2019年4月12日金曜日

妄想:IPOULBI(Inter-Planetary Orbit Ultra Long Baseline Interferometry)

 別のネタの下書きをしていたんだけど、こっちの妄想が捗って、妄想に言われてもうそうするしかない……ということでこっちのネタ。

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 Inter-Planetary Orbit Ultra Baseline Interferometry。日本語訳で惑星間軌道極超長基線電波干渉法。
 VLBIエレメントを宇宙においたスペースVLBIを拡張し、アンテナを惑星間軌道まで拡張する。当面の目標では火星・木星間程度の大きさまで拡大する。

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 惑星間軌道を移動するため、探査機はソーラーセイルの形をとる。
 小型のソーラーセイル複数機(50-200)を1郡とし、1群で1つのアンテナを構成する。このコンステレーションで観測対象の方向へビームを形成し、またテレコマのための地球指向も行う。
 これを地球の内側から火星の外側まで、数百-数千群を配置することにより、巨大な開口面積を得る。

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 技術的課題

 大量生産を行うため、探査機本体をフレキシブル基板で製造する。これにより、通常のフレキシブル基板を製造する機材で探査機本体を直接製造することが可能となり、数万から数十万という膨大な数の探査機を効率よく製造することができる。部品の実装等も、大型の部品を除いて自動で行える。

 姿勢制御にはリアクションホイールを使用する。
 それぞれの軸に複数のリアクションホイールを配置することにより冗長構成とし、唯一の可動部の信頼性を向上させる。
 また、回転運動から回生ブレーキにより電力を取り出すことにより、エネルギー貯蔵源としても使用する。
 液晶デバイスを使用せず、RWを使うのは、アジリティ向上の為。これにより姿勢制御が容易となり、ソーラーセイルの機動(観測対象指向・通信のための地球指向)が可能になる。また、ソーラーセイル本体をマイクロストリップアンテナアレイとして構成することが可能となり、大容量のデータ通信(観測結果の伝送)に有利となる(アレイアンテナは帯域が狭いため、観測には使えない)。

 通信は民生用のMIMO通信に使われる素子を流用し、フルSDR化する。


 大きな課題としては、ソーラーセイル用の極めて脆弱なフレキシブル基板の製造・実装と、高信頼性・高効率なRWか。

 フレキ基板は、P板だと12.5umが選択できる。IKAROSは7.5umなので、およそ2倍。高アジリティに耐える強度と、大きなΔVが不要な点から考えて、実現性に影響が出るような問題にはならない気がする。

 RWは要研究。極めて高い信頼性と長いMTBFが必要になる。
 ミッション期間10年として運用時間は10万時間くらい。これが探査機1機に10個程度? それが1万機くらい? MTBF10億時間くらいか。とてつもないな。それでも、民生ハードディスクの3桁増し、くらいだから、なんとかなりそうな気もする。
 ハードディスクといえば、だいぶ前には回転速度可変のHDDも存在していたらしい。つまり、リアクションホイールとして使うことができる。制御基板を変えれば回生ブレーキで発電もできるはず。HDDは消費電力が凄まじいだろうけど、記憶容量は2-5桁低くていいのだから、なんとかなりそう。真空中で使うのがネックだけど、今ならヘリウム入りとかもあるから、密閉に関してはなんとかなるのかな?

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 ということで、探査機本体の製造はフレキ基板の製造ラインで作れる。半導体は今後数年で開発・量産されるモノでいい。リアクションホイールはハードディスクメーカーと共同開発かな。実用化できれば数十万台くらい買う契約で。世界で1年に使われるハードディスクの1%を宇宙に持ち出すわけか。とりあえず、そのあたりがクリアできればなんとかなりそうだ。

 P板の見積もりだとメール問い合わせになってしまうけど、そうならない範囲だと、40x40cmで50枚作ると80万くらい。大量生産で安くなったとすると、1機1万くらい? 面積増やしたとしても、1機10万くらいか。電子回路はミドルレンジスマホから機能削った程度になるだろうし、電子機器で10万くらい、ハードディスクもそれくらい、とすると、製造は1機50-200万くらいかな? 1万機作ったら数百億、打ち上げ費用も含めて数千億、くらいのオーダーか。結構なお値段だけど、惑星間サイズの開口を持つ電波望遠鏡の値段としては十分じゃないだろうか。各国の宇宙機関、5組織くらいで分担すれば1組織あたり数百億円。日本が参加するにしても十分可能な範囲だと思う。

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 IPOULBIがうまく動けば、レーザー砲とか作って光速の10%くらいまで加速してやれば、隣の恒星系に行って電波観測ができる。「沈黙のフライバイ」のサーモンエッグそのもの。
 本体が高性能な無線機だから、でっかい合成開口レーダーとしても使える。光波もほしいけど、それはまぁ今は考えないことにする。必要ならスマートフォン用のカメラを載せてもいいし。他恒星に探査機送るような時代なら小さくて高性能な光学系もいろいろ出てるだろうし。将来に期待(問題先送りとも言う)。


 サーモンエッグ、あるいは惑星軌道サイズの電波望遠鏡、意外と簡単に作れそうだなぁ。最初の1歩がかなり壮大だけど。それでも、機能実証だけなら衛星軌道のピギーバッグでもできるし、その場合でもキューブサットクラスの包絡エリア・重量感で打ち上げられるはず。ISS放出をやると、ペラッペラの衛星であるからして1週間と持たずに落ちてきそう。SSOあたりに載せてもらわないと。

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