2022年11月23日水曜日

小ネタ

 カメムシ駆除スプレーの芳醇な香りを嗅ぐたびに、有機化学分野の偉大な人々に感謝する日々。芳香族ってすげーんだな。いや、どういうメカニズムで効いてるのか知らないけども。

***


 北海道民なのに水曜どうでしょう見たことないんだよなぁ。

***

 ワンセグの復調、コードをクリーンナップしたりする作業。

 当初のコードでは、1分間のIQ信号をTSで書き出すのに6.5分かかった。さすがに遅い。一部のライブラリの処理がアホみたいに遅いので、遅い2つの処理を自前で書き直せばそれだけでかろうじて3分を切る時間に、つまり倍以上の速度になる。


 ワンセグの復調で一番重い処理。GI相関のピーク検出。

 この小さい関数が呼び出しコストも含めてプログラム全体の45%の負荷を占めている。凄まじい。

 ISDB-Tの場合は一旦同期してしまえば以降のタイミングは予測可能だから、処理の大部分は省くことができる。どの程度省くかは実装の手間とトレードオフだけど、手軽に省ける範囲でもかなり大きな高速化が期待できる。

 あるいは、フレームの同期ができれば、以降は50フレームずつくらいに分割してパラレルで処理していくという手もある。ISDB-Tはタイムインターリーブの関係で数フレーム分くらいを引きずるけど、タイムインターリーブ分はオーバーラップして処理するとか、タイムインターバル以降はシングルスレッドにまとめるとか、いろいろ方法はある。結局、ソフトウェア実装の手間をどの程度惜しむかで処理時間が決まってくる。

***

 軌道傾斜角と軌道長半径、離心率のグラフ化

 横軸が軌道長半径、縦軸が離心率、色が軌道傾斜角。名前に"DEB"を含む物体は除いてある。つまり人工衛星やそれを打上げたロケット上段等、意図的にその軌道に置かれた物体が示されている。Fグループ(後述)のように結果的にその場所に移動してきたものもあるが。

 予想以上にパターンが見えるな。大きくA-Kの9グループ(IおよびJは欠番)に分けられる感じがある。

 一番わかりやすいのがC、D、Kで、Cが静止軌道(墓場軌道等やドリフト軌道を含む)で、軌道周期が1日程度、離心率と軌道傾斜角がゼロ付近。Dが各国の測位衛星で、軌道周期が0.5日程度、離心率がゼロ付近、軌道傾斜角が数十度程度。Kは高度数百kmで軌道傾斜角が90度を超えている、典型的な太陽同期軌道。

 Eはモルニヤ軌道とかツンドラ軌道とか、そのあたり。離心率以外は測位衛星に近いパラメータ。

 Bは主に静止衛星を打上げたロケットで、遠地点3.6万km付近の楕円軌道はこのあたりに入る。FはBのグループの古いやつで、近地点の空気抵抗で遠地点が下がっていく過程。基本的にロンチビークルはBグループの左上にいればいいわけだが、右下に行くほど衛星のΔVが少なくなるので、いくつかパラパラと散らばっている。右下に行くほど近地点高度が上がって空気抵抗が急速に減少するので、非常に寿命の長いスペースデブリになる。

 Aにも少数のグループがあるけど、これは特に規則性はなさそうな気がする。ただし上端付近(α3.8万km前後、e0.8前後、近地点が低くて遠地点が静止軌道より遥かに上)にはBREEZE-Mが固まっていて、いわゆるスーパーシンクロナス・静止トランスファ軌道へ投入されたもの。他に、全電化衛星を打上げたロケットらしいものもいる。準天頂衛星システムもこのグループで、楕円の下端付近の一つだけ色が違う点がそれ(QZS1,2,4が重なって1点に見えている。使ったデータの関係で1Rは入っていない)。

 GはGLONASSを打上げたロケットが集まっている。Dグループの高度の低いグループ(GLONASSはGNSSでは低めの場所)に同じ色(同じ軌道傾斜角)が含まれている。Fグループの中にも軌道傾斜角の大きい物体があるけど、おそらくGグループの古いやつ。

