2021年6月30日水曜日

Fusion 360で円錐台にアイソグリッド

「Fusion 360で円錐台にアイソグリッド貼り付けられないの?」みたいな天の声が聞こえてきたので、以前の挫折の記憶は消し去って、試しにやってみた。

 あちこち手抜きだけど、やってできないことはなさそう(あくまでも、それっぽい見た目だけなら)。ただ、かなり面倒だけど。遊びならそれらしい形つくって終了だけど、本物の航空宇宙だと解析とか試験に応じて変更も必要なはずだから、ものすごい作業量になるはず。まぁ、本物の航空宇宙産業でガチの設計やるところでFusion使ってるのか、という話だが。

 そもそも、Fusion 360のエンボスツールは、3次元的な曲面に貼ったときの挙動がかなり謎いので、円錐台にアイソグリッド貼り付けても綺麗に間隔を揃えられない(円筒ならある程度正確に貼れる)。

 Fusion、要求リソース結構つよつよなので、ウチのPCだと厳しい。特に拘束の参照が増えるとつらい。CPU使用率見る感じ、Fusionはシングルスレッドかな? GPUもそこそこ使うけど、CPUのほうが支配的。

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 自分用メモ

 1枚目のスケッチで上側のやつを作って、回転で円錐台を作る(必要に応じて厚さを設定)。h・R・rの3個がパラメータ。x・θは計算的に決まる。

 続いて2枚目のスケッチで下半分を作る。扇はさっき設定したh・R・rによって形が決まる。扇の頂角を適当に分割して(今回は64分割)、そこに1列分の形を作る。1列分をミラーして、エンボスツールで反映してから、円形状パターンで並べる。

 斜辺の長さは自乗の和の平方根で計算してもいいけど、Fusionはsqrtの引数が無次元である必要があるので、ちょっと不便。

 Fusionで一番不便なのはパラメータ画面を開いたまま作業ができない点。数値の変更の競合とかいろいろ大変なんだろうけど。パラメータ開いたままで作業できたり、名前の衝突対策(名前の階層構造とか)が使えるようになれば、かなり便利になるだろうに。まぁ、Fusion使ってるユーザーでパラメータ使ってる人がどれくらいいるかというと微妙なところだけど。それでもNYC CNCとかで解説してた気がするし、一定数はいると思うんだが。課金ユーザーならガッツリ活用してるだろうし、早いところ改善されないかなー。


 スケッチ2の様子。

 マシンスペックの問題か、拘束されてるはずなのに線が黒くなってない。

 2列目はミラーで作れるけど、1列目は矩形パターンでは作れないので、1個ずつコピペして調整するしかない。ここが一番手間がかかる。


 エンボスツールを3次元局面に使うと結構面倒なので、いい感じにごまかす必要はある。具体的には上下方向の微調整。

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 本物のアイソグリッド(ボーイング・スターライナーの圧力容器)を見てみると、円錐部は上下でリブの幅が違うので、単純に三角形をコピペするだけでなく、もっと複雑なことをやっているらしい。先端側のほうが細いのでピッチが細かいから同じリブ幅でも強度は高くなるけど、トータルの断面積は減るから、リブを太くしないと耐えられないのかな? このあたりは人間がモデリングするんじゃなく、パラメータを指定したらそのとおりに形を作るスクリプトみたいの作ってるんじゃないだろうか。スクリプトになってれば一括で色々なパターン作って一気にFEM通したりできるし。

 スターラーナーの圧力容器は円筒部も含めて全体がアイソグリッドになってる(ボーイングが特許持ってるから使わないともったいない?)。一方で、サターンロケットとかULAヴァルカンとかはオルソグリッド(ワッフルパターン)が使われている(ULA内でもアトラスはアイソ)。ロケットの場合、周方向は加圧による引張、軸方向は荷重による圧縮なので、アイソ(等方性)の利点が出てこない。曰く解析技術の進化と切削の容易性の関係で、ロケットにはオルソ(異方性)が適しているんだそうだ。


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