2019年8月2日金曜日

フィーダリンク

 暑さと諸々でストレスがマッハ。

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 ちらっと光ディスクのピックアップを調べてみたけど、思った以上に衛星間光通信の構成に似てる。確かにこれならS/PDIFを衛星向けに仕立てるより、光ディスクを衛星向けに仕立てたほうが良さそう。

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 アメリカは国土に砂漠が含まれるので、GEO-地上を光でリンクできる。EUや日本はそうではないので、Ka帯で通信を行う。
 Ka帯は、GEOから照射すると地上では直径100km程度に広がるらしい。余裕を見て直径200kmとすると、日本全国に地上局を配置すれば15カ所程度を配置できる。もっと密にすれば30箇所くらい置けるか?Ka帯のビーム1本で2Gbpsを送れるとすれば、15本で30Gbpsを伝送できる。偏波で頑張るとか、変調で頑張るとか、周波数多重で高密度化するとか、いろいろやれば500Gbpsくらいは通せそうな気もする。余裕を見ても、100Gbpsは通せるかな。

 衛星間光通信(LEO-GEO)が1本10Gbpsとすると、100Gbpsが通せれば同時に衛星10機からダウンリンクできる。

 先進光学衛星の場合、圧縮後のデータで6.5Gbpsが出てくるそうだ。10Gbpsがあれば、リアルタイムに伝送できる。必要とあらば軌道の北から南まで、途切れなく撮像し続けることができる。もっとも、先進光学衛星でもレコーダーで4000km程度撮影できるから、連続撮影に関してはあまり旨味はなさそうだが。
 100Gbpsを中継できる衛星があれば、LEOの観測衛星で10機同時に撮影できる。例えば先進光学衛星は観測幅50kmだが、10機で観測すれば幅500km弱を観測できる。衛星のアジリティを考慮すれば1回のパスで日本列島ほぼ全域を観測できる(北海道はちょっときつそう)。
 大規模な地震の被災地域を観測する場合、観測幅が50kmだと沿岸部の優先度が高くなり、内陸部の観測は優先度が下げられる可能性がある。同時に複数機で観測できるなら広い範囲を撮影できる。


 とはいえ、以前からこのブログでも書いているように、軌道上からの災害時緊急観測を目的とした衛星ってのは、あんまり旨味がないと思うんだよなぁ。
 観測衛星5機、中継衛星1機、地上局15箇所以上、というシステムだと、費用は相当な事になる。投資するだけの旨味があるミッションは何だろう? 旨味がないからこそ実現されていない、という考え方もあるが。

 大面積の撮影ができる利点を生かして、衛星から海を撮影して航跡を探す、みたいなミッションは可能かもしれない。とはいえ、AISを出していない船を探すためだけにそんな大規模なシステムを作るか、というとなぁ。今の時代なら数百kg級の衛星にNVIDIAとかFPGAとかでAI組み込んでオンボードで解析、結果(or周辺画像)だけをダウンリンク、みたいにすればそれほど帯域は必要ないだろうし。
 国際貢献とか環境保護でいうと、森林地帯の違法伐採をリアルタイムで監視するシステム、とかは作りやすいだろうけど、コスト的に合わないだろうし。


 地上の電子機器でいうと、EthernetやSATAやUSBやThunderbolt等、数Gbpsから数十Gbpsの伝送レートというのは珍しくない。衛星通信インフラに特化したベンチャーとかが出てくれば、いろいろ便利になるんじゃないかなーと思ったり。大型・広帯域衛星以外にも、キューブサット用のトランスポンダとかも売って、1日あたり1Gbyteとか転送できるようなシステムとして販売すれば、キューブサットの運用とかも楽になるだろうし。
 とはいえ、静止軌道上にミッション機器を投入するのは大変だろうし、かといって800kmあたりの低軌道に投入するのも微妙だし。結局IridiumとかStarlinkとかがシェア握るのかなぁ。
 キューブサットのダウンリンクだけで言えば、スウェーデンの某社が事業始めたら一強だろうなぁ。

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