HTS: High Throughput Satellite 大容量通信衛星システム
EOL: End Of Life 設計寿命末期
BBM: ブレッドボードモデル
EM: エンジニアリングモデル
PFM: プロトフライトモデル
・2020年台には100Gbps級、トラポン120本級が求められる。
・これに対し衛星として25kWの発電が求められる
・単純に大きくするだけだと重くなりすぎるので、電源系の軽量化が必要
・発熱が増えるので10kWの排熱が必要
・全体のコストを下げたい
・打ち上げ重量5トン程度なら低価格なロケットを使える
・通信容量を増やしながらも、打ち上げコストを削減するために軽量化する
・ホールスラスタ(電気推進)で推薬削減
・運用コストを下げるために軌道制御を自動化
・GPS搭載で自動化(静止軌道で使えるGPSの開発)
* 11ページ
打ち上げ質量とペイロード電力のグラフ。
ETS-9の技術で競合衛星と同レベルの電力でありながら打ち上げ重量を減らしたい(競合はペイロード20kWで6トン、ETS-9は同5トン)。
* 12ページ
発生電力25kW以上、ペイロードに対して20kW以上。打ち上げ重量を5トン、ペイロード4kW/ton、ペイロード/ドライ質量40%を達成。
大推力ホールスラスタを使用し、静止化4ヶ月を達成したい。
20年台は発生電力13-18kWの中型と同18-25kWの大型の通信衛星の需要が見込まれる。
* 13,14ページ
12ページの要求に対してのサクセスレベル。
+ ミニマム
・太陽電池パドルの2次展開を成功させ、少なくとも片系統からペイロード8kWを達成。
・4ヶ月で静止化
+ フル
・EOLでペイロード20kWを達成
・40kg/kW(EOL)を達成(質量は電源コンポーネント+パドルをあわせた質量)
・ペイ/ドライ比40%を達成するため、バス質量2.4トンを達成すること(打ち上げ前に判定)
・展開ラジエーターで片側2kW(EOL)を達成
・GPSを用いて軌道遷移中・静止軌道での起動決定を行う。従来の地上局を用いた軌道決定よりも高精度に軌道決定を行う
・EOL時に国産ホールスラスタで軌道制御(RWのアンローディング含む)
・軌道遷移でスラスタに6kW、比推力1573秒、推力330mNを達成
・軌道保持モードでEOL時に1.8kW投入、1544秒、75mNを達成
+ エクストラ
・38kg/kW(EOL)を達成する
・発生電力30kWを達成する(打ち上げ前判定)。ただしパドル1枚15kWを基準とする。
・展開ラジエーターで片側2.1kW(EOR)の排熱を達成(フル+5%)
・スラスタが、フルでの基準より高い性能を達成すること
・(もう1個あるけどいまいちよくわからないので省略。PDF参照)
サクセスの判定は静止化後3年(軌道実証期間)終了時に判定する。
* 15ページ
衛星の諸元。33年度(2021年度)、H3ロケット試験機2号機で打ち上げ。打ち上げ質量で4.5トン、ただしバスは6.5トンまで対応。設計寿命は16年(通信系除く)。
その他細々。
* 16ページ
衛星のイラスト。上が地球側。
衛星中部にパネルを南北方向に展開。地球側に各種の小型アンテナ。GPSアンテナも地球側についてる(地球の向こうにある衛星から受信するため)。
半地球側の東西方向にKa帯アンテナを4枚。
半地球側の南北面(片側?)に展開ラジエータ2枚を搭載。
* 17-20ページ 実証項目
電源周り、熱周り、推進系、GPSによる軌道制御自動化
* 21ページ
JAXAが衛星のバスを、総務省とNICTが通信ペイロード部を、開発・実証する。
* 24ページ 開発スケジュール
現時点(18年度末)でEMの試験が終わり、詳細設計が終盤、PFMの製作が少し進んでるあたりか。
その他
2020年台に商業衛星でシェア10%、年2機以上を受注する。
電気推進を使うことにより静止化に4ヶ月ほどかかる。ヴァン・アレン帯の影響の確認が必要ではないか。
H3試験機に搭載するので、H3の開発が遅れるとETS-9の打ち上げも遅れる。
軌道実証完了後(静止化後3年)から設計寿命(16年)の間(13年弱)をどう活用するか(通信バスは総務省・NICTの管轄なので、そちらと調整)。
***
バス2.4トン、バス60%ということは、ドライ4トンってところか。打ち上げ4.5トンなら推進剤は0.5t、打ち上げ5.0tなら推進剤は1.0t。
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