2017年11月30日木曜日

MEDEVAC

 調べ物してたらた偶然見つけたので、ちょっと調べてみた。


 MEDEVACはMEDical EVAcuationの略で、負傷者を移動する手段、みたいなのを指すらしい。ヘリに限らず、車とかでもいい。

 基本的に9行(9種類)のパラメーターで交信するが、場合によっては最初の5行だけでもいい、という感じ?

 各パラメータはこのページに書いてある。
 9 Line MEDEVAC Request (ArmyStudyGuide.com)

Line 1:位置(MGRS:2桁のアルファベットと8桁の数字)
Line 2:周波数とコールサイン
Line 3:負傷者の状態と数
Line 4:必要な機材
Line 5:負傷者の状態
Line 6:周辺の安全状態
Line 7:マーキング方法
Line 8:負傷者の国籍
Line 9:汚染状況

 Line 1:位置
 位置は、そのままの意味。どこにヘリが来てほしいか、という位置。

 Line 2:周波数とコールサイン
 周波数とコールサインは、自分の物を伝える。
 要請に使っている周波数は戦闘地域全体からMEDEVACを要請するためのものだから、回収に来たヘリコプターと話す場合は別の周波数を使う必要がある。このため自分たちが使っている周波数とコールサインを伝える必要がある。
 動画では、相手・自分共にコールサインは3桁の英数を使っている。どちらもアルファベット・数字・アルファベットの並びだが、すべての組み合わせだと6760通りになるから、多分3文字で足りるんであろう。ただし、部隊内で一つの周波数を使うから、搬送用のために接尾辞を追加して、計5文字となる。サフィックスは数字2桁っぽい。

 Line 3:負傷者の状態と数
 負傷者の状態はAからEに分類され、Aは緊急、Bは外科治療が必要、Cは優先的、といった感じらしい。
 ナショジオのPJ番組で「n CAT Alpha」とか言ってるのは、この部分。「ワン キャット アルファ、ツー キャット ブラボー」ならカテゴリーA(緊急)が1人とカテゴリーB(手術が必要)が2人、といった感じの意味。

 Line 4必要な機材
 機材は、ホイストが必要か、とか、人工呼吸器が必要か、とか、そういう情報。今だと人工呼吸器くらいは初期装備な気もするけど、60年代前後とかならこういう機材を備えていたヘリも少なかったんだろう。

 Line 5:負傷者の状態
 自力で歩けるか否か。Aなら担架が必要、Bなら不要。

 Line 6:周辺の安全状態
  N:エリア内に敵兵はいない
  P:エリア内に敵がいる可能性がある(慎重に接近せよ)
  E:エリア内に敵がいる(慎重に接近せよ)
  X:エリア内に敵がいる(武装が必要)
 他に症状を伝えたりするらしい?

 Line 7:マーキング方法
 自分の居場所を知らせる手段。Aなら蛍光色の布を広げる。Bならフレア(信号弾)を使う。Cならスモークを炊く。Dはマーキングなし。Eはその他の手段。

 Line 8:負傷者の国籍
 Aなら米国籍の軍人。Bなら米国籍の民間人。Cは米国籍以外の軍人。Dは米国籍以外の民間人。Eなら敵の捕虜。

 Line 9:汚染状況
 特別な防護が必要かどうか。Nなら放射能で汚染されている。Bなら生物兵器で汚染されている。Cなら化学兵器で汚染されている。
 他に着陸地点の地形等の情報も伝える。そこが湖なのか、山なのか、市街地なのか、みたいな。


 予めホワイトボードみたいなチェックリストがあって、交信を始める前にこれらの情報を書き込んでおく。
 交信する際はまず相手のコールサインを呼び、その後自分のコールサインを言う。そしてMEDEVACを要請することを伝える。
 相手はこちらのコールサインを復唱し、自分のコールサインも言う。これが正しければ、自分と相手で意思疎通ができていることがわかる。
 通信が確立できれば、Line1からLine9までを、何行目かも含めて順に伝えていく。

 動画では、9Lineを伝えた後に、相手は復唱していない。通信状態が明瞭でノイズが少なく、また聞き間違えた可能性もない場合は、そのまま交信を終了する。


 あとはヘリが近くまでくれば、Line2で伝えた周波数とコールサインで通信が来るので、Line7で伝えた方法で自分の場所を示す。
 順調に行けば、負傷者は治療施設まで運んでもらうことができる。

***

 米軍はいろいろな部分で交信内容のフォーマットが決まってるっぽい。言い間違え、聞き間違え等を防ぐこともできるが、文章フォーマットが決まってるなら文字列で送ることもできる。最近の米軍は様々な交信を文字列で行うらしい。文字列ならデータとして残しやすいし、検索もできるし、特定のキーワードに反応してアラームを鳴らしたりもできるし、ということで、音声より扱いやすいんだろう。でも場合によっては銃弾が飛び交う中でチャットをやらなきゃいけないから、なかなか大変そう。
 レッドプラトーンでもチャットを使うシーンが出てくる。ローンサバイバーでもチャットで情報を送ってた気がする(途中でノートPCをぶち壊して、その後はイリジウムを使ってたが)。


 軍の救難ヘリを要請する交信の方法を知ってても一般生活では何の役にも立たないが、サバゲのルールに組み込んでみたりとかするとどうだろうか。
 例えば運営に対して9Lineを送信すればスタッフがやってきて、セーフティーまで連れて帰り、9Lineの内容が正しければ復活できる、とか。すっげー面倒くさいことになりそうだけど。

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