2022年9月28日水曜日

小ネタ

 秋分のタイミングは、キレイに悪天候。雲が出てるというレベルじゃなく、全く期待の持てない雨。その後もいまいち天気が良くならない。


 26日夕方、肉眼だとほとんど綺麗に晴れていたけど、長時間露光してみると結構バックグラウンドが高い。残念ながらQZS-1Rは写らず。QZSはそもそも撮るのが難しい。。。


 ほどよし3号のパスが有ったので試しに撮影。かなり薄いけどフレアが写っていた。ということで、ほどよし3号で間違いなさそう。パネル展開の50kg小型衛星は口径60mmF4クラスのレンズで見える(ただしタンブリングによるフレアに依存)。気象とか感度の余裕を考えればもっと大口径のほうがいいけど。逆に言えば、パネル展開50kg級が下限なので、パネルのない50kg級あたりだと観測の見込みはほぼ無い。


 北海道(東経140度付近)からだとひまわり8/9は真南に見えるので、ひまわり8/9付近狙いで撮影中は北極星を後ろに撮影している状況。北海道の緯度(40度台前半)なら北極星と静止軌道の最大仰角は同じくらいになるから、北極星を探して、地面でベクトルを反射させればそこにひまわり8号がいる。静止衛星は三脚で撮れば静止して写るので写真を取るのは非常に簡単。ゆっくり準備しても逃げていかないし。

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 インターバル撮影した画像の動画化で、衛星の位置にマーカーを出せないかと色々苦戦中。

 とりあえず、中央値を取って輝点検出で衛星を自動検出のテスト

 自動処理の割には意外と優秀。特に左上のATS 1みたいにものすごい小さい&暗い物体もキッチリ検出できてる。一方で、左の方のARIANE 44L R/Bみたいに、肉眼では見えるものでも検出できない場合もある。このあたりはアルゴリズムの問題とか色々あるんだろうけど。逆に、右上のARIANE 44LPみたいに、誤ってノイズを検出してしまう場合もある。中央値のタイルから、全ピクセルの平均値を少し持ち上げたところを閾値としているので、SNRが悪い画像では誤検知が発生しやすい。このあたりは確率とかの話になってくるので、ブラックリスト方式で捨てるのが楽なはず。

 左上のUSA 40みたいに、ある程度の枚数で中央値を取っても恒星が消えない場合もある。恒星の日周運動と衛星の見かけ上の運動が同じだとこういうことになるはず。

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 感度とか誤検知対策でいくつかアルゴリズムを考えて試し中。とりあえず、すべての画素から中央値を取るのでなく、いくつかの枚数ごとに中央値を取って、それらから輝点を探す、という処理を試している。こうすると中央値を取るためのバッファを適当な周期で捨てられるので、メモリ的にかなり楽になる。

 オレンジが輝点のマーカー。緑が、フレーム間で同じ位置にマーカーが見つかった数と、フレーム間での移動のRMSを表示している。意外とRMSが小さくて、たいていは1px未満に収まっている。複数の静止衛星は基本的に相関せず運動しているから、目標以外の輝点はRMSが大きな値になる。例えば中段は、中央の輝点が0.67pxであるのに対して、近いところにいる他の2物体は5pxとか6pxくらいの大きさになっている。ただ、一番下の段(ひまわり8/9)や、その上の段(Express-AT2/AM-5)のように、中央の物体以外も小さなRMSになることがある。おそらく、これらはオペレーターが同じで、軌道上衝突対策で相対速度が小さくなるような軌道制御(同一タイミングでの東西制御)を行っているので、どうしても運動に相関性が出てしまう。

 一番上の段はRMSが2を超えているけど、これは非静止衛星なので動きが大きいとか、サチっているので輝度重心の計算に誤差が大きいとか、そういう理由だと思う。ただ、見かけの動きが大きいということは、大抵は他の物体に対して相関しないはずだから、誤検知の危険性はかなり低いはず。