 HグループはWESTFORD NEEDLESらしい(ほかのやつもいくつかいる)。

 軌道長半径を一定のまま離心率を増やしていくと近地点がどんどん下がって空気抵抗が大きくなるので、離心率は軌道長半径に関係する一定の上限値が存在する。Gグループに連なる曲線より左上の場所は安定した軌道を維持できない領域。


 ことの発端は、とある修論(衛星通信系)の1章で衛星軌道の説明をしていて、HEOの特徴としてモルニヤ軌道(モルニヤ衛星)の説明に近い文章を見かけた事。グラフ化してみた感じ、長楕円軌道はGTOやGNSSのR/Bを除けばモルニヤ衛星やツンドラ衛星程度しか存在しないので、実用的にはHEOは高緯度地域向けの通信・放送サービス用の軌道としてもそう間違いではないのかな、という感じがする。

 この修論の中ではHEOの使用例に準天頂衛星システムを上げている。en.wikipediaでもHEOの説明で準天頂軌道が使われている。QZS、離心率0.1未満でHighly ellipticalというほどな気はしないけどなぁ。とはいえ、遠地点と近地点で地球半径分くらい距離が変わるから、結構ゆがんでるか。


「あっ、あんたのために通信サービス提供してるんじゃないんだからね!」

 それはツンドラじゃなくてツンデレ。ツンドラはサービス品質悪そうだなぁ(偏見)。

「はぁ? なんで私があんたにサービスしてやらなきゃいけないの? 馬鹿じゃないの?」(冷たく見下す視線)

 まぁ、近くとも2万kmの遥かな高みから見下ろす視線だし、エネルギー量だって大した量じゃないし、冷たく見下しているのは間違いではない。

***


 イギリスの深宇宙通信局。世界初の深宇宙と通信できる商用地上局だそうだ。最近はMars Expressの運用にも使われているらしい。この場所、元々はイギリスで最大規模の衛星地上局だそう。このアンテナは'83年設置の32m。

 茨城日立アンテナと建設年も大きさも同じ。見た目も同じ。世界共通で同じ設計のアンテナを使ってたんだな。そりゃまぁ、世界各地に設置する地上局をわざわざ1箇所ごとに設計変える必要もないけど。


 三菱電機は'63年の日米間テレビ伝送実験で使った茨城アンテナとか、あるいは64年に設置した富士山レーダーとか、大型の特殊アンテナは結構古くから作ってる。流石に大型アンテナの系譜にすばるとかTMTを入れるのはちゃうくない?って気もするけど、周波数が5桁違う以外は同じか。すばるの主鏡が23トン、TMTが1枚250kgで500枚だから125トン、GREATの主鏡が440トンだそうだから、構造的には光学望遠鏡より電波望遠鏡のほうが厳しいのかな? 可視光は電波望遠鏡と違って積極的に歪みを補償できるし。

 で、この系譜の図の70年代80年代あたりに「英国32mアンテナ」「サウジアラビア32mアンテナ」という画像もある。もしかして三菱電機が作ったやつを世界中に置いてたのか? 動画のイギリスのやつも、実は三菱電機製?


 History of Goonhilly - YouTube

「日本人が古い衛星通信用のアンテナを電波天文学に流用してたから俺たちもやった」(意訳)。衛星通信用アンテナを宇宙探査に使うのはアメリカ人が60年代からやってるけども。ビッグ・ディッシュ・プロジェクトとか? あるいはNAOJ移管後の話なのか。


 茨城'63年の写真を見てみたらなんか既視感が。これ茨城日立アンテナの場所じゃん。ってことは茨城日立アンテナの「日本の衛星通信発祥の地」って本当にここなのか。「同じ敷地」レベルじゃなくて、当時の20mアンテナを置いていた場所に、32mアンテナが設置してあるんだ。

