2025年6月18日水曜日

小ネタ






 近所で複数の会社が実験するような感じになってきて、いよいよ日本も『星のパイロット』の世界みたいになってきたか。



 VRの飛行体験で高所恐怖症を軽く 「落ちても飛べる」予測を獲得、NICT | TECH+(テックプラス)

『空の境界』みたいなことにならなきゃいいけど。



“ラピダス効果”北海道千歳市に2店舗目のドンキがオープン 工場の作業向け商品やプロテイン自販機で試飲も - YouTube

 先端半導体コーナーはないんでつか?

 ミニマルファブの消耗品がドンキで買えるような時代が来ると楽しそうだけどなー。中学生が夏休みにドンキで買った消耗品を持って近所の会社に行って、設備を借りて半導体を試作するような世界。



 大阪・関西万博 会場への自動運転シャトルバスの事故 システム設定ミスが原因 大阪メトロ | NHK | 大阪・関西万博

 舞洲万博P&R駐車場の待機場における自動運転バス車両のコンクリート擁壁接触事故の原因と今後の対応について|Osaka Metro

 緊急用のECUの設定に問題があって、250kbpsで出すべきところを500kbpsで出していたため、正常に通信が行えず、アンサーバックが無いために再送を繰り返して正常な通信を阻害し、パーキングブレーキのインヒビットが解除されず、ドライバーがパーキングブレーキをセットしたにも関わらず実際にはセットされなかった。で、傾斜面で動き出した、みたいな事象らしい。

 250kbpsとか500kbpsの設定だとCANバスっぽいけど、CANは通信エラーが多発すると自身をネットワークから切り離す仕組みあるんだけど、そういう動作はしてなかったっぽいな。ボーレートが違う場合、通常系の通信を受信している段階で受信エラーが多発して自身を切り離しているはずだし、そうでなくても再送を繰り返すと一定回数で送信エラーで切り離すはず。CANならそういう挙動をしなかった原因を探さなきゃいけないし、CANでないならそういう挙動(再送でバスを圧迫しないような機能)を追加するべきだし。そもそもなんで250kbpsで通信するべき場所を500kbpsで通信していたんだ(そういうソフトウェアになっていたんだ)というところも探らなきゃいけないし。

 車のソフトウェアに起因する事故やリコールは以前からあったけど、これからSDV(ソフトウェア定義車両)の開発を加速するうえで、こういうトラブル(ソフトウェアのバグ)は間違いなく増加するだろうし、人命に関わるような事故だって絶対に発生するから、ソフトウェア開発段階からそういうことを防ぐような努力も色々必要になるんだろう。航空機業界にはDO-178みたいにソフトウェア開発で従うべきルール等を決めているから、そういうのも取り入れていかないと。

「飛行機は車に乗るより安全」と言われているのは、航空機業界が事故を繰り返さないように努力してきた結果でもあるけど、単純に車の数と飛行機の数の差もあるはず。飛行機の安全基準を自動車に適用しても、数が圧倒的に違うから、車での事故は多発するはず。まず航空機業界で作られた安全管理のルールを車に輸入して、飛行機では問題ないような低い確率で起こる不具合みたいなものを減らす対策を飛行機に輸出して、双方がより安全になればいいのだけど。「空飛ぶクルマ」みたいに飛行モビリティを増やそうって話もあるし、車も飛行機もどんどん安全性を高めていかないと、普及すればするだけ事故が増えてしまう。

 今回は怪我人も出なかったけど、変数1個書き直してテストしてOKでした、と収束させるだけではなく、せっかく低コストで対応できる事故に遭遇したんだから、もっと大きな事故が起こる前に色々対策しておかないともったいない。


「車両側が認識できるデータ通信速度(250kbps)を超える通信速度(500kbps)で送信していたこと」という記述も謎いな。データバスって設定が250kbpsだからそれを超えたらNG、それ以下(例えば125kbps)ならOK、というものでもないだろうに(CAN FDみたいにネゴシエーションして動的に変調速度を変えるならともかく、数百kbpsオーダーならCAN FDでもないだろうし)。



 科学系の古い資料を読んでると、頻繁にというほどでもないけど、たまに学術会議の名前が出てくるのよな。学術会議が、この分野は重点的に研究するべきだ、と提案して、そのように政策が決定される。昔は実際に政府に対して提案を行って、それが採用されていたんだろうけど、最近はどうなんだ、という話。

