2022年4月20日水曜日

小ネタ



 光(&陰影)が綺麗なReoNaのコンテンツめっちゃ好き。

 unknownのジャケは通常版が昼間で限定版が夜景だけど、その時の公式Webサイトの背景が中間の明るさで、その明るさがすごく好き。明け方の「これから明るくなる期待」とか夕方の「明日への期待」みたいな、どちらとも取れる雰囲気。

 ReoNaは暗い曲も多いけど、個人的には『あしたはハレルヤ』とか、今回の『ライフ・イズ・ビューティフォー』みたいな、明るい歌が好き。これは多分ReoNaの声を初めて聞いたのが神崎エルザだったからだと思う。



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 『ゴーストリコン ブレイクポイント』発売から2年半で新規コンテンツ配信終了―サーバー運営は引き続き継続 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

 にゃーん


 結局、本島東側の大きい島は出なかったか。マップデータあるなら適当に敵散らして、ミッション無しでも開放してくれれば歩き回れるのにな。作ってないんだろうけれども。

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 「ゴーストリコン」続編が開発中との報道 IGN

 にゃにゃーん!


 GRBPと違って移動が苦にならないゲームになることを臨む。

 GRBPは起伏の富んだ地形に対して上下方向の移動に支障があったので、オープンワールドの魅力を活かしきれなかった印象。高所にある(崖に囲まれた)敵基地への侵入ルートの選択肢が少ないとか、断崖の下にある敵基地に岩肌側から侵入しづらいとか、地形を生かした多様な戦術が立てづらい。例えばクライミングや懸垂下降みたいな、急角度の岩場でも移動できるようなスキルがあったら作戦の幅が大きく広がるはず。

 建物内からの見下ろしでの射撃に難があるとか、GRBPは高さ方向に弱い印象。中長距離の移動に関しても、GRWLのようにその場にヘリコプターを呼ぶこともできなかったし、車移動も実質的にナーフされていたし。


 GRBPでは資源の採取とかが追加されたけど、いまいち遊びに反映されていない感じ。自分のプレイスタイルとしてアイテム枠をバフアイテムで埋めるより装備品を多く入れているので、採取アイテムをほとんど使っていないからというのもあるが。

 例えば、湖畔や川辺で釣りをするとか、鹿肉を集めてくるミニクエストとか、そういうのがあっても楽しそうだな、と思ったり。さすがに戦場で釣りをするのはともかくとしても、洞窟内で釣りをしている住人はいるわけだから、安全な場所での釣りは可能ではあるはず。まぁ、そういう遊びをやりたければRPG(ロケット推進榴弾ではない)を遊べ、ということなのかもしれないけど。

 あとは、動物とのふれあい要素とかあっても楽しそう。K9を連れて行くとかなら自然に織り込めそうだし。AIチームメイトと同様に簡単な指示ができるようにして、例えば周辺を探索させて敵をマッピングするとか、油断している敵に襲いかからせるとかができる。これはこれで「俺の犬が殺されたんだ」的なシナリオになる危険性がある諸刃の剣ではあるが。Spotみたいなやつに追加の弾薬を運ばせたり、LiDARモジュールを載せて周囲をスキャンさせたり、みたいな方向性はアリか…… 動物とのふれあいとはいったい。。。

 ゲームに出てくるドローンがマルチコプターばっかりなのもどうにかしてほしいよなぁ。RQ-11みたいなやつ使いたい。固定翼機は狭い場所で使えないから回転翼機を使うしかないんだろうけど。ゲーム世界だと一定時間積分してSNR稼いで人間を検出する、みたいな挙動だから固定翼機とは相性悪そうだなぁ。あらかじめ基地で固定翼ドローンと回転翼ドローンを選択する、みたいな感じでどうにか。

 あとは、各種アセットのインスタンス化距離の拡大とか。例えば少なくともドローンで移動できる範囲では敵のインスタンス化を行うとか、武器のスコープで見える範囲の壁はすべて表示するとか。後者は特に射線が通ると思って撃った弾が壁にぶつかって敵に気が付かれる、みたいなことが起こるので、重要。あと、ゲーム内で射距離のログが残るから、敵のインスタンス化の範囲は広いほうが嬉しい。このあたりは新しいゲームハードやエンジンの高性能化である程度は改善されるかもしれないけど、あるいはグラフィックに関係ないから真っ先に妥協される可能性もある。まぁ、GRBPがPS4/Xbox One向けだった以上、次は少なくともPS5/Xbox Seriesに最適化して作るから、ある程度は改善しているはず。

 まぁ、そんなこんなで、妄想は膨らませつつ、あまり期待せず気長に待とう。

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 アンカー初の家庭用3Dプリンターを今冬発売へ、新ブランド「AnkerMake」で3Dプリンターに進出 - ケータイ Watch

 うーん、今更Maker界隈に参入しても……

 とはいえ、造形品質はかなり高そうだな。オーバーハングもかなり綺麗に印刷できるようだし。値段なりの性能ではあるのかな? デザインもスッキリしてるし、リビングに置いて使いやすそうな見た目ではあるか。値段が微妙なところではあるけど、ミドルレンジの製品としてはちょうどいいところなのかな?

 そのうちAnker製品の外形STEPファイルとかも公開されるのかな? 好きにアダプタ作って遊んでね!みたいな感じで。

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 SKA(スクエアkm)の話を読んでいたら、MFAA(Mid Frequency Aperture Array)のフィーダの試作品の写真で、アンテナに直結されたLNAからのRF出力にSATAのデータケーブルみたいなの使ってる。きしめんみたいなケーブルとロック機構付きのコネクタ形状はSATAデータで間違いないはず。基板側のパターンも7pinのように見えるし。

 フィーダはmax2GHzまで、設計的には1.5GHz弱までを使うような想定なのかな?

