログラムを変えることで機能が変わるマイコンの使用によって、テレビゲームの分野でも、カセットを交換することで多様な遊び方ができる製品を作ることができるようになった。

 PONGのようなゲームが出現する前にも、研究機関や大学が所有していたコンピューターを使ったゲーム(表示装置を使ったビデオゲーム。テレビ(受像機)を使ったテレビゲームと、テレビ以外の表示機を使うビデオゲームを区別する文脈がある)は色々と開発されていたようだ。ただ、これらの研究機関や大学で開発されたゲームは、技術者の間でプログラムが共有されることはあっても、それ以外の人間が触れる機会はほとんど無く、後のテレビゲームとの技術的な接点はほとんど無かった。同時期に日本国内にもコンピューターは存在していたが、誰もそれで遊ぼうとは考えず、また当時の考え方からすれば研究機材を遊びに使うなどとんでもないことだ、と。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1997/57/11/57_11_1476/_pdf

 ソニーの技術者へのインタビュー。日本でのテレビ本放送での、テレビの開発とかの話。

 NHKのテレビ試験放送が始まる知らせを受けて個人の趣味として静電偏向型のテレビを自作した。1950年12月18日に試験放送が開始され、受信に成功。会社に持ち込んだところ、上司は気に入ってくれたが、他社がテレビの量産を始めても、ソニーはテレビ開発はほとんど行わなかった。

「(前略)毎週テスト放送が繰り返されて、その後クイズのようなものが出題されるというようになりました。例えば、偏向歪みを測定するパターンを放送して、何番目が正しい円形であるかを答えなさいという類のものでした」おそらく日本で最初のクイズ番組なんだろうな。もっとも、技術的な問題であって、受信機(それを調整する技術者)を試すような問題。

 その後、ソニーでトランジスタテレビを作るという話が出たので、テレビを自作した経験を活かしてトランジスタ化。RFは真空管で、IF以降はトランジスタでテレビを構成し、8インチのポータブルテレビを開発し、その後は5インチのポータブルテレビも作った。

 ソニーの社風として、とにかく小型化するという方針。他の誰にも作れないほど小さく作れば、自社のオリジナリティになる。


 Sony TV8-301 - Wikipedia

 en.wikipediaは何でも知ってるな。

 鉛蓄電池を内蔵しているので、持ち運んで使用できたんだそうだ。高価で壊れやすくすぐに生産終了したそうだけど。オリジナリティを出して高付加価値化した結果値段が高くて売れなくなるやつ。。。




https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/9/3/9_180/_pdf

 著者は1944年生まれで、大学1年の時にテレビを自作したそう。ただし「チューナーとブラウン管は新品、それ以外は中古品で」というような書き方。回路図から部品を集めて、みたいな感じではなくて、ある程度モジュール化されていたのかな?

 1963年頃として、カラー放送は始まってるけど普及率はさほど高くなく、テレビの一部はトランジスタ化されているけど、オールトランジスタ化はもう少しあとのはず。テレビがモジュール化されるのはトランジスタ化と同時期(トランジスタを扱える技術者が少ないから、モジュール化して基板を交換できるようにすることで修理を容易化)のはずだが。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjaros/9/4/9_15/_pdf

 ヒビノの創業者、1950年(当時17歳)に米軍払下げのオシロスコープを流用してテレビ受像機を自作、とのこと。

 オシロスコープを流用できるんであれば、15.75kHzの発振器と、コンセントから50Hzを持ってきて、鋸波にしてXYに突っ込んでやればいいから、わりあい作りやすい部類ではあるのかな? 映像管はオシロが制御してくれるから、電磁偏向ブラウン管みたいに大電力を線形増幅する必要もないし。あとはVHFの周波数変換がちょっと難しいという感じかな。民間市場でVHFを扱う機器はそれほど普及してはいないはず。とはいえ、技術的には達成可能な見込みがあったからこそこの周波数を選んでいるわけで、極端に難しいということもないはずだし。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/21/6/21_6_196/_pdf/-char/ja