 あと、実際に(昔の話とはいえ)政府に提案を行って採用されていた実績があるのに、最近になって、会員(or候補)が肩からプラカードを下げて市民と一緒に座り込みをするみたいなのをやると、最近は政府への提案能力が下がっているのを自分で証明してるじゃねーか、と思ってしまう。その座り込みで従来の学術会議の形を維持できたとして、なら学術会議いらないじゃん、政府に提案したいならその都度座り込みすればいいじゃん、という話になるし。

 そもそも、科学者の代表機関になんで政治専門の(科学がわからない)人間がいるんだって話だし。科学技術を推進するのが目的の組織のはずなのに、技術の発展を阻止したい人が大きな発言権を持っている印象。よくこんな組織が1950年代とかに日本でも宇宙開発を行うべきみたいな提言をできたよな。あるいは、こういう組織だからこそ手足を縛られたような宇宙開発しかできなかったのかもしれないけど。



 世間で広く信じられている相対性理論の誤解を解く、みたいな文章で、特殊相対論でも等価原理を使えば重力(加速度)を取り扱うことができる(一般相対性理論を使わないと重力を扱えないというのは誤り)みたいな話が書いてあるけど、なんというか、それを言っちゃ終わりじゃね?という気がするのだが。

 特殊論の時に等価原理は存在せず、一般論を出すときに等価原理が出てきた以上、等価原理を遡って特殊論に適用したうえで一般論が不要(重力を扱う上で)と言うのは、ちょっと違う気がする。それが許されるならニュートンの理論(ニュートン力学)に特殊論の考え方や等価原理を適用すればアインシュタインの理論(相対性理論)は不要である、みたいな話になる。特殊論と等価原理は考案者が同じだから、としても、遡って適用していい理由にはならんだろうし。



 光学衛星とSAR衛星の同時観測みたいなミッションってあるんだろうか?

 ALOS(初号機)には光学とSARが乗っていたけど、あくまでも光学は直下を、SARは斜め下を観測する機器であって、仮に同時に運用したとしても同じ場所を同時に観測することはできない。

 ほぼ同じ軌道を飛び、昇交点赤経を少しずらしたような軌道に光学衛星とSAR衛星を入れて、光(赤外-可視光)と電波(L帯やX帯)を同時に観測したら、今までは無かった解析手段が得られたりしないだろうか。あるいは、単に光/電波データセットを作っておくだけでも役に立ちそうだが。

 単に赤経を変えるだけだと緯度によって観測エリアが変化する欠点がある。これはどうしようもないから、同時観測するエリアはある程度の緯度範囲に制限しなきゃいけない。低緯度地域は同時パスで同一エリアを観測、高緯度地域は1周毎(約1.5時間毎)に同一エリアを観測、みたいな軌道設定ができれば、移動物体の同定は難しいにしても、数時間程度でほとんど変化しない現象はほぼ同時観測が満たせる。ただ、それを言うと10時LSTの光学と12時LSTの電波で個別に観測してもいいじゃん、という話にはなる。

 同時(せいぜい数十秒差程度)で観測するなら、それを活かせるような対象を探さないとなー。例えば港湾を同時観測して、光学で同定してSARの反射パターンのカタログを作る、みたいなことはできるけど、そういう用途ならALOS-2/4のSPAISEでもある程度はできるだろうし。

 非友好的な目標(例えば仮想敵国の軍事車両とか)のデータを集めるには光学とRFの同時観測は便利だろうけど、そんなものは表に出るはずもなく。



 またスズメバチが入ってきた。今度は窓を閉めていたとき。いよいよ侵入経路がわからなくなってきた。

 胴体の径で侵入経路が制限されると思ってたんだけど、もっと狭い場所でも入れるんだろうか? だとすると1箇所怪しいところはあるが。とはいえ、スズメバチが通れるほど広くもないと思うんだけどなぁ。


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https://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1984/pdf/19840205.pdf

 1984年。日本と欧米の時刻をGPSで比較する。

 それまで、アジアと欧米の時刻は原子時計の運搬等で比較していた(長距離の電波航法での結合は伝搬特性の影響を受けるので精度が出ない)。GPSを使うことで精度良く頻繁に比較できるようになり、それまでは欧米の原子時計だけで作っていた国際原子時に、アジアの時計が参加できるようになった。