 SATAはTwinaxのような、シールドされた平衡接続が2組(本来はIn/Outの1ペアずつ)を使って、片方のペアをRFの平衡、もう片方のペアを電源に使って、3本のシールドをGNDとして使っているようだ。なまってるとは言え数Gbpsを通せるケーブルだから、2GHz未満のアナログ平衡信号を通すのにはちょうど良さそう。ロック機構もついてるし、市販品が大量に出回ってるから入手性も良いはずだし。距離が短いならわりといい選択肢なのかな?

 SATAデータコネクタは民生用で大量に使われているので、コストがかなり低い。SMAコネクタと比べて、文字通り桁違いに安くなる。フェーズドアレイでは大量のフィーダ(それに付随するコネクタ)を使うから、コスト的にも効いてきそう。予算規模の大きいプロジェクトだから少し削ったところで大した違いもないような気もするけど、塵も積もれば…… /* SKA はチリではなくオーストラリアと南アフリカ。MFAA(SKA2)では変わるのかもしれないけど */

 SATAコネクタは民生用なので想定する温度範囲は広くないだろうから、極低温に冷却された環境(数十-数百GHzの冷却D/C付きフィーダとか)では使えないけど、SKAのLow/Midあたりは常温で使うから問題なさそう。まぁ、砂漠の炎天下が常温かというと微妙だが、いちおうサーバ内の発熱箇所近くで使う程度の想定はされてるわけだし。


 まかり間違ってUHF前後のRF機器の設計やるハメになったら、SATAケーブルも選択肢に入れておこう…… インピーダンスが100Ωだからちょっと大変そうだな。50Ω系や75Ω系と直結できない。まぁ、ちゃんと作る必要があるなら不平衡50Ω/平衡100Ωのバランの市販品とかもあるし、そういうのを使えばいいんだろうけど。

 ダイポールのインピーダンスが73Ωくらいだそうだから、受信用に使うなら平衡接続できるし悪くないのかな? 2ペアあるから水平偏波と垂直偏波を受信して、H/Vと左旋・右旋を切り替えて、みたいな使い方もできる。偏波選択とダウンコンバータを1枚の基板に作って、ローカルがアンテナに漏れないように少し離れた場所に置きたい、というときにSATAの1mはちょうどいいかも。

 もう少し複雑なシステムになると、HDMIケーブルも選択肢になってくるのかな? 平衡接続が4組とI2Cが1組、軽負荷用の電源が1組あるから、HDMIケーブル1本でIF信号を4本とダウンコンバータの制御用の通信を通す、みたいなことができる。これは2偏波レーダーのIF信号を通すためのケーブルみたいな用途にすると便利かも。送信用と受信用のIFが合わせて4本、ダウンコンバータ・アップコンバータの制御用にI2C、電源は別に供給、みたいな感じで。

 Cat.7 STPもシールドされた4ペアが使えるけど、周波数特性はせいぜい1GHzなので、RFを通すには少し心もとない。平衡のVHFを50mくらい伸ばしたい、みたいな用途なら、といったところか。コミュニティFMラジオ局が複数受信できる地域で、屋上で放送局ごとに指向性アンテナを設置して屋内に引き込みたい、みたいな用途に使うとちょうど良さそう。その程度ならUSBレピータでドングル引いたほうが良さそうな気もするけど。


/* オーディオのひとたち、音楽を聴くPCの光学ドライブを接続するSATAにすら改造しているらしくてすごい。差動に対してアンバランスだから、もっと目を見開くべきでわ。前提条件とか色々突っ込みたいし。 */

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 特集 21世紀への応用物理学 独創的研究を振り返って 半導体レーザーの室温CWは日本でもできたか?

 1989年に書かれたもの。60年代末から70年頃の話かな? 当時、日本人の研究者が東大からベル研へ移り、そこで室温(約300K)で連続発振できる半導体レーザーを作ったが、これを日本で作ることは可能だったか、というような話(それまでの半導体レーザーは77K動作)。/* 彼らはいわゆる西側諸国で半導体レーザーを作った最初期のチームではあるが、それよりも1ヶ月ほど早くロシアのチームが連続発振に成功していたようだ */

 1989年というと半導体のシェアで日本がピークだった頃。90年代に入ってシェアを失っていく直前。

 70年頃は、日本での研究は海外(IBMやBell)での研究内容を調べて、それに追いつこうとしていた時代。国内での独自の研究はほとんど行われておらず、国内での情報共有もあまりされず、独自に研究していても別の分野に引き抜かれたりして、継続して研究ができる状況ではなかった。

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 Supercruise - Wikipedia

Supercruise capability provides advantages for stealth aircraft, because an afterburner plume reflects radar signals and creates a significant infrared signature. (アフターバーナーのプルームがレーダー信号を反射し、重要な赤外線シグネチャを作成するため、スーパークルーズ機能はステルス機に利点をもたらします。 by Google翻訳)

 なるほど……

 M-Vロケットのトラッキングでプルームの影響云々の話が出ていたのは混ぜものの影響かと思ってたけど、燃焼自体が問題になるのか。

 双発ジェット戦闘機の燃料流量は最大で1.5t/minくらい? M-Vの第1段はだいたい1.5t/secくらい。ジェットエンジンは空気を取り込むので実際の排気質量はもっと大きいから、単純に60倍まではいかないけど、それにしても10倍以上は違いそうだ。M-Vの場合は金属燃料なので燃焼温度が高い分でより影響が大きいのかもしれないけど。


 プラズマ - Wikipedia

火は燃料の酸化によって高温となり、燃料の一部が電離してプラズマ状態になっている。ろうそくの炎が高電圧をかけた電極に引き寄せられるといった簡単な実験を通して、プラズマの存在を身近なものとして理解できる。


 戦闘機のフレアはどうなんだろうか。シグネチャ合わせるために燃焼温度低めと考えるとRCSは小さいのかな? それでもF-22みたいに本体側のRCSが小さいとか、逆にAC-130のように本体側のRCSは大きいけどフレアの量が凄まじい、みたいな場合は、レーダー誘導ミサイルでもフレアが効いたりするんだろうか? まぁ、チャフ使えよ、という話ではあるけれど。

