2020年3月14日土曜日

小ネタ:火星SSPS

 適当に思いつきでサクッと計算しただけなので合ってるか不明。ググればいろいろ出てきそう……

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 火星では、高度1万6千kmあたりが静止軌道になる。地球の半分未満。
 火星静止軌道上に大電力の発電機構と送電機構を設置し、火星エアプレーンに給電する。

 火星地表面に発電・送電システムを設置した場合、悪天候で発電できなかった場合は飛行機は自力で飛ぶ必要がある。そもそも自力で飛べるなら発電装置はいらない。また、地上に設置したシステムでは、その周辺でしか使うことができない。
 SSPSであれば、赤道付近という制約はあるものの、軌道高度を調整することで東西方向に移動できるので、広い範囲を探査することができる。1年で火星を1週する速度で移動した場合、春分点・秋分点による食の影響を受けず、年間を通じて安定した電力供給が可能で、火星の大部分を探査できる。
 また、地上の発電システムの場合、重力天体かつ希薄な大気を有する天体への大質量の着陸が必要となるが、SSPSであれば再突入・着陸が不要。さらに、大面積の太陽光パネルシステムを地面に並べる必要がない(火星SSPS規模であれば、既存の衛星用太陽電池パドルの展開技術で事足りるはず)。
 当然だが、地上の発電所には夜がくるが、SSPSでは1日を通じて安定した給電ができる。地上発電や、機上太陽光発電の場合、夜間は省電力モードで運用する必要があるが、SSPSであれば夜間も昼間と同じフルミッションが可能。

 厳密に考えたわけじゃないが、静止軌道1万6千kmに対して、火星の半径は4千km未満だから、かなりの高緯度地域でも問題なく送電できるはず。ただし自遊空間損失は7%程度で済むはずだが、大気による損失はかなり大きくなるはず。ただ、極付近は探査が必要な面積も少なくなるから、多少消費電力を下げた運用を行うにしても問題ないはず。


 自遊空間損失は地球のSSPSに比べて5分の1で済むから、システムとしての成立性は地球より火星のほうが高いかもしれない。地球の場合は物理的な距離が近い安心感があるが、それにしたって静止軌道上だと「なんか調子悪いので有人宇宙船飛ばして修理してきます」というわけには行かないから、修理不能系としては地球も火星も同じ。

 キュリオシティの場合、打ち上げ質量4トン弱の内、ローバーは1トンに満たない。 2.4トンは着陸装置が占めている(燃料を含んだ質量、残りは火星までの燃料)。
 H-IIAで打ち上げる予定のアル・アマルは1.5トンの予定だが、これがランダーの打ち上げ質量すると、キュリオシティに照らせば着陸質量は400kg未満しか無い。動き回るローバーと固定された構造物では着陸に求められる能力も異なるが、発電所の建設資材も考えれば大きく外した枠でもないだろう。


 給電システムは地球系SSPSと同じくマイクロ波を使う予定。これによって、火星系SSPSを地球系SSPSのスケールモデルとして運用し、将来的に地球でも使えるシステムを構築する、という流れが作れる。
 火星系SSPSを地球に持ってきた場合、自遊空間損失が5倍になる代わりに、太陽光エネルギーは2.5倍増えるから、トータルでは2倍の差になる。それに投入可能質量は3倍程度になるはずだから、トータルで地球のほうが5割増し程度で楽かもしれない。
 と考えると、火星系SSPSを作る前に地球系SSPSを作ってしまうのもアリか……
 ETS-9の改造でSSPS実験衛星作って、大型化して地球のSSPS、小型化して火星のSSPS、みたいなシリーズ化はできそうな感じだ。


 RFでなく、光波を使った給電系にもある程度の利点が考えられるので、どちらがいいかは詳細に考える必要がありそうだ。
 例えば、太陽光を集光してターゲットに照射する、というシステムも考えられる。この方式であれば、軌道上のシステムはエネルギー変換を行う必要がないから、信頼性を向上させられる。ただ、反射鏡1枚だと照射できる時間に制限があるから、そのあたりとのトレードオフとなる。エネルギー変換やる場合と、鏡1枚で間欠的にエネルギー供給するのと、鏡2倍で大きな可動部持つのと、どれが良いかは微妙なところ。
 太陽エネルギーを反射させるシステムの場合、当然ながらターゲットは太陽光のスペクトルでエネルギーを受け取るから、鏡衛星が不具合を起こした場合でも、最低限のエネルギーを自力で発生させることが可能になる。それがどの程度のエネルギーになるかは別にして。
 あるいは、敵の宇宙船から攻撃されたときに光を集めて反撃するとか、ワトニーに「目で見える」モールス信号を送るとか、電荷摂取性格子の成長を促すとか、使いみちは色々ある(あえて書く必要もないと思うが、念の為に書いておくと、これは「ミニスカ宇宙海賊」や「火星の人」や「第六大陸」に関する話題である)。


 火星への軌道投入だと、あかつきの資料で色々数字が得られるはずだから、それらを探しながら、もうちょっと真面目に考えてみよう。

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 追記
 あかつき、火星じゃねーよ。何考えてんだ。。。

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