 日本で秒の定義が天文から量子へ変わったのは1972年だそうだけど、それから10年以上、日本の時刻は天文で決めていたんだな(決めていたというか、比較していたというのが正しいんだろうけど)。GPSが出現してようやく天体現象と時間・時刻が切り離せた。


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https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/94/11/94_11_1008/_pdf

 1974年。GMS(77年打上げ予定)の説明。

 DPC(データ処理中枢、Data Processing Centerとか?)とDCP(Data Collection Platform)が出てくるのがややこしいな。


 静止衛星の欠点として、気球やブイなどの測位を行う際に、1機の静止衛星では困難である、みたいな説明が出てくる。ということは、当時の周回衛星ですでにブイ等の測位を提供していたのか。ARGOSみたいなシステムはTIROS-N/NOAA(80年代から打上げ)から実施したものだと思ってたけど、それより前からやってたのか。1機の静止衛星では困難、ということは、複数の静止衛星で測位を行う計画はあったんだろうか? 3機の静止衛星があれば信号の到達時間差である程度の位置決定はできそうではあるけど、コストが高そう(70年代当時に3機も静止衛星を打つのは大変そう)。

 撮影した画像は高解像度と低解像度の2種類を衛星経由で放送するけど、低解像度についてはAPT(136MHz帯)とある程度の互換性を持たせたい、みたいな話も出てくる(周波数はLバンドの予定)。ということは、TIROS-N/NOAAのAPTもそれ以前の衛星から引き継いだものだったのか。じゃあDCSも同様と考えてもいい?



https://www.jstage.jst.go.jp/article/rssj1981/9/1/9_1_69/_pdf

 MOS-1のDCST(Data Collection System Transponder)を使った時の位置精度に関する話。

 基本的にはArgosと同様。ただしMOSはベントパイプオンリーなので、サービス範囲は比較的狭い。データは32bit/Wを最大8ワード(最大256バイト)まで、最小30秒間隔で送信できる。

 Argosの場合、8bit/W、最大32ワード(最大32バイト)まで、測位を行う場合は55-60秒周期、データ転送のみの場合は180秒周期まで(周期は緯度による。この値は日本近海)。MOS-1はArgosに比べてデータ転送量が1桁高い。ただしArgosは複数の衛星を使えるのに対して、MOSは1機のみ(MOS-1bの打上で数年間は2機を運用していたが、同一軌道面で運用)。

 地上処理設備とかアルゴリズムとか色々書いてある。

 測位精度は軌道直下と両側2500km以上は精度が悪く、準拠楕円体上に静止したDCPが軌道から左右200-2000kmの範囲にあれば500mの精度で測位できる。移動DCPは計算上2.0m/sで2000mに劣化。



https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/36/408/36_408_2/_pdf/-char/en

 1988年。地球観測システムの知能化。

 10年位先を見据えて、どういうシステムがほしいか(作れるか)、みたいな話。1995年前後には12トンの、その後には55トンの観測システムを軌道投入して、様々なデータを取得したい。およそ650GB/day程度のデータレートになると予想(ちなみに、ひまわり8/9号の観測データが650GB/day程度のはず)。

 膨大な観測データに対して、ユーザ側はどうやってそれを使うかとか、あるいはデータ量を下げる工夫とか。例えば雲を自動的に認識してオンボードで観測結果を破棄する、とか。これに関しては、地上に興味がある研究者からすれば雲は無駄なデータだから不要だろうけど、気象に興味がある研究者からすれば「宝物を捨てるなんてもったいない!」みたいに言われそうだな。

 対象の自動識別に関する話がいくつか。例えば裸地、小麦、泥水、きれいな水、植物の、0.4-0.9umでの輝度のグラフとか、赤/赤外の比で水・裸地・植物・雲を見分けるとか。



https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsprs1975/29/1/29_1_33/_pdf

 Topex/Poseidon計画の概要。ミッション機器の解説とか。

 どういうデータが得られるかとか、そのデータを得るためにはどういう条件があって、どういう軌道を使う必要があるか、とか。

 故障などによってミッションが達成できないと見込まれた場合には315kmまで軌道を落としてシャトルで回収し修理・最打上げができるんだそうだ。時代だなぁ。

 仏側のDorisはあくまでも海面高度計の電離層誤差を補正するために2周波で電子数を推定するために使うものであって、軌道決定は米側(Defence Mapping Agencyが運用)の機材を使って行うという雰囲気。ただし米側のTranetビーコンはSeasatと同様の150/400MHzであるのに対して、Dorisは401/2036MHzを使うので、高い精度を期待している。GPSも2周波受信機を搭載。とはいえ、DorisもGPSもこの時点では飛行実績がないので、あくまでも実験的に乗せる、という扱い。



