僕の中の伊奈帆がささやくんだ。「空が青いのは空気成分によるレイリー散乱だからそれは空の色だ」って。でも艦長もささやくんだ。「そういうことじゃない」って。
「ささやく」と「さくやく」って、字面が似てる。100dBくらい違うけど。
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JAXAのQZS-1、1/50(1/100で作成)。
面積比で4分の1なので、SAPは歪みなく作れる。一方で、紙の厚さの影響は倍になるから、細かい寸法精度が犠牲になる。ミッション周りは各々独立しているので、開口部カバー(+ヘリカル)だけ気をつければ、大きさはさほど問題ない。SAPは、どうやって作ればいいか、さっぱりわからんね。SAPだけに(ヘリウムも凍りつく深宇宙ジョーク)。
ヘリウムの融点ってそんなに高くねーよ、というのと、そもそも電波法の定義だと深宇宙は地球からの距離だから太陽側に行けばめっちゃ暑いし、という二重の矛盾。ガニメデとか、結構寒そうなんだけど、それなりに温かいんだよな。平均気温だと窒素の沸点を超えてる。南極あたりだと行ってる人数も多いし「熱湯も瞬時に凍りつく極寒の南極ジョーク」とかありそう。熱湯を熱湯のまま放置しても瞬時とは言えないだろうし、液滴化しないと熱逃げないだろうから、ジョークも小さい粒子状にして大量に放出されるのであろう。
それはさておき。
QZS1の資料、あんまり出てこなくて、JAXAがアーカイブしてるQZ-visionのページとか、ペパクラに付属してる解説が一番詳しい気がする。コンポーネントレベルだとNECやNICTがいくつか資料出してるけど。
QZS2,3,4は三菱電機の資料に少し図がある。
初号機と2-4号機では、かなり変わってる。2,4号機はL帯ヘリカルこそ初号機と似てるけど、それ以外はほとんど変わってるんじゃなかろうか。外観上の大きな変化だと、ツノみたいなUSB(Unified S-Band)アンテナのポストがなくなっていたり、STTの設置方法が変わっていたり。他にも増えたり減ったり移動したり。2-4号機でも、3号機は静止衛星で通す信号も増える分いろいろ追加されていたり、細い差異も含めるとかなり違う。
準天頂衛星初号機が2010年打上げで、日本の衛星としてこの高さでは初めてスタートラッカを使ったらしい。ひまわり8号が2014年で、QZS2号機以降は2017年6月から順次打上げ。QZS1でSTTを使って高精度姿勢決定を実証できたので、ひまわりに採用しつつ更にデータを取って、QZSの高精度軌道決定とかにフィードバック、という感じなんだろうか。
QZSの高さは6m強あるので、重心位置の推定が5%ずれただけで30cmのズレになる。センチメートル級の測位をやりたいのに、その基準が何十cmもずれてしまうと困るので、高精度に衛星の重心位置を推定する必要がある。推進剤を吹けばその分重さや重心も変化し続けるから、液体の消費量とかも高精度に推定する必要がある。
初号機は、SAPは片翼3枚+ヨークで、内側からインパネル、センタパネル、アウタパネル。2-4号機は片翼2枚+ヨークで、インパネルとアウタパネル? 初号機ではアウタパネルの裏面が外側に向いていて、SAP展開前は発電ができない形状。2-4号機はJAXAの管轄じゃないのでJDAに写真がないけど、報道公開の写真とかフェアリング内カメラの写真を見る限り、SAP展開前に表面が外側に向いている形状。
初号機と2号機以降の設計思想の変化という可能性もあるけど、DS2000の標準コンポーネントとして、片翼あたり奇数なら表面が露出、偶数なら裏面が露出、みたいなことなのかも。
衛星の南北は、OSRが大面積なのが南、細かく別れているのが北。上の写真だと、右下方向が北面。東西面の南側には円形の白い物がポツポツとついているが、これはTWTの頭。TWT等の通信機器がついているのが南面、原子時計とかが乗っているのが北面。STTが向いているのは南天。
1/100だと細かいので作るのが大変。ミッション機器周りは色々ヘマやらかして上の写真のは3個目。これだけ作るとだいぶきれいに作れるようになってきた。構体は1個目、SAPは1.5個目(片翼作ったところでミスに気づいて2組目作成)。SAPは格納ギミックの精度要求が高くてかなり大変。太陽追尾軸回りの展開機構が特に大変。手が濡れてたのかあちこちインクが滲んでる。
構体もSAPも作り直したいけど、構体は箱だからともかく、SAP作るのは非常に手間がかかる。折りたたみギミックは省略して作れば楽だろうけど、それにしたって根本の細い部分をどうするかとか色々。1週間ほど前までの製作ペースで全部使い果たしたのか、というくらいペパクラ作る速度が落ちてる。1日で部品2個とかそのレベルでしか作れない。俺も昔は凄かった。