 暗い物体の場合は見かけ上の速度が高くても、わりとRMSは低めになっている感じかな。おそらく重心位置の計算で誤差が出づらいのが効いてるはず。あとは、画素の外周付近(レンズの歪みが大きい領域)ではRMSが高止まりするとか。

 自動処理で衛星を探す場合、撮影した画像(マイナーフレーム)を7枚とかで中央値を取ってメジャーフレームを作って、メジャーフレーム間で輝点をトラッキングする、というのは結構良い戦略な気がする。同一オペレータの衛星が隣接しているとRMSだけでは判定できないので、適切な重み付けを考える必要があるけど。


 ただ、撮影する条件によってSNR等が大きく変わるから、どんなときでも動くアルゴリズム、みたいなのはかなり厳しい気がする。最終的に、GUIを作って人間が目で見て衛星位置の推定誤差を修正する、みたいな仕組みにするべきのような気もする。

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 数値計算みたいな処理が入るプログラム、数字のオフセットやゲインをかなり意識しないと面倒なことになる。特にSI単位系が関わってくるプログラム。角度が度なのかラジアンなのか。距離はメートルなのかキロメートルなのか。幸いにしてヤードポンド法が混ざるようなプログラムは今のところ書いていないが、それでも約57.3倍とか1000倍とかで滅茶苦茶な結果になる場合がある。時間関係だと秒なのか日なのか、あるいは分や時ということもある。

 最近は角度は基本的にラジアンで統一しているけど、昔作ったライブラリを引っ張ってくると度とかrevが必要なこともある。

 天体系は時間単位は日を使うことが多いけど、角度単位は死ぬほど多い。下手したら10種類くらいあるんじゃないだろうか。。。

 画像処理だと、左上を原点とするか、画面中心を原点とするか、みたいな派閥もある。通常の画像処理は左上を原点とするけど、座標処理が入ると中心を原点としたほうが楽。

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 最近よくあるやつ。「あのときの俺、ライブラリになんでこんな基本的な処理用意してないんだよ!?」

 あとから使おうとしてインテリセンスで出てこなくてコード虱潰しに探して結局見つからないという。で、ライブラリ側のコードに手をいれるのが面倒なので自前で書く、ということを繰り返す。。。よくない。

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 小ネタ中の小ネタ


 ウチのノートPC、外付けストレージを外すとハングアップする謎の挙動がある。USBメモリは問題ないけど、SSDやHDDを使って、デバイスの取り外しを行うと、取り外し完了のポップアップが出ると同時にマウスカーソルが消えて、一切の操作ができなくなる。外付けキーボードとかも使えなくなる。電源ボタンを押せばスリープに入ったり復帰したりはできるけど、復帰しても操作ができないのは変わりない。電源ボタン長押しでシステムリセットをかけないと何も操作できなくなる。

 見た目的にはハングアップした状態でも、リモートデスクトップは問題なく接続できて、各種操作も問題なく行える。リモートで入って再起動をかければ操作ができるようになるから、電源長押でシステムリセットは避けられる。が、不便。

 リモートでは操作ができるから、OSがハングアップしたわけじゃない。しかし、マウスカーソルの表示が消えるから、例えばHIDデバイスが認識されなくなるみたいなレベルでもない。かなり不思議な挙動。


 PC組んだときは「最近はRAWで1日何千枚とか撮るイベントも無いし大丈夫やろ」とか余裕こいてたのに、連日RAW数百枚を撮ってる。しかもリアルタイムで画像処理に投げるのでRAW+JPEGで撮るというアホなことを。。。画像処理側は解像度が低くていいのでJPEGは一番小さいやつで吐き出しているのが救い。それでもRAW+JPEGで1組15MB超えるけど。