https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F8792275&contentNo=1

 2001年。アルゴフロート(Argosで伝送)の伝送エラーの解析。

 日本近海ではそれ以外のエリア(遠洋)に比べてエラー率が高く、特に昼間はエラー率が高くなる。おそらく人間の活動に由来する電磁波がノイズとなっている。

 1回の浮上で400byte程度を伝送するが、ARGOSでは1パケットあたり最大32バイトしか転送できないから、分割して伝送する(おそらくフレーム番号1バイト+データ30バイト+CRC1バイトのパケット)。フロートは1回あたり8時間浮上し、その間パケットを順番に繰り返し送信する。

 塩分濃度は電気抵抗と水温から推定するが、電気抵抗は生物由来のコンタミでドリフトしやすい。表層の滞在時間を減らせば生物が付着する可能性を減らせる。送信するパケット数を低減できれば消費電力も削減できる。フロートが浮上する時間帯を人間活動が少ない時間帯に設定すれば色々メリットがありそう。等々。アルゴフロートは10日に1回の観測だから転送時間は時間分解能のネックにはならないけど、消費電力が減らせればより長い期間の運用ができるようになる。



https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmst/27/1/27_p01/_pdf/-char/ja

 アルゴフロートよりも深いところへ潜ることができるDeep NINJAの説明。

 海の熱交換は海面で行われるし、深層への輸送はほとんど行われないから、アルゴフロートでは2000mまでの潜航能力を持っている。ところが、観測船などによって深海への理解が進むにつれて、深層にも変化が出ていることがわかってきたので、4000mまで潜ることができるDeep NINJAを開発した。これによって体積比で88%の海を観測できる。

 浮力の調整は体積の変化で行う。いくつかの手法の説明。それぞれの利点や欠点など。

 測位はGPSで行い、Iridium SBDで転送する。SBDにも簡易的な測位機能があって、GPSで測位が行えない場合でも10km程度の精度で位置を把握できるんだそうだ。Deep NINJAは耐圧性優先で作っているのでRF周りは若干不安定な傾向があるらしい。GPSの測位率が低い物があったり、時々SBDのエラー率が高くなったり。

 その他、観測内容の説明とか、耐圧容器の強度の説明とか、いろいろ。



 SBDの測位を軽くググってみたけど、それらしい話はほとんど見当たらない。Argosが開発された時代ならともかく、SBDを使うようなアプリケーションならGPS受信機のコスト(金額・容量や質量・消費電力)は大抵の場合許容できるだろうから、SBDの測位(GPSより精度が3桁悪い)を使うようなアプリケーションはなさそう。このくらいの精度だと洋上で大雑把な場所が知りたい、程度でしか使えないだろうし。


 とある情報(20年以上前のPDF。斜め読みした感じでは大したことが書いてある資料ではないけど、おそらくIridium本社と契約しないと読んじゃいけない資料)によると、SBDが送られてくるメールには、本文には受信時刻や転送ステータスのほか、Lat/LngやCEPRadius(整数、km)も書かれているらしい。SBDのデータ自体は付属ファイルにBase64で入っているんだそうだ。


 SBDってどういう変調方式なんだろうか。ドップラで位置推定するならある程度長めの送信時間なんだろうけど、とはいえたかだか数百バイト程度だしなぁ。複数のSBDパケットのドップラから測位精度を改善するみたいなアルゴリズムは作れそうだけど、kmオーダーの精度ならそういう仕組は使ってなさそう。



https://www.teledynemarine.com/brands/webb-research/apex-standard

 Teledyne Marine社のAPEX Standardフロート。アルゴスフロートのうちの50%を占める製品だそう。Teledyneグループって色々作ってるんだなぁ(en.wikipediaによると22年時点で100社以上が傘下)。

 観測機器で色々追加オプションがあったり、深度6000mまで潜れる機材もあるらしい。

 標準はIridium Circuit Switched(アナログ音声回線経由のデータ通信)もしくはRUDICSで通信を行い、オプションでSBDにも対応、とのこと。SBDは伝送容量が小さいからRUDICSを使いたいんだろうけど、オプションでSBDを残しているのはなんでだろう? 通信コストとか? あるいは古いSBD用の観測(データ処理)システムとの互換性の問題なのか。