 1952年。1950年の3月に戦後初のテレビの電波発射が行われ、11月からは一般向けの試験放送を開始した。現在(’52年春から夏頃?)は受像者は500人くらい。今のところは自作が大部分だが、ラジオメーカーが量産の準備を進めているから、秋ごろには日本製の受像機が市場に出回るはず。自作する場合は4-6万円、完成品は10-20万円くらい、だそう。レートは10倍から15倍くらいのはずだから、部品だけ買うなら65万円くらい、完成品なら200万円くらい、といったところか。個人輸入や米軍を通じて日本に持ち込まれたテレビを改造して使っている例も多少はあるだろうし、あるいは自作したテレビの所在が全て把握されているわけではないだろうし、ある程度の差はあるだろうけども、それでも最初の数年で数百台規模のテレビが自作されているのか。

 フレームレートとか帯域幅の考え方に関してもいくつか書いてある。テレビ放送は商用周波数とフレームレートを合わせる(フレームレートを商用周波数の半分に設定し、飛び越し走査する)のが妥当だが、そうした場合は関東で50c/s、関西で60c/sとなり、フレームレートが違う場合はプログラムの交換に非常に手間がかかるため、国内では統一したい。フリッカーを考えて60c/sを選んだ。試験放送時点では電源にフレームを同期する方式を用いたが、日本は電源の周波数が不安定でであるから、非同期方式を使用することにする。

 帯域幅については、基本的にはアメリカの6MHzを導入したわけだが、7MHz派の言い分は、6MHzはアメリカが戦前に決定したものであり、それを鵜呑みにする必要はないであろう、帯域幅が広ければ画質が良くなる、といったもの。6MHz派の方は、1MHz広げても画質の差はわずかであり、アメリカで研究中のカラーテレビ方式を将来的にそのまま導入できる余地を残したい、みたいな感じ。その他色々。

 カラー方式の説明も色々。この時点でNHKとコロンビアがカラーテレビの研究を行って、CBS式(カラー円盤方式)で実験している。すでに白黒テレビが普及しているアメリカではNTSC方式が有望である。CBS式は白黒放送と互換性がない。RCA方式の場合は白黒と互換性があるのかな? NTSCはRCA方式を発展させたもの。

 日本の放送方式を決定した段階では、アメリカではカラー放送の方式は決定していなかったんだな。おそらくアメリカは白黒と互換性を維持したカラー方式を採用するはずだから、アメリカ方式と同じ放送方式を選んでおけば将来的に日本でも互換性を維持してカラー化が可能だろう、みたいな消極的な選び方っぽいな。


 テレビの自作ってどんなもんなんだろ、と思ってちょろっとググってみたけど、うーん、という感じ。そりゃやってる人はやってるけど、ラジオの自作ほどポピュラーでもないし。

 20年くらい前に秋月で売ってるモジュールを組み合わせて液晶テレビを作るみたいな遊び方が流行っていたらしいけど、RF(VHF/UHF)をCVBSに変換するモジュールと、CVBSをRGBに分解するモジュールと、RGBを表示する液晶を組み合わせて、みたいな感じだから、ほとんど「自作PC」に近い雰囲気。

 テレビ自作のインセンティブは高価なテレビを買わずに自分で作るみたいな方向性だろうから、放送開始直後とかそのあたりの時代ならともかく、ここ半世紀くらいは市販品を買えば済むだろうし。

 半世紀以上前の話が多いだろうからググってもほとんど概要がつかめず。学術的な内容というより個人の趣味みたいな分野だからあまり記録にも残らないだろうし。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/mscom/76/0/76_139/_pdf

