ちょっと気になったので、衛星の軌道傾斜角をカウントしてみた。
全衛星の5割弱は軌道傾斜角80度以下に入っている。一方で、全体の4割程度は軌道傾斜角91度から97度の範囲に集中している。軌道傾斜角がおおよそ98度の場合は軌道面が1日あたり1度変化する(軌道高度や離心率によって多少変わる)。約1度/日では約365日(1恒星年)で360度(1回転)回るから、軌道面と太陽の角度を維持できる。つまり太陽同期軌道になる。
軌道傾斜角(i)90度では軌道面の変化が0度/日になる。i100度では1000km程度の円軌道で1度/日くらいになる。600kmくらいの円軌道であればi98度で1度/日くらいになる。
基本的に太陽同期準回帰軌道は光観測衛星で一番メリットが大きいから、地球観測衛星でよく使われる。が、それ以外にも色々メリットがあって、太陽同期軌道であれば1年を通して太陽との関係性(日照時間)が安定しているから、熱設計や電源設計に有利になる。他にもトワイライトSSOであれば常に太陽が見えるから、太陽観測衛星にも使われる。常に太陽が見えるということは電池の充放電も発生しないから、電池寿命の点でも有利。
SSOの欠点は、日本(種子島や鹿児島)から打上げる場合は、保安の関係で一旦東側へ打上げてから西に向きを変えなくちゃいけないので、普通にLEOに打つよりも損失が大きくなる。北海道(大樹町)からだと保安関係による制約が少し減るので、SSOに打つのに有利なんだそうだ(保安以外にも、緯度が高いのもSSOに対して有利になる)。種子島比で2倍になるそうだ。わざわざ北海道にH3の射点作る苦労を考えると種子島で打ったほうが楽だろうけど。内之浦比だと1.4倍なので、これも同様に北海道に持ってくる苦労を考えるとあまり大きな旨味はなさそうな気がする。
とはいえ、ZEROは最初から大樹町で打つことを考えているし、北海道からコンスタントに上がるようになればSSOを使う衛星も増えるかもしれない。ただ、小型衛星だと大型衛星ほどにはSSOの旨味はなさそうな気もするな。小型衛星で日本国内の撮像をメインに仕事するなら北海道からLEOに打上げればそのまま日本全国をカバーできるし、アメリカやオーストラリアもカバーできるから、あえて傾斜角を変える必要もなさそう。カナダとかロシアとか南米の先端とかまでグローバルにカバーしようとするともう少し傾斜角増やしたくはありそうだけど。
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ふと気になって、打ち上げ花火の無煙化についてググってみた。
ディズニーランドの花火がそれをやろうとして、圧縮空気で打ち上げようとしたけど、結局うまく行かなくてやめたそうだ。
煙は黒色火薬によるものだから、無煙火薬で打ち上げようとした例もあるようだけど、これもうまく行かなかったらしい。ライフルは圧が抜けにくいので燃焼速度が遅い無煙火薬と相性がいいけど、マスケットみたいな打ち上げ花火では、黒色火薬の燃焼速度がないと圧が抜けてだめなんだそうだ。
打上花火は前装式だから圧を維持できない、ということだと思うけど、そんな事言い始めたら迫撃砲だって前装式だけど無煙火薬で実用化してるんだよな。ということは工作精度の問題じゃないかなぁ。金属製打揚筒を使って、煙火玉の外径をキッチリ管理してやれば問題ないはず。ただ、煙火玉は球形なので、これを紙の厚さで管理するのは大変そうだ。やっぱり迫撃砲みたいに後ろにフィンを付けて姿勢を固定させて……
フィンスタビライズドならある程度の角速度も与えられるから、電子信管と組み合わせたら割る姿勢を制御できるようになる。例えばキャラクターの顔とかを星で表現するような玉を作る場合に、観客が多い方向に向けて開かせることができるようになる。ある程度のコストはかかるけど、大量に使うものじゃないから(せいぜい1イベントで数個)、それほどコストには敏感にはならないはず。
前装式なら簡易的な自動装填装置と組み合わせたり、いろいろできそう。日本の火薬扱ってる業界がそこまで進歩的かは別として。