 オプションでAir Deployableで、カタログには4発ターボプロップ機からパラシュートで落とすイラストがついてる。NOAAはP-3を持っていたり、去年はC-130を注文したりしてるからな。アメリカの研究者はスケールがでけーや(日本でもドロップゾンデみたいな小型な観測機器を落としたりはしてるけども)。まあ、トランプ政権でこのあたりの予算もガッツリ切られてそうだけど。。。



https://www1.kaiho.mlit.go.jp/kenkyu/report/rhr46/rhr46-tr11.pdf

 2010年頃? 海難事故で捜索救難に使うためのGPSブイの開発。

 2008年の漁船事故では海流の推定値と実際の漂流物の流れが大幅に異なった。僚船が投入した漁業用のブイは漂流物と一致する結果があったため、海流を実測できるブイの重要性が認識された。前年に配備したブイは携帯電話回線?を使用していて、沿岸部以外では使えないことから、オーブコムを使用したブイを開発した。

 2004年に松下電器が発売したオーブコムの送信機は製造中止になったので、米国のメーカーが発売している製品(販売されている唯一の製品)を採用した。

 航空機側の要求から、放出後にパラシュートを開くまでにある程度の遅延が必要となった。市販の玩具に内蔵されたゼンマイ機構を使ったらしい。

 既存の市販ブイは1台60万円くらいで、老朽化による故障も多く、継続的な使用(海流のモニタリング等の用途)は難しい。一方で今回開発したものは電源容量が少なく、長期間の運用には向かない。


 最近だとシーガーディアンのレーダがあるけど、あれって海流の解析みたいな機能ってあるんだろうか。ビデオ信号をフーリエ解析すれば視線方向の風や海流の速度を求める位はできそうだけど、接線方向の情報がないから、せめて10度とか30度とか離れた2視点のデータがないと海流ベクトルを計算するのは難しそう。あと、この手の無人機は足が遅いから遠洋でのSARミッションは使いづらそう。



https://www.jstage.jst.go.jp/article/nictkenkyuhoukoku/31/159/31_47/_pdf

 1985年。EPIRB/ELTの測位に関するシミュレーションとか。軌道精度と測位精度の関係とか、それを改善する方法とか。軌道精度(高度・アロングトラック・クロストラックの誤差)がわかれば測位精度もある程度決まるから、それに応じて捜索範囲を設定したり、あるいは推定位置に近い場所に位置が既知のビーコン(他のシステムで位置を決定した船舶等)を設置して、それを基準点として衛星の推定位置を改善してから測位を行ったり。


 最新の改正性能基準に対応した406 MHz衛星非常用位置指示無線標識装置Tron 60AISを発売|JRC 日本無線株式会社

 2024年から従来のEPIRB送信機の販売はできなくなって、新方式の送信機のみ販売が可能になったらしい(既存の設備は引き続き使用可能)。

 変調方式を追加してGNSSに対応したのと、AISにも対応したのが大きな違い。あと、この製品だと、夜間のNV向けに赤外線LEDビーコンを内蔵したり、Galileoのリターンリンクに対応したり(日本では使用できない)。



 MOS-1とMOS-1b、ほぼ同じ仕様の衛星で、運用期間が5年ほど重なっている(軌道位相差180度で運用)。日本の衛星で、同じ仕様で同時に運用した衛星って珍しい気がする。HTVは数は多いけど運用期間は違うし、ALOS2/ALOS4はだいぶ違う衛星のはずだし、ETS-7は親子というにはあまりにも似てなさすぎるし。実用衛星(放送衛星、気象衛星、測位衛星)はさすがに同じような衛星を同時運用しているけど、気象衛星を除いた観測衛星はあまりない気がする(最近のGRUSやQPSは別として)。


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 いくつかのSBAS衛星(特にPRN142)から特定のCRC値が出ると騒いでいた件、原因が判明した。当たり前だけど、復調側の問題でした。そりゃそう。

「固定値」というのは、0x864CFBだったんだけど、これはCRCの生成多項式の最上位ビットをクリアした値に相当する。で、この値を簡単に作ろうとした場合、最後の1bitを反転すると出てくる。畳み込み符号の特性上、テールビットが無い場合は、最後のビットが正しく復調できなくなる。今回はそれを踏み抜いていた。