 当時は通信用の20mアンテナと、その近くに6mアンテナが設置してあって、6mアンテナはモノパルス測角に対応していて、6mアンテナで衛星を追尾、その姿勢に20mアンテナをスレーブ、という方式だったらしい。

 当時はイギリスの1回反射パラボラ(主鏡の焦点にフィーダ)、アメリカのオフセットパラボラ(ホーンリフレクタ)、日本のカセグレンアンテナの3種類が開発されていて、衛星通信ではカセグレンが有利だったので、以降の時代も日本(というか三菱電機?)が有利だったらしい。

*

KDDI Ibaraki

Goonhilly2

 上がKDDI茨城衛星通信センター(手前が高萩、奥が日立?)、下が英グリーンヒル衛星地球局の「マーリン」アンテナ。コーンウォールなので、大型のアンテナにはアーサー王伝説に関連する名前がつけられている。例えば最初に大西洋横断テレビ中継に使用された85ftアンテナは「アーサー」と呼ばれ、グレードIIの指定建造物として保存されている。/* ゲームさんぽで聞いたような地名や制度だ */

*

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/2009/10/2009_10_10_4/_pdf/-char/ja

 '63年に三菱電機に入社した人の話で、三菱電機のアンテナ関係の概説とか。

 三菱電機、ほんとにいろいろなアンテナ作ってるな。MUレーダーも三菱だし、臼田64mも野辺山45mも美笹54mも三菱だし、最近の防衛用レーダー類も三菱が強いし。ALOSはNECがプライムの衛星だけど、PALSARは三菱製。AAM-3/5(SRM)は三菱重工だけど、レーダー誘導のAAM-4(MRM)は三菱電機。電磁波を扱う特殊構造物を作りたい人はとりあえず三菱電機に相談しよう。

 三菱電機、富士山レーダとか野辺山45mとか、太平洋横断衛星テレビ中継とかMUレーダとか、アンテナ周りだけでもいくつもIEEEマイルストーンに認定されててすごい。

*

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1997/59/2/59_2_234/_pdf

 衛星テレビ中継の最初のときの話。

 KDDは短波通信の量・質に課題を抱えていて、長距離通信用の衛星通信に関心を持っていた。日本で衛星を開発・打上げを行う技術を持っていなかったので、とりあえず地上局を作って早い段階から国際実験に参加する方針。国際実験はおおごとだからRRL・KDD・NTT・NHKの4者での協力体制。欧州やブラジルに続く6番目のNASA実験参加。NASAの実験は大西洋横断通信を中心に考えられていたが、日本の参加で太平洋横断通信も行うことに。

 当時KDDの資本金は33億円。4億円弱の予算で地球局を整備。当初の予定地はNTTのマイクロ波回線に干渉する可能性があったので茨城県高萩市に隣接する国有地へ変更。当初の予定地は水資源が豊富だったので機器を水冷で設計していたが、用地変更で水の確保が困難となり設計変更とか貯水槽の追加とか。KDD地球局を整備した時期にたまたま衛星(テルスター2)が日米両国で同時に可視になる軌道だったので、アメリカ側からビーコン信号を上げてもらったところ、1回目から追尾に成功。

 テレビ中継(リレー衛星)はRRL(茨城鹿島)で行う予定だったが、実験局が工事中であり、テルスターと同じ周波数だったのでKDDで受信を行うことにした。63年11月23日早朝から数回にわたって実験が行われ、初のテレビ中継が行われた(そしてショッキングなニュースの速報も)。

 テルスターは打上げ後1年で機能を停止する機能を持っていた(コマンドが通らない場合でも確実に停波できるように?)。ただ、自動停止機能が動作しないトラブルがあり、打上げ後1年が経過したあともテレビ送受信実験が行われた。


「(前略)。こうした努力の結果として、衛星通信地球局建設技術で日本が世界をリードし、世界中の地球局を三菱電機や日本電気を中心とする日本のメーカが数多く受注し、世界の7割ものシェアを占めるに至ったことを付言したい」