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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み直していたら、Wikipediaの全コンテンツ、というような話が出てきたので、改めて調べ直してみた。

 Wikipedia:Size of Wikipedia - Wikipedia

 2022年4月頃の値で、全言語版には55Mエントリくらいあって、英語版は6.5Mエントリくらいで、記事数で全言語版の約11.7%を占めるらしい。そして、英語版は圧縮後のデータで約21GBあるらしい。英語版Wikipediaは、ブリタニカ百科事典換算でおよそ3035冊くらいだそうだ。

 なんというか、予想より少ない。Wikipediaってもっと大きイメージだった。以前書いたテラバイトオーダーは、編集履歴とかをすべて含む大きさなのでかなりの大きさになっていたんだな。

 インデックス(とある魔術の)が記憶している本は10.3万冊だから、英語版Wikipediaの34倍くらいか。単純計算で全言語がブリタニカ2.6万冊としても、Wikipedia全言語版の4倍の本を記憶しているわけだ。


 単純計算で全言語版の圧縮容量を180GBと仮定すると、結構現実的な大きさというか。ExaDriveやLTOカセットなんて使わなくても、microSD1枚分とか、その程度で済んじゃうんだな。

 SDカードスロットがついたタブレットとか、あるいはiPad Proだと本体のストレージにオフラインキャッシュが全部入っちゃう。ということは、はいふり妄想でココが持ってるタブにWikipedia全言語のページがすべて入っている、みたいな便利設定を使ってもいいわけだ。「新年です! イベントですよ!! タイムボールやりましょう!! 船乗りとして外せない出し物ですッ!!」

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 例のF-15本、ちゃんと読んでみると結構面白いよ。

 HUDの高度表示の説明文を引用すると「(前略)降着装置が上げ状態では、スケールは500フィート(152m)単位で10フィート(304m)ごとに太いマークが有り、降着装置が下がっていると100フィート(304m)単位で20フィート(61m)ごとに太いマークが有る」(9784798065762/209p)と書いてある。デタラメにもほどがある。

 あらゆる箇所や単位系で、文字通りの「桁違いな」間違いがたくさん出てくる。いったいどんな計算方法を使ったらこれほどたくさんの間違いを犯せるんだろう? セ氏/華氏みたいなオフセットがある値ならともかくとして、ft→mやnm→kmは、前者なら3分の1、後者なら2倍、くらいのどんぶり勘定ができるから、1桁違うみたいなミスは気がつくはずなんだけど。もちろんその程度のミスにとどまらず、誤変換や誤入力なども含めて様々な種類の間違いが出てくる。

 ジャイロスコープの緯度/経度の翻訳ミス(LATを経度と訳している)とか、エアブレーキ操作スイッチの展開/収納の翻訳ミス(前方で開く、後方で閉じる、と訳している)とか、わりと基礎的な部分での誤りも多々ある。エアブレーキの操作方向だと、例えばフライトシミュでエアブレーキを使ったことがあれば「スイッチを後ろに操作して閉じるのはおかしい」みたいな事を感じるはずなので、こういう間違いが入り込んでいるということは、著者は(フライトシミュも含めて)飛行機を飛ばしたことがないんじゃないか、という懸念が出てくる。/* エアブレーキは、少なくともアメリカの設計思想では、民間機も軍用機も関係なく、前で収納、後ろで展開 */

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 久しぶりにはいふりファンブックを眺めてる。誤字・誤記の主張が激しくない本って読んでて楽でいいね。本を読んでいて誤字・誤記の数が閾値を超えると読みながら「この文に怪しい点はないか」と判断するロジックが追加されるので、読んでいて疲れる。

 もっとも、実在艦を扱った本ではないので、多少の設定揺れが見られるけど。例えば30pの挿絵の説明では晴風の羅針儀は磁気形と書かれているが、31pの解説文ではジャイロ型と書かれている。旧日本海軍ではどちらも使っていたようだから、そこで設定が揺れたのかな。教育艦は移管時に少人数運用に耐えるシステムに改修されているから、磁気形を搭載していたとしても、その時点でジャイロ型に変更されているはず。

 あるいは、111pの解説・注釈では、この世界ではTACANは存在せず、史実でのTACANと似た形の空中線はこの世界独自のネットワークシステムのものである、という説明がなされている(TACANの形は全方位に対して強い指向性を持つ通信を行うためのものだから、軍艦が搭載するネットワークシステムとして似た形の空中線を使うのは、理にかなっている。SATCOMが使えない以上はP2Pで通信する必要があるし)。一方、155pの3Dスタッフの対談ではTACANと明記され、「GPSが存在しないから航空機(飛行船)に対してTACANが使用されている」という説明がされている。

 まぁ、目につく程度の範囲ではそんな感じかな。もっとも、手元にあるのは第二版なので、あらかたの誤字は修正済みというオチかもしれないけど。


 晴風のTACAN空中線が海抜20mとして、高度2kmだと200km、高度20kmだと600kmくらいが可視範囲に入る(前者は通常の飛行船の、後者は成層圏プラットフォームの飛行高度を想定)。ただ、海は広いから、この程度の範囲だとちょっと心もとない気もするんだよなぁ。もっとも、飛行船は滞空時間の制限がゆるいから、オメガで大雑把に位置を合わせてからTACANで合流する、みたいな運用なのかな。

 あるいは、HF帯を使った別のシステムが存在しているのかもしれないし。例えば適当なHFで10秒毎くらいにランダムなタイミング(衝突防止)に船舶のIDを放送して、相手の船(or飛行船)はそれに聞き耳を立てて、目的の船のIDが受信できればADFで方位を決定する、みたいな。DMEみたいに測距してもいいだろうし。