 こういう実装にしていた理由としては、SBASメッセージの最後のシンボルを受信した段階で復調を行えば、SBASの正秒にほぼ同期したタイミングで復調結果が返せるという狙いがあった。そのために、メッセージ1000code(実際はオクテット区切り用に1024code)分のシンボルを受信した段階でビタビ復号を行っていた。

 これを、1056code(追加で1オクテット)分のシンボルを受信してから復調するようにしたところ、以前は正しく読めなかったビット列を、正しく復調できるようになった。


 今回は結果的に最後の1bitがエラーになるパターンで、それはCRC計算結果を見れ推測できるんだけど、これとは別に、テスト用に書いたCRCチェッカーにもバグがあって、CRCが正しいときは0になるが、CRCが正しくないときは本来得られるビット列とは違うビット列が表示されていた。なので生成多項式が得られるという特殊な状況に気が付かなかった。

 それと、メッセージの復調部の不具合であればすべての衛星に均一に発生するはずで、特定の衛星に集中して発生することはないはずだ、という思い込みもあって、原因が判明するまでに時間がかかってしまった。



 約24時間で受信したLNAV/SBAS系メッセージの件数

 LNAVは24時間あたり14400件、SBASは24時間あたり86400件のメッセージが放送されている。SBASの半数は8.5万件以上が受信できている。残りの半数は3万件から7万件弱と、受信数が少ない。

 LNAVはQZSで1万件弱、GPSで2千件前後、といったところ。GPSは1番から32番まで全衛星が見えている。

 PRN129, 137, 189が受信できているから(特に189は受信率98.8%)、QZS-3は間違いなく視野に入っているが、PRN199は受信できていない。


 パリティ(LNAV)/CRC(SBAS系)エラーのメッセージ数

 PRN185だけ突出してCRCエラーが多い。といってもエラー率は0.16%程度だけど。CRC演算結果は大半が3種類に固まっている一方で、1回しか出ないCRC値も7個ある。ランダムエラーっぽい気もするけど、詳細は不明。

 それ以外だと、LNAVは7個の衛星で1回ずつ、SBASは2回から10回程度、エラーが発生している。RTL2832Uはたまにデータを取りこぼすので、その時はキャリアのPLLのロックが外れて、正しく復調ができなくなる。たいていはロックオフを検知してメッセージのデコーダを停止するけど、検出が間に合わずに1メッセージ分の信号を受信し切ると、末尾はビットエラーを含むから、確率的に文字化けしたメッセージを受信することになる。LNAVとSBASのエラー率の差はメッセージ長の違い(LNAV6秒、SBAS1秒)に起因する確率の差、SBAS内でのエラー率の違いは受信したメッセージ数の違いの影響だと思う。

 正常なメッセージの受信数が少ない137はエラー率も少ないという結果。これは受信強度が低くて文字化けが多く発生しているわけではなく、そもそもの受信件数が少ないということを意味している。もっとも、受信強度が低くてキャリアをロックできず、一旦キャリアをロックできてしまえばメッセージは誤りなく受信できる、ということなのかもしれないけど。


 メッセージを受信したタイムライン(JST)

 GPS衛星は、いくつかの衛星は1日に2回受信できるものがあるし、それ以外は1回受信している。あまりきれいに受信していないのはアンテナの視野角の問題だと思う。

 SBAS衛星の中、間欠的に受信している衛星は、あまり規則性はなさそう。PRN184,194は14時ちょうどに途切れて19.5時ちょうどに再開しているけど、単純にLoS/AoSが偶然そのタイミングになっているだけの可能性もある。PRN185/195や186/196はあまりきれいなタイミングじゃないし。

 185と195では、若干とはいえ、185のほうが消えるのが遅く、現れるのが早い(186/196も同様)。また、195や196では途切れている(信号強度が低そうな)タイミングでも185/196は受信できていることがある。LNAVとSBASのノイズ耐性の差かな? そう考えると、SBASはLNAVに比べてビットレートが5倍早いけど、信頼性は変わらないどころか若干高い。誤り訂正つよい。


 適当な部分の拡大

 データのドロップですべての衛星を一斉にロストする。



 試しに、搬送波位相をグラフ化(縦軸rad、ただし1機ごとに5ずつバイアス)

 下4個がGPS、上2個がQZO。サンプリングレートが8Hzで、ドップラーシフトが8Hzの整数倍に近づくと位相角速度が低くなる。QZOはドップラーシフトレートが低いのでこの図ではほとんど一定の角速度に見える。