 戦前から戦後にかけてのラジオの自作に関する考察。

 ラジオ放送が開始された直後は自作ラジオ(鉱石ラジオ)が非常に多く普及していて、聴取者が自らラジオの修理を行うような状況だった。ただし数年でラジオ屋が組んだラジオが普及し始め、自作ラジオの割合は減っていった。戦前には専ら技術研鑽のような目的と化して、多くの人が自作する対象ではなくなった(誰にでもできるような内容であってはならない、という風潮)。一方で戦後にはラジオキットが大量に流通し、誰でも簡単に作り、ラジオを聞くことができるという状況になった(戦前と戦後で自作ラジオに対するスタンスが全く異なる)。一方で、1970年頃になるとオーディオが急激に勢力を伸ばし、自作ラジオは衰退していった。音楽を聞こうという目的に対してラジオはトークが挟まり、また放送特有のノイズから逃れることができず、音楽の忠実な再現という方向がラジオでは不可能であり、それ(音質の追求)をなし得るのがステレオ(オーディオ)の分野だった。音質の追求に対して、遠くの人との通信を楽しみたい人はラジオではなくアマチュア無線へシフトした。FM放送が始まったときにはそれを受信するラジオを自作する人もいたが、自作ラジオの衰退を阻止するほどの勢力ではなかった。テレビの自作に関しては一切触れられていない。

 ラジオの場合は伝搬時のノイズがあるから音質の追求が難しくて、それを嫌った人がオーディオ分野にシフトして、結局今のオカルトみたいなジャンルが出来上がったんだろうなぁ。あの界隈謎すぎるよ。。。


https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/109605/S13482084-69-P307.pdf

 教材としてAMラジオの代わりに使えるFMラジオの提案。トランジスタ1石で超再生検波。めっちゃシンプル。


 No.4 私設研究所の設立 | JA2JA 神戸幸生氏 | アマチュア無線人生いろいろ | 週刊BEACON | 個人のお客様 | アイコム株式会社

 当時、テレビ受像機生産に乗り出すメーカーや、テレビ受信アンテナを手がけるメーカーが増加した。戦後、ラジオ放送開始にともない、電気店や電気に興味を持つ人々がラジオ受信機を作って販売したのと同じ現象が起こった。テレビの組み立てキットを発売するメーカーも現れた。神戸さんも自作のテレビ受像機を何台か作った。

 さすがにメーカーに特集されるようなOMにはテレビ自作に関わった人がちらほらいそうな感じ。


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 思わずamazonで車載用のワンセグチューナーを衝動買いしてしまった。簡単に動作確認して、ちゃんと動いているので、早速分解。

 RF入力はSMA、電源とかCVBSとかその他諸々は1個のコネクタからハーネスが出ている。説明書によると電源範囲は9-35Vあたりとかなり幅広い。ただ、説明書に一切記述のない謎のminiB端子をUSB電源に接続したら起動した。USBコネクタの根本にダンピング抵抗みたいなのついているけど、その先はスルーホールだし、裏面にはパターンは無い。多層基板の中に入ってるんだろうか? PCに接続しても認識しないし、少なくとも機能的には何にも使ってないんだろうけど。まさかUSBワンセグチューナーとして使えるような機能なんてないだろうし。

 左上のチップがチューナーで、ググったらルネサスのチップが出てきた(ドキュメント類は無し)。すでにEOLだけど、ワンチップでRF(470-806MHz)からワンセグのトランスポートストリームに変換できるやつらしい。モードは1から3まで、帯域幅は6から8MHzまで、変調もQPSKと16QAMに対応していて、チャンネルスキャンとか、ワンセグの受信に必要な機能は一通り対応しているようだ。

 一番大きいチップは素性が不明だけど、トランスポートストリームをNTSC/PALに変換するのを担当しているはず。中央のSOPは64MbのSPI Flash。一番下のSOPはDCDCかな? チューナーの水晶は24.576MHzで、これは24x1024kHzに相当する。メインのチップは27MHz。220uFはたぶん電源のLC LPFだと思う。耐圧35Vに対して動作範囲が最大35Vだから、ディレーティングが全くない。たいていは12V、高くても24V系でしか使わないだろうから、普通は超えることはないだろうとしてもよ。