 航空宇宙分野が未発達の世界での技術動向は結構興味深い。例えば10GHzを超えるような高周波技術はどの程度発達しているのか、とか。地球だと衛星放送で12GHzが使われているけど、この周波数は25mm/hの雨で10dB/kmくらいの減衰量になるから、雨雲をすぐに突き抜ける衛星放送ではそれほど大きな影響はないけど、宇宙開発が未発達の世界では電波を水平に飛ばす必要があるので、より強い影響を受けることになる。そういう世界ではコンシューマ機器で高周波を使うことが困難だから、低価格帯の高周波デバイス全体の発達も遅れる可能性がある。5Gのように近距離での使用はそれほど大きな影響は受けないとしても、衛星放送のような分野が未発達の場合に、5Gのような移動体通信がどの程度発達できるのか。

 ただ、大陸間規模の大容量の情報通信に関しては大部分が海底を通るから、衛星通信がなくてもそれほど影響はない気がする。地球では初期の大容量通信(e.g. TV中継)は衛星経由ではあったけれども、現在の大容量通信は海底の光ファイバを経由するから、必ずしも人工衛星が必要というわけではない(もちろん、StarlinkやOneWebみたいなコンステは作れないけど)。洋上での通信には難があるとしても、史実の地球みたいに海外旅行の観光客が太平洋や大西洋を渡るということもそれほど多くはないだろうし。

 人工衛星を用いた時刻配信・同期のような手段も使えないし、飛行機で原子時計を輸送するみたいな手段も使えないから、世界協定時みたいな定義は少し遅れるかも。ただ、各国個別に原子時計やメーザーを運用することは可能だから、ビデオテープを船で輸送するような形を経由するVLBIは可能。ある程度時代が進めば光結合VLBIみたいなものも運用できるだろうし。ということで、宇宙から星の世界を見ることはできずとも、宇宙分野はかなり発展するはず。

 望遠鏡に関しても、補償光学やらいろいろ使えば地上から見るだけでも宇宙のかなりの部分がわかるはず。とはいえ、遠赤外線や紫外線以上は地上から見えないから、「熱い宇宙」の観測は遅れるかもしれない。とはいえ、我々だって気球を使ってガンマ線を観測したりもしているから、地球以上に軽航空機の発達した世界であれば、意外とどうにかなるのかもしれない。

 我々のサイエンスでも宇宙人を探すのは地上の電波望遠鏡が主要なツールだから、はいふり世界でもSETIみたいな分野は存在しているだろう。ただし宇宙開発が進んでいない以上、「我々が会いに行く」という発想はないはずだし、「向こうから来てくれる」みたいな発想もないはず。つまり『バトルシップ』や『世界侵略: ロサンゼルス決戦』みたいな作品も作られない可能性が高い。前者は、まぁ、なんか似たような作品はありそうだけど。「戦艦はすごい船だ。浮かぶパンチングバッグさ」ありそうだなぁ。後者に関しては、第二次世界大戦での防空戦闘がモチーフになっている以上、はいふり世界では作られてなさそうだな。

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 ついでにミニスカ宇宙海賊関連の空想とか。

 恒星間を超えて銀河内規模を飛び交うような宇宙時代には、時間管理とかはどうなるんだろう? 場所ごとに時間の進み方は異なるし、A点-B点間の移動も乗り物(速度プロファイル)によって経過時間が変わってくる。要所要所に航路帯を示すビーコンが設置してあって、そこから時刻情報が配信される、みたいなシステムになるんだろうか? なんだか1830年代の鉄道じみてきてる感じがするぞ。。。

 恒星マップがあれば任意の地点での重力値は計算できるから、その場所での重力推定値と自分の運動速度から時間の経過を調整する、みたいな時計になるのかなぁ。


 光学兵器が実用化されてくると、光学系は出入りで対称になるから、例えば主砲を望遠鏡としても使えるようになるはず。地球の兵器体系では捜索レーダーを当てられている段階は平時で、追跡レーダーを当てられると一歩進む、みたいな感じだし、砲を指向すると撃つという意思表示になる、みたいな感じだけど、光学兵器の場合はそのあたりが曖昧になる可能性がある。もっとも、エネルギー量が桁違いなので保護するのめんどくせーから受光用と放射用の光学系は別に仕立てる、という可能性もあるけど。しかし、光学で見るならできるだけ大口径の光学系が欲しいし、ビームを撃つのもできるだけ大口径の光学系から撃ったほうが収束率を高められるわけだから、どちらもどんどん大型化していって場所の取り合い、結局1個の開口で受光と放射を兼ねる、みたいな形に落ち着きそうな気がするんだよなぁ。

 ビーム兵器は単スペクトル光だろうけど、敵艦の材料や戦闘地域(星間物質の密度)によっても波長は変わりそう。敵が使用するスペクトルがわかれば、そのスペクトルを選択的に反射する誘電体多層膜みたいなものを表面に貼ったりするんであろう。恒星間宇宙船であれば相対速度は非常に大きくなるだろうから、例えば正面の反射膜は短波長側に調整し、後方の反射膜は長波長側に調整する、みたいなことも行われるかもしれない。惑星間空間とか恒星間空間なら高い真空度が得られるから、航行中に皮膜を吹き替えるみたいな機材も出てくるのかな? 膜厚管理が大変そうだけれども。

 他にも、星間物質による劣化の対策とか、レーダーステルスとの兼ね合いとか、いろいろありそう。船体の上に誘電体多層膜を塗って、その上に電波吸収体を吹き付ける、みたいな感じになるんだろうか。レーダーによる被発見を避けて、撃たれたらもう発見されてるからRAMの損失は無視する、みたいな。表面にRAMがあれば多層膜の保護材としても使える。ただしRAMが膨大なエネルギーを吸収してしまうと高温にさらされるので、誘電体が役目を果たす前に劣化してしまう可能性がある。あと、多層膜の吹き替えが困難になる。ただ、上にRAMがあればRAMの塗り替えは容易になる利点がある。まぁ、電波は光学兵器に比べて波長の設定が容易なはずだから、RAMは気休め程度になってしまうかもしれない。電波はアクティブな電子戦で頑張る、みたいな方向性になるのかな。


