2019年11月30日土曜日

リーフィング(パラシュート)

 Leaf(葉)ではなく、Reef。

 Reefingでリーフィング、帆船の用語で、日本語だと「縮帆」。字面のごとく、パラシュートの直径(帆船であれば帆の面積)を小さくするような行為。
 高速で飛翔中にいきなりパラシュートを開くと開傘ショックが大きすぎる場合に、小さめ(数%から数十%)の直径で開き、段階的に拡大していく(基本的に2段階、縮帆状態と全開状態)。
 近年ではヨットでも強風時に行うような運用らしいけど、Reefには礁(サンゴ礁や暗礁)という意味もあるらしく、もともとは「このあたりには礁があるようだ。慎重に進もう」みたいな意図での縮帆だったのかも。


 パラシュートの場合は、半円状のパラシュートの底辺(ショックコードの接続付近)に、パラシュートを1週するように紐を通して、それでパラシュートを絞って、あとからその紐を切断する、といった運用らしい。要求される信頼性や運用性によって、火工品や非火工品でいくつかの方式がある。主にJAXA等の機関は火工品を使い、大学ロケット等は非火工品を使う、というような、よくある使い分け。
 リーフィングでパラシュートを絞る以外にも、パラシュートを複数個搭載し、小さい方から順に展開するといった方式もある。リーフィング機構が不要な代わりに、パラシュート収納部・展開機構が複数個必要になるので、体積的にはリーフィングが有利のようだ。パラシュート複数個方式は、展開機構の信頼性が十分に確保できている場合は、新規にリーフィング機構を開発する必要がないので、新規開発要素を減らす意味では有利かも。
 火工品の場合は、ファイアリングピンを固定するピンを引っ張ったりすることでトリガされるが、遅延薬を内蔵しているタイプでは、引張が加わってから一定秒数以降に開放する機構を作れる。パラシュートを展開した衝撃を利用して、放出から一定秒後に自動的に開放する構造を作れるので、パラシュート放出機構の火工品を1回起爆するだけで自動的にリーフィングも動作する。
 非火工品では基本的に都度コマンドを送る必要があるので、シーケンス管理が面倒になる。配線等を追加する必要もある。

 当然ながら火工品は火薬としての取り扱いとなるので、非火薬な大学ロケット等では扱いづらい。
 火工品に使用する爆薬は0.1gのオーダーらしい。例えば爆竹は1個あたり0.04g程度、これが20個ほどつながっているので、総量は1g弱になる。ということは、玩具煙火扱いの火工品とかも作れそうな気がする。取り扱いが簡単な分離ボルトやワイヤカッタがあれば、大学ロケット等で便利なんじゃないかな、と思ったり。分離機構とか展開機構を非火工品で作ろうとしてわりとクリティカルな失敗してるチームも多そうな感じがするので。
 もっとも、その用途で年間に出る量としては3桁前後だろうから、火工品として保存性が良かったとしても、1ロット5000個程度で10年に数回の製造、みたいなことになるだろうから、採算性は酷いものだろうけど。

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