 そんなにシェア取ってたんだな。

*

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/9/4/9_236/_pdf

 MUレーダーの開発に関する話。60年代に米国が建設したレーダによって高層大気散乱の観測が可能であるとわかり、日本でも研究を行うためにレーダを設置することとなった。他国のレーダ等を使って高速にビームを振る必要があると判断されたが、国内のレーダメーカ数社に問い合わせても前向きな返答をもらえなかった。三菱電機の通信関係者と話していたときにアクティブフェーズドアレイの提案を受ける。レーダ技術者に問い合わせても肯定的な返答をもらえず、査読付きの論文誌で提案するのにも、一人は高く評価した一方で、もう一人は「絵に描いた餅だ」という評価。レーダの専門家は無理だというが、通信の専門からによって開発が行われた。最終的にパルス周期(400us)毎に5本のビーム(天頂と東西南北)をスイッチできるレーダが完成した。1980年代当時、同等の能力を持ったレーダはソ連からのICBM探知を目的とした米国の軍用レーダ数台しか存在せず、民間で開発したのは初めて。


 空気は上に行くと薄くなるけど、地上から上空へ伝搬した流れは気圧が下がって体積あたりの質量が小さくなった分、運動量を保存するために速度が増える。高速な乱流を計測する必要があるので、これを計測するレーダには高速なビームスイッチが必要なようだ。上下方向の流速を計測するだけなら真上にビームを伸ばすだけでいいけど、水平方向の流速を測るには斜めのベクトルを計測して合成する必要がある。スイッチングが遅いとその間に流れの向きが変わって、正確に推定できない。

 世界各国で実用化されたAESAレーダーの内、地対空レーダー、艦対空レーダー、空対空レーダー(戦闘機用)、ミサイルシーカーは日本が最初に実用化したものだけど、これらはすべて三菱電機の製品。日本の、と言うか三菱電機のお家芸とも言えるようなアクティブフェーズドアレイの源流はMUレーダーあたりに行き着くのかな。当時の防衛庁へ納入していたレーダでパッシブフェーズドアレイレーダは存在していたようだから、レーダチームもAESAの開発を行っていた可能性はあるけど、おいそれと外に出せるようなものでもないだろうし。

*

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/50/9/50_9_1380/_pdf

 野辺山45mの話。1984年9月の資料。

 鏡面の計測を自動化して、計測精度0.1mm程度、6時間程度で鏡面形状を測定できる。ミリ波望遠鏡なので鏡面精度は0.2mmくらいの要求。巨大なお椀状の形なので真上に向けると中に冷気が溜まって歪んだりする。計測を自動化したことで人間が乗らなくても良くなり、傾けた状態(中に冷気がたまらず、実際の使用状況に近い状態)で計測できる。

 分光計。音響光学型分光計の説明とか。/* 音響工学じゃないよ。AOS; Acoustic-Optical Spectrometer */

 アンテナの向きの制御の話。マスタコリメータとか。

 当時のミリ波望遠鏡は11mとか6mとか、小型のものが多かった。分光計も1chずつコイルを巻いたりしてフィルタを作っていた(掃引式のスペクトラムアナライザはch毎に時分割で処理しているのと同等で、時間方向に積分できない分、感度が非常に悪く電波天文分野では使用できない)。フィルタは大量に作れないので500ch程度まで。野辺山は45mと一気に巨大になり、音響光学型分光計を8個並べることで16000chと超多チャンネル化。


 もっとも、これだけの性能があってもある程度の広がりを持つ領域を観測するには凄まじい時間がかかるので、多ビーム化が必要になる。例えば5x5=25本のビームなら25倍早くなって、2ヶ月かかる観測が2日で終わる。ミリ波観測は湿度の低い冬季しか行えないので、1年のうちに観測できる期間はかなり短いから、多ビーム化の恩恵は大きい。この際にAOSでは個体差が大きく、これで多ビーム化するのは大変なようだ。最近だとFFTで時間周波数変換ができるので、多ビーム化がやりやすくなったらしい。

