注:何らかの情報ソースを参考にしたものではなく、空想です。
真面目な話はリンク集の方にある。
空中発射には、大きく分けて、水平発射、空中投下、ズームフライト、の3種類がある。
LEO150kgクラスのロケットの場合、それぞれ12トン、15トン、9トン、の規模が必要になる。
水平発射の場合は、位置エネルギーと運動エネルギーがロケットに加算されている。ズームフライトは更に運動エネルギーが高く、かつ初期姿勢も最適に近い状態。空中投下は、基本的に一旦運動エネルギーがゼロ(あるいはマイナス)を通過するので、より大きなロケットが必要になる。
この例の場合、おそらく水平発射は亜音速、ズームフライトは超音速を想定している。亜音速でプルアップみたいな打ち方だと、もう少し小規模で済むはず。
ズームフライトの場合、超音速戦闘機、特にF-15を転用する、という感じになるようだ。
F-15Eの兵装搭載量は最大11トン程度だそうだから、かろうじて9トンのロケットを持ち上げることはできそうだ。ただ、おそらくF-15Eに搭載できる最大の兵器はGBU-28 バンカーバスターだと思うけど、これでも重量は2.2トン程度と、軌道ロケットに比べてかなり小規模。
ドライで14トンの機体に9トンのペイロードを乗せるんだから、おそらく機体中心のステーションに吊るすんだろうけど、地面までの高さは1.5m程度か? 余裕を考えれば直径1m程度に仕立てる必要があるはず。
あと、F-15Eを使う上で最大の制限は、空軍に頭下げて機体を改造してパイロットを訓練しなきゃいけない、という点。運用数から考えれば、米国以外では運用できないんじゃないだろうか。F-15C/Dを使うにしても、似たり寄ったり。たぶん日本じゃ使えないだろうな。当然、民間企業がそう易々と使える運搬手段ではない。
ただ、それらの事情をひっくるめて運用するに値する、となった場合は、ある程度の運用のしやすさはあるだろうから、実際DARPAがそれっぽいことやってたりするんだろう。数十kg程度だと軍事衛星として使うのは大変だけど、まぁいろいろできるからね。
水平発射、あるいは亜音速ズームの場合、民間機を改造した母機を作る場合は、B747が使われるはず。
B747は内側のエンジンの更に内側に、エンジンをぶら下げてフェリーできるような構造になっている(らしい)。この能力により、輸送手段の限られた空港で重大なエンジントラブルが発生して取り残されたB747に対して、換えのエンジンを輸送することができる。
おそらく、空中発射に使うのはこの部分の改造なんじゃないかな、という気がする。
とはいえ、B747のエンジンは1基あたり4トン程度。12トンのロケットを乗せるとすると、相当な強化が必要になりそう。機体構造自体を作り変える必要があるかもしれない。となると、アホみたいに大事になりそうだな。強度の分布としては、主翼の付け根だけで機体の全重量を支えているわけだから、うまいこと構造を作れれば、吊れる重さは相当なものになりそうだが。
もっとも、12トンの物体を追加して、空中から落とす、なんて話になったら、機体の耐空証明は取り直しだろうから、ボーイングにもお願いして情報を出してもらう必要がありそうだ。凄まじく大事になりそう。
利益が出るとわかって、ボーイングが「俺も一口噛ませろ」と言って自社でB747の改造を始めたりなんかすると、外部のロケットベンチャーなんか簡単に消し飛びそうだ。
B747を使う利点は、パイロットが多い点かな。退職した人間を確保すればいい。あとは、改造母機もそれなりの入手性が見込める点か。F-15E買ってくるよりはやりやすいはず。
空中投下だと、C-130クラスの機体が必要になる。戦闘機ほどではないにしろ、入手性も悪いし、運用性も悪いだろうな。
C-130だと、民間機LM-100になるけど、ペイロード23トンと、15トンの物体を投下することを考えればちょうどいい規模。C-130なら、払下げの機体とかも期待できるかもしれない。
ただ、ロケットが大きくなればそれだけ燃料も多く必要になるので、打ち上げコストが上昇する可能性がある。そこがネックか。
民間でやりやすい手段だと、C-130系統の空中投下か、B747の空中発射か、の2択かな。B747で30度プルアップして発射、という案もあるようだが、どの程度改善するか。亜音速で飛んでる747を引き起こしてどの程度改善するかは微妙な気がするなぁ。
DARPAの動画を見直してみると、通常配備のF-15に24時間で搭載して50kgを軌道投入できる、という感じのようだ。ほぼ垂直までプルアップして投下するが、一旦ドラッグシュートで姿勢を整えるらしいので、運動エネルギーをフルに使えるわけではなさそう。
コンセプトとしては、必要なときに即打てる観測衛星、そして、衛星も即時観測が行えるような感じっぽい。「戦争始まったら偵察衛星なんてすぐ撃墜されるよね。そうなったら必要に応じて即打って使える偵察衛星があると便利だよね」みたいな感じな気がする。この場合、小型衛星(低コストで簡単に投入できるけど撃墜されやすい)と、大型衛星(打ち上げ直すの大変だけど撃墜は難しい)のバランスをどこで取るかも気になるな。迎撃を試行させればそれだけ相手のリソースを消費させられるけど、自分のリソースも浪費する可能性があるわけで。
政府・軍が、自分のアセット(R&D機関含め)を使って、明確な目的を持って性能を決定した上で空中発射システムを考えるのは問題ないけど、民間に小型ロケットの需要がどの程度あるかは微妙な気がするな。
今後小型衛星が大きく性能を伸ばす・需要が増える、としても、その機能はおそらくコンステレーションを構成して使うような方向になるはず。となると、小型のロケットで1機ずつ、より、大型ロケットでまとめてたくさん、のほうがいい気がする。
例えば、Iridium NEXTは1機860kgの衛星を10機まとめてファルコン9で打ってる。
150kg程度の衛星の場合、単純計算で20-40機程度を打ち上げることができる。軌道1面あたり30機程度を配置するコンステレーションなら、軌道面ごとにロケットを1機打てばいいし、軌道6面で24機、みたいなコンステレーションなら、ロケット上段側で軌道面の制御をやってもらえばいい。
小型衛星の試験用の最初の1機、とかであれば小型ロケットで打ち上げてもいいが、その場合は大型衛星に相乗りして打ち上げたほうがいい気もする。
最後に。この空想は特定の組織や機関を想定して行ったわけではなく、たまたまyoutubeでエアロンチの動画を見たから暇つぶしに空想しただけです。米軍とかDARPAとかファルコンとか、名前出して何いってんだ、という気もするけど、それはそれ、これはこれ。
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