 搬送波位相を取ったところで何に使えるかもわからないけど。まだ測位演算ですらまともに実装できていないのでな…… 搬送波位相はPLLさえ実装しておけば簡単に得られるので、ついでにグラフ化してみただけ。

 適当に測位演算してそれを初期位置にして、山の数と衛星との相対距離変化を差っ引けば、初期位置からの移動距離はある程度正確に得られないかな、とか考えてみたり。電離層の変動の影響とかはありそうだけど、この図を見る感じ(少なくとも30秒程度のオーダーなら)あまり気にならなそう。コード追尾のループフィルタがかなり手抜きな(良く言えばロバストな)実装で、擬似距離ベースの測位演算はあまり精度が出ない(径数十m程度に分布する)から、簡易的な干渉である程度細かい動きが見えれば面白そうだな、とは思いつつ。


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 ワッセナー・アレンジメント - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション

以下はわたしたちが知る限り最新のワッセナー・アレンジメントのわたしたちの解釈です。これはまだ弁護士によるチェックを受けていません。

一般ソフトウェア覚書第2項によると、この協定は「パブリックドメイン」なソフトウェアには適用されません。

 既知の情報は秘密ではない、みたいな考え方なのかな?


 オープンソースのGPS受信機って法的にはどんな扱いなんだろ、と気になってるんだけど、ググっても出てこないんだよな。

 この考え方を適用するのであれば、パブリックドメイン、あるいはそれに準ずるようなライセンスのOSSであれば問題ないのかな? 拡大解釈すると「秘密の情報も広く一般に知らせてしまえば保護されない」みたいな頭の悪い解釈ができそうだけど。


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 L1帯の軸モードヘリカルアンテナの空想

 主に静止衛星(QZS-3とか)狙いなので、広視野とかは気にしない。

 コイルはWikipediaの指示通りに作って、グランドプレーンも伸ばしてみた。5ターンで高さが220mmくらいだから、ウチの3Dプリンタでもかろうじてフレームを一体で作れる。GPはもう少し小さくてもいいと思うけど、どうせ導体の強度で伸ばすから、造形エリアには関係ない(後で適当な長さに設定する)。送信用としても使うなら(アマチュア無線等のヘリカルアンテナなら)マッチング回路(構造)を作る必要があるけど、受信用だし、GPにDCで短絡して、1/4λで給電すればいいはず。ただ、GPがシンプルな導体の平面ならそこに接した点を節にして1/4λ離れた場所を腹と考えればいいけど、GPをワイヤで作る場合はどこが節になるのかわからないんだよな。HFならワニ口クリップで動かすという手もあるけど、L帯でそれをやるのはちょっと怖い。まあ、大電力を扱うものでもないので、マッチングもさほど気にする必要はなかろう……


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 Ubisoft+Premiumに加入。先月末にACSのアプデや追加シナリオが来てたし、ロードマップによればもうすぐ別の追加シナリオも来るはずだし。これから暑い季節が来ると熱い(物理)ゲームを遊ぶのは厳しいかな、ということで、その前にちょっと遊んでおこう、とい言い訳。

 以前は1ヶ月遊んだ時点でプレイ時間131時間とかいうアホみたいな遊び方をしていたので、今回はもう少し抑えめで遊びたい所存。

 最初の2時間位は操作方法ほとんど完璧に忘れてた。最初10分くらい軽く戦闘してなんとなく思い出したしいけるやろと思ってDbDコラボ行ってみたら鬼が鬼強くてめちゃくちゃ時間かかった。敵ボスがハメ技使うなよ。。。レーションも最大6個持てるのに3個しか持たずに行って謎の縛りプレイしてたし。

 ACSはミッションの再プレイができないから、コラボミッションも1回遊んだら終わりってのがちょっとなー。ストーリーミッションも再プレイできないから、一通り最後まで遊んだら遊び続けるインセンティブが無いし。

 ストーリーを進めつつマップを開放していくと、その場所でしか拾えないサブクエアイテムが出てくるけど、ストーリー優先で拾わずにいると、そのアイテムがどこで拾えるのかがわからなくなる。で、サブクエが進まずに積む。いくつかのサブクエがこんな状態で放置されている。

 メインのストーリーをまっすぐ読むだけなら面白いんだけど、メインストーリーが終わったあとはちょっとイマイチ。最初から遊び直すにはストーリーが長すぎるし。


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