 宇宙船のレーダーは、たとえ銀河内を飛び回るような時代になったとしても、周波数は大して変わってないんじゃないかな。せいぜい100GHzあたりが上限であろう。地球の技術レベルでは高周波デバイスの性能でリミットされているけど、これが開放されたとしても、それより高い周波数を使う利点は無いはず。むしろ莫大な計算能力でゴリ押ししてフェーズドアレイのように運用すると考えると、あまり高すぎる周波数は使いづらい。実用的に使われるのは10GHzオーダーじゃないだろうか。/* 10年後くらいに読み直して「こいつこの時こんなこと言ってるよ」と笑い話になるような時代は来るのだろうか */

 他には、主砲から薄い光(赤外線から可視光線付近)を放射して反射光を検出する、みたいな方向性はあるかもしれない。光学主砲は撃つ以外にLiDARのように運用したり光通信に使ったり、様々な用途が出てくるから、このあたりの法整備(特定の変調パターンや出力の場合は直接的な示威行為とは認めない)みたいな話も出てくるかもしれない。

 一応、現代地球の科学レベルでも赤外線あたりの干渉計は実在するので、弁天丸や白鳥号にも同様の機材が搭載されている可能性はある。光干渉計は感度が低いのがネックなので、そのあたりの解決が課題。感度の低下は光路設計の問題なので、可能な限り反射率の高い鏡を作ったり、鏡で反射させる回数を減らしたり。それでも限界はあるから、結局は口径を増やして受け取る光子を増やすしかない。そんなことをすると拡散率の低いビームを一瞬食らっただけでも中の光学系が焼かれるから、シャッター機構を作り込んだり、色々と手間がかかる。やっぱりRF使うほうが便利じゃないかなぁ。



 はいふり、ミニスカ、バトルシップの3作品をこねくり回した三つ巴の二次創作みたいなやつ考えるの楽しいのでもう少し膨らませたい。とりあえずY469晴風IIは事前に沈めておいて、「あのクラスどうせ全員ブルマー入るやろ。古い駆逐艦でも何隻も沈められるのも癪だし戦闘能力高いやつ先に与えとこうぜ。それで2,3回世界救わせれば十分元取れるでしょ」みたいな短絡的な上層部によってまや型護衛艦を与えておきたい。で、RIMPACでエイリアンに遭遇して、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ストーン・ホッパー」率いるアレックス・ホッパーと共闘させて。船と引き換えに世界を救った艦長(&乗組員)で意気投合させたりして。

 で、銀河帝国情報部がどこからか嗅ぎつけてきた120年前のネタで散々脅されているヨット部が前部長や前々部長らと一緒に「ちょっと調べてきて」と言われて行った先で戦闘に巻き込まれて。「こんなことになるってわかってたらアテナ先生にもっと聞いておけばよかった~!!」

 リン元部長がいればCECに割り込んで撃たせたりくらいはできるだろうし、アーレイ・バーク級やまや型がいればSM-2やSM-6等いろいろ積んでるから、まぁ、大抵の相手には負けないわな。120年前の脅しに屈するのは現ヨット部部員のみならず、どでかい機動巡洋艦だっているわけだし。

 しっかり電波でも赤外線でもステルスしていたオデットIIが、岬艦長の双眼鏡で発見されたり。「艦長よりCIC、高仰角に対空目標を視認。そちらで捉えているか?」天測を厳重に復習させられた航海科が三角測量で高度を割り出して、またひと悶着あるんだろうな。「こんな高度に物体が浮かんでいられるはずがない。たとえ小惑星が重力圏に捉えられたとしてもこんな軌道はありえない!」みたいな話からのココの妄想が炸裂する流れ。

 話が一向に進まん。。。

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 最近の(ドット液晶がついた世代の)軍用無線機を調べていたけど、ついでに無線の黎明期の話題も軽く読んでみたり。

 無線機が発明された当時は各国とも手探りという感じだったらしい。当時の日本はイギリス等から軍艦を買っていたので「戦艦の予算ちょっと余ったから無線機買って持ち帰ろうぜ」みたいな話もあったらしい。が、マルコーニの無線機は諸々含めるとかなりの値段になるので断念したとのこと。

 その後、国内で三四式無線機を開発し、その改良のために諸外国の視察。アメリカでは色々見せてくれたらしいけど、テスラは送電用に注力し、ラングレーは飛行機の話ばかり、みたいな苦労話もあったようだ。/* 明治34年は西暦で1901年。ラングレーがポトマック川で墜落するのはその2年後の'03年10月。視察はちょうど飛行機の開発を進めているあたりか */ この視察ではマルコーニ社にはいかなかったらしい。マ社からの特許申請を日本が認めず、高額な無線機の購入も行わなかったことから、関係性が悪かったらしい(元の文ではもう少し柔らかい表現だけど)。


 日本海海戦では、参加艦は出港前に大急ぎで無線機を配備したらしい(人材の育成は事前に行われていた)。それによって日本軍は情報通信が活発になり、「司令部が混乱するほどの豊富な情報」が集まったそうだ。文字通りの意味での戦場の霧(悪天候)の影響で各艦が正確な自身の位置を測定できず、位置情報がバラバラに送られてきたそうだ。複数の艦隊が存在するのかと思いきや、全ての艦が平行移動しているので1艦隊だとわかった、とか。わかったところで、誰を信用するのかという問題が残るんだけども。

 一方の露艦隊は満足な無線機を搭載しておらず、情報通信には難があったようだ。本来は電子妨害を行う任務を持った艦もあったが、それも行われず。日本海海戦が世界初の本格的な電子戦になるはずだったけど、実際にはそうはならなかった、とのこと。電子戦が効果をあげていれば海戦の結果も変わっていたはずで、無線機が日本の将来を左右した、というような話らしい(無線屋が書いた話なので多少は盛ってるとしても)。露艦隊は、無線機のハード自体は積んでいたが、それを運用するソフトの方に問題があったようだ。


/* ほとんど関係ない話だけど、クイズ番組で「飛行機を最初に発明した人」に(蛇足的とは言え)二宮忠八の名前を出すなら、ライト兄弟だけでなくラングレーも出すべきなのでは? っていうかライト兄弟が発明したのは「飛行機」ではないぞ!! */

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 戦闘機のミサイル発射ボタンがなぜ「ピックル・ボタン(pickle button)」と呼ばれているのか。ちゃんと調べてないけど、発酵食品のピクルス(pickle)に由来しているらしい?