*

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/52/12/52_12_1027/_pdf

 野辺山45mのAOSの話。

「1970年ごろを境として宇宙電波分光学の発展は著しいものがあり、暗黒星雲内部での星の形成、銀河系の構造と運動、遠く銀河系外の渦巻き銀河の様子など、新しい宇宙の姿を次々と明らかにしつつある。(中略)。従来、電波天文学では、スペクトル線は水素原子の波長21cmの線をはじめとして、マイクロ波帯でごくわずかに知られていたに過ぎない。多彩なミリ波分子スペクトルの登場で、電波分光計は飛躍的な性能改善を迫られることになった」

 天文分野で電子回路の小型化・高速化が一番効いてるのが電波天文学かもしれないな。単に観測できるようになっただけじゃなく、デジタル干渉計とか色々。もちろん光領域でもコンピュータの高性能化は効いているんだろうし、重力波みたいにシミュレーションでリファレンスを生成してノイズフロア未満から探し出すような分野もあるので、電波天文学だけが高速な電子部品で発展したわけじゃないけど。

*

 2000年頃の資料によると、ジャンスキーの頃に比べて現代の観測装置は感度で7桁、分解能で10桁の向上だそうだ。この間70年くらい。「人類が1世紀にも満たない期間にこれだけの宇宙観測技術を発展させたことは驚異的なことである」とも。ライトフライヤーからアポロ11号までも70年弱くらいだし、人間のここ1世紀の3次元方向への発展は凄まじい速度だ。

 同資料によると「サブミリ波は人類に残された最後の窓」だそう。光は古くから裸眼を含めて天体観測に活用されてきたし、電磁波も様々な帯域が使われている。これらの電磁波の中で空気を透過できる帯域(地上から宇宙を見ることができる窓)として最後に残されたのがサブミリ波。/* もう少し時代が進むと重力波みたいに別の窓を増設したりできるわけだが */

 ただ、むすびで「中性水素スペクトル線やパルサーの発見のような安価な装置で偉大な発見ができる時代はおわりつつある」というような悲観的な見方も。そりゃまぁ現在は500ドルでノーベル賞につながるほど金脈に溢れた時代ではないのは事実であろうけども。


/* 「かーるじゃ」まで入力すると変換候補に「超大型干渉電波望遠鏡群」を出してくるGoogleIMEの謎ボキャブラリーよ */

***

 長崎総合科学大学の研究室が1985年に書いた「わが国軍需諸企業の最近の動向」という論文。なにかの調べ物の途中で出てきたのでついでに読んでみた。

 タイトルからして剣呑だけど、読み物としてはそこそこ面白い。当時の新聞記事等を引用して、防衛産業・航空・宇宙関連企業に関係する企業(重工系、電気系、自動車系、その他)の動向をまとめている。もっとも、新聞のかなりの割合が某政党の新聞なので、政治的中立性とかは気にするだけ無駄のような感じだが。

 論文内では「わが国の経済を動かす財界の中枢が、軍拡と軍需産業拡大への"本格的かつ継続的"な志向を急速に表しつつある」とし、様々な企業を「軍需企業」と名指しして、例えば三菱重工業であれば「いうまでもなくわが国最大の兵器メーカー」、名誘を「わが国最大の兵器工場である」として、MHIが「深刻なまでに兵器生産に依存している」といった結論になっている。その他の企業に対しても同様。材料系の会社でも、アルミの生産設備を増強したらやれ軍需企業化だの、こじつけもいいところみたいな感じが。

 何がすごいって、新聞記事の中の予想で1987年以降で防衛費対GNP比3%想定とかしている。大学とかマスコミって時代が変わっても変わらないんだなぁ(小並感)、みたいな。

 経済学の分野でどの程度一般的な解釈なのかはわからないけど、先進国の発展の鈍化、発展途上国の開発の遅れ、その他諸々は軍需企業が諸悪の根源である、みたいな論調。学問としてそういう安易な悪を設定した上でそれを補強する話だけを集めてくるのは駄目だろう、という気がするのだが。ある種の地域性(大学固有)の問題なのか、大学の経済学ではこういう解釈が定説なのか。あるいは経済学全体でこういう考え方なのか。

