とりあえず、こんな感じかな、という風にはなってきた。結果の画像を作るだけでも紆余曲折あるのだが、それは別の話。
高緯度地域ほど東西が引き伸ばされるので、少ない個数で足りる。緯度が変わるごとにジグザグに埋めていけばもう少し効率的になりそうな気もするけど、結局緯度が変われば間隔も変わるから、あまり効果はなさそう。
図としてみると、緯度ゼロから南北方向に行くほうが直感的なんだけど、forで回す場合は南(or北)から一方向に舐めていくほうが楽。
最小個数の配置とか、アルゴリズムとしてはいろいろ研究されているんだろうけど、とりあえず今はそこまでキッチリ追い込む必要はないかな、と思っている。
これが何に使えるかというと、今回はスタートラッカの捕捉モード用に総当りの姿勢を探すのに使う予定(追尾モードでは前回の姿勢を初期値として使うので、総当たりは不要)。
実際には、画角の半分もずれると認識できなくなるはずなので、もっと細かく重ねていく必要があるはず。
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星空の撮影、試しに1/40sec、ISO40万で撮ってみた。動きの早い衛星も点として撮影できるようになった反面、ノイズが大量に出てきて、1フレームで輝点を探すとありもしない点を見つけてしまったりする。逆に、複数フレームを平均すれば、1LSBに満たない微妙な強度変化もノイズで上下に暴れる分、分解能を稼ぎやすいかもしれない。
とはいえ、信号処理の簡単さとかを考えると、1/10secでISO1万あたりが狙い目かなぁ、という気がする。このあたりは好みとかパラメータの調整とか色々あるので、実際に試してみるしかないんだろうけど。
地べたに張り付いて星空を見上げると、気象条件次第で見え方が大きく変わるので大変。気流が乱れてると星が明滅して検出が大変とか、湿度が高いと急激に暗くなるとか、気温が高いと画素の熱雑音が増えるとか。宇宙は放射線でノイズ入りやすいとはいえ、雲で見えないみたいな事はない分、見やすそうな気がする。
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探しものしてたら、ALOS搭載STTの話が出てきた。日本の恒星センサの歴史の話も少し書いてある。曰く、ISAS系の衛星/探査機は他の恒星系狙いが多いので、早くから恒星センサを採用し、NASDA系の衛星は地球狙いが多いので、地球センサを主に使用、という感じらしい。恒星を狙うミッションの場合は慣性空間での角運動量がゼロに近いので恒星センサが作りやすく、地球を狙うミッションの場合は角運動量がある程度あって視界の恒星が絶えず変化するので作るのが大変、とも。NASDA系ではALOSで初めて恒星センサを使ったようだ。例えば、HTVの概念設計開始は1995年で、つい最近まで姿勢計測に地球センサを使っていた。
70年代後半のNASDAのゆり1号の姿勢制御系の図によると、姿勢の計測は太陽センサと地球センサ、レートジャイロ、モノパルスRF測角、によって行っていたようだ。放送衛星の場合、姿勢精度は重要だが、目的はアンテナを正確に地上局に向けたいわけだから、アップリンク受信アンテナで姿勢誤差が直接計測できる以上は、それ以外の高精度な姿勢センサは必要なかった、という理由もありそう。恒星センサは慣性空間での姿勢しかわからないから、地球に対してミッションを行う衛星の場合、地球の姿勢のズレとかが正確にモデル化されていないと、恒星センサの精度が活かせない、というのもありそう。
最近だと、小型衛星搭載用に小型恒星センサの研究が行われたりしているらしい。もっとも、東工大発のベンチャーが唯一のサプライヤ、みたいな書き方を見かけた気がするので、需要はあれど供給は無い、という感じなんだろうけど(東工大のやつは、RAPIS-1搭載のやつ)。
小型衛星は大型衛星に比べて慣性モーメントが大幅に小さく、うまいこと制御してやれば大きなアジリティを得られるので、素早い首振りが必要なミッション(突発天体現象の観測等)に有利で、それの姿勢決定用に使いたい、とか。あるいは、Nano-JASMINEのように、恒星観測ミッションの機器から姿勢エラーをフィードバックする例もあるし、RAPIS-1のように姿勢観測機器からミッションデータに近いものを得たりする場合もある。
民生分野だと画素にAIアクセラレータを載せたチップが出てきたりしているので、今後これが小型衛星に適用されると、ワンチップで高精度姿勢センサとして使いつつ、学習データを入れ替えれば幅広い用途の地上観測にも使える、みたいなスタートラッカシステムが出てくるかもしれない。シールドしづらい場所に処理能力まとめるのは怖さあるけど、ミッションコンピュータが比較的小規模で済むのは便利かも。
例えばRISESATやTRICOMは箱の6面にそれぞれれカメラを搭載しているが、このように全方向にスタートラッカを搭載し、地球を向いた側は地球観測に、それ以外は複数の平均をとって高精度姿勢決定に、3個程度が故障してもミッション継続可能な冗長性を有しつつ、いくつかのカメラが生きていれば突発現象が発生した際の姿勢制御量は小さく設定可能、みたいなモノも出てくるかもしれない。あるいは、インテリジェンス画素で全天を常に監視して突発現象を探すとか。画素で処理できるなら大面積の監視でもOBCの計算リソースはさほど必要はない。とはいえ、全天監視できる解像度で見える突発現象って一体なんぞや、という話だが。スプライトとか流星みたいな発光現象とか、軌道上デブリ観測とかはできるかな。
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