 ノルデン爆撃照準器の爆撃精度が高かったことから、それをモチーフにしたショーの中でピクルス樽に爆弾を落として中のピクルスが飛び出てくる、という(誇張された)表現が行われ、それが元になって、爆弾を落とすためのボタンをピックルボタンと呼ぶようになった、と。

 もちろん実際の爆撃精度は樽を1個狙うようなものではなく、高度1.5万ft(4.6km)から400ft(120m)の円(CEP?)といった程度のようだけど。というか、当時主張されていた誇張した数値でも3万ft(9.1km)から15ft(4.6m)だそうだから、実際に樽を狙えると言っていたなら過剰な誇張だし、スケールモデル(例えば高さ10mから樽1個の精度)だとすると相当低い精度で表現されている。ただ、高さ30mくらいから樽1個の開口部を狙うとすると、実際の命中精度と同じ程度になるのかな?

 このときに使われていたのがピクルスじゃなくてビールとかだったら、ミサイルの発射ボタンは「ビアボタン」とか言われていた可能性もあるのか。あるいは「アップルボタン」と言われる可能性もあったわけだ。こっちはApple社から怒られそうな名前だけど。/* りんごは、水を入れた樽に浮かべたリンゴを口で取るというハロウィンの遊び */

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 ラジオ、594kHzのNHKがかなり強力に入ってくる。おそらく埼玉の300kWだと思うんだけど。693kHzも同じ程度の音質で聞こえる。こっちも埼玉の500kWだと思う。

 666kHzでもNHKが聴こえてくる時がある。大阪の100kW?

 684kHzもたまに放送が聞こえる。岩手放送の5kWかな? 873kHzは熊本500kWだろうか? こんなチャチな受信機なのに、本当に遠くから聴こえてくるんだな。コールサインを確認したわけじゃないので本当に遠くから届いてるのかは未確認だけれども。


 エコ推進! ラジオ第2放送、CO2大幅削減!

 2009年の、500kWを全固体化したよ、というプレスリリース。電力効率が60%から85%へ改善し、CO2排出量で1年あたり1キロトン相当の削減だそうだ。効率25%アップだと大したことないような印象もあるけど、500kWだからな。250kWくらい改善してる。

 出力段の図解もあるけど、なかなか凄まじいことになってる。レーダーのSSPAとはだいぶ様相が異なる。デューティー比が100%とレーダーより遥かに高い代わりに、周波数は4桁低い分で、かなり違いがある。アンプと言うよりは巨大なDACという感じ。出力500kWのDAC。凄まじい。

 入力部はAFっぽいな。バイアスで変調度を設定するらしい。出力はRFのはずだから、どこかでキャリアが注入されているはずなんだけど。AD変換部で合成しているのかな?


 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/31/7/31_7_540/_pdf

 1977年の資料。

「中波放送機は、需要の停滞とともにその技術の発展はここ10年ほど休憩していたが、周波数再編成を機運として、最近になって活動を再開した。最近の中波放送機の注目される技術は固体化であり、(後略」

 5kWまで実用。

 最後に雷サージ対策の話題。

 周波数再編が78年11月23日だから、このときに合わせて放送機器をリプレイス、そのついでに固体化、みたいな機運だったのかな?


 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1978/39/3/39_3_214/_pdf

 1985年の資料。

 VHF TV, UHF TV, FMラジオで10kW、中波放送で50kWまで実用化済み。同年中にUHF TVで30kWが実用化の予定。

 中波帯は10年も経たずに10倍になってる。

 この頃に群遅延特性が優れたSAWフィルタが実用化されて、テレビ放送の残留側波帯(VSB)のためのフィルタが作りやすくなったそうだ。電力合成、CADでの最適化、冷却技術の向上、いろいろな要因で固体化が進んだらしい。

 CADってそんな昔から使われてたんだな。

 アナログテレビ放送はVSB変調の映像とFM変調の音声の2種類を出すので、テレビ送信機のブロックも2個に分かれている感じ。映像側が12合成で10kW、音声側が4合成で2.5kW。内部電源は28Vかな。10kWを出すにはもっと高い電圧が必要なはずだけど、インピーダンス変換で昇圧してるのかな? クライストロン等に比べて電圧が低いので保守管理が容易になったそうだ(誤って高電圧に触る危険が減る)。

 国内では数年で固体化が進んでいるが、海外では大電力送信機が多いことからクライストロンが主流で、そちらの進展が著しい。

 中波放送は、空中線の関係で雷サージが懸念されていたが、NHKが固体化を進めながら雷サージを克服し、民間も固体化。固体化によっていろいろな利点が出てきたようだ。77年時点では「固体化するにはなにか差別化しなければ」という消極的な姿勢だったけど、85年時点では「固体化したほうが便利だね」みたいな状況。

 中波放送は波長が長いので電力合成が容易で、高電力化がしやすい。

 ただ、NHKの500kWが全く違う方式だったことを考えると、SSPAの電力合成は100kW程度で頭打ちだったのかな? NHK R2の500kWの固体化が2009年だから、1977年の5kWから1985年の50kWまで、8年で10倍になっているのに対して、そこからの10倍は25年近くもかかっている。100kWを超える放送はNHKの300kWと500kWしかないので、大電力の固体化は開発のインセンティブがなかったのが原因かな?(100kWもTBSラジオ、ニッポン放送、文化放送の3局しかないけど@2020年4月調べ)。