***

 小ネタ中の小ネタ


 言語チート系能力で木の葉擦れとかからも何らかの情報が得られる人間、能力が進化していくと熱雑音からも情報が取り出せるようになるんだろうか? 宇宙の熱的死を回避できる可能性が……


 The Superiority of SWISS Machining | MONEY Making Machine - YouTube

 いやぁ、口が回る回る。旋削加工もできそうだ。つい先日入ってきた新人とは思えないな。


 「邪神ちゃん」富良野市の決算不認定が波紋 制作側は無料配信開始:北海道新聞 どうしん電子版

 なんだかなぁ。

 ふるさと納税で制作費集めて宣伝のための作品を作らせておいて放映後にイチャモンつけて3000万円踏み倒すとか、作中の表現云々よりこっちのほうがはるかにイメージダウンの影響が大きそう。この1件だけで3000万円とか軽く吹っ飛びそうだ。

 最近北海道の市町村で映画やらドラマやらアニメやら、映像コンテンツ関連のトラブル多すぎだろ。


 Thales Alenia Space社、「Ascend」宇宙データセンターに関するEUの実現可能性調査を獲得 | Data Center Café

 宇宙設置型のデータセンターは安全保障の方で使いでがありそうなので、多少環境負荷があったところで打ち上げは正当化できそう。でも低環境負荷を目指して検討すると言っちゃった以上、そういう方向にはいかないんだろうな。

 例えばとあるシリーズにも宇宙空間に置かれた計算アセットがあるし、あるいはハイ・フロンティア(星のパイロット)でも同様に静止軌道へ置かれた計算ユニットがあって、特に後者はそれらを破壊する困難性が描写されている。物語として誇張されている部分だったり、営利企業ゆえの「なるべく壊さずに壊したい」みたいな制約があるけど、現実世界は民間企業が宇宙空間を駆け巡っている時代ではないから、苦労の大きさとしては似たような程度になりそう。

 地上に設置されたデータセンターの場合は、例えば国家間の戦争が始まるよりも前の段階でテロリストに偽装した破壊工作が行われる可能性があるけど、静止軌道あたりに置かれたデータセンターの場合はそのような破壊工作が困難である利点がある。不可能ではないにしろ、簡単ではない。ハードキルを行うには少なくともICBMクラスの兵器が必要になるから、実行した場合には米軍等の早期警戒衛星に確実に発見される。破壊を防ぐことは難しいとしても、誰が実行したかはほぼ確実に特定できてしまうから、テロ組織に偽装して開戦前に破壊を行うような工作が難しくなる等、一定の抑止力が期待できる。

 通信衛星は最近のメガコンステみたいに低軌道へ衛星を配置する例があるけど、純粋なデータセンターとして考えた場合、コンステレーション型のデータセンターは旨味が少ない気がする。特定の地域の上空は数十分で通過してしまうし、回帰を含めれば数日をかけて地球を1周するから、特定の地域向けのサービスが提供しづらい。地球は7割が海だし、人口密度の高い地域は極端に狭くなるから、LEOでストレージサービスを行うのは大変。大量の衛星に各々大量のストレージを載せてデータを常時移動させ続けるよりは、コンステレーションは通信(中継)に特化して、ストレージ自体はGEO付近に置くほうが便利そうな気がする。うまいことシステムを作ればサーバーとユーザーを2-4ホップ程度(しかも真空中の光速度)で接続できる。ただ、大量の衛星に大量のストレージを載せて常時移動させ続けるのは、データハンドリングのシステム次第では膨大な量のバックアップを持つことができる、という利点はある。過去数時間のデータは地球各地に分散された数十の物理媒体に記録されている、という状況。そういう需要があるかどうかは別にして。


