2026年7月6日月曜日

バーティノフマスクとそのパチモン、あとキャリーマスクの比較


 3Dプリンタでバーティノフマスク(Bahtinov mask)やそのパチモノを印刷して比較してみた


 左上から1段ずつ右向きに、通常のバーティノフマスク、スリット幅を減らしたバーティノフマスク、Y型等積バーティノフ、T型等積バーティノフ、面積比を大きく崩したバーティノフ、キャリーマスク、バーティノフの縦のみ、バーティノフの斜めのみ、バーティノフの縦を中央に配置した線対称型、バーティノフの斜めを中央に配置した線対称型、スリットを1本ずつ配置したバーティノフマスク、スリットを2本ずつ配置したキャリーマスク、の12種類を比較。


***


 通常のバーティノフマスク


 およそ1km離れた街灯をターゲットにしている。上がほぼ合焦、下が少し遠目にずらしている(他の画像も同様の条件)。バーティノフマスクについては縦スリットが上に、斜めスリットが下に来るように設置している(光線はスリットと直交する方向に写る)。

 バーティノフマスクは合焦すると交差した線の中央に線が乗るようになる。



 スリットを狭くしたバーティノフマスク

 

 光の干渉効果が強く出ている。画像処理で線の交点を得る場合、こういう画像はかなり処理が難しくなるはず。スリット幅を狭くして回折角を大きくしたバーティノフマスクは干渉効果が強すぎて使いづらそう。

 開口率が低いので線が細く見えるけど、単に飽和で広がった分が無いだけで、通常のマスクでも撮影時の露光を減らせば同様の効果が得られるはず。



 Y型等積バーティノフ


 写真だとあまり分かりづらいが、3本の線の輝度が等しくなる(通常の交点が中央にあるT型バーティノフではクロスのラインの輝度が若干低い)。フィールドで小さいモニタを見て線の位置を確認する場合、等積マスクのほうが見やすいかもしれない。



 T型等積バーティノフ


 薄い線が1本増えているけど、おそらくマスクの印刷上の問題だと思う。



 非等積強化T型バーティノフ


 縦線の面積が大幅に増えているので、斜め線より中央の線が明らかに明るい。

 等積・非等積強化ともに基準線が光軸から大きくズレているわけだが、この画像を見る限りはその影響は確認できない。バーティノフマスクと光軸の一致度はさほど影響はないようだ。ただ、よく見ると線の太さに違いがあるような気もする。等積は縦線が短い分、線が細く、非等積強化は縦線が長い分、線が細い。これらを含めると、等積Y型が良いかもしれない。



 キャリーマスク


 バーティノフマスクはクロス線の中央に線を入れるように調整するが、キャリーマスクは二つのクロスの交点が一致するように調整する。実際には交点は見づらいので、線のバランスを取るように調整する。

 今回は10度/12度で作成したが、もう少し狭いほうが見やすいかもしれない。

 バーティノフマスクは3本の線を引くが、キャリーマスクは2本の線なので、線の輝度が若干向上するはず。



 縦線のみのバーティノフ


 当然、1本線。よく見るとピン外しでは線が分裂して見えるから、ピント調整に全く役に立たない、というわけではない。とはいえ、ピントの前後を区別できないので、実用上の利点はない。



 斜め線のみのバーティノフ


 同上



 線対称縦線中央型バーティノフ




 線対称斜め線中央型バーティノフ


 これらも線は分裂するが、前後が決まらないのも同じ。



 スリット1本型バーティノフ


 通常のバーティノフに比べて線のズレが見やすい気がする。とはいえ、単に輝度が下がって飽和が改善されただけという気もする。

 輝度にむら(色相の回転)があるのは光が干渉した結果だと思っていたのだけど、スリット1本でも出るのが謎い。



 スリット2本型キャリー


 同上


*


 露出を大幅に下げて、Y型等積バーティノフ、通常型バーティノフ、狭バーティノフ、キャリーを比較




 全体的に干渉が出ている。

 バーティノフは交点付近を使うので、飽和しない程度に輝度が低いほうが確認しやすい気がする。対してキャリーは線を使うので、輝度が低いと全く見えない(キャリーは合焦していても線が2本に分裂して見えるが、露光が足りないと線が重なった(分裂していない)部分しか見えなくなる)。ただ、今回は合焦位置でしか撮影していないが、ピンズレの場合は線の長さの差として見えるはずだから、こちらのほうがわかりやすいという可能性はある。

 輝度を下げた場合、通常のバーティノフでは線の明るさに差があるから、見づらい気がする。等積バーティノフは中央の線の輝度は下がるが、全体的には同じ輝度になるから、暗くても線が見やすくなる。


*


 スリットの角度を変更して、再撮影


 Y型等積バーティノフ(±5度)



 キャリー(±4度/6度)


 バーティノフにしろキャリーにしろ、角度が狭いほうが見やすい気がする。


*


 実際の恒星に対して使用した例


 Y型等積バーティノフ(狭角)


 キャリー(狭角)

 使ってみた感じだと、バーティノフのほうが使いやすい気がする。カメラに設置するときも向きが楽にわかるし、線の方向に対して調整の向きも楽。縦を上に置いて、線が上にあれば奥にフォーカシング、線が下にあれば手前にフォーカシング。キャリーも慣れれば使いやすいのかもしれないけど。


 今回はカメラ内蔵のトレーサー機能を使ったが、キャリブレーションがうまくいかなくて、日周運動が完全には消えない。日周運動が残った状態でマスクをカメラ座標系に置くと、線がぼやけてピントオフセットが把握できなくなる


 マスクの向きを日周運動に合わせると(バーティノフの縦を天の北に向けると)見やすくなる。タイムラプス撮影とかで日周運動を残して撮影したい場合はこれを気をつけて調整を行うと良さそう。


***


 狭スリットバーティノフマスクを適当に画像処理

 青色だけを取り出して色を強調。狭スリットでは光の干渉で破線に見えるから、画像処理を行う場合はこれの重心を求めて、各々の重心を直線にフィッティングする、みたいな処理も考えられる。

 スリット幅の広い(白色の実線に見える)バーティノフマスクを画像処理で計算しようとするとちょっと面倒なロジックが必要になりそうだけど、狭スリットだとわりと簡単な処理で計算できそうという可能性はある。それ専用のロジックが必要というのが欠点。


0 件のコメント:

コメントを投稿