ディズニーのやつは、煙火玉への着火不良が解決できなかったらしい。普通の(打揚火薬を使う)タイプであれば、打上げたときにほぼ100%の確率で煙火玉にも着火できるけど、非火薬式の場合は別に着火する必要がある。着火できなかったときは、海上の台船とかで打ち上げるならともかくとしても、たいていの場合は山林等に火薬が降ってくるので、あんまりよろしくない。非火薬式はそのあたりの信頼性の向上が重要になってきそう。
そもそも、例えばロケットのフェアリングの非火薬化であれば、ロケットという火薬の塊とは別の場所で収缶作業をするときに、火薬としての取り扱いが不要になるので利点が大きいけど、花火の場合はどんなに頑張っても火薬と不可分だから、非火薬化を行う利点が少ない気がする。圧縮空気で打ち上げるにしても、おそらく装置の費用より打揚火薬のほうが安いだろうから非火薬化で低コスト化にはならないと思うし。
迫撃砲のM734信管、作られたのが古いだけあって部品は非常に保守的な印象。発電機(兼安全装置)が2万gに耐えられるそうだから、電子機器もそれに近い耐衝撃性があるんだろうけど、ぱっと見た感じだと普通のプリント基板という感じ。セラミック基板みたいな見た目とか、普通じゃないところもあるけど。/* ちなみに某メーカーの民生MEMSセンサはカタログ値で1万gまで耐えられる */
基板にはいろいろ部品が乗ってるけど、ICチップみたいなのも数個乗ってる。これがFMCWの変調と復調を担当するのかな? 初期のVT信管が真空管3本で作られていたことを考えると、スマート信管といえどもIC化すればすごいシンプルに作れちゃうんだろうな。
この信管、中にタービンが入っていて、動圧で駆動することで発電機として使って、レーダー等を動作させているようだ。ついでに、一定距離以上飛ばないと起爆しないようになっている。そして、樹脂製(?)のタービンブレードの変形を利用してガバナーとしての機能も持たせているらしい(迫撃砲は初速のレンジが広いので動圧が様々)。なかなか良く考えられててすごい。
/* 日本語版Wikipediaだと合成開口レーダーを使ってるとのことなんだけど、いったいどういうことだろう? */
打上花火であれば初速や耐衝撃性は迫撃砲より数桁低くて済むはずだから、民生部品使っても作れそうな気がしないでもない。しかしまぁ、技術体系としては迫撃砲のスマート信管とはちょっと違うけど、どちらかというとスマートグレネードにかなり近いので、どっちにしろ「軍事技術の隠れ蓑じゃないか!」みたいなことは言われそうな気はしないでもない。
有煙花火って「今どきの戦争で黒色火薬とか使うわけ無いじゃんwww打上花火は完全に非軍事技術ですよ!!」というアピールにすごく有用な気がする。
ま、そういう事言う人は何やっても文句言うんだろうけど。
/* 全然関係ないけど、スマート〇〇ついでに。
某YouTubeのゲーム番組の中で、専門家が「スマートバレット(誘導銃弾)なんてこんなの絶対無理」とか言ってるけど、DARPAが実証済みなんだよなぁ。 */
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生基板の切削
φ0.5x0.7mmの超硬スクウェアを使用。ハイトマップを併用して-0.1mmで切削。高さ方向はこれで良さそう。切削幅は0.6mm位あるので、TIR0.1mmくらいか。
左側の途中までしか削ってないやつは、途中で切削が止まったやつ(ジョグハンドルのバグ潰しきれてない)。先に削った方が断面がきれいな感じ。この程度でも結構摩耗してるようだ。左に見切れているのはVカッターで削ったやつ。途中で欠けたので止めた。切削済みの場所を通るときに欠けやすそうな感じ。未切削の場所のスロッティングは1回転での負荷がある程度なめらかに増減するけど、切削済みの場所を通るときは一気に切削負荷が来るので欠けやすいんだろう。