 技術史でウィリアムさん活躍しすぎな件。タイムラインに入っている分だけでも、ウィリアム・トムソンを筆頭に、音速を測定したウィリアム・デラム、天王星を発見したウィリアム・ハーシェル、ツィオルコフスキーの公式を先に求めていたウィリアム・ムーア、種子実験等のウィリアム・ジェームズ・ビール、六角レンチでお馴染みウィリアム・G・アレン、ボーイングの創設者の一人ウィリアム・E・ボーイング。あとウィリアムで文字列検索するとロッティ・ウィリアムズも出てくる。技術史で名前を問うクイズが出されたらとりあえず「ウィリアム!」と答えておけば良さそうな気がする。


 光ディスクの大容量化、いろいろな方式が提案されているけど、連続した溝でアナログ的にQAM等を記録する手法もあるらしい。まるでオーディオレコードみたいだ。オーディオレコードでもレーザーで読み出す機材もあるから、機械の概念的には同様。/* なお、レコードをレーザーで読み出す機材を開発したのはウィリアムさんだそうだ。またおまえらか!! */

 QAMを拡張して、OFDMで記録する光ディスクの研究なんてのもあるそうだ。書き込み(レーザーで焼いて溶かす)が非線形なので記録に難があるようだけど。記録密度はBDの数割増し程度になるようだけど、ちょっと微妙な気もする。700MB→4.7GB→25GBみたいに5倍程度の増加ペースを考えると、BDの次世代規格は少なくとも100GB程度は欲しい。まだまだ提案段階なので、今後の発展に期待、というようなところか。とはいえ、4Kの映画コンテンツみたいなものを除けば100GBオーダーは使い道が少なそうだなぁ。ハードディスクのバックアップみたいな用途だと容量が心もとないし。SDカードとかUSBメモリに比べて若干堅牢(水没に強い)くらいしか特徴がない。それにしたって金属層に染み込むレベルで濡れたら壊れるし、microSDみたいにモールディングされている記録メディアなら水没にも強いし。

 ドコモは音声情報(音楽とか)にOFDM/BPSKを載せて、違和感すくなくデジタルデータを伝送する方式を提案していたりするし、同様にアナログレコードにもデジタルデータを埋め込んだりもできるわけだよな。レコードの復権で流通量も増えてるから、ヤバそうなデータをバレずに送るために音楽レコードに偽装するみたいな事はできそうだ。レコード1枚で少なくとも1MBくらいは入るだろうし。その程度のデジタルデータ、わざわざ物理媒体を経由しなくてもどうとでもなりそうだけど。

 次世代光ディスク、とりあえず有力どころはArchival Disc(AD)かな? 大容量化したディスクを複数枚カセットに入れて、カセット1個で数TB。名前の通り、データのアーカイブが目的で、業務用での使用を想定。磁気テープ等と異なり削除不可(ワンタイム)なので長期間の保存に適している。コンシューマ向けは当面BDが最後の物理メディアなのかな。


 観測衛星とかの通信系の話、「衛星コンスタレーション」という字面が出てきて、いかにも通信屋が書いたっぽい雰囲気だ。/* constellation、通信分野ではコンスレーション、衛星分野ではコンスレーション、という表記が一般的な気がする */

 HTS(High Throughput Satellite)の例で、フィーダリンクとユーザーリンクの図解とか。ユーザーリンクの周波数割当は2つだけで良いそうだ。左旋・右旋と合わせて4種類のマルチプルアクセスが構成できるから、四色定理によってすべてのエリアに対してサービスを提供できる。規則的に並べるなら3種類を三角形状に並べればいいけど、HTSの場合はビーム形状もある程度変えたいので、幾何学的な配置を使いづらい。フィーダリンクの場合は物理的な多重化が無いから大量の帯域幅が必要。割当で足りない場合は物理的に地上局を増やす必要がある。あるいは、Ka帯はフィーダリンクとユーザーリンクの帯域幅が重なっているから、需要に応じてフィーダ/ユーザ比を柔軟に変更できる、とか。

