2019年4月26日金曜日

R3D2



 DARPA Prototype Reflectarray Antenna Offers High Performance in Small Package

 DARPAのページに高解像度な写真2枚のリンクが有る。
 展開試験の重力キャンセル用のワイヤが釣具っぽい。まぁ、壊れなければ使えるんだろうけども。

 DARPAの写真では、カプトン特有の質感で、電磁気的な作用がありそうには見えない。
 動画の展開試験ではアルミ蒸着されてるような質感。少なくとも透過率はかなり低い。
 動画の中のアニメーションはほぼ透明のカプトン。

 おそらく、フライト品はアルミ蒸着されてるんじゃないだろうか。

 直径が2.25mだそうで、写真だと4分割になってるので、幅60cmくらいのカプトンを張り合わせて作ってるのかな。

 アンテナは明らかに平面で、放物面ではない。おそらく、衛星に対してアンテナの向きは固定だろう。ソーラーパネルも衛星に固定の構造。

 Deployment Demonstrationだそうで、展開して写真撮って地上で解析して終わり~って可能性もあるけど、そのくらいのミッションならここまで大げさな衛星は必要なさそう。動画中でも、アンテナとして使うみたいなことを言ってる気がするし、アンテナとしては使えるモノだと思う。


 平面アンテナというと、記憶にある限りだとこの2種類。
 Integrated Solar Array and Reflectarray Antenna (ISARA) | NASA
 Dual reflectarray antennas for space applications - Semantic Scholar

 前者はキューブサットのソーラーパネルの裏面を使い、後者は放送衛星用のアンテナ専用の構造。後者に関しては本当に平面かはわからないが、たぶん平面。

 キューブサット用は、大きさの違う矩形が同心円状に配置されている。パッチアンテナの大きさで再放射の位相を変えてペンシルビームを作ってる感じ。
 放送用のは、解像度が低くて見づらいけど、幾何学的なパターンが見える。とはいえ、パッチアンテナを並べた、という雰囲気ではない気がする。

 この2者は、吹付け型のフェーズドアレイアンテナの、移相器の遅延量を固定したような挙動になってるんだろう。/* このあたりの話、レーダーの本に書いてあった気がするけど人に貸して帰ってきてないので確認してない */

 対して、R3D2のほうはというと、少なくとも、動画の(あまり高解像度ではない)ワンシーンを見る限りにおいては、幾何学的なパターンは確認できない。
 広報用の写真が、アルミ蒸着されていないカプトンシートであることを考えると、動画で使ったフィルムも試験用でエッジングを行っていないシートである可能性もないわけではないが、どうかなぁ。
 蒸着の有無とパターンの有無で展開特性の変化を調べる、みたいな試験もやってるなら、その可能性も捨てきれないけど。
 そもそも、DARPAが作ってるという時点で怪しさは満点なわけだが。

 ISARAは、おそらくプリント基板のプロセスで作ってるんじゃないかな。10x30cmのリジット基板なら作れるだろうし。生基板をCNCで削るのとどっちが信頼性高いかなぁ。PCBだと液体使うからアウトガスが出るけど、それを言い出したら衛星なんて作れないし。
 R3D2でもISARAのようなメカニズムになってるなら、フレキ基板のプロセスで作れそうな気もするけど、60cm x 2.5mのフレキ基板かぁ。製造できるのかな?


 ところで、この衛星のTLEはCelestrakとかで確認できる。今の所、高度400km程度の円軌道にいるようだ。
 この高度だと空気抵抗は無視できないだろうし、2.25mの円盤だとそれなりの影響がありそう。例えば、FREEDOMは約2m^2の膜を展開してストーンと石のように落ちてきたわけだが、これは重量が1kg。対してR3D2は約4m^2の膜を展開して、重量が150kg。面積が2倍、重量が150倍なので、質量に対する表面積は、FREEDOMの75分の1くらいか。一方で、ソーラーパネルとかも含めれば、もう少し比率は変化しそう。それと、キューブサットよりは若干高度が高い(誤差レベルだけど)。軌道維持を行わないなら、キューブサットよりは多少早く落ちてくる、くらいかな? 動画を見る限りはスラスタは無さそうだけど、150kg級ならちょっとしたRCSくらいなら載せれる気がする。TLEが出続けるなら、あとから見れば傾向は推定できるだろう。

 他の懸念だと、その高度の原子状酸素の量か。カプトンがどこまで耐えられるかな? ISSのアルミ蒸着ポリイミドが1年でボロボロになることを考えると、再突入する前に裂けそうな気がする。まぁ、そのあたりの試験も含めた、試験衛星、ということなんだろう。

/* ところで、De-Orbit MechanismのSpecificationがFREEDOMの打ち上げから数年経った今現在も「Coming Soon!」なの、売る気あるんだろうか。国内衛星2機に使われたり、海外衛星にも1機使われたり、多少は売れてるらしいけど。 */

/* レーダーの本、読み直したいので買い直そうかと思ってるんだけど、地味にソコソコのオネダンなんだよなぁ。どーすっか。 */

0 件のコメント:

コメントを投稿