 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1978/33/6/33_6_450/_pdf

 1979年の資料。

 テレビ用のVHF/UHF増幅器の話題。MTBFとか故障解析の話も。

 最終段は既存の増幅管を使用したままでドライバだけ固体化した「固体化」と、出力段も含めて固体化した「全固体化」がある。固体化は25kWまで、全固体化は3kWまで、という感じか。このときはVSBを作るにはDSBとSSBを組み合わせていたらしい。

 ということは、85年資料に出てくるやつは、たった6年でIF段のSAW VSBフィルタを作り込んだり、全固体化で3kWから10kWに増やしたりしてるんだな。凄まじい速度だ。


 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/93/8/93_8_704/_pdf

 もう少しさかのぼって1973年。

 札幌の大電力放送が始まる前、熊本の大電力放送所が開局した頃。

 海外では「電力2000kWという超大電力局もめずらしくない」だそうだ。すげー時代だな。宇宙開発と似たような目的で、プロパガンダの手段として夜間は遠くの国でも聞こえる中波放送にはかなり力を入れていた時代のようだ。あとは、当時は周波数割当は国際的な調整は効力を発揮せず、各国勝手に放射していたために混信が問題となって大電力化競争が起こっていた、という当時の状況もあるようだ。

 もっとも、今でもKBS 972kHzが夜間は1.5MWに増力して放送していたり、「超大電力局」はいくつか残っている。平壌放送も1.5MWで放送しているのがあるらしい。あの地域狭い範囲で出力強すぎでしょ。。。 塹壕ラジオ程度の受信機でも聞けるように、みたいな想定なのかな? 後者に関してはもっと広範囲を想定しているのかもしれないけど。

 この時代でも「固体化」というキーワードは出てくる。ただし最終段は三極管を使用していて、それに入力するAF信号の増幅をシリコンで行う、という程度で、出力段まで含めた全固体化の話は一切出てこない。もっとも、NHKの大電力増幅器には使えるはずもないから話題にも出してない、程度の話かもしれないけど。


 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/31/7/31_7_522/_pdf

 1977年。周波数変更目前で、その課題とか、中波放送の現状や将来に関する話題。

 低落の時期を乗り越えて、個室(個人)での聴取や自動車ラジオの登場など。あるいは乾電池で受信できることから災害時の情報発信など。

「(前略)したがって、混信があるからこれ(注:中波放送)を放棄し、音声放送はVHF帯におけるFM放送中心の体制とすべきだという主張はちょっと早計ではなかろうか。使い捨てるにはあまりにも貴重な資源である」

 最近のFM移行の話にも通じるところがある。もっとも、現在は移動体通信の発展やその基地局の強靭化によって、中波放送以外の情報伝達手段が発展したことで、中波放送を廃止するための機が熟した、ということなのかもしれないけど。そういう意味では中波放送を廃止するまでに50年かかったわけか。


 70年代末頃の衛星関係で60GHzくらいの固体化を研究していたみたいな話を前に読んだ気がするけど、どこで読んだか思い出せない。ブログ内検索してみると「1970年代後半」というフワッとした書き方で、URLとかも貼ってない。誰だ! 出典も書かずに引用したやつは!!

 それっぽいキーワードでググったら出てきた。

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nictkenkyuhoukoku/20/107/20_135/_pdf

 42GHz70mWのエンジニアリングモデル。

 130MHz弱の水晶を増幅や逓倍を繰り返して、最終段は2GHzで4W強まで増幅し、以降は主に受動素子で逓倍(増幅無し)。電波出力70mWに対して消費電力が17W。効率はかなり悪そうだ。この時期はまだTWTの信頼性が低かった時代のはずだから、信頼性の低いTWTか、効率の悪い固体化か、といったところか。

 ミリ波通信の伝搬特性の計測を目的としていたようだ。衛星側30cm、地上側50cmのディッシュを想定。地上側は今の衛星放送より一回り大きいくらいだけど、衛星側はかなり小さい印象。時代を考えれば十分大きいんだろうけど。

 ETS-IIが77年打上げのスピン静止衛星で、1.7GHz/11.5GHz/34.5GHzのコヒーレントCWを出しているそうだから、これに使ったのかな?

***

 Cortex-M4の命令で、値をあるビット幅で飽和させる命令、SSAT Rd, #n, Rm{, shift #s}のような命令があるけど、これはC言語からは直接呼べないからint32_t __SSAT(int32_t val, uint32_t sat)というラッパーが用意されている(SSATは符号有りで、符号なしの場合はUSAT)。

 このラッパーを、例えばval = __SSAT(val >> 8, 16);と使うとvalを符号付き16bitに収まるように飽和させるが、GCCからはasrsとssatの2つの命令に翻訳される。つまり、ラッパーを呼ぶ前に個別にシフト命令が呼ばれてしまう。シフト命令1個でもケチりたい場合は以下のラッパーを用意して使う。

#define __SSAT2(Rd, n, asr) (                 \
    {                                         \
        int32_t __RES, __Rd = (Rd);           \
        __ASM("ssat %0, %1, %2, ASR %3"       \
              : "=r"(__RES)                   \
              : "I"(n), "r"(__Rd), "I"(asr)); \
        __RES;                                \
    })

 ASRは算術右シフト(最上位(符号)bitを維持する)というモード。これは例えば28bitくらいの信号を16bitに収めたいが、場合によっては30bitまでスイングするときもあって、そういうときでも16bitでクリップしたい、みたいなときに使う。

 逆に、信号を増幅して後ろに流すような場合は論理左シフト(LSL)も指定できる。シフトしたときにあふれるとどうなるのかは不明だけど、おそらく下位32bitだけ使われるんじゃないかな?