 CVBSはこんな感じ。最初見たときはめっちゃガタガタで、安物のコンデンサで結合しやがってーと思ってたら、プローブのGNDが浮いてただけという。。。CVBS用のアナログ回路を内蔵した半導体ならsag補償回路くらいは入ってるか。


 基板裏のシルクにUTXD1/URXD1みたいなあからさまな端子があったので、オシロで覗いてみた。

 何も操作しなくても時々115.2kbaudでなにか文字列が出てくる。コンソールで受信すればデバッグ情報みたいなのがちらほら出てくる事があるけど、役に立つ情報かというと微妙なところ。


 8.127MHzの水晶が入ってたら面白そうだなーとか思って試しに1個衝動買いしたけど、そんなことはなかった。チューナーチップにはPLLが入っていてISDB-Tに周波数ロックできるけど、とはいえおそらく水晶にはフィードバックせず、内部のPLLで使っているだけのような気がする。いったいどうやって評価するか。GPSのPPSでオシロをトリガして水晶を温めたり冷やしたりするとか?


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 430MHz帯で嫌がられない程度に弱い出力でISDB-Tを出して狭帯域デジタルATVみたいな遊びってできないもんかな(6MHzのNTSC方式ATVに比べて狭帯域という意味)。専有帯域幅は0.5MHz未満だから広帯域の画像とか実験用のバンドに収まる。ISDB-Tはホワイトノイズ状の連続波だから十分に弱い出力であれば他への妨害はあまり気にならない程度だろうし。

 フルセグTVだとCATVの周波数変換パススルー用に300MHzあたりまで受信できるから、430MHz帯ISDB-Tも受信できそう。もっとも、フルセグTVがワンセグの受信に対応しているかの問題があるけど。携帯受信機は当初はISDB-TmmみたいにVHF-High帯を想定していたりしてたけど、もちろんアマチュア430MHz帯は避けてるし、普及しなかったからVHF対応のワンセグ受信機もそう多くないだろうし。まあ、5.6GHzとかのデジタルATVも周波数変換が必要だし、同じように受信側に周波数変換を挟めば済む話だし、35-300MHzくらいの移動だから、C帯あたりから移動するよりはやりやすいはず。


 マイコンとかからNTSCのベースバンドを出そうとすると14.318Mspsが必要だけど、ワンセグのIFなら4.063Mspsあたりで良いのか。受信するなら1024ptsのFFTが欲しいけど、送信するなら512ptsでアナログ波形に変換してインターポレーション+周波数移動すればいいわけだし、ワンセグのTSPからIFを出すならSTM32F4あたりで十分行けそう。さすがにH.264の圧縮とかもやろうとすると厳しそうだけど、ちょっと早めのマイコンならワンチップで例えばUSBカメラからワンセグIFまで出せそうな可能性があるわけか。/* そういえばシマフジがトランスポートストリームからのワンセグ変調器を作っている(いた?)けど、RISC(1200MIPS)+FPGA(75kLE)で相当大規模なものらしい */


 rtl_tcpの複数起動、起動時間が長くなるとタイミングがズレるんじゃないか、みたいな疑惑が出て狐につままれたような感じ。そんなまさか、パトリオットミサイルじゃないんだから……


 春の陽気で大いに雪解けが進む昨日、3Dプリンタを置きっぱなしの部屋が17℃くらいまで温まったのでちょろっと部品を試作。数カ月ぶりに使った。

 試しにM12x0.5のスレッドを0.12mmピッチで印刷してみたけど、さすがに入らず。タップで軽くさらったらスルスル入った。

 また寒くなってきたので次の稼働は当面先の予定。


 ISDB-Tのデコードはとりあえず自分の中で一区切りつけたので、なにか違うことやりたいなー。久しぶりにSTM32とか触ってみるか。

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