2019年4月13日土曜日

軌道変化

 軌道長半径のグラフを書きましたが、これじゃ軌道変化わからねぇよ、と腑に落ちてなかったので、Apg/Prgをグラフ化してみました。



 分かりづらいですが、SLATSの軌道運用は、ISSと交差する期間が可能な限り短くなるように運用されています。最初は楕円軌道に投入されていますが、まず遠地点を下ろして円軌道に近づけて、その後に近地点をISSスレスレまで落としてから、再び遠地点を下げ、そのままISSの下側の円軌道に入っています。

 Ep#3 DEBは近地点220km、遠地点650kmの楕円軌道から、急速に遠地点を落として、半年程度で大気圏に再突入しています。Ep#3 R/Bはおよそ500kmのほぼ円軌道に乗っており、ほとんど高度を失っていません。R/BはASNARO-2とほぼ同じ軌道なので、DEBがEp#3の最上段、R/BがPBS、と思われます。まずイプシロンで楕円軌道に投入し、その後PBSで遠地点を下げ、近地点を上げて、PBSはその軌道にとどまっているのでしょう。

 SS520/TRICOMは近地点180km、遠地点2000kmほどの、凄まじい楕円軌道です。大気抵抗は近地点側で発生するわけですが、軌道変化は180度反対側に出てくるので、近地点で減速した場合は遠地点が下がる結果になります。遠地点側では大気抵抗はほとんど無いので、近地点の変化はあまり見られません。ある程度遠地点が下がって、700kmを下回ったあたりからジワジワと近地点の低下が見られるようになります。その後、急速に遠地点を下げながら、最終的に再突入して消滅しています。これはEp#3 DEBも同じ傾向です。
 SS520とTRICOMを比較すると、TRICOMのほうが軌道寿命が長くなっています。これは、最上段は燃焼済みで中がスカスカ、TRICOMはミッシリ詰まっていて比重が大きく、その分大気抵抗の影響に差が出たのかもしれません。
 TRICOMは近地点180kmですが、遠地点が350kmを下回ったあたりから近地点も下がり始めています。やはり、このあたりを境に急激に大気抵抗が大きくなるようです。

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 2017年末から2018年夏にかけて、軌道変化が大きい衛星が複数あって、グラフとしてみてみると結構面白い時期ですね。
 Ep#3 DEBとSS502/TRICOMは大気抵抗による軌道変化ですが、SLATSは能動的に制御していて、特異な動きです。
 この時期は、日本のロケットでは静止軌道(静止トランスファー軌道)への投入は行われていません(17年10月にQZSが上がってますが)。Falcon 9は18年3月にGTOへ打ち上げてます。
 もっとも、静止軌道はこの図の遥か彼方なので、あまり面白いグラフにはなりませんが。

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 前回から、グラフ化にC#のChartを使うようにしました。いろいろ設定するのが面倒ですが、逆に言えば自由度が高く、またExcelのように「パラメーター1つ変えるたびに再描画待ち」みたいにはならないのが楽でいいですね。

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