/* STM32のC-M4向けマニュアルだとASRとLSLしか指定できないようだけど、符号なし(USAT)を使う場合の右シフトはどうするんだろう? */


 当初、ASRを指定せずに"ssat %0, %1, %2, %3"のように呼んでいて、"shift expression expected"というエラーが出て怒られた。シフトする場合はシフトモード(LSL, ASR)を指定してやる必要がある(命令によっていろいろなバリエーションがあるので、詳細はプログラミングマニュアルを参照)。

***

 ラジオのブロック図

 今のところ、ADCが4Mspsでサンプリングし、数段のフィルタを通して、DACから125kspsで出している。

 ADCから入ってきた波形は、1stLOと混合して2段のCICでダウンサンプリングし、2ndLOと混合してからFIRでBPFを通し、CICでアップサンプリングしてDACに出力、というのが基本的な流れ。CICは32bit整数演算、FIRは16bit(内部処理26bit)整数演算が基本。ダウンサンプリングのCICが2段なのは飽和を避けるため。1stLOは処理速度優先で周波数分解能が低いので、2ndLO(NCO)で吸収している。

 受信モードによって、SSB(USB/LSB)の場合はヒルベルト変換が追加される。CWモードの場合はヒルベルト変換の前に750Hzのシフトが追加され、FIRの前後にCICダウンサンプリングとCICアップサンプリングが追加される。

 FIRは、通常は0.1-0.75kHzのBPF、CWの場合は0.75kHzを中心に1kHz(Wide)か0.3kHz(Narrow)が使用される。

 ADCは4096サンプルごとにデータが出てくる(つまり8192ポイントのメモリを割り当てている)。ダウンサンプリングを2回経て32ポイントになり、これを32回分つなげて1024ポイントごとのブロックにしてから以降の処理に投げている(FMACの処理的に大きなブロックで投げたほうが楽なので)。

 CPU使用率は85%くらいかな。フィルタ側の処理はあんまり余裕がない。優先度低めのタスクはもう少し余裕があるので、FFTの表示速度を増やすとかしてもいいかも。現状の8Hzでも特に支障はないけれども。約61Hz/binくらいなのでCWを目視するような使い方でもないし。

 DSB, USB, LSBは動作しているし、CWW, CWNも適当なピーク付近をスイープすれば動作していることは確認できる。しかし、ウチの周辺でLFでCWを出している設備がないので、ちゃんと使えていない。適当にマイコンで475kHzの発振回路とか作ってみるか。これは送信機ではない! EMIである!! 無論アンテナなんぞは接続せずに。

 NDBはAM放送ではあるけど、A2Aなので、適切に周波数オフセットを設定してやればCWとして受信できるはず。NDBって日本国内では8局くらいしかないのかな? 北海道では十勝NDBだけのはず。チャチなアンテナじゃ全く受信できないね。CWで振幅変調の搬送波をスイープすれば音は聞こえる気がするけど、単なるノイズのような気もする。JJY40kHzはCW(正確には振幅変調された連続波)だけど、まぁ、受信できず。波長が長いからね。小さいアンテナじゃ無理だろう。RFアンプは100kHzを越えたあたりから利得が下がるので、そういう意味では40kHzはしっかり増幅されるはずなんだけど、電波が入らないことには増幅も何も。。。


 DSB/SSBだと帯域幅が広めなので、弱い放送を聞くとノイズが多い。かといってCWW(手動で周波数をオフセットして実質USB受信)の帯域幅1kHzだと放送を聞くには狭い。中間の帯域幅がほしい。DSBは7.5kHzまで、SSBは3kHzまで、みたいな設定にしてもいいのかも。ただ、そうすると、強度は十分だが隣接したノイズが有るときにSSBで受信したい、みたいな状況で困る。現状、モード長押しはキャリア位相ロックのON/OFFに割り当てているので、フィルタ帯域の変更とかが必要なのであればキー割当を考え直す必要がある。


 ラジオ放送、特にNHKだと同じ放送を複数の周波数(地域)で放送していたりするので、周波数を頻繁に切り替えて受信できる機能があると便利。現状では離れた場所に移動する際はいちいちキーパッドで周波数を入力する必要があるので、手間がかかる。

 例えばAN/PRC-152(西側現代装備サバゲーマーがよく持ってる緑のハンドヘルド型)の場合、上部のツマミが電源とメモリ選択の機能を併せ持っていて、このメモリは以前の設定を保持しているので、このツマミを回すことで複数の設定を切り替えながら通信が行える(本体に記録されたプリセットは、別のPRE+/-ボタンで切り替えられる)。

 もう少し大型のラジオ(AN/PRC-117Gとか)に追加のプリセットノブが無いのは、この手のモノはchを頻繁に切り替えるような使い方はしない(予め登録したプリセットで足りる)という判断だろうか? 基本的には近くの別の部隊とか後方の司令部との通信がメインで、周波数はある程度決まったものを選んで使う、という感じで。152も似たりよったりのような気もするけど。

 メモリ選択とモード切替でロータリースイッチがついてると便利そうだな。モードはOFF, LSN, LSW, DSB, USW, USN, CWW, CWNの8ポジ、メモリは必要に応じて、みたいな感じで。LSNとUSNはSSBのNarrow、LSWとUSWはSSBのWide、という感じ。これとは別にキャリア位相ロックのON/OFFと。それとも、メニューの浅い位置でFIR係数を生成し直せる操作とか作ったほうがいいのかな。それがあればNarrowとかWideとかだけじゃなく、ある程度好きに帯域幅を選べるし。


 ここ2週間で進捗ほとんど無し。

 好奇心駆動開発は初期の立ち上がりは早いけど、中期以降の進捗が壊滅的。

 あと、SDRはどんな計算でも(飽和したりしなければ)音質に影響はないので、フィルタ周りのパラメータを除けば、「ここを作り込むと音質が良くなる」みたいな部分がないから、リファクタリングとかの効果がほとんど見えないので飽きやすい。受信感度もさほど高いわけじゃないので、BCLを楽しむような使い方でもないし。


 しかし、進捗無いからって2週間分貯めるとろくでもないことになるな。。。

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