内閣府のQZSが1/100だけど、並べてみるとかなり雰囲気が違う。内閣府のやつは1-4号機まで再現できるけど、雰囲気では3号機が一番近そうかな。
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ETS-8は凄まじく大きなアンテナを広げるのでSAPも構造から遠くにあるけど、WINDSも通常サイズのパラボラとはいえ変な向きに2枚広げて少し面積大きいので、構造から遠くにSAPがついている。ETS-9はパラボラを計4枚開くので、SAPも少し離してある。WINDSと同じくらいの場所かな。2次元展開なのでWINDSとはだいぶ様相が違うけど。
WINDSは、JAXAは「きずな」だけど、ちゃんとした組織っぽいところが出してる資料で「きづな」と書かれていたり。日本語としての「絆」のカナはズでもヅでもいいらしいけど、WINDSの愛称はズで統一すべきじゃないかなぁ。
SLATS、トワイライト軌道に近いので地方時が遅い。暗い場所を撮るので、時間遅延積分(TDI)-CCDを採用。ALOS-3もTDI-CCDが使われていて、SLATSもALOS-3も三菱電機。TDIの軌道上実証をSLATSでやったんだろうか。SLATSとALOS-3は画素数がだいぶ違うはずで、モノ自体は別物だろうけど。
超低高度衛星バスとか作ったら面白そうなのになー、とか思ったり。ノミナル500kgくらいで、H3で5-15機程度をまとめて打ってコンステ作ったり、イプシロンでデュアルロンチしたり。一旦250km程度の軌道にバラバラっと入れて、必要に応じて200kmくらいまで下げたり350kmくらいまで上げて軌道上待機したり。電気推進なので軌道設定の自由度が高い。少し低めの軌道から自力で上がれる。コンステを低めの軌道にばらまいておけば、軌道制御ができなくてもスペースデブリにならない(数週間~数ヶ月程度で再突入する)のでそのあたりの信頼性を低めに設定できる。多少信頼性が低くても数で補う。ただ、500kgクラスのコンステを無制御で再突入させるとちょっと微妙。高圧ガスタンクがあるから評価厳しいよなぁ。バスで光通信に対応して、高速ダウンリンクを行えるように。超低高度はウインドウが狭いのでダウンリンクが厳しい。中継衛星でがんばる。光学観測とかLiDARとか、いろいろ用途はありそう。
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日立の昭和45年(1970年)の資料を見つけて読み始めた。レーザー測距に関する話。この頃、VLBIはアメリカで基礎研究が始まった程度で、日本には入ってきていない(NICTの資料曰く、噂話程度には流れていたが、誰も信じていなかったそうだ)。当時、衛星の軌道をレーザー測距で精密に計測すれば地面の動きがわかるから地震予測に使える、と考えられていたらしい。SLR分解能が1.5m、精度が5m、といった時代。
ところで、地震予測云々は序文で触れていて、そこからNICTの資料を読み始めたので、SLRの話は読んでいないわけだが、NICTの資料がまた面白いこと。凄まじいボリュームだし。
当時関わっていた人たちの回想録という感じらしいが、一部が歯抜けになってる。誰だ書いてないやつは! こんな大事な面白い話はちゃんと残しておいてくれないと困るじゃないか!!
事実は小説よりも奇なり。少なくとも、SFの文庫本と同じ程度には面白い(なお、PDF1個目の途中まで読んだ段階での感想)。
相関器のソフトウェアを書く以前は、受信したゼロイチのデジタルデータを紙に印刷して、二人で同時に読み上げて、それを聞いた人が耳でXORを処理して手元に正の字でカウントしていたそうだ。1回ずつ一人が1文字(=1ラグ)ずつずらして読んで相関処理を行うのだが、疲れてくると途中で文字を飛ばしてしまい正常に処理ができなくなる、という。
すさまじい時代だなぁ。
僕なんかテスト用の数十ポイントですらExcelで処理しながらメンドクセーと不平を言っているのに。昔の人はすごかった。
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加湿器を買ったので、とりあえず強で運転してみた。数時間で3Lくらい撒いたんじゃないだろうか。弱でも24時間連続稼働でで4L前後撒いてそうな気がする。
念の為に室内の水素濃度を確認しておいたほうがいいかな? (ヒドラジンで遊んでるわけじゃないので大丈夫)
寝てる間は弱で、起きてるときは適当にON/OFFして、1日3L弱撒くと、60%弱で平衡する感じ。置き時計に内蔵された湿度計なので精度はかなり悪そうだけど。
空気が乾燥しているせいか、強で運転しても粒子の持続時間はあまり長くない。風洞のトレーサーとして使うのは難しそう。夏場とか多湿な時期ならあるいは、ってところか。
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