 宇宙機のプロセッサ、なんの気なしに8086と書いてたけど、そういえばこれx86の系譜じゃん。ってーことはあれか、日本の宇宙機って一時期はx86で動いてたのか……

 DS2000はバス機器でPCIバス使ってるらしい。適当な中速度のバスとして便利なのであろう。SpWとか1553とCPUを接続するのにPCIを経由しているらしい。1553はともかくとして、SpW相手だとボトルネックになるけど、バス機器ならそんなに大量のデータ流すわけでもないし。

 イプシロンとかH-IIA/Bの飛行制御コンピュータでも内部バスでPCI使ってるんじゃなかったかな? x86とか、一昔前の宇宙機って結構身近な技術を流用してる。最近だとHR5000とかSpaceWireとか独自の発展を遂げているけど。


 鉛蓄電池の電圧の80%は相対論的効果から得られている

 Physics - Relativity Powers Your Car Battery

 ウチのUPSは鉛蓄電池なので、停電中は「ウチのPC、いま相対論で動いてるぜ」とか言えるのか。一般相対論的効果が発生する超高重力環境を利用することで停電の影響が遅れて伝搬するから…… /* 鉛の電子は特殊の方のはず */


 日本の月探査機「SLIM」 打ち上げ予定を来年度に再延期 JAXA | NHK

 まぁ、うん…… 順調に遅れてるね。。。

 日本初の月面着陸レースはSLIMがさらに後退。SLSは相変わらずズルズルと遅れているけど、それでもOMOTENASIが有利を崩さず。このまま逃げ切れるか。あるいはHAKUTOに追いつかれるか。


 来月のつきしょく予想、INTERCOSMOS 25、BREEZE-M、GLONASS、QZS-4、あたりがウチから高仰角&日没後に発生するはず。さすがに1ヶ月先のTLEがどれだけ信用できるかという問題はおいておいて。。。BREEZEは可視性高そうだけど、近地点が400km未満だから誤差がデカイ。

 GLONASSとQZS-4はかなり近い場所で、f150mm@35mmくらいの画角だと両機が食に入る全期間を地球固定で視野に納めることができる。ただ、GLOは2万kmくらいで比較的近いけど、QZSは3.7万kmくらいなので、単純に同じ輝度と仮定してもGLOより3.5倍くらい暗い。やっぱりQZSを撮るのは大変だなって。撮るとしてもf200mmくらいでGLO単機狙いかな。

 INTERCOSMOSは怪しい計算で8分くらいとかなり長い食。可視性の高い衛星のはずなので観測しやすそう。食入りは西日本から北海道にかけて日本全国で60度程度の仰角だから見やすそうだ。食明けは高緯度域だけど、自宅からだと40度くらいの範囲なので、食入から食明けまで十分に見えるはず。ただ、時間が長い分で通過範囲も広くて、f30mm@35mmくらいじゃないと画角に収まらない。8分というのは、手動で導入できるギリギリの時間だな。かなり順調に作業しないと間に合わない。APS-Cに18mmくらいでインターバル撮影しつつ食入り狙い、運が良ければ食明けも、みたいなプランか。

 しかし、10月末か…… 天気云々の前に、相当寒くなりそうだ。。。天気が悪ければ温かいだろうけど、天気が悪いと衛星は見えない。


 やっぱり色々撮ろうとすると自動で導入できるシステムがあると便利なんだよなぁ。RS3か…… 数日前のamazonのセールで1万円くらい安くなってたらしいね。ぐぬぬ…… いや、買ったところで…… でも自動で導入するシステムがあれば運用の手間の9割くらいは無くなるわけで、手間がかからなくなるということはすなわち観測の敷居が下がるわけで、間違いなく今よりも稼働率は上がるんだよな。誰か持ってる知り合いでも居れば試しにAPI叩いてみるとかできるだろうけど、そんな心当たりはないし。かといって機材レンタルで借りると色々怖いし。レンタル費用も割合でいうと結構高いからなぁ。

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 今週も進捗は(以下略

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