 静止通信衛星も単純なベントパイプでなく、衛星側でスイッチングを行う必要が出てきているから、その通信モジュールを観測衛星に乗せれば観測衛星間でネットワークを組んで非可視の衛星からダウンリンクできるという提案。スケールメリットが出るほどHTSが普及してる時代なら観測衛星でネットワーク組まなくてもHTS経由でダウンリンクすればいいんでは、という気はするけれども。ただでさえGEO経由の通信が逼迫しているのに観測衛星の膨大なデータを通す余裕なんて無い、ってことなのかな。それこそ非対称対地同期軌道で通信衛星を南北方向に並べれば帯域幅を数十倍に拡大できるはずだが。衛星放送みたいな使い方じゃないから衛星が静止している必要はないわけだし。


 日本とオーストラリアで共同で衛星運用とかやらないかなー、みたいな空想。軌道傾斜角35度らいの対地同期軌道に観測幅200kmくらいのハイパースペクトルカメラを打上げたら色々便利そうな気がする。主に夏季の昼間を撮影できるように位相を調整して、気象や農業、水産業向けにデータを集める。バスと打上げを日本が担当、ミッション系と解析を豪州が担当、みたいな感じで。運用システムは日本が開発して、運用自体は豪州が行う、みたいな分担になるのかな。政府主導で産業にインパクトのある大型ミッションを1発やってシステムを売り込んでおけば、それを実績に衛星打ち上げやシステム周りを受注するはずみにもなりそうだし、みたいな願望。

 実際のところ、オーストラリアが衛星を作ったとして、場所的に近いエレクトロンかイギリス連邦でランチャーワン、大型の衛星なら価格競争力の高いファルコン(orスターシップ)、みたいな感じかな。ランチャーワンなら近くに持ってきて打つこともできるだろうし、スターシップも運用段階に入ればオーストラリアでも運用するだろうし。地理的な近さでアピールするならスターシップの運用が始まる前に売り込んでおかないと……


 そろそろAnkerMakeのプリンタも発売か。あたりまえだけど、PV見るとめっちゃ綺麗に印刷できてるんだよなぁ。ウチにも1台欲しい(しばらく使用していない3Dプリンタから目をそらしつつ)。いや、綺麗に印刷できるやつならちゃんと使うから。。。

 そういえばPenta Machineの新しい機械ってどうなったんだろう。IMTSのあたりで発表するみたいな話だった気がするけど。まぁ、数万ドルコースだろうなー。

 部品の試作くらいだとNTX500があるとめっちゃ捗りそうだ。かなりの値段だけども。M1の4倍くらい? この規模の工作機械を試作開発のレベルで使える会社ってどのくらいの規模になるんだろうか。。。


 前回不用意にアニソンのティザーMVを見て電波天文沼に足を取られてしまったので、しばらくはPDF漁りの予定。OFDM復調もとりあえず一通り動いて飽きてきたところだったし。なにか他に面白そうなネタ無いかなー。

 そういえばウチのエリアの防災行政無線がデジタル化されてきているはず。ARIB STD-Tで標準化されてるらしいんだけど、日本語は有料販売(税込2.2万円)、英語版等の無料配布は無し。目次を読む限りスクランブル云々書いてあるのでFSKなりPSKなりを復調しても音声とか取り出したりはできないんじゃないかな? なんで防災無線をスクランブルしなきゃならんのだよ、とはちょっと思うけど、過去には行政無線が電波ジャックされた例もあるようだし、デジタル化でその辺も一揉めあったんだろうな。デジタル化に合わせてUHFあたりに移行するのかと思ってたけど、VHFを使い続けるんね。周波数同じでアナログ(FM)とデジタル変調を多重化するような仕組みがあるんだろうか? それとも周波数を変えているのか。さすがに新型の受信機でもアナログの受信ができて、全戸入れ替えが終わったらアナログを止めてデジタルにする、みたいなことではないと思うんだけど。覚えてたら放送やってるときに60MHzあたりスキャンしてみようっと。

0 件のコメント:

コメントを投稿