送り6mm/minだったのでこれだけ削るのに1時間かかった。10mm/minくらいは行けるかな? まぁ、そんなこと言って毎回折ってるので、極端に安全側に振って…… あんまり送り速度下げても1ステップあたりの送り量は決まってるから、カクカクした動きになるだけなので、ある程度以上下げるのはあんまり意味なさそうだけど。カタログによると4万RPMくらいでブン回せば140mm/minで送ってもいいらしい。スピンドルモータそんなに出ないけど。
今回使った工具はモノタロウPBのもの。モノタロウPBではLD比が低い(2未満の)タイプではφ0.5mmが一番細い。これより細くてLDの低い工具は工具メーカーブランドのもの(モノタロウPBより数倍高い)しかない。LD2ならモノタロウPBでも売ってるけど(モノタロウPBの1mm未満の超硬フラット、取り扱い終わるのかな?)。
基板切削用のCNCならタイミングベルトとかで増速するようなスピンドルがあると良さそう。うまく作ればTIRも下げられるだろうし。まぁ、ちゃんと作ったらすごい値段になりそうだけども。エアーグラインダーとか使えばホース1本で2.5万RPMまで回せるので良さそうだけど、研削用だとTIR悪そうだなー。あれどれくらいの精度出てるんだろうか?
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ちょっと趣向を変えて、スチレンボードを切削。
切削速度かなり下げて、それでもオーバーライド含めて120mm/minくらいで送ってたけど、まだまだ大丈夫そうな気がする。工具もφ2mmなのでそう折れるものじゃないだろうし。
思ったよりきれいに削れてる。バリは結構多かったけど、表面を1500番のペーパーで擦ったらだいぶ落ちた。切削面ももっとむしられるかと思ってたけど、意外と面品位も悪くない。さすがにスチレンボードだと強度が低いので、いくら切削性がいいとはいえなにか部品作るみたいな用途には向かない。とはいえ、必要とあらば砂に埋めて適当な金属流し込めば鋳造することはできるだろうから、下手な3Dプリンタより高強度な部品を作れるかもしれない。まぁ、アホみたいに手間掛かりそうだけど。
小さいのでうまく削れたので、調子に乗って大きいのも削ってみた。
なかなかいい感じ。ちょっと大きくしすぎた気もする。大きめのマグカップくらいに良さそうな大きさ。蓋に使うには軽すぎるけど。1時間半くらいで削れた。
すこし小さくしてコースターとして使うと良さそう。くぼみが多いので結露した水分が外側に広がることもないし、ハイドロプレーニングも起こさないし。断面積小さいので断熱性も気休め程度にはあるだろうし(コップの熱交換って側面の対流が支配的な気がする)。
スキンは1mmくらいに削ったので光を当てれば透過する。裏面から見れば消灯時は模様は見えない。ランプシェードとか作ると楽しそう。組子の行灯みたいな感じになる。スキンの中でも光は拡散するので、スキンの厚さでコントラスト(&透過率)が決まる。あんまりコントラスト高すぎると固い印象になる。リブ側から見ると消灯していても模様が見えるし、点灯時もかなり固い見た目。
Fusionで出したGコード、ツールパス間以外にG0が入ってないのなんでだろう? CAMのシミュレータだと早送りになってる場所もG0とかF入れずにXYZだけ指定してる。有料プランのところに高速送り云々書いてあることを見ると、無料ライセンスだとG0使えないんだろうか。なんだかなぁ。
φ2mmのツールで発泡スチロール削るくらいならヨユーでサクサク行けるけど、0.5mmで銅とか削るのはかなり厳しい感じ。TIRが悪いのも影響してそう。高精度なホルダかぁ…… プロトラブズに発注するとか? すごい値段になりそうだぜ…… 既存の焼き嵌めを外す手間もあるし。やっぱ基板は外注するのが楽だよねっていう普通の結論。もうちょっとお高めの機種買えばスピンドルもマシなやつ付いてるのかな?
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